Lメモ外伝「絶対正義デレンガイヤー―黎明編―(爆)」 投稿者:風見 ひなた
 現在教壇に立っている少女は美少女である。
 これは断言したっていい。
 水色の髪は茶色のブレザーに似合わないのでは、と思いきや案外似合っている。
 長めに伸ばした髪は白いリボンのポニーテールでくくられている。
「はじめまして、月島瑠華です!これから仲良くしてやって下さいね!」
 その声にクラスの男子共の大多数はわーーーっと歓声を上げた。
 ……馬鹿共が、何も知らずに。
「えー、瑠華君は旧生徒会長である月島拓也君の従妹で……」
 担任の長瀬源一郎が彼女の経歴を読み上げていく。
 曰く、月島拓也兄妹の従妹。
 曰く、親が海外出張に出て従兄弟を頼ってここに転入した。
 嘘を付け。
 俺は心の中でぺっと唾を吐き捨てた。
 確かに容姿は月島瑠璃子に似ている。それもまた違った美しさで。
 月島瑠璃子が近付きがたい無機的な陶器人形なら、彼女は親しみやすい子供用の抱き人
形とでも言うべきか。現在もにこにこと人の好い笑みを浮かべている。
 だが、俺は騙されない。騙されるものか。
 ふと彼女がにっこりと微笑み、こちらに向かって手を振って見せた。
 俺の周辺の奴らが自分に向けてのものではないか、と勘違いして騒ぎ立てる。
 皮肉か、あの女。…なめやがって。
 斜め前あたりに座っていた女子が耳を寄せあってぼそぼそと喋っていた。
「気に入らないよねー、あの子」
「媚び売っちゃってさー、むかつくよねー」
 そう言っているのも今の内だけだ。
 じきにこいつらもあの女に懐柔されて尻尾を振るようになる。
「それじゃあ……早速だが、Hi−Wait君の隣に座って貰おうか」
 ちっ!よりにもよって俺の隣なんか指名しやがった。
 なんで隣の席が空いてるのかって?さあな、誰か居なくだったんだろうよ。
 この学校じゃよくあることだ。
 瑠華は俺の隣に座ると、にっこりと笑った。
「よろしくお願いしますね、Hi−Waitさん!」
 もちろん俺はそっぽを向いて無視してやった。
 この、未来人めが!


 俺の名はHi−Wait。悪徳のはびこるこの学園でほぼ唯一正義を守るために戦う男
だ。最近は生徒会に所属しているが、非常事態の際には裏人格に交代して正体を隠したヒ
ーローとして活躍している。
 その名も、誰が呼んだか仮面やーみぃ。
 ……俺が呼んだんだけどよ。
 しかもグラサンつけてスカーフで口元隠しただけだが、些細なことだ。
 さて、そんな俺だがつい最近侵略者を発見した。
 奴は俺達の仲間の振りをして、まんまと学園に入り込んだ。
 しかも巧みな話術と雰囲気で周囲の連中の人気を集めながらだ。
 奴の目的はまだはっきりしていないが、俺は恐らく現代人の支配ではないかと思ってい
る。俺達のデータを集めて一気に学園を、ひいては世界を乗っ取る気だ。
 そう、俺達の恐るべき敵とは未来人なのである!
 そして……その恐ろしい未来人こと月島瑠華は……現在俺と同居している。


