Lメモ・学園男女混合テニス大会! 第13章 「ダーク・トラップ」  投稿者:YOSSYFLAME



「長瀬先輩っ、早くしないと間に合わないですよっ。」
「ちょっとちょっと…そんなに急がなくたってまだ時間が…」
L学有数の元気娘、川越たけるに引きずられてあうあう言っている長瀬祐介。
傍目に見ても、一緒にいるのが不自然な二人。
まあ不自然っていうか、普段見慣れないだけの話かもしれない。



「よっ、ディアぽん、元気?」
「そのディアぽんっていうのはやめてくれませんか?  よっしーさん。」
「まーまーまーまー、それにしても、一回戦シードってのは楽で楽で…」
「あーそーですか、そんなこと言ってると二回戦であっという間に負かされるんですからね。
そういえば、この試合の勝者とあたるんじゃなかったですか?」
「そゆこと。だから偵察にきたってわけ。」
今大会は参加選手のために、ゆったり試合が見られるように選手専用席というのが設けられている。
そこに座って視察をしていたディアルトに声をかけたのが、
もうすぐ行われる第2ブロック一回戦第2試合、
神凪、ルミラ組vs川越、長瀬組の勝者と二回戦で当たることになる、YOSSYFLAMEである。
「一人ですか?  パートナーの広瀬さんは?」
「ああ、アイツね。寝てる。」
「はい?」
「まあ俺が知ってりゃ何とかなるし、下手に起こすと暴れるからなあ、アイツ。」
けらけら笑いながら答えるYOSSY。
「まあ、それは置いといて、よっしーさんはどっちが勝つと思います?」
あまり深く突っ込むべきではないと考えたディアルト。とっさに話を変えにかかる。
「そうねえ、順当に行けば、神凪のオッサンの勝ちだとは思うけどねえ…
たけるさんも頑張ってるんだけど、卑怯さにおいては完璧に後手だからなあ。」
と予想するYOSSY。
「ん、そう言ってるうちに…って何だあの団体さんは。」



ぞろぞろぞろ。

「さーって、まずは一勝よ一勝!  神凪、気合は入ってるでしょうね!」
「まあ入ってますけどね。」
「まあ?  その気合のこもってない返事はなーーーーーーーーーーーにーーーーーーーーーーー?」
「あががががが、入ってます入ってます、気合入りまくりですって〜〜〜〜!」
「うん、よろしい!」
「ルミラさま、頑張ってくださいね〜〜〜」
「温泉行きてぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「まったくねえ…」
向こうからぞろぞろ集まってきたのは、ルミラ、神凪を始めとして、その後ろは雀鬼大集合。
最もそれも当然の話で、エビルが敗れた今、雀鬼温泉旅行は、もう後がないところまで追いつめられていた。
全てはこのルミラと神凪にかかっているのである。
自然応援にも熱が入ると言うもの。
「ルミラ様、相手が来ました!」
「…そうね。手始めに一回戦はもらうわよ!  神凪!」
「ま、やるだけはやってみましょ。」
「なーーーーーーにーーーーーー!  その無気力な態度は〜〜〜〜!」
「あががががが、無気力じゃなくて性分なんですよ〜〜〜」

「あうあうあう、遅れましてすみません〜〜〜」
「いいのいいの、気にしないで。それよりも。」
「はい?」
「この試合、勝たせてもらうわよ、覚悟しなさい!」
「…そう上手くはいかせませんからね!」
ルミラとたける。
互いに負けん気全開、闘気を大いにはらんだ握手。
「(大丈夫かな…)」
そんな2人を心配そうに見つめる祐介。
同じく控えながらも、神凪の方は、13使徒幹部にふさわしい凶々しい笑みを浮かべていた。
「(川越さん、13使徒同士でも今日は敵同士。申し訳ありませんが…退いてもらいます。)」

「プレイ!  サーブ、川越、長瀬組!」
「いっくよ〜〜」
すぱんっ。
たけるのサーブが意外に的確に敵のコートを捉えにかかる。
「フフッ…」

『え、ええーーーーーーーーっ!?  ルミラ選手のラケットが消えたぁ!?



と思ったら、いきなり前に出現…撃ち返した〜〜〜!?』

スパアンッ!
「イン!  0−15!」
「ええ〜〜〜?」
「どうなってんだ?」
『こ、これは!?  ラケットの瞬間移動…?』
さすがの志保も実況に困っている様子。
「当たらずとも遠からずね。そう、闇の力を利用したラケットのテレポート…みたいなものかしら?」
余裕の表情で腕組までしながら実況に補足を入れるルミラ。
「そんな〜それじゃどこでもラケットが出てきて打ち返されちゃうよどうしよどうしよ長瀬先輩〜〜」
「ま、まあまあ、とにかく落ち着いて…」



――第7ブロック一回戦第2試合、宇治丁×東雲恋組vsゆき×柏木初音組

すぱぁーーーーーーーーん!
すぱぁーーーーーーーーん!

