Lメモ時代劇4「古き伝説甦るとき」 投稿者:風見 ひなた
 一つのネジが回れば後は自動的に動くのだ
 波紋を形作るには石が一つあればよい
 きっかけさえ与えれば全ては自ずから動き出す
 機械も歴史も、人間さえも
 石は今投じられた太平の夢は破れ時代は動き出す
 異国の姫と血の通わぬ巨人が極東の地に降り立つとき
 永い夜が……終わる


 Lメモ時代劇4「古き伝説甦るとき」


 部屋の中央では油が燃えている。
 薄紅い光に照らされた部屋の中は人形達の不気味な陰影が満ちている。
 ゆらゆらと揺れる影が語るのは振り向かれぬ人形達の呪詛の念か、それともこの部屋の
主の陰鬱な魂か。
 不躾な来訪者に向かい、男は静かに口を開いた。
「……何用だ。私は忙しい」
「こちらにはあなたが抱える用事よりもさらに大事な依頼がある」
 来訪者は炎を揺るがせもせず答えた。
 黒衣の忍服が微かに揺れるのみである。
「……くっくっくっく」
「何がおかしい」
 部屋の主の笑いに黒衣の男が訊いた。
 主は緩やかに手を振りながら答える。
「いや…確かにそうだろうな。私は暇人だよ」
 しばしの沈黙。
 やがて、主は再び声を発した。
「だがな……私はこれで大事な役目を担っているのだよ。そう……私が何もしないからこ
そ、この現世は平和なのだ」
「その力を貸していただきたい。いや……強制的にでも使わせて貰う」
 黒衣の男の言葉に、主は静かな笑いを浮かべた。
「私は……高いぞ?」
「分かっている。代価はこの世の命……でどうだ?それが正当だろう…」
 月影が差し込み、部屋を照らした。
 主の姿が照らされ、明らかになる。
「稀代のからくり師……菅生誠治殿……」


「とまあそんなこんなで!柏木城の謀反も明らかになったことだし……」
 風見は黒衣のシノビをどつき倒しながら叫んだ。
「あとは城に突入して城主もろとも公儀の名の下に制圧するだけですねっ!」
「『だけ』ってお前な……」
 スポット(偽名)は襲い来るシノビを蹴り倒しながら叫んだ。
「ぜんっぜん楽じゃねーぞ!?」
「気のせいっ!」
 100名のシノビからなる幻の暗殺隊暗黒十三忍軍。
 柏木城に突撃した風見達はそれと真っ向からケンカしていた。
「所詮名無しの雑魚キャラたとえ1万人いよーと敵じゃないなっ!」
 いや、そーかも知れないけどもうちょっと粘ってくれたって。
 確かに今回ちょっと急いでるけどさ。
 そんなわけで風見達は結構楽勝だった。

