はぁ……… 誰も気付いてくれない……… 私はどれくらいこのままいるのだろう……… 私は後どれだけ待てばいいのだろう……… 寂しい……時が私だけを避けて通っていく……… もっと……いろいろ……したかったな…… Lメモ 「一期一会・前編」 「あ〜あ、なんで風呂が壊れてるんだろう?」 『貴方が蜘蛛に驚いて、いきなり術を使ったせいだと記憶しておりますが………』 向こうから、変わった人が歩いてくる……… 外見が変わっているわけではないけれど……一緒に連れているのが変わっている。 ………形容するなら……妖精……小さな小人を頭に乗せて歩いてくる。 「ん?」 『どうしました?東西』 この人、今の呼びかけを信じるならば(日常の呼びかけまで疑ってもしょうがないが)東西というらしい、 その人は、私の目の前で止まり、私の方を見ている。 「君………中学生?そんなところでどうしたの?」 どうやら、私が見えるらしい…… 嬉しい、今まで私のことを見てくれた人はいなかったのに、 『この方………』 「ん、判ってるよ」 頭の上に乗っているのは妖精のようだ………でも、この状態なら普通の人にも見えるんじゃないのかな? 妖精そのものは、こういう風になってしまったときに見えるようになったけど……珍しい…… 「こいつが珍しいの?」 視線が妖精の方にばかり行っていたようです、 その人は、頭の上に乗せていた妖精を手のひらに移し替えて私に見せてくれました。 「こいつはね、僕の友達なんだ」 ……………友達…………… 「………寂しそうだね」 いつの間にか、私は俯いていたようです。 その様子がこの人には寂しそうに見えたようです。 「憑いてくる?」 えっ? いま、なんて……… 『東西……正気ですか!?』 「こんな子が、一人でここにいるなんて可哀想だろう?」 『ですが………』 「いいの!もう決めたこと!口出し無用!!」 あの…… 「と言うわけで、一緒に行こう?」 あ……はい…… 「さて、自己紹介、僕は、東西……で、こっちが」 『『命(みのり)』です……よろしく』 東西さんと、『命』ちゃんが自己紹介をしてくれた……… いけない、私も自己紹介を…… 私は………、 「よろしく、じゃ、僕の家まで案内するね」 はい、よろしく…… 私は、久しぶりの顔の変化を嬉しく思った。 次の日の朝、 東西は、黒髪を肩ぐらいにまで伸ばした、どこかの中学の制服を着た小柄な女の子と手を繋いで歩いていた。 「ふぅ、こんな所………琴音ちゃんにだけは見られたくない………」 「お兄ちゃん、やっぱり、私って迷惑?」 『東西………約束だけは守りましょう』 「ぐっ………」 「あれ?東西さん?」 ひくっ 東西の身体が、一瞬強張る。 ぎぎぎぎぎっ、と、軋むような擬音がつきそうなほど力を込めて声の主を振り返る。 「いやぁ、丁度よかった、学校までご一緒願えませ……ん……か?」 声の主、神凪 遼刃は、奇妙な部分で言葉を区切る。 東西には、その理由が薄々と……としておきたい……だが、理解できていた。 「可愛い……」 神凪は、東西の隣にいる女の子に視線を投げかけたまま、小さく、小さく呟いた。 神凪が東西のすぐ端、少女と繋いでいる反対の方に近付いてきた。 「あ、あのね、神凪さん、この子は………」 「誰ですか、この子?良かったら紹介して下さいませんか?」 「……………は?」 「いえ、だから………」 「お兄ちゃん!早くしないと、遅刻しちゃうよ!」 「お兄ちゃん………東西さんの妹ですか?」 「………歩きながら話します……」 『…………一波乱有りそうですね……』 『命』のそんな声が聞こえた…… 学校…… 東西は、学校に来るまでに全てのことを話していた。 