「ふう、こんなものかな…」
そう嘯き、ウォーミングアップを終える恋。
戻り際に、ゆきと初音に挑発的な視線をぶつけるのも当然忘れてはいない。
「(恋…油断はするなよ)」
観客席では、恋の兄、東雲忍が控えめに観戦していた。

「なんやあの女、感じわるぅ。」
「はは…まあ、これから闘う相手だからね…」
見るからに高飛車風の恋の態度に露骨に不快感をあらわす夢幻来夢。
そんな彼に苦笑しながらわざわざ敵のフォローまでやってのけるゆき。
「まあええけどな…でも、敵のフォローまでする余裕があるんやったら大丈夫やぁ、この試合は。」
悪戯っ子のような笑みでゆきに答える来夢。
「そんなことないって…」
と話題をそらそうとし、ふと真剣な目つきになる。
「あのサーブ…やっぱり彼女は只者じゃない。…伸びが他の人とは明らかに違う…」
「まあ確かにな…。
でもな、敵のことばっか考えても仕方あらへん。そんなことばかり気にするよりか…」
そう言って、また人をからかうような目のまま、傍らに控えてる女の子の方に目を移し、
「自分のパートナーに目を向けたらどーや?」
そう言いながら、
「じゃ、俺は席で見とるでのお、ほな。」
にやにや笑いのまま選手専用席に戻って行く来夢。
「初音ちゃん…」
「ゆきちゃん、がんばろうね。」
にっこりと笑う初音。
「(そうだ、とにかく僕は…初音ちゃんを…守る!)」

「さて、宇治君、準備はいい?  ま、ゆっくり後ろで見物していてよ。なんならあたし一人で終わらせちゃってもいいよ?」
(まったく、あたしがこんな素人相手に出場だなんてね〜。…でも…)
「ははは、まあ、足を引っ張らないように頑張りますよ〜」
(ゆきちゃんごめんね。…でも、勝たせてもらうよ。)


――再び2ブロック第2試合。

「ゲーム!  川越、長瀬組、2−1!」

「やったあ!」
「思った通りだ…」
予想外のたける組のリード。
素直に喜びを表現するたけるに、ヤマが当たったという感じの表情の祐介。
「(やはり…ルミラさんのラケットテレポートは…器用な捌きが全然出来ていない!)」
そう。ルミラの闇空間テレポートはそれが弱点なのである。
彼女自身のラケット捌きを離れているために、その捌きは素人以下。
奇襲用。とても実戦で表立って使えるものではない。
それにしても、そうだとヤマをはって対処した祐介の意外な洞察力にも驚かされるが。
「あーあ、やっぱり通用しないわねえ〜」
あっけらかんとしたルミラ。
「それにしても、今日はいい天気だわよね。」
さっきまでの鋭い眼差しは何処へ行ったのか、優しげな視線をたけるに向ける。
「正直コレにはあまり期待してなかったけど、こんなにあっさり破ってくれるなんてね。」
と、自分の技の未熟を自ら認め、のほほんとした表情でたけるたちを認める。
「けど。」
その穏やかな調子のまま、ルミラは続ける。

「悪いけどあなたたちはここまで。これから先、1ゲームすら許さないから覚悟しときなさい。」

ルミラの事実上勝利宣言。
「ええ〜〜、そんなのむがむぐ…」
たける名物口暴走が始まる前にいち早く彼女の口を塞ぐ祐介。
「随分な自信ですね。」
「ま、御覧になればわかりますよ。伏線はできましたから。」
祐介の挑発口調に冷静に答える神凪。
「さあ、ゲームを再開しましょうか……」



――再び7ブロック第2試合。

「ゲーム!  宇治、東雲組、2−0!」
『強い!  まさに圧倒的な強さ、東雲恋選手!』

「…くっ!」
歯噛みして悔しがるゆき。
強い。
圧倒的な力の差。
そう。実際のポイント以上の力の差を、ゆきも初音も思い知らされていた。
「こらぁ!  もっときばれや!  ゆき!」
来夢の檄が飛ぶ。
しかし、ポイントどころか、満足に打ち返すことすらできない現状をどう打破すればいいのか?