 千鶴は階下の乱闘を遠く聴きながら月下、姫護忍である刃に呟いていた。
「刃……ついに私達の野望も成るか成らぬかの瀬戸際に来ました」
「はっ」
 刃はいつも通り千鶴にかしこまって答えている。
 柏木城は炎上したにも関わらず、わずか数日でより堅牢な城塞へと変貌していた。
 それも全て設計技師として何処からともなく現れた天才からくり師、菅生誠治とそれを
支えた忠実な千鶴様の手下な鬼達の努力あってのことだった。
 そして今、あと一歩で野望が成就しようとするとき……敵が城内に侵入した。
 暗黒十三忍軍も恐らく西山城の精鋭隊には半刻もたないだろう。
 その間に千鶴は全ての条件のお膳立てを済まさなければならなかった。
「刃…敵が来ました。あなたは……私を護ってくれますか?」
「御意。俺はいついかなる時もあなたの意のままに」
「では私の最後の願い……聴いてくれますか?」
「御意。……最後、などとはおっしゃられますな。俺は今後も永遠にあなたの右腕とな
りましょう」
 千鶴はかすかに微笑むと、刃に告げた。
「では死んで下さい」
「は?」
 刃が聞き返した瞬間……強烈な衝撃が後頭部を襲った。
「な……な……んで……?」
 千鶴を恨めしげに見つめながら、刃は意識を失った。
 その背後の闇からスパナを持った誠治と亞腐呂なbeakerが相変わらず情熱のタマダンス
と共に現れる。いや、別に誠治がタマダンス踊ってるわけじゃないんですが。
「……良かったのですか、千鶴殿」
 誠治の問いに千鶴はこくりと頷いた。
「私はこの世界を手中に収めるべく生を受けました……そして刃は私の手助けを受けるた
めに。私は……今こそ世界を盗らねばならない」
「……」
 誠治は軽く息を吐くと、ぐったりする刃を肩に担ぎ上げた。
「HAHAHAHA、この男を生贄とし、今こそ我等が亞腐呂大明神は甦るのだぁぁぁぁ!」
 beakerは猛烈に腰を振りながらタマダンスを踊りまくった。
「おい」
 誠治は半眼でbeakerを見ると、呟いた。
「なんですかぁ?」
「頼むから殺させてくれ」
「そーゆーワケにはいかないなっ!何故ならこの神にすら認められた俺の伝説のタマダン
スの陽気な八ビートが冥府の神をも暑く熱くヒートアップさせるからさヒャッホウ!!」 誠治が千鶴に目を向けると、彼女は諦めた風に目を閉じた。
 それで全て納得した誠治は刃を抱えたまま一礼して部屋を出ようとした。
 その礼を見ていたbeakerはちちちちっと指を振ると絶叫した。
「違う違うぜそうじゃないぜなってないぜその腰の振り方はあっ!タマダンスの極意はこ
う、こうなんだ見てくれブラザー俺に付いてこいカモォンッ!!」
「てめえ今この場で死ねええええっ!!」
 誠治のスパナがbeakerの脳天に三寸めりこみ、beakerはばたりと倒れる。
 だがそれも数秒のことで、再びbeakerはタマダンスを踊りながら復活した。
「ノンノンノンノンノォンッ!!俺の頭が亞腐呂じゃなかったら今頃死んでるぜ危ないじ
ゃないかブラザー!!ダンスが下手だからって他人に当たっちゃ行けないぜクールに行こ
うぜ腰振りながらキャッホー!!」
「……千鶴様……何故こんな奴等と手を組まれたのですか」
「何も訊かないで……昔はこれほどじゃなかったの」
 千鶴は涙をぼとぼとこぼしながら呟いた。
 そうだねぇ、第二話の時はマトモだったのにねぇ。
 だんだんオリジナルのbeakerさんから遠ざかってくるな、こいつ。
 誠治は汗を流しながらもう一度改めて千鶴に礼をすると、部屋から立ち去った。
 何か言おうとするbeakerの鼻先に裏拳を叩き込んで足早に走り去っていく。
 床に倒れるbeakerの死体(どうせすぐ復活するだろうが)を眺めながら、千鶴は呟いて
いた。
「本当に……私はこれで良かったのかしら……」
 だが、もう戻れない。過ぎ去ったときは二度と帰らず、過ちを訂正することは誰にも出
来ない。
「ヒャッホヒャッホ、俺のタマダンスはウーパールーパーごときにゃ負けねぇぜ!エリマ
キトカゲもキョンシーもみんな俺の腰に夢中さ!チェッキン!!」
 ………………。
 寝言を抜かすbeakerの顔面に鬼の手でチョッピングライトをキめながら千鶴は呟いてい
た。
「本当に……私はコレで良かったのかしら……」
 良くねえって。


