まだやるんです、なんともすみませんね(苦笑) 登場人物紹介 風上日陰 ……13歳の少年探偵。今朝不幸の手紙を貰った。犯人ではない。 ハイドラント ……日陰の助手。13歳マニア。犯人ではない。 来栖川空 ……被害者。ある意味サクリファイスかも。犯人ではない。 ジン・ジャザム……警部。前回の事は忘れよう。犯人ではない。 ルーン ……容疑者その一。暗殺者。犯人ではない。 ディルクセン ……容疑者その二。テロリスト。犯人ではない。 健やか ……容疑者その三。鍋料理屋。犯人ではない。 まず今回の事件を説明しよう。 前回前々推理ではなかったので、今回はちゃんと推理の醍醐味である犯人当てだ。 被害者は来栖川空、15歳のピチピチ美少年。彼は発見当時誰もいない部屋の中央で死ん でおり、高圧電流によるショック死と推定。窓とドアには内側から鍵が掛けられていた。 いきなり密室殺人である。ちなみに天井はちゃんとあるからトンチではないぞ。 死亡推定時刻は昨晩深夜1時。当時彼の自宅の近くで目撃された不審人物は腕利き暗殺者 ルーン、都市テロリストディルクセン、キノコ鍋料理屋健やかの三人。 「ていうかいきなりルーンとディルクセンが怪しいんだが」 ジン警部はなんとなく白い目で地の文を見た。読むなよ。 「警部、そう思うのが素人の浅はかさってヤツよ!」 「いや、俺一応警部なんだがな……」 「ジン警部、そんな事より死体に奇妙な特徴があるって言ってただろう?」 「ああ、そうだ。まったくムゴい事をしやがるぜ」 ハイドラントの声に、ジンは一枚の写真を差し出した。 それを覗き込んだ日陰とハイドラントの顔が蒼白になる。 「そ、そんな…!!」 「バカな…美しいだと!?」 そう、写真の中で死んでいる来栖川空は見事なまでに美しかった。 フリフリのドレスを着て髪にリボン、顔には薄化粧をしてその姿は驚くまでに清楚な印象 を醸し出している。鏡の前で死ぬその顔はいっそ満足げですらあった。ここまで女装の似合 う死体も滅多にあるまいと思われる。 ハイドラントはごくりと唾を飲み込んで、言った。 「世界で一番美しい屍体、とかぬかす気かコラ」 いえ、某二つの頂点とかいうドラマとは一切関係ないんです本当です信じて下さい。 「殺した上にこれかよ……まったく許せねえぜ」 ジンは辛そうに唇を噛んだ。無理もない、来栖川空を今後は一切サクリファイスにしては ならないと宣言したのは、他ならぬジンその人なのだ。 日陰はこほん、と咳払いしてからジンを見上げた。 「警部、それで容疑者達はどうなってるの?」 「ああ、隣の部屋に全員拘束している。どいつが犯人かはわからねえけどよ」 日陰は扉にはめ込まれたガラス窓越しに三人の容疑者達を眺めた。 ふと、その眉が跳ね上がる。 「あの、ディルクセンって人は……」 「何か気付いたのか!?」 「ヅラでしょ?」 ぶふうううっ!!! 日陰のセリフと同時にディルクセンはもんどりうって椅子から転げ落ちた。 ジンは感心したように何度も頷く。 「うむ、いつもながら見事な観察眼だ」 「ちょっと待てコラ!! 誰がヅラやっちゅーねんこのガキャアッ!!」 思わず関西ヤクザ語で叫ぶディルクセンを見て、日陰は鼻を鳴らした。 「ふっ、語るに落ちたとはこの事!! 犯人は貴方ね!!」 「何でだああああああっ!!」 「貴方はきっと何らかの特殊な物品をそのヅラの中に入れて、何らかの特殊な方法でそれを 使って被害者を殺害したのねっ!!」 「フザけんなあああああっ!! 何だその特殊な方法ってえええええっ!!」 「それはこれから署でゆっくり聞くわ」 「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!! 大体俺はヅラちゃうわぁぁぁぁぁっ!!」 