Lメモ 「不慣れな日常」 投稿者:東西
 芝生の上、一人の青年が横になっている

「気持ちいいなぁ……」

『そうよねぇ』

 青年の胸の上に小さな、5,6センチ位の少女が同じように横になっている。

 青年の名は東西、

 少女の名は「命」、

 東西はまだこの学園に来て日が浅い、

 その少ないながらの日々の中、過ごしやすい場所を見つけたようである。

「ここの精霊は元気だねぇ」

『そうですねぇ』

 東西が向けた視線の先には常人には見えない精霊達が各々自由に遊んでいる。

「平和だねぇ」

『そうですねぇ』

 ドッゴオオオォォォォン!!!!

 静かな鳥達の囀りの中、この風景に見合わない音が響く。

「なんだ!?」

『爆音のようですね……』

 爆音……静かな空間をぶちこわしたモノは校庭の方から聞こえてくるようだ。

「行ってみよう!」

 東西が横に寝かせてあった『精剣』を携え駆け出す。

『止めたほうがいいとおもいますが……』

 命はつぶやき東西の肩に飛び移る。




 校庭、生徒達が運動をするところ。

 其処は普通整備されて綺麗になっているはずであった………

 しかし、今は二人の破壊者によってみる影もなくなっている………

「まだまだぁーーーー!!」

「−−−そう、まだまだ甘い、わかってはいるようですね……」

 二人、東西にとって科学部の先輩、ジン=ジャザムと、東西がまだ知らない人(?)Dセリオ。

 この二人により校庭は月のようにクレーターばかりの荒野へと変貌していた。

 もちろん、多数の生徒達が巻き込まれている。

「何でいつも……」

 ゆきさん……ごめんなさい他に浮かばなかった………

「うう、主人公じゃないのか?オレは……」

 ……何か哀れだな男子学生A、もとい、藤田浩之。(皆さんの扱い見てるとねえ)

 そのほかにも死屍累々と転がっている。

「酷い………」

 それが東西が到着してからの第一声………

 目の前の戦いも気になる……しかし、

「何でこんな騒ぎでお前ら楽しそうなんだ!?」

 目に見えない精霊達が騒いでいる……

 しかし、それは、混乱からではなく……

『いつものことでなかなか楽しい』

 目の前を舞っている精霊が応えてくれた。

『ということらしいです……』

 命も多少あきれている。

 周りを見ると、精霊達と同じようにしかし明らかに被害を被りながらも見物している生徒達が居る。

「……ここの人たちって一体?」

 まぁ、言いたいことはわかるが日常茶飯事だし。

「おーい、東西!」

 誰かが近付いて東西にくる。幻八仮眠館の主、幻八だ。

「こんにちは、幻八さん」

『こんにちは、幻八さん』

「やあ、命ちゃんもこんにちは。」

「何ですか?これは……」

 東西が幻八に惨状の解説を求める。

「ん?日常茶飯事だが……今回は止めたい。」

 そういって幻八仮眠館を指す。

「あそこに仮眠館が見えるな?」

 惨劇の場から少し離れた場所に、それはあった。少し被害が広がれば十分に破壊される。

「はい?」

 いわんとしていることが東西にはすこし見えた。

 東西の勘は良くあたる、鋭い方だ。だが、今だけははずれて欲しかった。

「あの二人を止めてくれ。」

 あっさりといいやがったこの男、

「いやです。」

 きっぱりと淡泊に応える東西、

「「………」」

 二人の視線の向こうでは二人が一時の間を空けている。

「まずい!」

 幻八が何かを覚悟したように頷き、右手のARMSを解放とともに、

 東西を二人の中央部へと投げ入れる。

「なんでーーー!?」

「着地したら、武器を使え無くしろよ〜」

 幻八のありがたい忠告が聞こえる。

 ずざざざざあぁぁぁぁ!

 東西が二人の間に滑り込む。

 その一瞬後、ジンとDセリオの武器から色彩が失われる。

「ナイトメア・オブ・ソロモン!」

「ファイナルガーディアン!」

 二人の切り札が発動するはずだった、が、叫びだけが響きわたる。

 スリーピングエフェクト…一定範囲内の武器の特性を無効にする術、

 東西は二人の間に滑り込んだ時点でそれを発動させた。

 二人が異常事態に困惑する中、東西が起きあがり、ジンとDセリオを見る。

「東西!お前の仕業か!?」

「−−−データ検索、照合完了。転校生、一年、東西さん。

 私たちの戦いの邪魔をするのですか?」

「ひっ!?」

 東西が息を飲むのもしょうがない。

 意気込んで必殺の一撃を放とうとしていた二人は、

 その行き場を無くした気合いの向け先を東西へと定めたのだから、

『逃げることをお勧めします。東西』

 幻八に放り投げられたとき一時離れていた命がやってきて忠告した。

(そんなこと言われなくても……)