彼女は「武上 佐久夜」、 歳は12(最も、彼女の時間は止まってしまっているので現在生きていれば、16、僕らと同い年である) 彼女が幽体であったところを自分が見つけて連れてきたこと、 彼女が病気で、小学校は何とか卒業して、もうじき中学校に通えるところだったこと、 そして……中学校初めての登校の日、掛かり付けの医者に寄ってから、学校に向かう途中に事故にあった事、 やりたいと思って、出来なかったことが多すぎるために、 この世に留まってしまっているのであろうと言う自分の予想も加えて話していた。 「成る程……それで取り敢えず、授業を皆と一緒に受けたいというのが彼女の希望なんですね?」 佐久夜は、東西の手を握ったまま頷く、 「私、どうしても学園生活を送りたいの……小学校もまともには通ってなかったから……」 「で、お兄ちゃんと呼ばせている理由は?」 「私、一人っ子で兄弟が欲しかったから………」 佐久夜が答える。 「ふぅ、では、どうします………」 「どう……とは?」 はぁ、 神凪が溜息をつきつづける、 「先生方にどうやって納得して貰うかですよ」 ………………………完全失念 『考えてなかったようですね………』 「相も変わらず……行き当たりばったりですな」 「申し訳ない………」 「私、授業受けられないの?」 佐久夜が神凪を澄みきった目で見る。 「うっ!う〜……私も手伝って上げますから、東西さん、取り敢えず話してみましょう、先生に……」 「神凪さん、ありがとう!」 佐久夜が東西の手を離して神凪に飛びつく、神凪はそれを支えようと体重を前方にかける、しかし、 「だめだ!」 東西が叫ぶのと同時に、佐久夜の身体が透けていき、神凪と接する頃には完全に実体を無くしていた。 「これは……」 神凪が前によろける身体を支え直す、 「あ〜、お兄ちゃんごめん……」 佐久夜が、東西の傍らによる。 ふぅ 東西は、溜息をつくと、佐久夜の、実体が在れば触れるであろう位置に手をかざす。 そうすると、徐々に佐久夜の身体が実体化していく。 「………妖精を召喚したときの応用というわけですか……」 「ええ、と言っても、今回は『命』の力も借りてますがね………」 『前回と違い、今回はこちら側に実体がありませんから、あちら側に近い私が仲介をしています』 …………………神凪が、何か考え込む 「どうしました?神凪さん……」 「いえ、なら、『命』ちゃんが、直接、佐久夜さんに、とっつけば、と思ったんですけど………」 「………できる?」 東西が、『命』に尋ねる。 『多分、実体化していれば触れられますし………』 そう言うと、『命』は佐久夜の頭にとまる。 それを見越して、東西が手を離す……… 「出来たみたいですね………と言うわけで、佐久夜さん、休み時間、校舎内をご案内しますよ」 「あ、はい!お願いします!」 それが狙いか、神凪遼刃!? 「………『命』、頼むな、色々な意味で……」 『わかりました……東西……』 最初の休み時間……… 「いや〜、先生があんなにあっさりとオッケーを出すとは………」 「もう、多少のことで騒ぐ気にならないだけでは………」 『そう考えると………結構恐いですね』 東西、神凪、『命』が、話している。 先生に、事情を説明すると、 「良いんじゃないの?机だけどっかから調達してきたらね」 この一言で片づけられた。 ………特異な学校である……… 因みに、佐久夜は、東西達の傍らにいるが、女子連中にかわいがられている。 とても嬉しそうである。 「さて、佐久夜ちゃん」 神凪の呼びかけに、佐久夜が振り向く。 「この学校を案内して上げるよ」 そう言って、手を差し出す。 「お願いします、神凪お兄ちゃん」 佐久夜が手を取り、二人、いや、佐久夜が実体化するために『命』が付いているため、三人は、教室を後にした。 「さて……僕は………あ、姫川さん」 今まで、佐久夜をかまっていて、対象がいなくなったので席に戻ろうとしていた琴音を、東西が呼び止める。 