「(ち)鶴の恩返し」 むかしむかし、あるところに一人の猟師がおったそうな。 猟師の名は耕一といい、それはそれは強く逞しく若干スケベであった。 ある日この猟師、耕一が狩りをしておると一羽の鶴が罠にかかっておったのを発見した のじゃ。 「むっ、これはタンチョウヅル!?さっそくたすけねば」 どうせなら保護して某大学にでも送れば良かったものを、耕一はそのまま空に逃がして しもうた。 「おーい、もう捕まるんじゃないぞー!」 そう言って耕一が手を振ると、鶴は嬉しそうにけんけん鳴きながら空に羽ばたいて行き おった。 いいことをした、と自己満足に陥りながら耕一が立ち去りかけたとき、背後に殺気が生 まれた。 避けるいとまもあらばこそ、耕一は後頭部に強烈なダメージを受けて地面に転がったの じゃ。 「てめえっ!人が折角捕まえた獲物を勝手に逃がしやがって、どういうつもりだこらぁっ!」 「あああっ、すんませんすんません!」 猟師仲間の柳川にしばかれながら、必死に謝る耕一であった。 その日の晩。 さてバライティー番組でも見た後は夕飯でも適当に作って寝よう、などと一部省略的な ことを考えて耕一が腰を上げたところ、扉がとんとんと叩かれたのじゃ。 「はい、どなたで」 「すみません、私千鶴という旅の者ですが一晩―――」 ばたん。がたがたっ、とん。 耕一は速攻で扉を閉めると、厳重に閂をかけて一息付いた。 しばらくだんだんだん、とドアが強打される音がしたが、やがてそれも聞こえなくなっ ていった。 だが、ふうこれで一安心と耕一が汗を拭ったところで、突然壁が打ち破られたのじゃ。 強引に壁をぶち破って侵入してくる千鶴の姿はそれはもうぱわふりゃあであったことよ。 「こーちゃんったらもう、てれちゃってえっ♪」 「どひいいいいいいいいっ!?」 びびりながら後退する耕一。 そんな彼をよそ目に、千鶴はごそごそと台所を漁っていくのであった。 「泊めてくれたお礼にとびっきりおいしいお料理でも……」 「いらないっ!いらないからとにかく帰って!」 涙ながらに耕一が訴えると、千鶴はちちちちっと指を振るのじゃった。 「そんなに遠慮しなくてもいいのに……なんなら毎日でも作ってあげるわね☆」 「居着くなぁーーーっ!」 そんな漫才を繰り広げておるところに、とんとんとドアの音がした。 耕一は涙に暮れながらもとりあえず立ち上がる。 「はい、どちら様……?」 「私、EDGEという旅の者ですが、道に迷って……」 その瞬間、はっきりと空気が凍り付いたそうな。 耕一がぎりりりりっと千鶴の方を向くと、千鶴は鍋を持ったまま硬直しておった。 と、EDGEの横に又新たなる人影が割り込んでくる。 「すみませーん、私ひづきって旅の者なんですけどぉ……」 「あ、私M・Kっていう旅人で……」 ………………………………………………………。 四人の女達は視線を交わし合うと、ある者は爪を伸ばしある者は指をぼきぼきと伸ばし、 またある者はKEENSを飲み、又ある者は凶器を構えたということじゃ。 「こーちゃんは私のモノなのーっ!」 「えーいやかましいっ、この偽物ーっ!」 「ちょっと、何私の耕一さんになれなれしく触って……」 「あっちいけ、この年増達ーっ!」 そんな乱闘から身を隠すように布団を被って震えていた耕一はぼとぼとと涙をこぼすの じゃった。 と、そこに壁を思いっきり破壊しながら轟音と共に現れる巨大熊と謎のマタギ!! 二人は耕一を思いっきり跳ね飛ばしながら家をぶちぬき、去っていったのじゃった! 「あっ、すみません!私あかりっていうさすらいのマタギなんですがぁぁぁぁぁ」 ドップラー効果で徐々に遠ざかるあかりの声を聞きながら、耕一は虚しく叫ぶのじゃっ た。 「なんだこのオチはーーっ!?」 そんな崩壊していく耕一宅を呆然と眺める一人の少女がおった。 真っ白な着物を着た旅衣装の少女じゃ。 「わ……私、どうやって恩返しすればいいんでしょうか……?」 その横ではどっちがその少女を家に泊めるかで西山とXY−MENが際限なく殴り合っ ておったのじゃった。 つるかめつるかめ