私的Lメモ「あと18年は持ちそうな感じで(笑)」 投稿者:霜月祐依


♪ちゃーんちゃちゃん ちゃららっちゃちゃちゃん ちゃ…

 工作部部室に訪れた霜月の耳に飛び込んできたのは関西地方でよく耳にする『あの』
BGM。
「なんだ? こんな大音量で…」

ガチャ

 部室の扉を開けた霜月の目に飛び込んできたもの、それは白地に縦縞やら、
黄色と黒のストライプやらに囲まれた、まさにタイガースカラー一色に染められた
光景であった。

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 私的Lメモ「あと18年は持ちそうな感じで(笑)」
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「な、な、な」

 呆然とする霜月。
 部室に入ってすぐのテーブルには誰もおらず、ただ件のBGMが大音量でかき鳴らされて
いるだけ。前奏が終わって、いい感じで歌詞が流れてきている。

「おぉ〜ぃ、せぇーーーーじぃぃーーーーー!!」

 奥の作業スペースにでもいるのだろうが、大音量に負けないように声を張り上げて叫ぶ。

「あ、お客さんかぁ…霜月やん」
 と、出てきたのはハッピに鉢巻、応援用のメガホンを握り締めた猪名川由宇その人。
 出てくるはずのない人物がひょっこり顔を出したことに、指を差し出したまま固まる
霜月。
「霜月も祝勝会に来てくれたんやな。ええで、ええで大歓迎やで」
「いや、だから、その…」
 大音量で何を言っているかよくわからないのだが、自分の後ろに回りこんで両肩を
押している由宇のペースに巻き込まれて、このままだと自分も同じ姿になることは容易に
想像が出来る。
「いや、ちよっと、まっ…」

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 直後、工作部の入り口よりBGMを打ち消すように聞こえてきた叫び声。
 霜月の両肩に加えられていた重圧が抜けたかと思うと、背後から聞こえる金属同士が
ぶつかったかと思えるような衝撃音が聞こえてきた。

「工作部に入り込んでなに勝手してますの? 猪名川先輩」
「忙しいあんたらの代わりに準備万端整えておいたのに、その言い草はないやろ? 智子はん」

 お互いの愛用ハリセン同士の火花散る鍔迫り合いを繰り広げる両者。ちなみに何故
金属音なのかは気にしないように。

 プチッ

「ちょっと美加香ちゃん、何すんの!?」
「準備はともかく、こんな大音量近所迷惑です!!」
 智子と連れ立って帰って来た美加香がフルボリュームになっていたBGMを止めて
呆れたように応える。
「苦節18年なんやで。今までこらえていた分、ええやんか。今日ぐらい大目に見ても」
「いいわけあるかっ!」

 ガシィッ

 美加香の方を振り向いた由宇に対して智子の後方より脳天目掛けた一撃を、すんでの
ところで防ぐ。
「不意打ちとはやるやないけ」
「なぁに、簀巻きにして道頓堀ダイブさせたげようかと思ってな」
「奇遇やなぁ。ウチもちょうどグリコの看板の所であのポーズで磔にしたろうかと
思っとったんや」
 またも始まる鍔迫り合い。

「あ、所で誠司の奴は?」
「え、いるハズですけど………あーーーーーーー!!」
 奥の様子を見に行った美加香が叫び声を上げる。

「ふぐー! ふぐぐぅーー!!」
「ゴメンナサイっス、ゴメンナサイっス」
「このハッピを着てくれるだけでいいんです! お願いしまよぉ〜」

 そこには逆さ磔&猿轡状態の誠治と、タイガースハッピ姿でそんな誠司にひたすら
平謝りをしている軍畑&たくたくの姿があった。
「ちょっと由宇さん!?」
「ふっ、アンチ同士仲ようしたいとお願いしとるだけやん。…ベイスターズ一筋
だなんて強情を張るから」
 甚だ不本意だという表情で首を振る由宇。



