Lメモ 「想志相反」 投稿者:東西
「ティーさん、それから、東西さん」
「はい?」

「なんでしょうか?」

「少しお願いがあるんですけど……」


  Lメモ 「想志相反」


「……………どうします?」

「どうしますと言われても………」

 科学部の部室前、東西と、T−star−reverseが、ぼそぼそと話している。

「いくら何でも持ち出しはまずいでしょう………ビーム兵器は………」

「でしょうね………ほとんどジンさんの私物と化してますし………」

 どうやら、二人はビーム兵器を持ち出す相談をしているようだ。

 この二人の共通の知人でビーム兵器に興味を示しそうな人物と言えば………

 トリプルG、オカルト研究会にて、古代魔術の研究をする人物、そして、無類のビーム兵器好き。

 二人は、トリプルGに何事かを頼まれたようである。

「東西くんが、安請け合いするからですよ」

「いや〜、頼まれると断れない質なんで」

 照れ笑いを浮かべる東西、

「誉めてませんよ」

 ティーが、呆れる。

『中にいるのは……柳川先生と、ジンさん……いつもの二人しかいません、しかも作業中です』

 ティーが、ホンの少しだけ扉を開けて、中に確認の為に侵入させていた『命』が報告する。

 二人とも、扉に背を向けている、中から作業音がしていると言うことは新しい物を作っているのであろう。

「東西さん、姿を消して私と一緒に中に入って下さい。

 中に入ったら、私がお二人の気を引きつけますから、

 棚にかかっている物ではなく、乱雑に片づけられている物の中から一つ持ってきて下さい。

 私がそれを確認したら、適当に話を切り上げて外に出ますから、上手く私に隠れるようにして脱出して下さい。」

「わかりました」

 東西が、同意をすると、早速「光の精霊」を召喚して、姿を消し始める。

「『命』さんは、ここで待機していて下さい」

 『命』が頷く。

「では……」

 姿が完全に見えなくなったのを確認してから、ティーが扉を完全に開けて中に入る。

「こんにちは」

 ティーが、いつもの調子で後ろ手で扉を閉める。

 ガン!

(あ……)

 ティーのすぐ後ろ、扉のレールの上には東西がいた。

 もし皆が東西の姿を見ることが出来たなら、結構きつく当たって痛がっている東西を目にすることが出来たであろう。

「ん?どうかしたか?」

「いえ、なんでもありません………」

 今度は半身ずらしてから、扉を閉める。

「今日は、何を制作しているんですか?」

「ああ、ビーム兵器の強化だ、主に連射機能の向上を目的にしたな」

 ジン・ジャザムが答える、既に完成した状態を思い描いているのか、嬉しそうだ。

「お前……今日も傀儡か、たまには本体が来い……」

「わかりますか?」

「あまり私を嘗めるなよ」

 柳川がニヒルな笑みを浮かべて言う。

(怖い人ですね………)

 ティーは、心底そう思った。

 ちらり、とビーム兵器の置いてある場所を伺う、一丁、移動を始めている。

 柳川、ジンからは死角になって見えない。

「では、お邪魔になるといけないので、今日はオカ研の方に行きます」

「別にかまわんが?」

「いえ、丁度、面白そうな資料もあちらで見つけたことですし」

 柳川の言葉を丁重に断るティー、微塵の動揺も見せない。

「ふん、知的探求心は大事にした方が良いからな」

 そういうと、柳川は、行け、とでも言うように顎をしゃくる。

「では」

 ティーが背を向けると、二人ともまた研究に没入しだした。

(うまく行きそうですね……)

 ティーが内心、胸をなで下ろす。

 一丁のビームライフルは、もうじき、扉の前に到着する。

「あ、そうだ、ティー………ん?」

 ティー、ビームライフルの動きが止まる。

「どうした?ジン」

 柳川もこちらを向く。

「ほ〜う………ティー、なかなか面白い手品を使うな?」

 ティーはだらだらと冷や汗を流す、多分、東西も似たような状態だろう。

「で、そっちは東西か?」

 ジンが指摘する。

 東西が観念して、術を解く。

「「さて………言い訳を聞こうか?」」

 冷淡な声が響く。

(傀儡で来て良かった………)

 ティーは、安堵していた。


 ドンドンドン!

「すごいですねぇ」

 トリプルGが、感嘆の声を上げる。

「だろう!?

 連射機能をアップさせて威力も今までよりも強化してある!