「ルーン……ワタシ達、本気で急がなきゃならないネ」
「ああ……分かっているさ」
「ウウン、ルーン分かってないヨ!絶対に間違ってるヨ!」
「何イッ!?俺の何処が間違ってるってんだ!!」
 レミィは抗議の声を上げるルーンを涙をこぼしながらびしっと指さした。
「お腹空いたからってゴキブリと一緒に冷蔵庫漁ってる場合じゃないネ!!」
 ルーンはがつがつとハムなど丸かじりしながら不機嫌そうな顔をした。
 その足下にはおむすびの袋やらメロンの皮やらが散らばっている。
 しかもメロンは皮が透けるまで丁寧に貪り尽くしていた。
「馬鹿野郎!腹が減っては戦ができぬって言うじゃねえか!」
「そうです!しかも誰がゴキブリなんですか!!」
 レミィは問答無用でゴキブリ忍者理緒を蹴り飛ばしながらルーンの方に向き直った。
「しかも心根がさもしいネ!メロンの皮を透けるまで食べたりアイスクリームの蓋をなめ
たり飲み終わった牛乳パックに水道水入れて飲んだりしちゃ駄目駄目ネ!!」
「うっせえっ!いっぺん明日のメシ食う金もねえ状況に追い込まれて見ろ!カロリー0の
水道水よりはせめてちょっと白めの水道水の方がマシだと思えるようになるんだ!」
「そうですっ!!これだから貧苦に耐えかねてガス自殺しようとしたけどガスも止められ
てて死ねなかった経験もない人はっ!!」
 レミィは問答無用で理緒を窓から突き落とすとぴしゃんと窓を閉めてルーンに向き直っ
た。その表情はとても必死だ。
「情けない貧乏自慢の話している場合じゃないヨ、ルーン!!」
「いや……さすがの俺もアレと同系列に見て欲しくないようなそんな新しい予感」
 ルーンは汗を流しながら呟いた。
「ともかく、早く上に上がって鋼鉄の鬼神の復活を阻止しないといけないネ!」
「そうだな……メシもたらふく食ったことだし、そろそろ行くか」
 そこに、誰何の声が掛けられる。
「誰だっ!?」
「見つかった!?」 
 ルーンははっとして身構えた。その対応の早さはさすがプロだ。
 声を掛けたシノビらしき一行は、攻撃態勢をとる二人を見て訝しげな表情をした。
「シノビと…異人?」
 異人と呼ばれたレミィは嬉しそうにぺこりと頭を下げた。
「あ、ワタシここのお城の牢屋に閉じこめられてたレミィっていう者ネ」
「いきなり名乗るなぁ!」
 ルーンは涙目になってツッコミを入れた。
 シノビの一行は何かはっとした顔になって互いに囁きだした。
(異国の……娘?地下牢に閉じこめられてた?)
(秋山さん、もしかして第一話で救出してこいって言われてた異国の要人って……)
(……まさか)
 紅い装束を纏ったくの一が頭を掻きながらレミィに振り返った。
「あのぉ……もしかして、牢屋の前に亞腐呂姿の変な奴がいませんでしたか?」
「ああ、いたネ!あいつ、亞腐呂団の教主ヨ!ワタシを幽閉して魔獣復活のイケニエにし
ようとしたサノバビッチなファッキンカルトナーズ野郎ヨ!!」
 ………………。
 ひそひそひそひそ。
(おい、どうする!?なんかおかしいと思ったらやっぱりあの亞腐呂野郎は人違いだった
みたいだぞ!?)
(だ、黙ってればバレませんよ!とりあえず西山さんにだけ知られないようにすれば良い
んですから!)
(うむ!)
(俺は関係ないんだけどワン……)
 なにやら相談し終わったらしいシノビの一行は一斉に頷くと、レミィに向かい話しかけ
た。 
「とゆーわけで異国の人、助太刀しますっ!」
「おいおいおいおい」
 ルーンは半眼でツッコミを入れた。
「お前等、いきなりでてきてなんなんだよ」
「俺達は西山城に仕えるシノビだ!柏木城の謀反を食い止めるためにこの城に突入した!
で、お前は?」
 秋山が訊くと、ルーンは胸を反らして答えた。
「俺か?俺は月島城のルーン……目的は同じというわけだ」
「そして私は超絶美少女メインヒロインくの一理緒ちゃんです」
 ……………………。
「ゴキブリが出しゃばってるんじゃないネ!!」
 レミィはDDTを振りまくと、今度こそ帰って来れないように理緒をティッシュでくる
んで窓から投げ捨てた。
「酷いなぁ……」
 秋山が呟くと、レミィはちっちっちと指を振った。
「いくらオレンジに農薬ばらまいても平気ネ。だって食べるのはアメリカ人じゃないシ。
てなわけでみんなも農薬たっぷりの牛肉とオレンジをもっといっぱい食べるネ☆そして日
米摩擦の緩和にその身をもって貢献するのネ☆」
「いやじゃあ」
「WHY!?51番目の州の皆さんの犠牲は決して無駄にはしないネ!!」
「……僕、今猛烈にこのジンガイ女の手助けしたくない」
 風見の呟きに、ルーンはぽんぽんと肩を叩いた。
「俺もホントはしたくない」
 本音の叫びだった。
「まぁそれはともかくとっとと上に行って任務終わらせて……」
 スポット(偽名)が言ったところで、ぐらりと城が揺れた。
「地震っ!?」
「いや、違う!なんだか城全体が揺れているような……」
 ルーンの言葉に、レミィははっとして一同に言った。
「いけない、みんな城から逃げるネ!!」
「どういうことだ、レミィ!?」
「まさか……まさかこんなおおがかりなコトするとは思ってみなかったヨ!!」