 とっくに東西の腹は決まっていた。

 二人が殺気だって、火器と刃物がその用をなさないことを確認して、直接殴るためにジリジリと近寄ってくる

「後で覚えてろよ幻八さん!!」

 きびすを返し、逃げる東西、

「「逃がすか!」」

 多少のニュアンスは違うモノの同じ意味の言葉が二人から放たれる。

「おう。今日中なら受け付けるぞ〜」

 幻八のお気楽な声が聞こえる。




 ここはちょっとした林の中、

 東西は光の精霊の力「ヴァニシング」を使いその姿を消していた。

(このままじゃぁ……)

 すでに東西は十分間近く全力で逃げている。

 それだけでも驚異といえるがここまでのようであった。

 そろそろ、スリーピングエフェクトの効果も切れる。

 そうなれば二人の集中砲火を直接受けるか、巻き添えを食うのは必死であった。

 それに、この「ヴァニシング」は熱センサー等には効果がない。

『どうします?』

 命が問う。

 東西には単純に逃げる方法ならあった。

 「フェアリーゲート」:イメージしたところに移動する術。

 それを使えばあの二人から逃れられるかもしれない……

 しかしこの術には致命的な欠陥があった。

 一つ目はイメージが出来る場所であること

 二つ目は空間に穴を開けて逃げるため、その穴に追跡者達に入られれば一巻の終わりである。

(だけど……)

 このまま鬼ごっこを続けても、痛い目を見るのは一人だけ、しかし……

(そうしよう!)

 東西が自ら眼鏡を外す。

 眼鏡を外した東西は、やることなすこと無茶苦茶な人格に変わる。

 何よりも決定的に眼鏡を外す前と違うのは……場数を多く踏んだために養われた決断力である。

 つまり、東西(眼鏡付きは)普段嫌っている、凶暴人格に判断を任せたのである。

 とんだ優柔不断野郎だな、おい!

 邪な笑みが浮かぶ、何事かを考えたようである。そして、

 −−−ブゥゥゥン

 東西の目の前の空間に穴があく、

「そこかぁ!」

「−−−そこですね。」

 案の定二人に発見される。

『東西!』

 命が叫ぶ。

 しかし東西は動じない。ゆっくりと二人を挑発するように穴に入る。

 東西に続き二人も穴に入っていく。




 ここは幻八仮眠館。

「東西のおかげで助かったな。」

『絶対東西怒ってるわよ?』

 等とのどかな会話が幻八と、まやの間で交わされていると、

 −−−ブゥゥゥン

 仮眠館の入り口の空間に穴があく、

「なんだ!?」

 幻八が異常を察知すると同時に、その穴から見知った、

 しかし、なるべくなら、いや、絶対に会いたくない人物が出てくる。

「東西!?」

 東西の顔に眼鏡がないことはすぐにわかった。

「幻八さん、仕返しに来ましたよ。」

 その後に、穴から二つの人影、ジンとDセリオ

 二人の武器にはすでに色彩は戻っている。

 二人ともそれに気づいているようである。

「くらえーーー!」

「−−−覚悟!」

 二人の必殺技が炸裂する。

 ズゴォォォオォォォン

 倒壊した幻八仮眠館の瓦礫の中、二つの黒こげになったモノが見える。

「今日中に仕返しに来ましたからね」

 黒こげになりながらもどこか嬉しそうな東西の声

「ああ、そうだな……」

 そして、どこか投げやりな幻八の声……

 ちなみに、命は精霊界に逃げ込んで被害を免れていた。

 時は、すでに夕暮れを迎えようとしていた。



東西:こんにちはー。Lメモ三作目、楽しんでいただけたでしょうか?
命 :あーーー!!
東西:どうした?
命 :何で私はこんなのに憑いているのかを真剣に悩んでみたの……(しくしく)
東西:それはまた次の機会に必ず書く!
命 :そういう問題じゃなくて……(しくしく)
東西:今回被害にあった幻八さん、すいませんでした。
命 :ホントーに申し訳ありません。好きなように報復して下さい。
東西:これを書くにあたって、ご忠告下さった佐藤さん、秋山さん、ゆきさん、よっしーさん
   ありがとうございました。
命 :有り難う御座いました。他のSS使いのみなさまもこれからご教授お願いします。
東西:それから、ゆきさん、単に他のSS読んだら目に付いた、ただそれだけで巻き込んでごめんなさい。
命 :本当に申し訳ありませんでした。
東西&命:これからもよろしくお願いいたします。