「はい、なにか?」 「いえ、今日、みんなで昼食でもどうかと………お暇在ります?」 琴音は一瞬逡巡し、 「佐久夜ちゃんもですか?」 「ええ」 琴音はにっこりと笑うと、 「では、ご一緒させていただきます」 「そうですか、では、場所は後ほど」 そう言うと、東西は、教室を出ていった。 (よし、琴音ちゃんと昼食!楽しみだなぁ) 東西は喜んでいるが、佐久夜がいなかったら断られていたかもしれないと言うことは念頭になかった。 その頃、教室を出ていった神凪は……… 「で、ここが、職員室っと」 「へぇ………やっぱり広いんだね」 「そうだね、さて、もうすぐ休憩時間も終わるから戻りましょう」 「は〜い」 (いいですね、正直な子は……) 神凪は、本人は多分気付いていないだろうが、 佐久夜を見るとき、何か懐かしいモノに触れるかのような顔になる。 今も、そう言う優しい顔をしていた。 『あら、あの方は………』 その人物の接近にいち早く気付いたのは『命』であった。 「ああ、神凪くん………その子は?」 「よっしーさん、ですか………今日は、ええっと、この子は………」 「神凪お兄ちゃんと東西お兄ちゃんの妹です」 「は?」 「いや、この子は………」 神凪は、事情を簡単に説明した。 「オカ研がらみ?」 「東西さん個人の問題です」 神凪は苦笑して答える。 「ま、いいや、よろしく、佐久夜ちゃん」 そう言って、YOSSYFLAMEは、握手を求める。 「うん、お願いします♪」 佐久夜も答えようと手を伸ばす。 二人の手が触れようとした瞬間……… 「「あれ?」」 二人の手は触れることなく、すりぬけた。 YOSSYFLAMEが視線を佐久夜の頭の上に向けると、 神凪に猫のように襟を捕まれ佐久夜から離されている『命』が見えた。 「…………」 「…………」 「一応その行動の動機を聞いて良いですか?」 「ええ、貴方にはその権利がありますから………」 「では、お願いします………」 「では、お答えします…… 兄として、東西さんから任された者として、この子に変な虫が付かないための予防策です。」 …………… 「………そんな風に見えますか?」 「ええ、学園一のナンパ師さん………」 …………… 「俺は、ロリじゃなぁ〜〜〜〜〜い!!!!!!」 「日頃の行動で決めさせて貰っただけです!!!!」 ………… 「喧嘩始めちゃったね………」 『そうですね………』 すでに『命』は佐久夜を実体化させ、頭の上にのっかっている。 き〜ん、こ〜〜ん、か〜〜ん、こ〜〜〜ん 「あ、チャイム、教室帰ろう」 『そうしましょう』 案外無情に二人は、佐久夜と『命』に見捨てられた。 二回目の休み時間……… 「今度は、校庭を案内して♪」 「………今は……止めときなさい」 「なんで?」 東西は、佐久夜に校庭の中央を示してみせる。 「誰?あの人達?」 「この学園で最強………もっとも、生徒間でですが、の方達です………」 いつの間にかやってきた神凪が答える。 「ふぅ〜ん、で、これから何が起こるの?」 「見てて楽しいこと、加わると嫌なこと………」 東西が簡潔に答える。 「で、東西さん、ここ、今日は安全ですか?」 「ええ、三年の学舎に被弾五、二年に八、一年には三………一応ここからは外れてます」 すでにフェアリーテイルで結果を調べてあるようだ。 佐久夜だけが、理解できず、東西と、神凪、そして、校庭の二人をきょろきょろと忙しなく見比べる。 ドッガァァァアァァァァァアアァァァン!!!!!! 今日も今日とて、爆音が響きわたる。 「きゃあ!?」 佐久夜が慌てて耳を塞ぐ、 「な、な………鉄砲!?」 「違いますよ、大砲です……今使ったのはビーム兵器………」 神凪が冷静に間違いを正す、 「……………普通、じゅうとうほういはん………だっけ、で捕まるんじゃ」 「なら、これも捕まるな」 東西が笑いながら「精剣」をしめす。 