 城の天守閣では亞腐呂団全員が集結していた。
 彼等全員を率いるのは教主TaS、すぐ後ろには副幹部beaker。
 亞腐呂の群は見ていて圧巻だった。
 そして亞腐呂達の後ろには誠治と千鶴、灰土蘭斗の姿が見える。
 TaSは手を大きく掲げると叫んだ。
「今こそ時はきたれり!」
「今こそ時はきたれり!」
 その後に継いでbeakerも声を張り上げる。
「古き伝説甦るとき!!」
「古き伝説甦るとき!!」
「六つのオーブの力を持って今蘇れ!!」
「六つのオーブの力を持って今蘇れ!!」
 ドラクエ3。
「目覚めよ、我等が大神亞腐呂大明神!!けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!」
 後ろに続いている亞腐呂達も声を合わせて叫び出す。
『けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!』
「けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!」
『けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!』
 全員目がイっている。かなり怖い状況だ。
 その呪文を呟き続けるうち、beakerは感極まったのか先頭に立って踊り始めた。
 もちろん陽気なラップなタマダンスだ!!
「けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!」
『けるけるぴーちゃんけるぴーちゃん!!』
 残った亞腐呂達も副幹部に続けとばかりにタマダンスを踊り出す。
 数秒の後にはそこは亞腐呂達が訳の分からない叫びを上げながらタマダンスを八ビート
で踊り狂うサバトと呼びたくても呼べない異常な空間と化していた。
 素面の誠治達は唖然としてその饗宴を見つめている。
「な……なんじゃこりゃ」
「いや、でも自分の世界に行ってる集団ってみんなこんなものかも」
「ああ、我等が暗黒十三忍軍でも……」
 灰土は千鶴の言葉に頷きかけ、ぴたりと言葉を止めた。
 誠治は白い目で灰土を見つめている。
「……おまえらの所でもなんだ?」
「ケフン……!い、いやなんでもないっ!!」
「『めそ』め……」
 誠治達の会話をよそに、TaS達の亞腐呂の宴は最高潮の盛り上がりをみせていた。
(らしかった)。
「キたキたキたキたキたーーーーっ!!今こそ……今こそ亞腐呂大明神様がおおりになる!」
『おーーーーーっ!!』
「HAHAHAHAHA、さあ、みんな最後の呪文ヨーーっ!!」
『どぴんちゃんぴんけるけるーーーーーっ!!』
 その瞬間、真っ黒な雲が空を覆い月が隠れた。
 豪雨が降り注ぎ、周囲を立っていられないほどの水が襲う。
 さらに雷鳴が鳴り響き、柏木城の屋根に付いていたアンテナを直撃した!! 
「く………くぉぉぉぉーーーーーーっ!!」
 どこからともなくそんな叫びが聞こえてくる。
 一同はその奇跡にとてもではないが興奮を抑えることは出来なかった。
「目覚めた……ついに、鋼鉄の鬼神が目覚めたっ!!」