ディルクセンはそう叫ぶと自分の頭に手をやり、髪を強く引っ張った。 びくともしなかった。 間の悪い沈黙が流れる。 「……とりあえずこの人テロリストなんでしょ、警部?」 「これ以上ないってくらいな」 「んじゃとりあえず別件逮捕して後で無理矢理ゲロさせるってコトで」 「了承(1秒)」 「待てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ディルクセンは両腕を捉えられ、ドップラー効果を起こしつつ連行されていった。 日陰はふう、とため息を吐くと二人を見つめて言った。 「じゃあ真犯人を割り出しにかかろっか♪」 「……真犯人? じゃあ今のは一体……」 ハイドは当然の疑問を口に仕掛けたが、微妙な殺気を感じたので止めておいた。 そんな助手に構わず、日陰はしげしげと両人を値踏みするように眺め、おもむろに一方を 指差して言った。 「そこの貴方、ルーンさん!!」 「ん?」 「貴方!! 貧乏ねっ!!」 どんがらがっしゃん。 「何だいきなりーーーーーーーっ!?」 「私には分かるわ!! その飢えた野良犬のような眼、殺気すら漂わせる雰囲気!!まさに 貧乏人の象徴よっ!!」 「貧乏はそのとおりだが飢えた雰囲気は当たり前だろっ!! 暗殺者なんだから!!」 「とうとう馬脚を現したわね!! 貴方は貧苦のあまり被害者をスタッブしたんだわっ!! 警部、逮捕っ!!」 「おうっ!!」 「あのなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 いきなり逮捕されてしまったルーンはずるずると引きづられて退場した。 ハイドラントはつつっと冷や汗を流しつつ呆然とそれを見ている。 「いくら何でもそりゃねーだろ……?」 大体被害者の格好の理由とか密室トリックとかが明らかになってないんだが。 日陰はとんとんと肩を叩くと、地の文を読んだように言った。 「さあ、邪魔者も消えたところで…真犯人を推理しよっか」 「えええええーーーーーーっ?」 ハイドは無茶な展開に思わずずっこけた。 日陰はふっふっふと笑いながらびしっと最後の容疑者を指差す。 「健やかさんっ!! 犯人は貴方ねっ!!」 「違うよ」 あっさり。 ………………………。 「違うと言われても貴方が犯人なんだもん」 「えー……僕が犯人って証拠はどこにあるんだい?」 問われた日陰は再びしゃきっと元気になって叫んだ。 「古来より最も有力な証明手段……消去法よっ!! 残った貴方が犯人!!」 「そんなの無茶だよー」 「無茶じゃないもん!! 『かまいたちの夜』だって全員入れたらクリアできたもん!!」 「……それは余計無茶じゃないか?」 ハイドラントはがくっと肩を落とした。 人はさすがにこりこりと頭を掻きながら日陰を見やる。 「あのな……いくら何でもトリックや動機を当てないとオチはつかねーんだぞ」 全員の否定に遭い、日陰はむうと押し黙る。 しばらくの間沈黙があった。それはとてつもなく重く、鉛のようですらあった。 でも鉛のような沈黙って具体的にどんなもんか想像つかねーよなあ、とハイドラントは 密かに思った。 やがて日陰が上の方を見上げて、天啓を得たと言わんばかりに叫んだ。 「そうか! 犯人は健やかさんでもルーンさんでもディルクセンさんでもないわ!!」 「何だと!? 日陰、解けたのか!?」 「三人とも違うだって? そんな……何故断言できる!?」 ハイドとジンの言葉に、日陰は上を指差して言った。 「ほら見て!! (↑)の方の人物紹介に犯人じゃないって書いてあるわっ!!」 『……は』 助手と警部は同時に叫んだ。 『反則だーーーーーーーーーーっ!!』 日陰はそんな二人を無視して、ふふっと笑った。 「やっぱり犯人は別にいるのよっ!!」 