あ〜あ〜あああああ〜ああ〜あああああ〜(オープニングテーマ) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― カレルレン教師のところに美加香が現れたのは二時間目の授業が始まろうとしたと きであった。 美加香は真剣な眼差しでカレルレンを見つめると、一言…。 「すみません、何も聞かずにこの子を放課後まで預かってください!」 止める暇もあればこそ、カレルレンがあっけに取られている間に美加香は職員室か らダッシュで出ていってしまっていた。 後には小さな女の子が残された。 「どうしよう…」カレルレンは今更ながら困惑してしまった。 女の子は緑色の長い髪にきらきらした光を浮かべ、じっとカレルレンを見ている。 これからどうするのか観察しているようだ。 やむなくカレルレンは女の子の頭をなでながら、聞いた。 「えーと、君の名前は?」 女の子はにこぱっと快活に笑うと、はきはきした声で応えた。 「ボク、ティーナ!よろしくね、お兄ちゃん!」 「あ、こちらこそ…」とついつい頭を下げてしまうカレルレン。 ティーナはおかしそうに笑った。 「集まれ皆の夢見る力☆」 その声と共に、「希望」は集い、ステッキが輝く。 皆の夢をかなえる為に、彼女は魔法の力を使う。 星屑を載せた魔法が発動する… 「あなたのお望みかなえますぅ☆」 キメ台詞と共に、ステッキが一瞬眩しく輝いた。 「ひっさあつ☆エルクゥスターダストレインボー☆」 可愛らしい口調と相反して…深紅に燃える凶悪な輝きを秘めた巨星が目標に降 り注いだ。 まさに…必殺。 断末魔の悲鳴を残し、目標は闇に消えた。 「…綺麗な花火ですこと…」 そう呟くと、彼女はにっこりと笑みを浮かべ、夢をかなえてあげた少女に振り 向いた。 少女はびくっとして立ちすくむ。…名前はない。昔戯れに名前を付けたらとん でもないことになったので、あえて付けまい。 「あなたのお願いばっちりかなえましたぁ☆」 少女は泣きそうな目をして抗議の言葉を口に仕掛けた。 自分はただ恋敵をおとなしくさせて欲しいといっただけなのに… しかし、魔法少女のあまりの目つきの悪さに少女は黙り込む。 凶暴かつ残忍な輝きをたたえた目がそこにあった。 「あ、ありがとぉ…ございますぅ…」引きつった口調でお礼の言葉を口にする 少女。 魔法少女は鷹揚に頷くと、ミニスカートを翻して去っていったのだった。 それから五分後、立ちすくむ少女は風紀委員会に押さえられ連行された…。 「奴が、動き出したか…」月島はそう言ってため息を吐いた。 こうなることは早期から分かっていた。 が、一向に動き出さないこともあってここしばらくは失念してしまっていたの だ。 月島は自分自身の迂闊さを思い、歯噛みした。 風紀委員会のトップはいまだに決まらずに居る。仕方なく自分が代行を務めて いるわけだが、それにも限界がある。恨むべくはこのところ学園を揺るがして いる休校騒ぎだ。 しかしまあ、こうして対応の遅遅たるを呪っても仕方あるまい。 連中が動けない今、対抗策はかぎられている… 月島は机の上の電話に手を伸ばした。 「太田か?緊急事態発生、直ちに対処計画2323号を決行せよ」 「むごい…」浩之は呟くと、顔を背けた。 あかりは目に涙を溜めて、変わり果てた少女に視線を注いでいる。 魔法を直撃された少女はくるしげにベッドでうめいていた。 髪の殆どは焼け焦げ、肌もくすんでしまっている。 「誰がこんな酷いことを…」 この少女は、あかりの友人の一人である。 待ち合わせしていたがいつまでたっても現れないので不審に思い探しに行ったとこ ろ、こういった惨状になっていたというわけだ。 浩之は歯噛みし、せめて犯人は見つけてやりたいと思った。 あまりにも酷すぎるではないか。 そのとき、少女はかろうじて口を開くと、小さな声で呟いた。 「う…ま、魔法少女…」 「え?」あかりは驚いて問い返す。 「魔法少女って名乗る変態が…」 それっきり少女はくたっと倒れた。 