「私はそんな無粋な物持ってませんよ」 「…………この学校………変」 佐久夜が今更のように、自分が置かれている場所を理解する。 三回目の休み時間……… 「ここは?」 「放送室です」 佐久夜プラス『命』、神凪、東西は、放送室の前に来ていた。 別にすることはないが、とにかく歩き回っていたら、ここに来ていた。 「あら?なにか用?」 「あ、理奈先生、いえ、用事とかではなく、この子に校舎の案内を………」 神凪が、佐久夜を前に出す。 「あら、可愛い子ね。 なら、折角だから、中に入ったら?邪魔にならなければいいし………」 「あ、いいんですか?嬉しい、少し興味在ったんです!」 佐久夜が顔を綻ばせて、喜びを露わにする。 「では、失礼させていただきます。」 東西が礼をする。 「では、どうぞ」 理奈がクスリと笑って、ドアを開ける。 中では、昼の放送に備えて、すでに準備が始められていた。 琴音の姿もその中にあった。 「あ、理奈先生、遅いですよ」 長岡志保が、入ってきて理奈の姿を認めてまず愚痴ってきた。 「ごめんなさい………でも、志保さん、まず、挨拶はしましょうね」 「はぁい」 二人とも笑い合いながらのやりとりであった。 「あれ?東西さん達………ああ、佐久夜ちゃんの案内ですか、こちらに来るなら私がご案内したのに……」 琴音が少し不満げに、文句を言う、彼女は、よほど佐久夜を気に入ったのか、時間が空くとかまっている。 「え、ああ、ふらふら歩いてたら、たまたまこっちの方に来たんです」 「え、何?その子………」 志保が、佐久夜を見て尋ねる。 「この子は、東西さんの関係者で………」 琴音が答える。 ガタ………カチン 志保が椅子を立つ音と共に、小さな、何かのスイッチが入るような音がする。 「東西くんの隠し子!?」 ……………ドアを開けたままだったため、外の方の放送が聞こえてきた。 「あ、やば!」 志保が慌ててスイッチを切る。 「ちょ、そんな放送した直後に切らないで下さい! せめて、本当のことを…………」 「あら、違うの? でも、そんなこと言っても、放送の電波を私情で使うわけにもいかないでしょう?」 東西の様子に少し引きながらも志保がらしくないことを言う。 「あ〜あ!!!!!!校内放送で誤解がぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」 教室に戻った東西は、冷やかしの嵐に悩まされた。 昼休み……… 「くっくっく………はぁっはっははっはっは………」 ここは仮眠館、幻八は客間で東西、神凪、琴音、佐久夜プラス『命』を前に大笑いしていた、 いや、笑っているのは幻八だけではない、神凪も、琴音も、佐久夜や『命』まで笑っている。 東西一人が涙していた。 「うう、僕って不幸だ………」 あれから、東西は、佐久夜を連れて歩いていることから、 大体の予想を立てられているのか、出会う人出会う人、皆に、笑われていた。 特徴は何も聞いてないはずなのに……… あるいは、教室のみんなが流した情報もあったかも知れないが、皆よくわかることである。 「そんなことは良いから!料理食わして下さい!」 東西が怒りと共に少し立ち直り幻八にくってかかる。 「おお、こわ〜 じゃ、琴音ちゃんと、佐久夜ちゃんに作って上げますか」 「僕と神凪さんは?」 「手伝い」 「「え〜〜〜〜」」 「ふ、男の分際で俺に料理を作ってもらえると思うなよ」 …………こんなキャラだっけ?(笑) 『東西は………除外した方がいいのでは?』 「なんで………?」 『………………』 「よ〜し、みてろよ幻八さん!絶対ぎゃふんと言わせてやるからなぁ!」 