試立Leaf学園の日常〜君が生まれた日…。〜 投稿者:佐藤 昌斗
 そこにあったのは…灯火。
 暗闇の中、儚く輝く…灯火。

 それは、歳の数だけ…彼女の歳の数だけ灯る灯火。

 灯火は静かに時を待っている。彼女に吹き消される、その時を…。

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 試立Leaf学園の日常


                            〜君が生まれた日…。〜
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「おう!昌斗。明日がなんの日か知ってるか?」
 ここ、試立Leaf学園、二年生棟エディフェルの放課後の二年生教室。帰り支度を
していた佐藤昌斗に、YOSSYFLAMEがニヤニヤと笑いながら言った。
「…はっ?何だよいきなり」
「いいから、言ってみろって!」
 じれたように言うYOSSYに昌斗は、仕方なく明日が何の日だったか思い出し始めた。
(う〜ん…生ゴミの日は昨日だし、スーパーの特売日は明後日。水道代の集金は一昨日
だし…え〜っと…。)
 
 ごすっ。

「痛ッ。いきなり何するんだ!木刀で頭ぶつんじゃない!!」
「何するんだ、じゃね〜〜〜っ!お前本当に忘れたのか?!」
「だから!明日が…って、あああああっ!!??」
 殴られた頭をさすりつつ、YOSSYにつっかかろうとした昌斗は、ようやく思い出した
のか、大声を上げた。
「お前…少しボケ入ってんじゃね〜か??それに、なんで思い出すのが、全部主夫関係
なんだ?」
「ほっとけ!!…って、お前!何で俺の考えてることが解ったんだ??!!」
「…口に出して言ってたぞ。全部…」
 じと目で言うYOSSYに、
「あははははは…そう?」
 汗を掻きつつ、乾いた笑いでごまかそうとする昌斗だった。
<はあっ…。この様な人が、主とは…ふぅ> 
 そんな主人を見て、密かに溜息を吐く運命(さだめ)であった…。




                   *


「とりあえず、人数集めようぜ?」
「どうするんだ?それで」
「決まってんだろ?秘密にしといて、みんなで驚かすんじゃないか!」
「お前…結構こういうの好きだな〜」
「おう!」
 ところ変わって、ここはクラブ棟へと続く渡り廊下。昌斗とYOSSYの二人は、明日の
”企み”の為の人数を増やすべく、格闘部へと向かっていた。
「ちゃ〜す!」
「今日は〜」
 格闘部道場の扉を開きながら、二人は思い思いの挨拶をする。かなりの設備の整った
道場の中、今日も部員達が稽古に精を出していた。
「みんな、頑張ってるな〜。おおっ!あの娘(こ)はまだ、声掛けてなかったな…」
「おい。今日はそれが目的で来たんじゃないだろうが!」
 流石と言おうか、女子部員を目ざとく品定めするYOSSYに、昌斗が注意を促す。
「おっと…そうだった。え〜っと…おっ、いた!お〜〜〜いっ!ティーさん、ディアル
トさん!!」
 昌斗に窘められ、目的の人物を見つけたYOSSYが、一緒に組み手をしていたT-star-
reverseとディアルトに声を掛ける。
「おや?YOSSY君。それに…佐藤君まで。どうしたんですか??」
「あれ?YOSSYさん。それに、佐藤さん…でしたか?なにか用ですか?」
 YOSSYの呼びかけで、近づいて来た二人は、珍しいこともあるものだと言う顔で、昌
斗達に言った。
「実は…二人に相談なんだけど…」
「あれ?みなさん。どうしたんですか?こんなところで」
 背後からの聞きなれた声に、思わずうろたえた声を出す、昌斗とYOSSY。
「えっ?」
「葵ちゃん?」
 声を掛けただけなのに、うろたえた声を出す昌斗とYOSSYに、松原葵は不思議そうに
首をかしげた。
「今日は、松原さん」
「今日は」
「はい!今日は!ティー先輩、ディアルト先輩。YOSSY先輩も。あれ?佐藤先輩、珍し
いですね。今日は家事はよろしいんですか?」
「えっ?あっ、ああ。今日はちょっとティー達に用事があって…その、それで来たん
だ」
「ばかっ!うろたえてんなよ。葵ちゃんがおかしく思うだろうが」(小声)
「解ってるって」(小声)
「どうかしたんですか??」
「いっ、いや何でもないよ!!」
「あははははははっ…」
 怪しさ大爆発の二人に、訝しむ三人。YOSSYは一つ堰払いをすると、
「ちょっと、この二人借りてくよ。じゃあ、また!」
「えっ?YOSSY先輩?!」
「ちょっと、一体…」
「何なんですか??」
「いいから、こっちへ!それじゃあね、葵ちゃん」
 理由が解らないティーとディアルトを強引に連れ出すと、昌斗達は格闘道場を後に
した。
「…どうしたんだろう??」
 その場に、一人完全に理由が解らないと言う顔の葵だけが残されたのだった。