二人は顔を見合わせると、保健室を出て行った。 「とほほ、いい加減に離れてくれよ…」カレルレンは右隣にぴったりとくっつく女 の子にそうぼやいた。 「先生、お似合いですよぉーー!」通りすがりにからかわれ、ますます情けない気 分になる。 ティーナの方は嬉しそうに腕など組んで歩いて行く。 冷やかされるのが嬉しくて仕方が無いようだ。 「お兄ちゃん、注目されてるよ」 そう言われ、カレルレンはがっくりと肩を落とした。 この子の本来の保護者である風見のところに行くと、図書館地下のダンジョンに潜 るのでその間この子を見ていて欲しいとの事だった。 マールは西山に、ルーティはHi-Waitに預けてあるらしい。 諦めてカレルレンはティーナを連れ回すというわけだ。 職員室においておきたかったのだが、どうしてもティーナの方が離してくれなかっ た。少しでも離れると泣き出してしまうのである。 やむなくカレルレンはティーナを授業に参加させる。 生憎と今日は初等科の教諭が先日の巨大熊暴走事件(「ジン・シャザム復活!」参 照)で負傷して大半が入院中、そうとは知らず学校にきてしまったちび達は自分達 で帰るわけにも行かず風見達を待っていなくてはならないのである。 さすがに高校の教師達はタフだった。そうでなくてはやっていられない。 二人は教室を移動すべく、中庭を歩いて行った。 と、足がぴたっと止まる。何かが焼けこげたような跡が地面に残っていた。 「たき火でもしたのかな?」とのんきにカレルレンが言う一方、ティーナはカレル レンに見えないよう真剣な顔を作っていた。 (これは…) そのときどこからか絶叫があがった! 時間はやや戻る。 浩之、あかり、雅史、志保の四人はある確信を抱き歩いて行った。 犯人を追いつめるべく… (プリティレミィだな) (プリティレミィと思う) (プリティレミィだろーな) (プリティレミィしかないわね) こうして宮内レミィを探して、四人は校舎中を徘徊するのであった。 中庭に差し掛かったとき、ついにあかりがレミィを発見した。 鳩を追い回して遊んでいる。 「おい、レミィ!」浩之が声を上げた。 レミィはゆっくりと振り返る。 「What?皆、怖い顔してドーしたの?」 あまりにも邪気の無い表情に一同はちょっとひるんだが、追求の手を休める事はな かった。 「どーしたもこーしたもないだろ!レミィ、お前が魔法少女のコスプレして罪も無 い一般生徒を焦げ炭にしたのは分かってるんだ!」 レミィは口に手を当て、オーバーアクションで驚いてみせた。 「ナニそれ?私、そんなの知らないヨ?」 夜迷いごとを…雅史が一歩進み出ようとしたとき、近くで叫び声が聞こえた。 一同は顔を見合わせそちらに駆けつける。 「だ、誰かぁぁぁぁっ!たぁぁすけてくれぇぇぇぇぇ!」 「大人しくしなさい!さもないと…」 「嫌ああああああああ!」 ぐるぐる巻きに縛られて涙を流すジンとそれを押さえつける千鶴さんの姿があっ た。 見たくないものを見てしまい、げんなりとする一同。 だが、そこでぴたっと動きが止まる。 千鶴が絶妙に怪しく「コトブキ」と血文字で書かれたステッキを取り出したのだ。 「いい加減にしなさい!魔法少女に変身しちゃうわよ!」 …こいつかぁ! 浩之達は今更引き返す事も出来ずに飛び出した。 「千鶴先生!あなたの悪行もそこまでだ!」 千鶴は驚いた顔で四人を見ていたが、やがてにやりと笑って指を鳴らした。 「ふふふ…そう…見てしまったのね…」 いかにも楽しそうにそう言う。 ジンは助けが来た事に気付き、幸運を神に祈った。 「見られた以上は生かして返すわけには行かないわ!愛と正義の魔法少女ウェディ ング・リズエルがあなたを…殺します」 後半一気に落ち込んだしゃべり方で千鶴はキメ台詞を唱えた。 たちまち光に包まれ、千鶴は超ミニスカルックに変貌する。 浩之達はあんぐりと口を開いた。 その胸中の思いは一つ。 つい雅史が耐え切れず呟く。 「魔法…少女?」 次の瞬間雅史だったものは単なる血袋と化した。 ジンがしんそこ脅えた声を上げる。 