東西は取り敢えず燃えていた……… 出来上がった料理は、確実に、誰の物か確認できた……… 一番綺麗で美味しい物 「いや〜、家事全般得意だから」 見た目普通で、まぁまぁ美味しい物 「ダンジョンとかに入ったら自分で作りますから」 見た目グチャで、味、まぁまぁな物 「親が作ってくれるから(しくしく)」 「ぎゃふん(笑)」 「ぐぅ〜〜〜〜〜〜(涙)」 楽しそうに幻八が東西をからかっている、 「お兄ちゃん、美味しいよ♪」 「佐久夜ちゃん………嬉しいよ」 東西が、佐久夜の頭を撫でる。佐久夜は、目を細め、頬を少し紅に染めながら、甘んじている。 「皆さんの料理美味しいですよ」 「「「ありがとう」」」 食事は、終始、料理の品評会も含めながら、楽しい会話のうちに終了した。 五限目終了・放課後……… 「で、ここは?」 「私達の所属する『オカルト研究会』部室です」 佐久夜が、神凪に尋ね、神凪が答える、何故か佐久夜の声には一番早く反応するからだ。 (流石に………科学部に連れていく気にはならないな) 東西は、心中で等と考え苦笑していた。 「こんにちは」 東西がドアを開ける。 「きましたね」 「で、その子ですか?」 「この子ですね!?」 「可愛い!」 …………待ち構えてました………この人達……… 因みに順番に、 神無月りーず、T−star−reverse、トリプルG、沙耶香である。 奥の方に目をやると、足下にエーデルハイドを従えた、来栖川芹香の姿がある。 「東西さん………こんな、可愛い隠し子がいるとは」 皆そのようなことを言ってくる。 目が確実に笑っているため、その情報がガセだと言うことは気付いているようである。 「もう、みんないい加減にして下さいよ! 佐久夜ちゃんが困ってるでしょう!」 東西がたまらずに叫ぶ。 佐久夜は、皆が言葉を発すると同時に東西にしがみついたので、 言葉に困っていると言うよりも、いきなりで、驚いたという方が正しいようだ。 「第一、僕をいくつだと思ってるんですか!?」 「私やりーずさんと一緒だから………16?」 「なんでそこで疑問型にする!?」 突っ込まれたトリプルGが、神凪を指さす。 「すいません、東西さん………私、21です」 神凪が乾いた笑いを上げる。 「ああ!?すいません!」 「ま、冗談はこれくらいにしておきましょう、みなさん」 沙耶香が悪戯の終了を告げる。 「そうですね」 T−star−reverseが皆に促す。 皆、にやけながらも頷く。 「ふう………もう大丈夫だから、放してくれる?」 佐久夜は、ハッと気付いて、東西から離れる。 「では、とにかく、細かいことを話してくれますか?」 「と、ちょっと待って下さい、東西くん、芹香さんが呼んでますよ」 「あ、はい」 「じゃ、説明は私が……」 「あ、頼みます、神凪さん」 神凪が、皆に説明を始める。 それを見計らって、東西は芹香の所に向かう。 「何かご用ですか?」 「・・・・・・・」 「あ、やはり判ります?今は『命』の力も借りて実体化してますがその通りです」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「え……」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 東西の顔が見る見る青ざめていく、 芹香は、言うべき事を言ったのか一度黙り込む、 そして、一冊の本を本棚から引き出し、ペラペラとめくり、あるページに栞を差し込み東西に手渡す。 「・・・・・・・・・・」 「わかりました……」 東西は、本を受け取ったモノの、本を見つめたまま、微動だにしない。 「東西さん、説明終わりました………どうかしました?」 神凪が声をかけてくる、 「え、あ、はい、ご苦労様です……」 「そうではなく……顔色、悪いですよ」 「え、ええ、少し………疲れたのかも……」 佐久夜が近付いてきた、 「お兄ちゃん、大丈夫?」 