「な、なんだ……なんなんだアレはっっ!?」
 シノビ達は混乱した声をあげて柏木城を……いや、かつて柏木城だった物を見つめた。
 それは既に城ではなかった……。
 巨大な足が生え、巨大な腕が生え、天守閣が崩れ落ちて巨大な顔が出現する。
 そして『彼』はその目を開くと、周囲一帯に響きわたる雄叫びを上げた。
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
「ステキよ刃君っ!」
  その肩では千鶴が手を組んでうるうると刃の横顔を見つめている。
(BGM:『あなたの横顔』)
「今あなたは仮初めの身体を捨て、奇跡の大魔人亞腐呂大明神として生まれ変わったのよ!」
「いやあああっ、せめて時代劇くらい人間でありたかったーーっ!!」
  風見は雨に濡れながら、ふるふると拳を握りしめていた。
「こ……こんな……こんなもん……」
 ぴしゃぁぁあん、と雷鳴が轟く。
「こんなヤワなもんのどこが『時代劇』だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「俺に叫ぶなぁぁぁぁぁ!!!」
 刃の足下では灰土が真っ白になって立ちつくしている。
「こ……これが……これが大魔神?これが……こんなんが俺の夢見た伝説……」
「ブラボー!ブラボーよ素晴らしいよこれが亞腐呂様のお力ネーーッ!」
 その隣では亞腐呂団の一同がタマダンスを踊り続けていた。
「うっせーーーっ!!」
 ぷちっ。
 亞腐呂団は踏まれた。
「誰が、誰が亞腐呂大明神だーーっ!!ふざけたネーミングしやがって、もうみんなキラ
イだぁぁぁ!!殺してやるーーーっ!!全部滅ぼしてやるーーーっ!!」
「その意気よ刃君!!」
 千鶴は嬉しそうに叫んだ。
「とゆーわけでまずはあそこのシノビの人達を殺っちゃえーーーっ!!」
「ま゛!」
 刃は指先からレーザー砲を出すと、それをルーン達の方に向けた。
「わーーーっ、あぶねーーーっ!?」
 ぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅん、と絨毯爆撃が展開される。
「お前はジャイアント□ボかぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
 誠治はそんな刃を見てはっはっはっと笑っている。
 美加香はいつのまにか抜け出すと、半眼で彼を見やった。
「何が楽しくてあなたこんな連中に手を貸したんです?」
「夢だったんだ……」誠治はぎゅっと拳を握りしめると叫んだ。「巨大ロボは…巨大ロボ
は男なら一度は誰もが夢見る男のロマンなんだよーーーっ!?」
「その気持ちは分からないでもないですが何故それを今するんですっ!?」
「いや、いっそ城が変型してロボアクションしたらかっこいいかと思って!」
「だからって刃さん核にしてまでそんなもん作らなくっても!!」
 筋が通っているようでマッドな誠治であった。
 ルーン達はレーザー砲から逃げまどいながら泣き叫んでいる。
 もはや抵抗不能!大きさのスケールが違います!!
 レミィはぴたっと動きを止めると、奥歯を噛みしめた。
「くっ……っすが伝説の鬼神、強すぎるネ!」
「強いとかそーゆーレベルの問題かーーっ!?」
 ルーンのツッコミも何のその、レミィは覚悟を決めた真剣な表情で刃を睨み付けた。
「本当は魔獣のために温存しておきたかったけど、仕方ないネ!!今こそ聖なる姫の力、
見せてやるネっ!!」
 そう叫ぶと、レミィは破魔矢を取り出しキリキリと天につがえた。
「レミィ!?」ルーンの叫びが雨のふりしきる丘に響いた。
 レミィは大きく息を吸い込むと声よ割れよとばかりに叫ぶ。
「パンダ・コパンダ・マゴパンダ!ミッキー・バックス・トラジロウ、ピカチュウ・ラッ
チー・ラスカール!!悪に頂門の一針を喰らわすステキな魔法少女になーれ!!」
 ちなみに頂門の一針とは相手の急所をつき一撃で敵を倒すことを言う!!
「レミィッ!!」
 ルーンは何かに気付いたようだったが、レミィは構わず天に矢を放った。
 矢はロンギヌスの槍さながらに雲を割り、そこから美しい月影がレミィに降り注ぐ!
「魔法少女プリティレミィ、ステキにムテキに登場ネーーーッ!!」
「レミィ、違うんだっ!レミィーーーッ!!」
 彼女はルーンの方を向くと、微かに笑って見せた。
 そして、変わっていく。
 だんだんレミィはレミィでない者に変わっていく。
 ルーンはもはや半泣きになりながら叫んでいた。
「レミィ、聴けぇぇ!ラッチーは……マンモスラッチーは動物じゃないんだぁぁ!!」
「ルーン……」
 レミィは今度こそ寂しげににこりと笑うと、呟いた。
「ツッコんでくれてアリガト……」
「レミィーーーーーッ!!」
 のりぴー語の訂正を受け、レミィは変わった。

「しゃぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
 そこには満月の夜に目覚めるという伝説の大魔獣、巨大生ハムことスーパーミヤウチ人
の姿があった!!
「なんじゃそりゃーーーーーーっ!?」
 一同はあまりにもあまりな展開にそろってツッコミを入れた!
 駄目だ、もう止まらない!
 作者ももうここまでやっちゃうと頭のドーパミンが溢れるほど吹き出して何がなんだか
分からない!!何でもアリだぁぁぁ!!
「うおおおおおっ、やってやるうううううう!!」
 刃は巨大生ハムに向かって突撃する!
「ひえええっ!?」
 ルーンは危うくそれに踏みつぶされそうになったが、巨大生ハムはその間に割り込み刃
を吹っ飛ばした!
 大丈夫?ときかんばかりにルーンを見つめている。
「レミィ……レミィなのかっ!?」
「きゅーっ!!」
 巨大生ハムは怒りを目に溜めると、刃に向かって次なる攻撃を繰り出した!
 ゆけ、レミィ!アトミックヒップアタックだぁぁぁ!
 もう作者もやりたいほーだいだぁぁぁ!!
 ゆけえええっ、全てを破壊しろぉぉぉぉ!!!
「ってゆーか何なんだよこれはぁぁ!こんな光景のためにわざわざ三話も伏線張ってきた
のかぁぁぁ!」風見は涙を流しながら絶叫した。
 どやかましい!誰にも文句は言わせねぇぇぇ!!
「このシリーズこれで最終回なんだろ!?一体このオチ、どーやって付ける気だぁぁ!」
 そのとき、レミィの跳ね上げた石ががんっ!!と風見の後頭部を直撃した。
 まるで作者に逆らった天罰だと言わんばかりに。
 途端に、風見から二重写しになったように一人の少女が飛びだした。
「ふぁーあ、良く寝たぁ……今何時……あれ?」
 金色の目をした少女はきょろきょろと周囲を見渡し、呟いた。
「……もしかしてアーマゲドン?」
「うぉぉぉぉ、俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜぇぇ!!」
 次に刃を見て、呟く。
「鋼鉄の鬼神……」
「きゅーーーっ!!」
 レミィを見て、呟く。
「大魔獣……」
 そして、おもむろにぽんっと手を打ち合わせる。
 そんな日陰の姿を発見して、灰土は半泣きになってすがりついた。
「もういやだぁぁ!!頼む、日陰何とかしてくれぇぇぇ!!!!」
「オッケーますたぁ。世界よ、黄金の安息に眠っちゃえ☆」
 日陰の全身から金色の光が迸り……。
 その場にいた全ての者は硬直して呟いた。
『あっ』


 そして、世界は終わった。
 もしかしたら無限の可能性の時空の中にこんな世界があったのかも知れないが……。
 そんなの知ったこっちゃないことである。マル。


 おまけ「その頃の女神様」

ルーティ「あの……姉さん?なんか、この世界勝手に終わっちゃったんだけど」
ティーナ「脆かったねぇ、思ったより」
ルーティ「……姉さん?」
マール「そんな世界、世界の裏側に封印しちゃえっ!!」

 こーしてレザムヘイムの裏には見捨てられた世界が生まれたらしい。


             つるかめつるかめ。


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 関係者の皆様、ご迷惑おかけしました。
 時代劇編、予定通り無事終了しました(笑)
 あー、疲れた。
 やっぱりギャグ書いてるとき狂ってるわ、僕(苦笑)

  って、連続何投稿目だ!?(汗)