−それは、ある暑い日の出来事だった・・・。 試立Leaf学園の日常−熱きプールの戦い・1− 暑い・・・。 今日はただその一言に尽きた。ここ試立Leaf学園では、年中常春・・・にしようと思 えばできる、最新型の温度調整設備がある・・・のだが、 「年中常春では、生徒達もつまらなくないですか?」 と、柏木千鶴教師の正(まさ)しく、鶴の一声で温度調整設備により現在学園中が常 ”夏”となっていた。 「あっ・・・あち〜ッ・・・」 ここ、二年の教室では、クラスの生徒が打ち上げられた魚のように、机に突っ伏して 倒れていた。藤田浩之も、そんな生徒の一人だった。 「せんせー・・・まだかよ?・・・こ、このままだとマジで干上がるぜ・・・」 机から顔を上げる気力もないのか、突っ伏したまま力のない声で浩之は言った。 「がっ、がまんしろ。もうすぐ一年のプール使用時間が終わる・・・はずだ」 と、同じく机に突っ伏して新任の数学教師である藤井冬弥は浩之に、同じく力のない 声で答えた。 「やっぱり・・・私が主役になるべきなのかな?そうすれば暑さもどうにかなると思 うんだけど・・・」 「ふっふっふ・・・浩之の制服が汗で透けて見えるよ・・・」 神岸あかりと、佐藤雅史の二人は、それぞれ没頭していて暑さなど関係ないようであ る。 一方、隣の教室では、 「な、何で平気なんだ・・・?」 と、このくそ暑い中、一人平然と構える西山英志を見て、現代国語教師の長瀬源一郎 は、汗を滴らせながら呟くように尋ねた。 「心頭滅却すれば火もまた涼しだ」 と、あっさりと源一郎に答えた。が、実はちゃっかりとアイスノンを膝の上に置いて たりする英志だった・・・。 そんな姿を見て悠朔は、 (流石は西山さんだ・・・。私も見習はなくては・・・) と、尊敬の眼差しで見るのだった・・・が、 「しかし・・・暑い・・・」 と、机に倒れ込む朔であった。一方、いつも真面目な藍原瑞穂は、一人、何とか授業 を受けようと精一杯の努力をしていた。 さて、こちらの教室では、 「うが〜〜〜〜っ!!!!もう我慢できん!!こうなったら、プアヌークの・・・」 「やめんか〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」 魔術を使って教室の壁を破壊しようとするハイドラントを来栖川綾香が止めるという 光景が、十分おきに繰り返されていた。 「何故だ?!何故止める綾香!!」 と、いかにも理解できないと言う表情(かお)でハイドラントは綾香に言う。その言 葉に綾香は、もう何度繰り返したか憶えていない答えをハイドラントに返す。 「だから・・・壁なんか吹き飛ばしても、日除けが減って余計に暑くなるだけでしょ うが・・・。何度も言わせないでよ・・・まったく・・・」 いい加減うんざりしたように言う綾香だった。そう言い合う二人の隣では、坂下好恵 が二人のやりとりに、 (いい加減にしてよね・・・。大体、この暑い中黒服着てるのが悪いだろうが・・・) と思っていたが、とばっちりが来ることは分かり切っているので、黙っていた。 (はあ・・・。流石にもう言わないわよね・・・) 何とか席に戻ったハイドラントを見て、そう思う綾香だったが、きっかり十分後にま た同じことを繰り返すのだった・・・。 さてさて、こちらの教室では、 「米粒を食べていた鶏が鳴きました、コメコッコー」 Foolが、寒いギャグを飛ばしているおかげで、生徒は無事に授業を受けていた。 「さ、寒い・・・。けど、今はありがたい・・・」 と、感謝するへーのき=つかさ達であった。・・・しかし (・・・ここで突っ込んだらあかん。耐えるんや!) 保科智子はそんな中、突っ込みたい衝動を必死に我慢するので、すでに暑さどころで はなくなっていた。そんな中、柏木楓は一人、いつもと変わらず授業を受けていた。 さて、その隣の教室では・・・。 「簡易冷却装置〜☆・・・あれ?」 得意の発明で、ひめろくが暑さをどうにかしようとして・・・ここだけ氷点下の世界 になっていた・・・。 「お願いだから装置を止めて!!」 「・・・ひめろくさん、今すぐ止めないと時給下げますよ」 凍えながら、太田香奈子とbeakerが、ひめろくに装置を止めるように言っていた。そ んな中、長瀬祐介は心の壁を使い、 「ふふふっ・・・僕は、暑くなんかない。僕は寒くもないんだ・・・」 と、一人現実逃避していた。 さて、更にその隣の教室では、 「暑い・・・。あっ、弁当のおかず腐らないか?いや、確か今日は大丈夫なはず・・・」 <・・・主(あるじ)、周りの皆様が暑さで参っているというのに・・・。主夫がすっ かり骨身に染みてますね・・・> すっかり主夫が染みついたのか、佐藤昌斗はこの暑い中、弁当のおかずが傷まないかを 心配しており、彼の愛刀である、女性人格を持つ日本刀、運命(さだめ)に呆れられてい た。 「ううっ・・・暑いよう・・・」 いつもは元気一杯の新城沙織も、流石にこの暑さは辛いらしく、早くプールに行けるこ とを願い、時計とにらめっこしている。しかし、時間はもう少し掛かるようである。 「あらあら・・・皆、暑いみたいね・・・。やっぱり、40度は無理があったかしら」 クーラーの利いた部屋で、一人教室の様子を見ていた千鶴は、人知れず偽善チックな笑 顔を浮かべ、呟くのだった・・・。 『次回に続く!!』