佐久夜が、心配そうに顔をのぞき込む、『命』も同じ様な顔をしている。 「ああ、先に家に帰るよ………『命』……佐久夜ちゃんに付いていてやってくれる?」 『私はかまいませんが……』 「神凪さん……後、お願いします」 「ええ、わかりました、任せて下さい」 「すいません」 東西は、部室を後にした。 「…………」 皆、東西の変化に気付いていた。 芹香に語りかけられてから変化したことに…… 皆の視線が芹香に集まるが、芹香は何も語らなかった……… 「じゃ、おやすみなさい」 ここは東西の家の前、 神凪は、佐久夜と、『命』を、東西に頼まれた通り、家まで送ってきていた。 「お兄ちゃん………いきなりどうしたのかな?」 「…………」 神凪にはその問いに答える情報は少ない、よって、沈黙をもって返してしまった。 「私が………やっぱり邪魔だったのかな?」 「そんなことはありません!」 神凪が何時にない強い口調で否定する、佐久夜だけでなく、自分自身それに驚いている。 「あ、いえ、私も楽しかったですし、東西さんも当然楽しく思ってますよ!」 くすっ 「ありがとう、神凪お兄ちゃん」 「いえ、別に私は………」 神凪はそっぽを向き、照れ臭そうにする。 「じゃ、おやすみなさい、送ってくれてありがとう」 『本当にご苦労さまでした』 「いえいえ、姫君達の護衛を出来て至極光栄で御座います」 ぷっ……くすくす その場にいる者が全員、笑い出す。 「また明日、学校で」 「ええ、楽しみにしていますよ」 佐久夜は、手を振りながら家に入っていった。 「楽しみに……している……ですか」 神凪は、微笑みながら夜空を見上げ、自分の言葉を繰り返した。 「ただいま、………お母さん」 お母さんの部分だけ小さくなってしまったが、佐久夜は、東西の母に帰宅を告げた。 東西の両親は、佐久夜のことを既に知っている。 そして、『命』のように、家族と認めたのだ。 「あら、佐久夜ちゃん帰ってきたの? なら、東西呼んできてくれない?もうご飯の準備できてるから」 「はい、わかりました」 タッ、タッ、タッ 「やっぱり娘って、いいわよねぇ」 ……………あんたそんなに娘が欲しいのか? コン、コン 「東西お兄ちゃん………」 ノックに対して返事がない。 「開けるよ〜」 佐久夜が、扉を控えめに開けて中を覗く。 勉強机の前に東西はいた。 「……………」 近付いてみてみると、東西は眠っていた。 「………起こすの可哀想だよね」 佐久夜が、頭の上にいる『命』に語りかける。 『そうですね、疲れているようですし……お母様に言って東西の食事だけ遅らせてもらいましょう』 「うん」 相談がまとまると二人は東西の部屋から出ていった。 東西は眠っている………… 芹香に渡された本を開いて………… 前編・了 ================================================= 東西 :………………………………………………………………………… 佐久夜:………お兄ちゃん………生きてる? 東西 :………生きてる……………………………… 『命』:…………前後編にする意味は? 東西 :……………………黙秘権行使…………………………… 佐久夜:私の、今後は? 東西 :……………………………黙秘権行使…………………… 『命』:聞くだけ無駄ですね。 佐久夜:そうみたいね。 東西 :(耳を塞ぐ) 今回のごめんなさい よっしーさん…………取り敢えずごめんなさい。 幻八さん………………壊れてるかもしれません、ごめんなさい。 オカ研の皆さん………ちょい役でごめんなさい。 神凪さん………………主役・もしかすると引き立て役・・・ごめんなさい 東西 :…………後編、よろしく読んでやって下さい(ぺこり)