「ごはんですよーーっ!」
 かんかんかんと階下から鳴り物入りで瑠華の声が聞こえ、俺は眉をしかめた。
 どうやら晩飯の時間になったらしい。
 俺がうんざりした気分で下に降りると、そこには既にもう一人の同居人が座っていた。
「おう、ハイ坊!早くメシにしようぜ、俺ぁ腹へっちまったぃ!」
 この活きのいいオヤジは源さん。
 何を隠そう俺が下宿させて貰っている八百屋『源八』の主人である。
 俺の正義の意志に共感し好意で下宿させてくれている心強い協力者…だった。
 だった、と過去形を使うのはもうすっかり彼は瑠華に洗脳されてしまっているからだ。
「んー、うめぇ!瑠華ちゃんますます腕ぇあげたなっ!」
「もう源さんったら。誉めても何も出ませんよ」
 何て言いながら瑠華はコロコロと笑っている。
 かつては心強い味方だった源さんも今では里芋の煮っ転がしをこよなく愛するただの中
年だ。ああ、情けない。
 げんなりとしてそんな二人を見ていると、源さんは俺の方を見て眉を逆立てた。
「おぅおぅどうしたい、ハイ坊!わけぇもんがちゃんとくわねーとリキでねぇぞ」
 正直言って、俺は喰いたくない。
 未来人が作ったモノなんて……もしかしたら妙な環境ホルモンや毒が入っているかも知
れない。洗脳するため怪しい薬だって。
 だが、悲しいかな俺は源さんの勧めには断れないのだ。
 俺は観念してひと思いに肉じゃがを頬張った。
 悔しいことにこれがまた旨い。
「どうだい、ハイ坊も旨いと思うだろう?」
 俺が無言で頷くと、源さんはぐびっとビールを煽って気持ちよさそうに笑った。
「本当に瑠華ちゃんはいい女だっ!母ちゃんと出会ってなきゃ求婚してらぁな!」
 源さんの奥さんは二十年前に二十三歳の若さで病死していた。
 以来彼は彼女のことを思い続けて四十半ばまで独身を貫いている。
 この辺り、俺が彼を尊敬する理由だ。
 そんなことを考えてしまってちょっと暗くなった俺を見て、源さんは二倍ほど笑った。
「ハイ坊よぉ、どうせなら瑠華ちゃんみたいな娘を嫁さんにしろよっ!」
 その声に俺はぶっと吹きだした。
 酔ってるとはいえ、何て事言いやがるんだよ!
「源さんったらすっかり酔っちゃってますね?」
「おぅーっ、俺ぁ酔ってるぞぉーーー!
 …情けねぇ…。
 俺はすっかり彼女を受け入れてしまっている源さんを見てしみじみ思った。


 そもそも彼女を拾ったのは俺だった。
 ある日俺が下校すると、突然目の前の空間に高圧電流が流れて瑠華が走り出てきたのだ。
 そのまま瑠華はばたっと倒れて気絶したが、俺にはぴんときた。
 タイムテレポートだ。何で分かったかって?
 彼女が走った後の道路にはくっきりと線になった二本の炎筋が走っていたからだよ。
 まあそれはそれとして、俺は急いでこいつを家に運んだ。
 危険かも知れない未来人を野放しにして置くほど俺は心が広くない。
 案の定、こいつは源さんに自分は従兄弟を頼ってこの町に来たが、従兄弟は寮住まいを
していて路頭に迷っている…と嘘を付いた。
 俺はこの時点で瑠華は悪の未来人だと断定した。
 だが……あろうことか、源さんはそれを信じてしまいあまつさえ俺の隣の部屋を瑠華に
提供したのだ!
 そして瑠華はどんどん侵略を始めた。
 まず俺のクラスに転校生として忍び込み、そして……。