 これで、次こそ、Dセリオに完全勝利だ!!」

「すごいのはわかりましたから………もう勘弁して下さい…………」

 東西が、完成した、新型のビームライフルの的にされていた。

「まぁ、もう少し撃たせろ……なんせお前は俺の大事なビームライフルに手をかけたんだからな」

 あの後、二人に締め上げられ、トリプルGの事を話すと、

『なんだ、それなら見学に来れば良かろうに』

 と言うわけで、『命』が急遽トリプルGを呼びに行き、

 トリプルGは試射の見学をしている。

 ちなみに、ティーの傀儡は崩壊済み、本体は当然のごとく発見不可能であった。

「ふむ………もう少し改良の余地があるようだな…………」

 柳川はその様子を見て、次の武器の構想を練っていた。



 既に、日が沈んだグラウンド……遅めのクラブ帰りの人がまばらに帰路に就いていた。

「…………」

「いやぁ、今日は、良い物を見せていただきました!

 ティーさんにも是非お礼を言わないと!」

 沈みきっている東西、それとは反比例してご機嫌なトリプルG、

『良かったですね、喜んでくれて』

 東西の頭にのっている『命』がからかい口調で言う。

「……………」

 それにすら、東西は反応しない。

「きゃっ!?」

 少し前を行く、生徒のスカートが捲れ上がる。

「嫌な風………」

 その女生徒は、そう呟くと帰っていった。

「東西さん……見ましたか?」

「ええ、白でしたね……」

 ……………

 ガン!!

「冗談なのにぃ〜〜〜」

『妖魔でしたね?』

 『命』が東西の代わりに答える。

『しかし、大した力があるわけではなさそうでした………放って置いても良いのでは?』

「いえ……妖魔は全て狩ります」

 既に、トリプルGの目は、危険な色をたたえていた。

「しかし、彼等も生きているんですから、何もそこまで………」

「貴方がやらないと言うのなら私がやるまでです……」

 そう言うと、トリプルGは、妖魔の気配に向かって走り出した。

「………やっぱりダメだよ……ただ妖魔と言うだけで狩るなんて!」

 東西も後を追った。



「もう、逃げられませんよ?」

 トリプルGが、妖魔を追いつめていた。

 翼を生やした異形の者………しかし、その翼は、すでに、トリプルGの術により傷付き、飛び立てる状態にはない。

 傷そのものは小さな物であるらしいことが見て取れるが、行動力を奪うに十分な物であることが見て取れる。

 距離は、ほとんどない……それでも妖魔からの反撃はない。

「止めです」

 何の感慨もない、冷めた口調で狩猟の終わりを告げる。

「フライズブレード」

 トリプルGの手に「光の剣」が掌の魔法陣により形成される。

 トリプルGが、剣を握りしめると魔法陣は消え去るが、剣はその力を失うことなく煌々と光り輝いている。

 妖魔にかすかに怯えが見える、それでも、トリプルGは躊躇い無く剣を掲げ………振り下ろした。

 ギィン!!!