「工作部員はいるかぁーーーー!!」
 部室の外からの声に顔を出してみるとディルクセン率いる生徒指導部が揃っていた。
「先輩、どうかしたん?」
「近隣より騒音について苦情が殺到していてな、改めさせて貰おう!!」
 いつもの調子で整然と並んだ生徒指導部員の先頭で向上を述べるディルクセン。
 普段なら一触即発にもなりかねない状況なのだが、ここにいる面々の冷ややかな視線が
彼らを射抜く。
「先輩、そんな格好で言っても説得力ないで…」
 確かに、いつものスタン警棒やらヘルメットやらの完全武装ではある。
 よくよく見ると警棒の柄の所に虎のロゴが入っていたり、防弾チョッキがタイガース柄
であったり…等など。
「こ、これは第二購買部で…優勝記念セールで…仕入先のメーカーがだなぁ……」
 その直後、由宇の目がキュピーン☆と光ったような…気がした。
「そーか、そーか、ディルやんも同士なんや!!
 心にいつも猛虎魂を! わかるっ、わかるでぇっ!!」
 ディルクセンの肩をバシバシと音を立てて叩く由宇。
 叩かれるままであったディルクセンであったが、由宇の着ていたハッピ。そこに
プリントされていた背番号を見て目の色が変わる。
「こ、これはっ!?」
「察しがええなぁ。浪速の春団治、川籐の背番号や。そういうあんさんも…」
 由宇の指先がつつっと、ディルクセンの着ている防弾ベストの胸元にプリントされて
いる番号をなぞる。
「秩序に勝利を『勝ちたいんや』ですよ」

「歌うか」
「歌いますか」
 お互い顔を見つめてにやりと笑う二人。
 そして…早速始まる大合唱。
 いつしか軍畑やたくたく、他の生徒指導部員まで巻き込んでの大合唱となっていた。

「おぃおぃ……ん?」
 この展開についていけなかった霜月であったが、合唱しているはずの指導部員の中に
違和感を見つける。
「どうかしました?」
「いや、ほら、あれ…」
 霜月が指差した人物を注視する智子。そして目の色が変わる。
「ちょ、ちょっとあんた!!」
 合唱している隊列に割り込んで、列の最後方にいた人物の所まで駆け寄る。
ちょうど一番を歌い終わった由宇とディルクセンも何事かと視線を向ける。
「どうゆうつもり?」
 グッと胸倉を掴む。
 捕まれた人物も負け時と睨みかえす…が、
「この期におよんであんたジャイアンツファンかぁっっっ」
「なんやて!?」
 由宇もその人物を確認する。
 虎のロゴがある位置には、GとYを模ったウサギがVサインをして立っており、
鉢がねの側頭部には『男番長』とか書いてある。
「ちがっ…、在庫が足りな――」

「「往生しいやぁ!!」」

 ズベシィッッッッッ!!

 弁解を最後まで聞くことなく、智子・由宇のWハリセンチョップが炸裂する。
顔面にWの衝撃を食らって数十メートル吹っ飛ばされて行った。
「…労災出ないからな〜。永井」
 とは、止めるそぶりさえ見せなかったディルクセンの弁。



「それじゃ、職務に戻るとするか」
「祝勝会は18時からやから、よろしゅうに」
 と由宇に送り出されて戻っていくディルクセン。いつの間にか参加することに決まった
らしい。
「ちょっと――」
「ええやん、ええやん、たまには生き抜きも必要だって。なんせ18年前の感動が戻って
くるんやから」
「って、あんたいくつや…」
 霜月のセリフをハリセンの横薙ぎ一つで黙らせながら、智子を説得する由宇。
既に智子もまんざらではないのか、止める気があまりないらしい。
「もうちょいしたらHi-Wait達が買出しから戻ってくるから」
「やーみぃさんも参加するんです?」
「なんで?」
 驚いた表情を見せる美加香に顔面を赤く腫らした霜月が問い掛ける。
「やーみぃさんは根っからのバッファローズファンなんですよ」
「セではタイガースだから問題ないやん」
 ずばりと言ってのける智子。
「それも智子さんが矯正させたようなものですけど……あ、ゴメンナサイ」
 小声で耳打ちした美加香の携帯に着信がくる。

「はい、もしもし私です。
 えっ、監督?
 だから私は反対だったんですよ。生え抜きでいるでしょ生え抜きで!
 今年のドラフトはどうするんですか? このままだとL大のピッチャー
 取られちゃうじゃないですか。絶対に逆指名とりつけてくださいね。

 それと、『美加香スタジアム』なんて名前に変えるの反対ですからね!!」

「え〜と?」
 今度は智子に疑問を投げかける霜月。
「知らへんの? あのコ、神戸のいいトコ出やから…」
「それで、今年は機嫌が良くない日が多いのか、誠治共々」

「まったく…」
「て、なると、風見の奴はドコファン?」
 ため息をつきながら電話を切る美加香に霜月が問い掛ける。
「それは…本人に聞いたほうが早いと思いますよ。ちょうど帰って来たみたいだし」