「紹介するルリコ。新しく加わった生徒会役員、月島瑠華だルリコ」
「とゆうわけでよろしくお願いしますねみなさんっ!」
 なんと彼女は生徒会にまで侵入を果たした!
「わー、よろしくね瑠華ちゃん」
「私が委員長よ、何でも分からないことがあったら訊いてね」
「よかった、普通の人だよるーちゃん(ぼそぼそ)」
「待て、なんせこの兄妹の従兄弟だ。狂ってないとは言い切れないぞ(ぼそぼそ)」
「うめぇぜうめぇぜこいつぁいけるぜっ!」
 いきなり打ち解けている彰や点数稼ぎしようとしている香奈子、そして二人で密談する
健やか&ルーンコンビに瑠華の差し出したクッキーを貪るゴキメタオ。
 俺はそんな連中の後ろの方で絶叫していた。
「なんでお前がこんなところにいるんだーーーっ!?」
 瑠華はにっこりと笑って手を振ってくる。
 くそー、なついてる振りなんてしやがって。絶対に正体を暴いてやるっ!
 などと俺が決意を固めているとさらに月島拓也が冷酷な宣告をした。
「とゆーわけで早速Hi−Wait君とコンビを組んで貰うルリコ」
「何ぃぃっ!?」
 冗談じゃねーぞおいっ!
 何でよりにもよって現代人の敵なんぞとコンビを組まされるんだ!
 俺が抗議の声を上げようとしたとき、瑠華が微笑みながら言った。
「これからはパートナーですね!よろしくお願いします!」
 ……ふざけんな、未来人が!


 そんなわけで俺は今とても不機嫌だ。
 どんぐらい不機嫌かというと思わず5つくらい悪の組織に乗り込んで構成員全員皆殺し
にした挙げ句基地ごと爆破してやりたい気分である。
 俺がずかずかとパトロールを続けていると、後ろから不機嫌の種が走ってきた。
「待って下さいよHi−Waitさんっ!」
「やなこった」
 俺はあっさりといなすと、瑠華を振り切って歩き出す。
 そんな俺の態度に生意気に反感を覚えたのか、瑠華は俺の前に回り込んできて文句を垂
れた。
「酷いじゃないですかHi−Waitさん!どうして私を無視するんですか!?」
「邪魔だから」
 俺がきっぱりと言ってやると、瑠華の背後にガーンという書き文字が浮かんだ…ような
気がした。もちろん効果だが。
「私達相棒じゃないですか……共に正義を守りましょうよ!」
 ………むか。
 今、こいつ見逃せないこと言いやがった。
 俺は瑠華を睨み付けるとずいっと一歩踏み出した。
 突然の俺の剣幕に驚いたのか、瑠華はびくっとして下がる。
「おい…今何と言った?」
「えっ?」
 脅えた感じの瑠華を見ながら、俺は繰り返した。
「今、何と言ったのか……と訊いたんだ」
 瑠華はごくっと唾を飲み込みながら、それでも俺の目を見て言った。
「共に正義を守ろう、と言いました!」
「はっ!」
 俺は吐き捨てるように言った。
「正義だぁ?俺の前で軽々しくそんな言葉を使うなよ!大体正義の敵はお前自身だろうが?」
 すると、瑠華はみるみるうちに青ざめていった。
「そ…それはどういう…」
「とぼけるなよ……未来人めっ!」
 俺はびしっと言ってやった。
 お前はばれていないと思っていたようだが、差にあらず。
 俺の方は十も承知だ!
「…未来人だなんて…なんでそんな…」
 ……ん?俺、今口に出して言ったか?
 まぁいい、ともかく俺には貴様の野望なんてお見通しだとも。
「シラを切るつもりか!?お前達未来人の野望…それは現代人を支配することだろうが!」
「そ、そんな!違います、私はそんな恐ろしい事なんて…」
 そこまで言って、瑠華の顔が歪んだ。
 自白してしまったことに気付いたらしい。
「正体出したな未来人め!この俺が正義の裁きを下してやる!」
 俺は高らかに叫びながら戦闘態勢に入ろうとした。
 だが、瑠華は素早く身を翻すと逃げ始める。
「待て、悪の未来人!」
「ち、違いますっ!私は…」
「問答無用ーーーっ!」
 俺は重力操作を掛けた。


 二十分後、俺は学園内を走る羽目になった。
 まんまと瑠華に逃げられてしまったのだ。
 そんなわけで俺は近場の校舎内から瑠華を退治するために当たっていってるわけだ。
 俺は数十のはずれの後、化学実験室の前に立っている。
 何故ここが怪しいと思うのか?それは…お約束だからだ。
 何のお約束かは訊いてはならない。
 俺はごくっと唾を飲むと、ドアノブをひねった。
 ぎいっと鍵が開き、案の定鼻腔一杯に花の匂いが広がる。
 そう…ラベンダーの…ラベンダーの…ってゆーか…。