「ええいっ、無茶な事をするなあっ!! 大体あれ見ると全員犯人じゃねーだろっ!!」 「ミステリーのお約束として、犯人は最初から分かってないとダメなんだぞ!?」 「犯人? ああ、それなら最初からいるわよ?」 何気ない口調で日陰は言った。 故にその台詞の持つ意味がハイドとジンに浸透するまでにしばしの時間を要した。 「犯人が…分かったってのか?」 「うん。犯人はね、共犯なのよ」 「共犯!? そんな、一体誰が!?」 ハイドの声に、日陰はくすくすと笑った。 「分からない? 単純な事なんだけどな」 読者への挑戦状 賢明な読者諸氏はもうお分かりになられたかもしれない。 既にこの時点で全ての鍵は出揃っている。後は貴方の推理一つだ。 ちなみに前もって言っておくと、分からなかったからといって貴方がお馬鹿さんだという ワケでは全くないし、きっとオチを読んだ貴方は作者を殺したくなるだろうから前もって これだけは言っておこう。ごめんなさい、僕が悪かったです許して下さい(汗) 「犯人はっ!!」 日陰は声を張り上げた。 「この作品を書いた作者と読んでしまった読者だぁぁぁぁぁぁっ!!!」 『フザけんなあああああああーーーーーーっ!!!』 ハイド、ジン、健やかの三人の叫びを受けて日陰はどきりとした。 「ええっ!? だって事件を書いたのは明らかに作者だし、読者が読まなければ事件は起こ らないままこの作品はネットの塵となる運命だったんだよ!?」 「馬鹿野郎、さっきから地の文読んだり登場人物表見たり、挙げ句の果てには作者ともかく 読者様まで犯人扱いかっ!!」 「賢明もクソも、こんなオチ予測する奴がいるわけねーだろっ!!」 そうかなあ。Lメモ読者なら結構予測してると思うぞ。 「ほ、ほらそれにさっきの挑戦状の最後に『僕が悪かったです』って自白が……☆」 「アレは自白じゃなくて読者への謝罪だ馬鹿者」 「はあ……何だと思えばメタミステリオチかよ……」 作者は良く知らないけど、こーゆーオチはとっくに出尽くしてるんでしょうな。 特にbeakerさんと水野君とNTTTさんはまず確実に予測してたと見た。 「大体犯人が作者なら、空に女装させる必要ねえぞ。どう説明するんだ?」 ハイドラントのセリフに、日陰は深い深いため息を吐く。 そして観念したように、静かに語り出した。 「正解は空君が女装して自分の姿を鏡で見たらあまりの美しさにびっくりして電撃が走って 感電して死にました。以上」 一瞬、誰もその言葉の意味を理解できなかった。 しばらくの後、ハイドが恐る恐る呟く。 「……もしかしてそれ、事件の真相か?」 「うん」 「何でそんな事知ってるんだ?」 「だって今日の朝ポストに入ってた不幸の手紙に書いてあったもん」 そういうと日陰はぴしっと懐から葉書を取り出した。 一同はその文面をよーく見つめる。 『前略、この手紙は不幸の手紙です。この手紙を受け取った人は五人の人に同じ文面を書 いて回して下さい。この手紙を守らないと予想されるって言うか始めたこの僕、来栖川空 は女装した自分のあまりの美しさにショック死するかもしれません。かしこ』 しかもごていねいに女装した自分の写真が貼り付けてある。可愛い。 「……………」 しばらく誰一人として口を聞く事は出来なかった。 日陰はふっと哀しげに笑うと、手紙を大事に撫で付けた。 「空君……そんあに自分の女装姿を広めたかったのね。でも写真は模写できないと思うな」 「ンなアホな……」 ハイドは今度こそ脱力してその場にへたり込んだ。 「空……文末に『かしこ』まで付けるとは…てめえ、本物だったんだな…」 何が本物だと言うのか。その横で健やかがぶんぶんと首を振って苦しんでいた。 「嘘だぁぁぁぁ!! 僕が創造したキャラはそんな奴じゃないぃぃぃぃぃっ!!」 