絶望かと思われたその時、高らかな声が響き渡った。 「そこまでよ!」 はっとして千鶴が振り返る。 ジンは歓声を、そして浩之達は恐怖の叫びを上げた。 「欲望と煩悩の魔法少女、エルクゥユウヤ!呼ばれもしねーのに参上です!」 今日の柳川先生はアン○ラのうぇいとれすルックで登場だ! 素敵なおみ足が眩しいぜっ! そのあまりのゴージャスさに浩之達は思わず叫んだ! 「スネゲ剃れやああああああああああああああああ!」 歓声に応えてエルクゥユウヤはぶんぶんとステッキを振り回した。 「エルクゥユウヤ☆」 誉めてない、誉めてないぞぉぉぉ!浩之達は心の中で絶叫した。 「OH!?」レミィが好奇心丸出しの声を上げてメモを取り出す。 「チキュウ人は戦闘のたびに怪しい民族衣装に着替えて狂ってるとしか思えない台 詞を吐く、と…」 「メモるなっ!そこの宇宙人!」あかりが激しく突っ込みを入れる。 エルクゥユウヤはくるっと千鶴に振り返ると、びしっとステッキを突きつけた。 「さあ、邪悪の使徒!愛の一撃を受けて改心するのよ!」 「どっちが邪悪ですか、女装マニア!」 そういいつつも千鶴はじりじりと下がって行く。 いくらなんでも変態さんとは戦いたくないらしい。 「いい年こいてセーラー服きてる女がなに言ってんだか…」 口を滑らせた志保は河を渡ってお花畑に旅立った。 千鶴はとりあえずぽたぽたと爪から血を滴らせながら、ぴょんと後ろに飛び下がっ た。爪に付いた血をぺろりとなめる。 「き、今日のところはこれで勘弁してあげるわ!」 千鶴は生徒達を置いて逃げ出した! ジンは歓喜の声を上げてエルクゥユウヤに飛びつく。 「せ、先生!ありがとうございまし…うぎょええええええええええええええ!?」 ジンはエルクゥユウヤの熱い抱擁を受けて全身の骨を砕かれた。 エルクゥユウヤはその感触を楽しむかのようにゆっくりとジンをおろすと、にやり と笑って浩之を見た。 「愛の伝道師、エルクゥユウヤが次は君に愛を教えてあげるわ!」 てめえ、薔薇かぁぁぁ!声にならない声で浩之は絶叫した。 つい先日風見に演じさせられたばかりなので、トラウマになっているのだ。 「覚悟ぉぉぉぉぉ!」 「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!」 カレルレンはティーナを見失った。 きょろきょろと見渡すと、そこにはア○ミラのうぇいとれすさんの格好した気味悪 い変態と可愛い教え子達がいた。 しかも、浩之目指してしたなめづりしている! 助けねばっ! 電波を発しようとしたその瞬間、彼の前に一人の少女が降り立った。 年の頃十七、八。鮮やかな緑の髪にエプロンドレス、輝くような美少女。 「ぱられむれむりんすいーとみんと、天呼ぶ地呼ぶ人が知る!!薔薇を狩れと我を 呼ぶ!!魔法少女マジカルティーナ、変態退治に参上です!!!」 大胆不敵に言い放った少女はびしっ!とステッキを変態に突きつけた。 変態ことエルクゥユウヤは不敵に笑うと、ステッキをぶんぶん振りかざした。 「エルクゥユウヤ☆」 構わずマジカルティーナはエルクゥユウヤに宣告する。 「魔法の国レザムヘルムからの逃亡者、エルクゥユウヤ!男子暴行、サギ、痴漢行 為、猥褻物陳列罪の罪で処罰します!」 「エルクゥユウヤ☆」ぶんぶんぶん。 「公共の良俗を乱した罪は大きいわ!直ちにお縄につくことね!」 「エルクゥユウヤ☆」ぶんぶんぶん。 「今投降すれば上もお慈悲を…」 「エルクゥユウ…」ぶんぶんぶ… 『きけやああああああああああああああああああああああああああああああ!』 二人は同時に絶叫した。 先に切れたのはマジカルティーナだった。 「もうこれ以上変態に付き合ってられない!あの世で後悔しなさい!」 そう叫ぶとステッキをひゅんと振りかざす。 そしてそのまま突進をかけた! 「愛の営みを邪魔する奴は殺すううううううううううう!」 エルクゥユウヤも猛突進をかける。 両者のエネルギーが真っ向からぶつかり、スパークする! だが、押し負けたのはマジカルティーナだった。 