 薔薇の。      

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」
 俺は絶叫をあげながら実験室を飛びだした。
 だが、途端にドアが大きく開かれ中からは柳川教師が飛びだしてくる。
 その後ろには全身ぐるぐるに縛られキスマークを至る所に付けられた来栖川空が転がっ
ている。どうやらエルクゥユウヤになっていたらしい。
 俺が覗いたことで本来の柳川教師に戻ったようだ、が……。
 柳川教師はにやりと笑うとがちゃがちゃと両手に持った怪しい工具達を蠢かせた。
「いいところに来た……ちょうど実験台が欲しかったところだ……」
 とてつもなく嫌な予感がした。
「じ、実験!?実験って、何のっ!?」
「決まっているだろう?」柳川教師はにやぁぁぁぁっと笑った。「さいぼぉぐ手術だよ」
 それは、つまり……。
 俺を?
「いっ、いやだぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!」
 俺は涙を流して絶叫しながら逃げようとした。
 だが、柳川教師が素早く俺の制服をひっつかむ。
「ふふふふ、力をやろう……」
「い、いやぁめろぉぉぉぉショッ○ァァァーーーーーッ!」
 そのとき、俺の中で何かが弾けた。

 俺は久しぶりに表に出ると、気孔でめくらましをかけ素早く変装を施した。
 とはいえグラサンとスカーフだけの単純なものだが。
「嫌がる人間を無理矢理捕まえ改造手術……その行い許し難く、すなわち、悪!」
 俺は柳川教師に指を突きつけ宣告した。
 柳川教師はご丁寧にもずずっとさがっている。
「な、何者だ貴様は!?」
「俺か?俺は名もなき正義の徒。敢えて呼ぶなら…誰が呼んだか仮面やーみぃ!」
「あっそ」
 ………は?
 ざしゅごきめきょずがーん。
 数十秒後。
 不意を付かれた俺はあっさりと廊下に転がっていた。
「ううううううううっっ、みじめすぎるぅぅ〜〜〜」
「ふっふっふっふっふ、改造だっ!改造して本物の変身ヒーローにしてやるぞ!」
 涙に暮れる俺とは対照的に柳川教師は気味悪い含み笑いをしていた。
 ち、ちくしょう……俺が……俺が本物のヒーローならこんな奴……。
 そのとき。
「待ちなさい!」
 俺の心を読んだように、声が響いた。
 だ……
「誰だっ!?」
 柳川が吠えた。
 声は柳川に構わずに続いて行く。
「嫌がる生徒を捕まえて改造手術、是れ許し難き悪!」
「窓かっ!」
 柳川の声の通り、大きく開かれた窓からは真っ赤な戦闘服に身を包んだ覆面が立ってい
た!全身これヒーローと主張せんばかりの衣装……まさに本物!
「我が名は正義の戦士アルワイヤー!狂気に心を売った悪よ、正義の裁きを受けるがいい!」
 かっこいい……俺より数段役者が上だぜ畜生!
 一体、奴は何者なんだ!?
「アルワイヤーだと!?私を倒しに来たのか!?」
「いや……仲間を守るためだっ!」
 その叫びと同時に……アルワイヤーの姿が掻き消えていた。
 いや、掻き消えたのではない。
 動体視力は付いていって居るのに、あまりに自然な動きだったのでこっちの判断力が狂
わされている。戦い慣れした動きだ。
 そして動きを掴みきれなかったのは柳川も同じらしく、気が付いたときには水月に強烈
な跳び蹴りを喰らって吹き飛んでいた。
「アルワイヤーキーーーック!」
 正統派だ!俺はごくっと唾を飲んだ。
 アルワイヤーはまさにヒーロー…俺みたいな似非ヒーローの出る幕はない。
 だが……だが、それで勝てるのか!?いくら強いとは言え、柳川は……。
 俺の心を体中で代弁するかのように倒れたままの柳川の筋肉が膨れ上がった。
「くくくっ…強い。いいぞ…実にいい……」
 そして…そこに一匹の美しい鬼が目覚める。
「楽しませろ。この俺に……戦いの唄を聴かせるがいい!悲鳴と絶叫のオペラをなぁ!」
「……汝を……誅する!」
 アルワイヤーは再び構えをとった。