そんな彼を横目で見ながら、ハイドは聞いた。 「しかし日陰、分かってたんなら何で最初から言わなかったんだ?」 「えっ?」 虚を衝かれた、というように日陰は瞬きする。それから、あっさりと言った。 「だって、そんなオチつまんないじゃない?」 「…………」 今度こそ一同は声を揃えて叫んだ。 『初めから言っとけーーーーーーーーーーっ!!!』 事件は解決した。 来栖川空は事故死と判断され、健やかは故人の名誉を回復するための運動を始めた。日陰の 推理に納得できなかったらしい。そらそうだ。 当の日陰は窓際で幸せそうにむらさきと共にパフェを頬張っている。 ハイドラントは聞きたくて仕方なかった事を口にした。 「なあ、日陰……本当はあの手紙と写真、偽造したんだろ?」 「……バレてた?」 日陰はぺロッと舌を出してみせた。 「まあ、とりあえず事件さえ解決すれば故人以外の名誉は守れるし……」 「バチあたりな奴だ」 「だって未来の世界で目覚めて過去へとやってきた暴走マルチに高圧スタンガンで感電死 されて女装まで加えられた、なんて言っても誰も信じないと思ったんだもん」 原作だとそんな死に方だったよね。過去ジャンプと女装はなかったけど。 「しかし……故人も哀れな。いきなり殺された上に死体弄られて女装マニア呼ばわりか」 「まあ、いいんじゃない? 死人に口無し、死体は文句言わないしね。……それに」 そう言って日陰はくすくすと笑った。 「死人は朽ち無し、故人も生者の役に立ててきっと喜んでるはずよ♪」 完 ========================================= なんかキャラの性格が著しく違いますね(笑) 日陰なんか既にL学でなくオレシカ・クライシスやオレシカ・ピンクハウス(byるーちゃん) の性格でやってたりします。 設定を壊された人はこの際諦めちゃって下さい、元々僕は設定キラーですから(苦笑) このシリーズはまだ少し続いちゃいます。今後もマトモな推理は一切出てきません。 それでもいいって人はやはり期待せずに次回を待つべし(笑) ではでは今回もおまけでシメです、またお会いしましょう!! ========================================= おまけ1「今日のハイドさん」 ハイド「ん? そーいや何か忘れてないか?(汗)」 ジン「おらあああああっ!! 余罪追及ぅぅぅぅぅぅ!!(ずばしいっ!!)」 ルーン&ディル「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!?」 その後、二人の姿を見た者はいない…… ハイド「まあ、思い出せないなら大した事じゃないよな?」 日陰「パフェおかわりー♪」 むらさき「むらさきもー♪」 ハイド「ちょっとは遠慮しろよお前ら(汗)」 おまけ2「撮影後のディルさん」 ディル「ふぅ…いくら撮影とはいえ、酷い目に遭ったなー」 冬弥「ディルクセンさん、視聴者からのおたよりが届いてますよ」 ディル「お、有り難い。やはりこういう視聴者の手紙が来ると頑張った甲斐が…」 『今回ディルさんのヅラが外れなかったのはやっぱり強力接着剤ですか? 亀仙人みたいですぅ〜〜うきゅ☆ 水野響』 ディル「(ぐしゃ)」 冬弥「デ、ディルクセンさん? 顔つきがさっきまでと……」 ディル「戦車で乗り付けるからそこを動くなクソガキィィィィィッ!!」 冬弥「ディルクセンさん、何があったんです!? ディルクセンさんっ!?」 ディル「くくく……フハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 冬弥「しっかりして下さい、ディルクセンさぁぁぁぁぁんっ!!」 本日の放送は全て終了しました。