 妖魔を易々と切り裂くその剣は、もう一本の、別の意思に繰られる剣により止められる。

「何の真似ですか?東西さん」

 東西は妖魔の前に片膝をつき、両手で支えた「精剣」でトリプルGの剣を止めている。

「僕は、貴方と同じように、正しいと思うことをしているだけです」

 東西の言葉が終わると共に、妖魔が動いた。

 最後の力で逃走を試みる、怪我を負っているとは思えない早さではあるが、地を走っている以上楽に追いつける早さだ。

「逃がしません!」

「追わせません!」

 未だ「精剣」の刃に乗っていた、「光の剣」を力任せに妖魔が逃げた方向とは逆にはじく。

「何故?」

「邪魔をする理由ですか?簡単なことです、罰は相応に受けるべきですが、過剰には必要ない」

「相手は妖魔ですよ!?放っておけば何をするかわからない!」

「…………たしかに、しかし、あの程度のモノなら悪戯をするのがせいぜい……

 そして、妖魔とは言え、生を受けた者達……ならば、僕は約束を守るだけです」

「……約束?その約束が誰と交わされたモノかは知りませんが……理想論のようですね」

 トリプルGがおもむろに、構えていた「光の剣」を下げ、消す。

「どちらにしろ、今から追ったのではもう無理なので今回は諦めます……では」

 そう言うと、トリプルGは背を見せて帰っていった。

 しばらくしてから、東西も帰路に就く。



「くっくっく………勿体ないですよね、狩るのも、逃がすのも……」

 声の主は「神凪 遼刃」、彼も妖魔の気配を追い、東西と、トリプルGとの戦いの場に居合わせていた。

 妖魔が逃げた後を追い、十分に東西達から距離をとったところで、妖魔を行動不能にしていた。

「どんなに弱くても、駒には出来るんですから………」

 東西とも、トリプルGとも、思想を共有しない者……


 次の日、放課後

「トリプルG君」

 オカルト研究会の部室、ティーがトリプルGに声をかけている。

「あ、はい」

 何事かを考えていた、トリプルGは、一瞬反応が送れた。

「昨日は約束を守れなくてすいませんでした」

 ティーは、傀儡を破壊された後のことを知らない、よって謝罪に来たようだ。

「ああ、その件なら良いんですよ。出来立てのビーム兵器の試射に立ち会えたんですから」

 明るく、昨日のことを報告する。

「ああ、それなら良かった、請け負った以上、気になっていたんですよ」

「そうですか、それはすみませんでした」

 がらっ

 扉が開く音が響く、

『ああ、トリプルGさん、こちらにいらっしゃいましたか』

「こんにちは」

 東西の顔を見て、トリプルGは、気まずげな顔になる。

『やっぱり昨日の件を気にしていらっしゃるんですか?』

 『命』がトリプルGの顔の変化に目敏く気付く。

「昨日の件?」

「あ、いえ、ビーム兵器の件ではありませんから……」

「一寸場所変えません?みんな聞き耳たててますし……」

 東西が苦笑しながらトリプルGに周りを示しながら、提案する。

「そうですね」

 同じく苦笑しながら、同意する。


 屋上

 落下防止用のネットの手前の柵にもたれ掛かりながら、二人とも入り口を見ている。

「昨日は済みませんでした……妖魔を前にすると頭に血が上ってしまうので………」

「? なんで謝るんです?」

「いや、だって、斬り掛かったり、内容も知らずに理想論とか何とか言ってしまって………」

 東西が吹き出す、

「斬り掛かられたのは妖魔で僕はそれを邪魔しに入ったからそう言う形になっただけですよ。

 それに、理想論というのも本当のことです。

 自分の理想を、貴方に押しつけるようなことはしませんよ、だから、今日は話をしに来たんですから……」

「ふぅ、私だって今更自分を曲げるわけにもいけませんから、そう言っていただけるなら助かります」

 二人の間に流れる空気に少しだけ混じっていた険悪感が消えた。

『約束を交わした相手というのは私です。

 東西は、私が教えた精霊使いとしての使命を守っているだけです……

 要するに私が刷り込んだ正義を行っているんです』

 『命』が「自分に責がある」と言わんばかりの口調で話す。

「怒るぞ『命』……教えてくれたのはお前だけど、

 それを正しいことだと思って実行しているのは僕なんだからお前は関係ない」

「ま、思想という物は、誰もが一つは持っている物ですから、

 教えられた物でも、実行している以上は自分なりに納得していると言うことですよ」

 トリプルGが、『命』を慰めるように言う。

「そう言うこと、で、トリプルGさん」

「はい?」

「妖魔の件はお互いの思想が違うと言うことで納得して、それ以外は、今まで通り行きません?」

 ふっ

「かまいませんよ、そのかわり妖魔がらみでは容赦しませんからね?」

 トリプルGが、軽く笑う。

「ま、人に行きすぎた害を及ぼす物は許容の範疇ではありませんけどね」

「そう言う者を相手にするときは、ご協力願いますよ?」

「もちろんです」

 二人は屋上を後にした。


                    了


東西 :やったーーーーーー!!!Lメモ十本めぇ!!!!!!
『命』:よく続きましたね?
東西 :そりゃ好きな物はよく続く(笑)
『命』:(飽きやすいくせに)
東西 :何か言った?
『命』:別になにも………
東西 :テストで溜まってたから………気持ち良いぞぉ
『命』:……………

Thanks
 ティーさん、トリプルGさん、ジンさん、神凪さん、ご出演有り難う御座いました。
 トリプルGさん、ネタの提供有り難う御座います(笑)

東西 :ごめんなさいは多分無いと思う
『命』:では、またお会いしましょう、みなさん。
東西&『命』:読んでくれた方、有り難う御座います。

99/01/30