 戦闘は苛烈を極めた。
 だが、エルクゥのパワーは圧倒的だった。
 いくら技術に秀でているとはいえアルワイヤーではパワー不足だったのだ。
「そんな……負けるのか?この……アルワイヤースーツが敗北するのか?」
 絶望に満ちた声でアルワイヤーが呻く。
 柳川はくくくっと低く嗤った。
「とどめを刺してやるぞ、アルワイヤー。女の腕で良くやったものだが……さて、貴様の
命の炎…いかほどの物かな?」
 女の腕で……?
 俺はどきっとした。
「く……くそぉっ……こんな……こんなところでぇっ……」
 言われて見れば、微かに聞こえる掠れ声は…確かに女性の物だった。
 しかも、それほどの年齢になってない少女の物だ。
 それを意識したとき……不思議に俺の中に怒りが燃え上がってきた。
 よくある、聞き飽きたほどの、口にするのも恥ずかしいほどの、ありきたりの怒りだ。
 だが、俺は怒った。
 身体の芯が燃え上がり、爆発し、今の自分を四散してしまいそうなほど怒った。
 俺はフェミニストではない。女性を守るなどとは思ったこともない。
 何故か、俺は今倒れている自分を焼き尽くさんばかりに怒った。
「とどめだ、死ね!」
 そして俺は爆裂した。

 気が付けば俺は両手の中にアルワイヤーを抱き留めていた。
 ぐったりとしたヒーローは、それでも生きていると分かる。
 俺はほっとして彼女を抱きしめた。
 たとえ…それがあと数十秒の命でも、今のこの瞬間をひどく大事に思えた。
 俺の背後には…柳川が爪を振りかざしている。
「Hi−Waitさん……酷い怪我を……」
 彼女のその言葉で俺は背中を切り裂かれていることを知った。
 俺は無理矢理に笑ってみせた。
「Hi−Wait?違うね、俺は仮面やーみぃ。……正義のヒーローさ」
 ふっという音が聞こえる。彼女が笑ったらしかった。
「ねえ、やーみぃさん?あなたは……正義を信じますか?」
 その質問への答えは俺にとってひどく当たり前の物だった。
「正義は……必ず、勝つ!」
 死の影が迫ってきた。
 俺は背中の傷に冷や汗が流れ込んで行くのを感じる。
 アルワイヤーは俺の手をしっかり握って、言った。
「お願いがあります。……私と……正義を守ってくれますか?」
 そしてその問の答えも。
「……当然だね」
 一拍の後に、彼女は言った。
「有り難う、ございます」
 俺は彼女の正体を知った。
 そして……俺は……溶け合って行く……。


○解説しよう!
 二十三年後の未来から来た少女、月島瑠華は未来技術で作られた変身スーツ『アルワイ
ヤースーツ』によって正義のヒーローアルワイヤーへと変身する!
 そして、さらに両親である長瀬祐介と月島瑠璃子から受け継いだ電波の力によって正義
の魂を同じくするヒーローと精神をシンクロさせることにより、真の力を発揮するのだ!
 すなわち……!


 私は生まれ変わったような気分だった。
 それはそうだろう、今の私は月島瑠華でもやーみぃでもHi−Waitでもないのだか
ら。
 全身に溢れる力を感じつつ、私はポーズを取った!