「プレイ!」
すぱーーーーーんっ!
現状ではとても恋には歯が立たない。
それで、不本意ながらも自分の親友にして、それが故にわかる、運動神経ゼロの宇治に狙いを定める。
「あわわわわ…」
うろたえる宇治。へっぴり腰でとても返せる状態じゃない。
「どいて!」
すぱぁーーーーーーーーーーんっ!
宇治の前に立ちふさがった恋の強烈なリターンが炸裂!
ずしゃっ!
なす術なく恋のショットを炸裂させてしまう。
試合開始直後からずっとこのパターンで試合は進んでいた。
ゆき組の得点と言えば、宇治のサーブのダブルフォールトと、彼を狙ったサービスエースぐらいのもの。
「はあ…はあ…はあ…」
追いつけないボールを追い続けて、既に疲労の色が濃い初音。
この後、1試合置いて、今度は夢幻来夢と組んで出場しなければならない彼女。
しかし、この試合で、力を温存する気など全くないらしい。
一試合一試合自分と組んでくれる人のために全力で戦うという気持ちが、痛いほど伝わってくる。
「(なんとかしたい、初音ちゃんのためにも!  でも、どうしたらいいんだ!?)」

「すごいですね…」
次の試合、対西山×柏木楓組戦を前に軽い運動をすませて戻ってきた藍原瑞穂がこの試合を見て呟く。
「ああ、さすがテニスでインターハイまで行った実力者だね。強敵だ…」
「いえ、違います。あ、確かに東雲さんもすごく手強いですけど…」
同じく軽く汗を流してきた岩下信があいづちをうつが、意外な瑞穂の言葉。
「いえ、ただ、宇治さんがすごいなあって…」
「宇治君が?」
さすがにいぶかしむ岩下。どう見ても恋の足引っ張りの宇治のどこに評価できる要素があるのだろうか?
「はい。正直びっくりしました。まさかあの人がこんな戦略を…」
「ふうん…?」
さすがに理解できていない岩下。
だが、分析力では秀逸の瑞穂の言うこと。半信半疑ながらも試合に目を向けた。

「ゲーム!  宇治、東雲組、3−0!」



――2ブロック第2試合。

「シャァッ!」
相変わらず爬虫類のような気合を放ちながらストロークを放つ神凪。
「(威力こそないはずなんだけどなあ…)」
打ち返すべく構える祐介。
バウンドしたボールを打ち返そうとするが、
「くっ!」
振り遅れ、あらぬ方向に飛んで行くボール。
「(さっきからそうだけど、なんでこんなに伸びるんだ?)」
ボールに回転をかけていることも考えた。
しかし、そういう様子はまるでないのである。
「(相手が相手だからなあ…魔術の類でも使ったのか?)」
そうも考えた。
しかし、各コートに設置されている魔力検知器。
自分のコートならまだしも、敵のコート上より上、それこそかなり上空さえも検知する。
それが反応しないということは、敵コート内で魔力を使ったわけじゃなさそうだ。
しかし、ルミラ、神凪の2人のショットは、まぎれもなく凄まじい伸びがあるとしか思えない。
そうしている間にも刻々と試合は進んで行く。たける、祐介組のルミラ勝利宣言からの劣勢のまま。

「(一体どういうことなんだ…?)」



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どおもお、YOSSYです。

ゆかり:こんにちは、広瀬ゆかりです!  
        ところで、今回はいつもとは少しノリが違うわよね。
よっし:そのとーり。今作のコンセプトは、ずばり『罠』!
ゆかり:宇治くんの罠とルミラさん、神凪さんが作り上げた罠ね。
よっし:そゆこと。お前わかるか〜?(得意満面)
ゆかり:うー…………ん…
よっし:さてと、時間の無駄なので次回予告はと…
ゆかり:待ちなさいよっ!
よっし:あのさあ、俺こう見えても忙しいんだわ。無駄なことに付き合ってる時間なんざ…
ゆかり:大体はわかったわ。 
        神凪×ルミラ組の罠の謎は、本編の端々にはのってるわよね?
        で、宇治くんの罠。多分物理的なものではなさそうね…
よっし:それで?
ゆかり:う…
よっし:たったそれだけわかったからって、なんの解決にもならんが?(にや)
ゆかり:うるさいわねっ!  少し時間をよこしなさいよっ!
よっし:(ざまあ見やがれ、人を樹海に簀巻きにしてほったらかしといた報いを受けな)
        そういうわけで、みなさま、もしお暇があれば、てきとーに考えてみてください。
        『これはいったいどういう罠なのか、何を目的にしたのか』など、なんでもいいですから。
         とりあえず、ルミラ組の場合は”何故見た目より球が伸びるのか”        
         宇治組の場合は”いくら恋選手が強くても実質2対1であそこまで圧倒できるのか、何か裏があるのでは”
         って感じで考えてくれるといいかもしれません。
         さて次回はこの2試合決着編です。てきとーに待っていてくれたら幸いです。

ゆかり:あれじゃないでしょ…、こうじゃなくて…
よっし:まだやってたのかお前…


今大会に出場してくれた、川越たけるさん、神凪遼刃さん、
                        宇治丁さん、ゆきさん、東雲忍さん、ご参加本当にありがとうございました。