「SS探偵」:言霊の力で無理矢理事件を解決する探偵の総称。 登場人物紹介 風上日陰 ……少年探偵。どんな事件も詭弁で解決。 ハイドラント ……探偵助手。日陰にツッコミを入れる人。 風見ひなた ……被害者。日陰の従兄。 改ジン二十面相……犯人。謎のサイボーグ怪盗。 (注:この作品は探偵物ですがマトモではありません。 どんな結末でも怒らないと決心してからお読み下さい) 「そうか……鶴来屋に侵入して千鶴さんの部屋から秘宝『大天使のブラ』を盗んで逃げた のは貴方ね!! 改ジン二十面相っ!!」 愛と希望の少年探偵風上日陰が部屋の中央の人影を指せば、たちまち風舞い吹き荒れて、 現われたるはにっくき怪ジン二十面相。 「ククク……よくぞ見破ったじゃねえか。そうとも、この俺様こと改ジン二十面相の仕業 よっ!!」 不適に笑う二十面相を日陰はびしりと睨み付け、犯人ご用とハイドが飛び出す。ところ がはたまた二十面相、ジェットスクランダーで宙に舞い、マントをはためかせ高笑い。 「おっとそうはいかねえぜ。日陰、あれを見てみやがれ」 二十面相の指差す先を見てみれば、果たしてそこには巨大な箱が、そしてその中では縛 られ猿ぐつわを噛まされて、身動き出来ぬ大事な従兄。 「お兄ちゃん!?」 「見たかい。てめえの従兄は既に俺の手の内だ! この箱はフタを閉じると50%の確率 で致死性ガスの噴き出す仕掛け……フタを閉じれば中の風見は生死不明の霧状態っ、即ち 『シュレディンガーの猫』状態だ!!」 叫ぶ少女に無慈悲な言葉、思わず怒ったハイドラントはなりふり構わず飛び出した。 「お前……一体それで何がしたいんだ?」 「え、えーっと? あ…うー、そ、そうだ!! 風見の命が惜しければ俺に近づくな!!」 「ならこんな箱じゃなくて手っ取り早くギロチンでも用意すりゃいいのに……」 「俺は人道主義者なんだっ!!」 二十面相の卑劣な罠に、日陰はさすがに悩み苦しみ手も足も出ぬ様子。 「えいっ、純白の衝撃に潰えよ♪」 「げがふうっ!?」 地の文無視した悪行非道、日陰は何のためらいもなくあっさりジンをブチのめし、助手 は呆気に囚われる。 「あ、あーーーーーっ!? 攻撃するか普通ーーーーーっ!?」 「だーーーっ、てめえ何しやがるっ!! ええい、こうなりゃ箱を閉じてやらあっ!!」 一声叫ぶと切れたジン、気合一発スイッチオン。そろそろ疲れるこの地の文、にも関わ らず舞台は進む箱は閉じる。おまけにブシューッとヤバい音、風見は絶体絶命か。 「ブシューッっておい……霧状態も何もねえだろ、今の音……?」 「はっ、俺とした事が防音装置を付けるのを忘れてたか!?」 慌ててハイドは箱へと走り、確実に死んでると思いながらもわずか一縷に望みを賭けて、 箱を開ければ果たして果たして。 顔が紫色になってぐったりして脈が止まって息してない風見がそこに横たわる。 「ってやっぱ死んでるーーーーーっ!?」 「日陰っ!! これはてめえが殺したんだからな、てめえが攻撃したのが悪いんだぞ!!」 責任転嫁と言い切れぬ、ジンの避難を聞いてなお自信たっぷり我らの日陰。 ちっちっちっと指を振り、手に掲げるはかの有名なオロナイン軟膏。 あまりのことに衝撃を受け、ハイドとジンは開いた口も塞がらぬ。 「オ…オロナイン?」 「お前…それ、どーする気だ?」 「これは巷ではどんな怪我も治ると評判のオロナイン!! さて、ここで問題ですっ!! これをこの箱の中に放り込んで何かしらの未知の現象によりお兄ちゃんが生返る可能性は どのくらいあるでしょうか!?」 『いっ、生き返るワケあるかーーーーっ!!』 思わずハモって叫ぶハイドとジン、その心中はいかばかりか。かくもさても風上日陰、 何を思ってこの行動。気でも触れたか錯乱したか、一体全体どうした事か。 