「みなぎる力は正義の心、下せ正義の鉄槌を……!」

 じゃっきーーーーーーーん!
「絶対正義デレンガイヤー…見参っっっ!!!!」
「ぜ、絶対正義デレンガイヤー!?」
 柳川はびくうっとショックを受けたように硬直した。
 素晴らしい……これが……これこそが正義の力か!

「悪への怒りを胸に秘め、見せろ正義のド根性……!」

 私は一つ一つ決めゼリフを口にしながら柳川に迫った。
 柳川は狩猟者の誇りを思い出したのか、踏みとどまって攻撃のモーションを取る。
「なめるなよ……行くぞ、絶対正義デレンガイヤー!」
 私はすーーっと息を吸い込むと、悪を滅ぼすために正義の力を呼び起こす。

「二人の心を一つに合わせ、踊れ正義の盆踊り……!」

「死ねぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「必殺、デレンバスター!」
 私の腕から放たれたビーム光線が柳川を直撃した!
 凄まじいスパークをあげて柳川が吹っ飛ぶ!
 だが、しかしその攻撃も奴を数メートル交代させたに過ぎなかった。
「な、なかなかやるようだな……しかし、それだけではこの俺は倒」
「デレンバスター!」
「うぎゃああああああああああっ!?」
 ちゅごーーーーん。
「ちょ、ちょっと待て。まだ台詞の途」
「デレンバスター!」
「ぐええええええぇぇぇぇぇっっっ!?」


○説明しよう!
 絶対正義デレンガイヤーは月島瑠華とやーみぃの精神の融合した心を持つ!
 故に、彼は月島瑠華のヒーローの心と同時にやーみぃのコスさを併せ持っているのだ!


「デレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバ
スターデレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバスターデレ
ンバスターでれんばすたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
 じゅごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!
 ぷすぷすと焼け焦げた柳川はひくひくと蠢きながら、なお抗議の声を上げた。
「き……貴様ぁぁぁぁ!!!!正義の味方がそんなことしていいと思ってるのかぁぁ!?」
 だが、デレンガイヤーはほじほじと耳をほじると、呟いた。
「違うね。私は正義の味方ではない……!」
「何っ!?」
 デレンガイヤーはどうどうと胸を張った。
「私が正義だぁぁぁぁっ!!!!!」
「あっ」


○説明しよう!
 絶対正義デレンガイヤーの「絶対正義」とは「絶対に正義の味方」ではなく「絶対的な
正義」だった!


「お……終わった……。絶対正義デレンガイヤー……おそるべし………!」
 柳川はがくりと呟くと、動かなくなった。
 そしてデレンガイヤーはたかだかと拳を振り上げると……。
「超必殺!デレーーン……ヤンカーーーーーーーーッ!!!!!!!」
 超重力爆弾による圧搾の大破壊が巻きおこった。


「私は未来の世界から過去の世界へ災いの芽を摘むためにやってきたのです……」
 合体を解いた月島瑠華は俺にそう言った。
「やーみぃさん……お願いです。これからもこの時代の悪を倒すため、力を貸して下さい
ませんか?」
 俺は頷いた。
 何故なら、俺の心も又、彼女と同……。
 同じ……じゃねええええええええっっっ!!!!
 俺はようやく精神のシンクロから解放され元の自分を取り戻した。
 だが、その頃には既に瑠華は目に涙を浮かべて感動の渦の中にいた。
「ううっ、夢のようです!こんなに心強い仲間を得られるなんて……」
「ちょ、ちょっと待てぇっ!今のは気の迷いだ!本気にするなよっ!」
 俺は慌てて発言を取り消す。
 しかし瑠華はふるふると首を振ると、強く強く拳を握った。
「いいえ、否定しても分かります!私達は正義の熱い志によって結ばれた運命の同志っっ!」
「おい、何熱血して勝手に自己完結してやがるっ!?」
 瑠華はきらきらと光る目で俺を見た。
 俺はそこに波立つ荒海を見たような気がした。
「さあ、戦いましょう!輝かしい明日のためにぃぃぃぃぃっっっ!!!!」
「人の話を聴けぇぇぇえええええええーーーーーーーーーーーーっっ!!」


 こうして。
 今も未来人は俺の隣の席で侵略のチャンスを窺っている。
 だが、俺は騙されない。
 俺だけは騙されるもんかっっっ!!!