うめきを上げるとそのまま後方へふっとんでゆく。 そこへ追撃しようとエルクゥユウヤが走る。 あかりが叫び声をあげる。 「させるかぁぁぁぁぁ!」 凛々しい声が響き、エルクゥユウヤはばたっと転んだ。 カレルレンが必死の形相でエルクゥユウヤを睨んでいた。 「殺し合いから何が生まれる…愛こそが、皆を救う全て!」 電波を照射してエルクゥユウヤの脳を混乱させたのだ。 しかし、エルクゥユウヤはばっと立ち上がると高らかに叫ぶ。 「ならば、その愛の為に死すが良い!」 鋭い爪が振り下ろされる。 カレルレンは死を覚悟し、生徒達の事を思った。 目を瞑り、痛みに備える。 だが、いつまで待っても攻撃は繰り出されなかった。 疑問に思いカレルレンはゆっくりと目を開く。 エルクゥユウヤは凍り付いていた。 マジカルティーナの周りに凄まじい量の魔力が集まっている。 あまりの力にエルクゥユウヤは圧倒されていた。 マジカルティーナはステッキを握り直した。 「エルクゥユウヤ…あなたが『愛』と呼ぶものは愛なんかじゃない…」 エルクゥユウヤの表情に恐怖の波紋が広がって行く。 「カレルレンお兄ちゃん…あなたの愛、確かに受け取りました!」 そのままステッキを上段に構えると、一言一言発音する。 「愛の力の名の下に…邪な心よ、無に帰れ!必殺『リーフコケティッシュスマッ シュ』!!!」 マジカルティーナはそら高く跳躍すると、エルクゥユウヤの頭上に落下していった。 口の中でぶつぶつと呪文を唱える。 「光と闇と二元の力は愛によりて溶け合いまた互いに清く混じりなき心は混じりて も新たに清く…もって邪を滅ぼさん…」 かっとその両眼が開かれる。 「おらああああああああああああああ、死んだれやこらああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 あまりのギャップにあかり達はすっころんだ。 だがエルクゥユウヤが消滅したのは確かである…。 学園は救われたのだ。 カレルレンは夕日の暮れなずむ道をティーナを背負って歩いていく。 ティーナは疲れきってカレルレンの背中で安らかな寝息を立てていた。 苦笑して中庭を歩き続ける。 愛、か。自分が主張した事は正しかったのだろうか。 少なくともティーナはその力でエルクゥユウヤを葬った。 だが、その結果はカレルレンにとって不本意なものと言わざるを得ない。 エルクゥユウヤを救う事は出来なかったからだ。 では、愛とは何か。自分の求める心は何か。 その答えは…その答えは、誰が知っている? 「お兄ちゃん…」 カレルレンは背中越しに振り返った。 「起きてたのかい、ティーナ?」 「うん。お兄ちゃん、とってもかっこよかったよ」 ………。カレルレンは黙り込んだ。 ティーナは一人続ける。 「愛こそが皆を救う全て、か。見てて感動しちゃったよ」 見られていたのか…カレルレンは照れくさくなり、「そっか」と一言言った。 うん、とティーナは笑ってその首にしがみつく。 カレルレンは、思っていた。 愛が何か分かるまで、この元気の良い少女と一緒に要るのもいいだろう。 そして見つけたあとは、いつまでもゆっくりと時を刻み続けるのだ… 夕日が沈んで行く。 もっと遅く沈めば良いのにと思う。 背中のぬくもりをもうちょっと感じていたかったから。 「ふ…ふっふっふふ…死なん…私は死なんぞぉ…」 ひくひくとクレーターの中で消し炭がうめいていた。 それを見ながら、ミヤウチ星人は目をきらきら輝かせながらメモをとっていた。 「神秘的、ネ。チキュウ人はコスプレするとここまで戦闘力が上昇する…大宇宙 の神秘ダワ…」 後日、怪しい日本語を喋るコスプレ少女が学園中に破壊と殺戮の嵐を巻き込み、 カレルレン達は再び愛の奇跡を知るのだが…それはまた、別の話。 完 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― いまいちかな? あまり面白くないかも… 本当はもっと濃くなるはずだったんですけどねえ…