                   *


「なるほど…そ言う理由なら、松原さんの前で話すわけにはいきませんね」
「だから、あんなにうろたえていたんですか…」
 その後、中庭まで連れて行かれたティーとディアルトは、昌斗とYOSSYに”企み”
を説明され、ようやく合点がいったという顔で言った。
「でしょう?で、二人に声を掛けた…と言うわけなんですよ」
「う〜ん…松原さんには色々とお世話になっていることだし…解りました!私も手
伝いますよ」
「私も、もちろん手伝います!」
「よし!で、具体的な内容ですが…」
 こうして、企みは実行へと移されて行った…。



                   *


「じゃあ、私は綾香さんを」
「それでは、私は坂下さんを」
「じゃあ、僕はルーン君と、TaSさんを」
「俺は、帰って準備を」
 男達は円陣を組んだ。そして、
「行動開始!!」

「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

 気合を入れると、各自の分担へと移動して行った。
「なあ、YOSSY」
「あん?」
「何で二人には敬語っぽくって、俺にはそんな口調なんだ?」
「人徳の差だろ?」
「成る程…って、おい!どう言う意味だよそりゃ!!」
 あっさりと言うYOSSYに昌斗は怒鳴ったが、帰って来た言葉は、
「しくじるなよ!」
 と言う、からかうような言葉だった。
「ぬかせ!お前こそな!!」
 そう言い返す昌斗の顔は、何処か楽しそうだった。
「さっ、俺も帰って準備しないと…」
 皆が見えなくなると、昌斗は呟くように言い準備の為に帰路に着いた。
<友情…ですね>
 と、皆の行動を眺めていた運命は、何処かおばはんっぽく、しみじみと言うので
あった。
<どう言う意味です!?>




                   *

「綾香さ〜ん!」
 格闘部道場に戻ったディアルトは、早速練習をしていた来栖川綾香に声を掛けた。
「あら?何、ディアルト」
「実は…」

「坂下さん」
 格闘部のトレーニングルームで自主トレする、坂下好恵を見つけたティーは早速
声を掛けることにした。
「何?ティー」
「あの、実はですね…」

「お〜い!TaSさん」
「Hai、YOSSYさん。どうカシマシタか?HaHaHa!」
 圧倒的な存在感を誇るTaSを早速発見したYOSSYは、声を掛けることにした。
 …もちろん、多少――いや、かなり考えたが…。
「実はですね…」

「何、何??何で、そんな手の込んだ料理作ってるの?」
「あっ、そうだ。お前に頼みたいことがあるんだけど…」
 今日は、お料理研究会の休部日だったらしく、先に家に帰っていた、従妹の隆雨
(たかさめ)ひづきに、昌斗は”企み”の手伝いをしてもらおうと、企みの説明を
した。
「実はな…」



                   *

 その晩。結果報告も兼ねてYOSSYが昌斗の家に電話を掛けてきた。
『そっちの準備はどうだ?』
「ああ、順調だよ。明日には用意が全て整うはずだ。お前の方はどうだったんだ?」
『こっちも全然問題なし!みんな気軽に了解してくれたぜ』
「そっか…」
『…いよいよ明日か』
「そうだな…」
『ま、明日は盛り上がろうぜ!』
「当たり前だろ?誰の記念日だと思ってるんだ」
『それもそっか。…んじゃな!』
「ああっ。じゃあな」
(明日か…。喜んでくれるかな…?そうだと良いんだけど…。ま、やれることはや
ったし大丈夫か!)
 そんなことを考えながら、ふと窓を見ると、空に満天の星が煌いていた。
「よし!寝るか!」
 昌斗は、何となく夜空にあの娘の笑顔を見たような気がして、晴れ晴れとした気
持ちで、深い眠りへと落ちていった。




                   *

 翌日。
 葵は朝から溜息を吐いていた。
(今日はせっかく私の…特別な日なのに…)
「おはよ!葵ちゃん。どうかしたの…?何か元気ないみたいだけど…」
「あっ、ひづきさん。おはようございます…」
 一年生棟、リネットの自分の教室に入ると、すぐに親友であるひづきが声を掛け
てきた。
「そう言えば…珍しく遅いわね?何かあったの??」
 葵は、今朝からのことをぽつりぽつりと話し出した。
 今日遅いのは、何故か家族全員の目覚ましが故障・セットし忘れで、この時間
になったこと。
 あまり無いことに慌てて、忘れ物をしてしまったこと。
 それから…。
「えっ?昌兄が?!」
「はい。珍しく一緒になったから、一緒に行きませんか?って訊いたら…」

「ごめん。ちょっと急いでるから…それじゃ!」(回想)

「って…」
「ふ、ふ〜ん…。あの甲斐性無し、そんなこと言ったの…」(汗)
「それだけなら、問題は無いんですが…」
 葵はまた、話し出した。
「えっ?!よ、YOSSYくんまで?ど、どうしてだろうね」(汗汗)
「それから…」
 葵は更に話した。
「ティーくんとディアルトくんも??」(汗汗汗汗)
「はい…」
(ああっ!もう。何やってるのよ!!皆が同じ反応してたら、変に思って当然じゃ
ない!!!!これだから…女心の解らない甲斐性無し達は…)
 例の”企み”の内容を知っているひづきは、男連中の気の効かなさに怒りを燃や
すのだった。