 独特の廃棄音を響かせて、到着する一台のスポーツカー。
 霜月の記憶が正しければFENNEKの車形態と同じなのだが、どーにも全体が
黄色と黒のストライプで、フロントパネルにはロゴがでかでかとペイントされている。
「ただいまぁ〜、今帰りました」
 といって出てきたのは風見・Hi-Wait・瑠香の三人。両手に食材やらお菓子やら
を抱えている。
「FENNEK先輩も祝勝会参加しましょうよ」
 そろそろと車形態のままガレージに戻ろうとするFENNEKを智子が引き止める。
「い、いやぁ…僕は別に……」
「あに言ってんの? 今回のヒーローはFENNEKやで」
「由宇さんが勝手に…ハッ!?」
 途中まで言いかけて慌てて口を紡ぐFENNEK。
「そういえば買出しに行ったときも、最初からこの状態でしたし――」
「買い物してるときも人間形態に戻りたがらなかったんだよな」
「お陰で駐車場代を支払っちゃいましたぁ」
 風見・Hi-Wait・瑠香の順番で追い討ちを掛ける。
「うっ、わ、わかりましたよぉ〜」
 ボンッと音と共に人間形態に戻ったFENNEKであるが、その姿を見て思わず
吹き出す由宇以外の面々。
「そ、それって…」
「み、見ないでくださぁ〜ぃ」
 人間形態の時に着ているいつものジャケットを着てはいるのだが…

「ぜ、全タイさん?」

 美加香の搾り出すような声が示すとおり、FENNEKはその下に虎ジマの全身タイツ
姿になっていた。
「そぅ、そぅ、今日のヒーローはFENNEKあんたや」
 仕込んだ張本人である由宇以外の面々は、既に直視できていない。視線を合わせら
れないのだ。
「せめてタイツじゃなくって、そのハッピでいいですからぁ…」
「何を言いますか、すっごく似合ってますよ」
「街の視線を独り占めするだけじゃなくって、今日のお前はキングだよ、なっ、なっ」
 風見や霜月が強引に説得するようにして工作部の中に押し込んでいく。
 彼らの頭の中にあるのはただ一つ。

『FENNEKがこれを脱いだら俺達が着るハメになる』

「あ〜、ところで風見もタイガースファンなのか?」
 先ほど美加香にはぐらかされた内容を思い出した霜月。
「セリーグはそうですけどね」
「てことは、Hi-Waitと同じ?」
 ここで風見はHi-Waitを見下したような表情を見せる。
「時代は若鷹ですよ、若鷹。今年のルーキーも活躍してますし、あぶさんもいる限り
黄金時代は続きますよ」
「ホークスファン?」
「もちろん。僕にとってのホークスNo.1は門田ですよ!」
「…南海時代からなのね」
「で、霜月さんも祝勝会参加されるんですよね?」
 そういう風見の言葉ににんまりとした表情をすると
「もっちろん、こういうお祝いは多いほうが楽しいでしょ」
「ちょっとお菓子用意するの手伝ったもらえます?」
 美加香の声に手を上げて答える。が、霜月には一つひっかかるものがあった。
「そーいや、俺何しに来たんだっけ…?」

 霜月の引っかかったもの――。
「ふぐぅ〜、ふぐふぐぅ、ふぐぅぅぅぅぅぅ…」(佐々木様がいた時代が一番なんだよぉ…)

                                      End.

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さぁって、思いっきり優勝記念というか時事ネタです(笑)
ここで書いた方々がどこのファンかというのは一切確認を
取ってませんので、ちょっとお気を悪くなされたら申し訳ないです。

阪神ファンからベースに派生的にどこのファンか割り当ててますので。

あと関西弁(というか神戸弁?)もかなぁりいい加減なので。
ちょっくらひなたさんの関西弁講座も参考にしてみたりしましたが(^^;

ちなみに私はアンチ巨人のやや横浜よりです。
でもガキの頃は中日だったりするのですが。

ちなみに某BBスタジアムは(ビッグなバスト)の略称だとか(笑)

てーか、俺の場合設定キラーじゃなくって設定でっちあげerなのかなぁと(^^;