「Hi−Waitさん………私達、最強の正義のコンビですね!」
 だきっ!


 だっっっ、騙されるもんかぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!



 かくして正義は守られた。
 だが、戦いはまだまだ始まったばかりだ。
 ゆけっ、正義の使徒アルワイヤー!
 戦えっ、絶対正義デレンガイヤー!

                  完
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ひ:ははははははは、ついにやってしまったよ……このネタ。
み:あ、あ、あ………本当にやってしまうなんて……!
ひ:奴の報復が怖いねぇ…
み:こ、このネタだけはやってくれるなって言われたのに……!
ひ:いや、だってやーみぃ激弱いんだもん。インパクト薄いんだもん。
  このままじゃ絶対に影の薄い正義マニアで終わるぞ。
み:だからってここまでしなくても………
ひ:いいじゃない、パートナーもできたし。なお彼女はやーみぃが図書館に出したSSに
  登場したオリキャラです。
み:全然設定変わってるじゃないですかぁぁぁっ!!!
ひ:だって設定キラーだもん。
み:ああっ、ダークな少女だったのに……
ひ:前半はともかく後半は完全に「虹○町」のサキちゃんと「スレ○ヤーズ」のアメリア
  を足して1.5で割ったような娘になってるねぇ
み:熱血正義バカだ、この子……しかもえれぇ強いし。
ひ:貴様に「バカ」呼ばわりされるのは心外だと思うが。
瑠華(以下る):まったくです!
み:ああっ、出ましたね正義バカ!
ひ:おー、よく来たね。
る:よく来たねじゃないって。何なんですか私のこの性格は。
ひ:本能が語るままに書いたらこんな奴になってた。キャラクターが走ったねぇ。
み:ひなたさんは本能でSSを書く人なんです。
る:それって……単に何も考えてないだけじゃあ……
ひ:やっぱりいい帰れ貴様。
る:ちょ、ちょっと!まだ言いたいことがっ……
み:あー、帰っちゃった。
ひ:三人以上が喋ると誰が喋ってるのか分からなくなるからな。
み:(単に悪口言われたからじゃ……?)
ひ:何か言ったか?
み:い、いえ別にっ!そ、それよりも瑠華さんの設定ですが!?
ひ:○名前が「ルカ=アークウェル」と重なる困った存在。
  ○良識ぶっているが本性は正統派熱血正義少女。
  ○電波を使えるが変身ヒーローアルワイヤーになれる。結構強い。
  ○仮面やーみぃと合体して絶対正義デレンガイヤーになれる。えれぇ強い。
  ○暗躍生徒会に所属している。月島拓也と月島瑠璃子のみがその正体を知る。
  ○実は未来から来た祐介と瑠璃子の娘である。
  ○正義をこよなく愛しやーみぃの側をついて歩くがやーみぃには嫌われてる。
  ○さあみんなやーみぃとこの子をくっつけてあげよう。
み:最後のは一体……?
ひ:さあねぇ。あー、また一年女子が増えた。
み:うーん、このままだと一年女子って最凶の人物がごろごろ……
ひ:すでに学園の恐怖の半分を保有してるって。
み:さて長くなりましたがそろそろお別れの時間がやって参りました!
ひ:ではでは「報復怖し!」風見ひなたと!
み:「次は……恐怖だ!」赤十字美加香が
る:…と「設定はやーみぃさんが書いて下さると感激です!」月島瑠華がお送りしました!

ひ・み:どっから出たーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!