「はっくしょん!」

 この時、男連中全員がくしゃみをしたのは言うまでも無い…。




                   *

 そして、放課後が来た。
 珍しく、葵はひづきと一緒に帰っていた。
「でも、偶然だね」
「そうですね」
「ほらほら!そんな顔しないで。葵ちゃんには笑顔が似合うんだから」
 帰り道、元気の無い葵に、癖であるウインクをしつつ、ひづきは励ます様に言う。
「はい…」
 葵は、ぎこちない笑顔で応える。
(う〜ん…暗いなあ。やっぱり、落ちこんでるみたい…。無理もないか、突然皆が
余所余所しくなって、ほとんど休み無しのはずの部活が突然中止…じゃあ。葵ちゃ
ん、本当に格闘技好きだからなあ…)
「ま、まあ、元気だして!今日は昌兄に、美味しいもの作らせるからさ。ねっ?」
「…そうですね」
 それから、二人は他愛の無いお喋りを楽しみつつ佐藤家へと向かった。




                   *

(そろそろ良いかな?)
 腕時計をちらりと確認しつつ、ひづきは思った。順調にことが進んでいるのであ
れば、皆はもう今回の主役の到着を今か今か、と待っているはずである。
「さっ、入って、葵ちゃん」
「はい。お邪魔します」
 ドアの鍵を開けて、二人は玄関に入った。
「ただいま〜〜〜っ!」
「お邪魔します!」
 二人の声を訊いて、エプロン姿の昌斗が玄関に顔を出した。
「お帰り。あっ、いらっしゃい、葵ちゃん」
「はい。お邪魔します」
「じゃあ、居間の方にでも…」
「ちょっと、昌兄」(小声)
「何?」(小声)
「準備の方は出来てるんでしょうね?」(小声)
「ふっふっふっ…なめてもらっちゃあ、困りますな」(小声)
「何よ!その言い方は?」(小声)
「まあ、行けば解るさ」(小声)
「どうかしたんですか??」
「いっ、いや、なんでもないよ」
「うん。何でも無い」
「そうですか?」
 そんな二人を、訝しく思いながらも葵が居間のドアを開けた瞬間。

パァン、パン!

「お誕生日!おめでとう!!!!」

「えっ?えっ??」
「葵ちゃん、おめでとう!」
「葵、おめでとう」
「おめでとう、葵」
「松原さん、おめでとうございます!」
「松原さん、おめでとう!」
「おめでトーゴザイマす!葵サン!!」
「まあ、めでてぇーな」
 順にYOSSY、綾香、好恵、ティー、ディアルト、TaS、Runeが葵に祝いの
言葉を言う。
「佐藤先輩…ひづきさん…。これは…?」
「おめでとう!葵ちゃん」
「おめでとう、葵ちゃん。ごめん。内緒にして驚かすつもりだったんだ」
「そ、俺が発案者さ!」
「あんた、好きそうだものね〜」
「綾香!そんな言い方するか?」

「あはははははははは…!!」

 皆が、笑顔で微笑み合う。
「佐藤先輩…私、私…」
「あっ、ほら、主役が泣いてちゃ可笑しいよ?ほら、笑って笑って!…ね?」
「あっ、そうですね。私…嬉しくて…」
「こら!何が、ね?だ。似合わね〜ぞ!!」
「ほっとけ!!」

「あははははははっ…!!」

 そこに笑顔があった。
 心からの笑顔が…。

「よし!じゃあ、主役も来たことだし…パーティーの始まりだ!!」
「…あん?もう食って良かったんじゃねーのか?」

「まだだ!!」
 
 全員の突っ込みが一人がつがつと食べているRuneに見舞われた。



                  *

「それじゃあ、消しますね…」
 部屋の明かりの消えた中、今日の主役である、葵の歳の数だけ灯火が灯る。
 灯火は、葵に消されるのを待っている。

「ふぅ〜〜〜〜…」

 そして、灯火は葵の吹きかける息によって、役目を終えた。

ぱちぱちぱちぱち…。

 明かりが点き、皆からの拍手が葵に送られる。今日の主役に。今日生まれた
彼女に…。
 今日は、彼女の誕生日。彼女が、君が生まれた日…。

 この日、佐藤家は遅くまで賑やかだったという…。


「お誕生日、おめでとう!松原葵ちゃん!!」



          試立Leaf学園の日常〜君が生まれた日…。〜END

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〜あとがき〜

やってしまいました、現実逃避(笑)。某企画の皆様済みません(汗笑)!!
本当は、プールの続きが筋なんですが、今日は葵ちゃんの誕生日と言うことで、
書かせていただきました(^^)/!!
葵ちゃん!お誕生日おめでとう!!
では、これから某企画の作業に戻ります(汗笑)。
今回は感想書けなくて済みませんm(_)m!!!!
では、これで…それでは〜♪