「本当に!? 絶対そう言い切れるの!? 宇宙の不思議力とかオーラパワーとか未知の 化学反応とかそんなことは起こらないなんて断言できるの!?」 「アホか貴様はっ!! 100%絶対確実完全無欠に間違いなく不可能だろっ!!」 叫ぶジンはさておいて、日陰はハイドに腕を突きつけ同意せねば撃つとばかりに脅迫 まがいの大説得。 威力を良く知るハイドラント、ついついこくりと頷いた。 「あー、まあ一応近代思考だとどんな事にも不確定要素があることになってるから……、 もしかすると億…いや、兆に一つくらいは…あるかも知れんが」 「つまりマスターは0.00000001%の確率であると言うのね、分かったわ!!」 そう言うなり止める暇もあればこそ、日陰はオロナインを放り込みバタンと一気にフタ をした。すぐさまブシューッと音がして、ヤバげな沈黙周囲に募る。 ハイドとジンはその無茶加減に上手いセリフも思い付かぬ。 「し、死体損壊ーーーーっ!?」 「なんてことしやがんだこの探偵ーーーーっ!!」 「死体損壊? 違うわ、だって今のお兄ちゃんは生死不明の霧状態だもんっ!!」 「お前、そりゃあくまで一つの量子力学的な喩えであってだな、実際に霧になった訳じゃ」 「さあ、そんなトコロでオープンっ!! 果たしてお兄ちゃんの生死や如何にっ!? 1・2・3、はいっ!!」 どこからともなくファンファーレが響き、無数の鳩やリボンと共に現れ出るは死んだ はずだよ風見ひなた!! 「ふー、良く寝た。あれ? ハイドさんもジンさんも死人を見たような顔でどうしました?」 「ほーら、復活♪」 『何故ーーーーーーーっ!?』 ハイドとジンは思わず抱き合い、ガタガタ震えて歯の根も合わぬ。 対する日陰は平然と、肩を竦めて笑い顔。 「だってさっきマスター、1兆分の1の確率で生き返るって言ってたじゃない?」 「物の喩えだ!! ムチャクチャだ!! いくら何でもそりゃねえって!!」 「マスター忘れたんですか、探偵の基本を!! そうっ!!」 天才探偵風上日陰、胸張り背張り指突き付け、大きな声でキバヤシ断言。 「そのいちっ!! 『喩えほんの僅かでも可能性が残っていればそれは有り得る』!! そのにっ!! 『どんなに有り得なさそうな事でも起こってしまった以上は真実だ』!!」 「そりゃ探偵の基本じゃなくて不可知論のテーゼじゃねえかぁっ!!」 ジンの叫びも耳に届かずハイドはじーんと胸震わせ、日陰見上げて男泣き。 「そ、そうだったな!! さすが日陰、目からウロコが落ちたぜ!!」 「騙されてるーーーーーっ!?(がびーん)」 「だってキバヤシ断言だもの!! 無条件降伏!!」 「ま、待て。大体なんで風見の縄がほどけてんだ!? 俺、しっかり結んだぞ!?」 何とか日陰の詭弁に立ち向かおうと、ジンは必死の粗探し。しかしそれすら日陰に通じず、 軽い一言返るのみ。 「だって霧状態だもん、ほどけたに決まってるじゃない」 「喩えを鵜呑みにするなーーーっ!! それのどこが量子力学だああああーーーっ!!」 「今更何を言ってもムダムダ!! 起こってしまった事実は最早変えられないのよっ!!」 それを聞いた改ジン二十面相、とうとう諦め観念し、がくりと腰つき秘宝を差し出す。 「ま、参った。さすがの俺も異次元的思考には対抗しようがねえ……」 ハイドはぽんとその肩を叩き、同情混じりの苦い顔。 「『ジンさんスイマセン、俺日本語分からねえんです。気にすんな!』」 「『日本語分からねえ奴がSS使い名乗るなダボが』」 ………フッ。 「ジンさん……風見がようやく神牙の味方しても被害が広まるだけと痛感したって言って たぜ。何かコメントはないか?」 「遅すぎだボケ首吊って死ねヘタレが……と伝えてくれ」 「あの、僕ここにいるんですけど……?」 「じゃあ直接遅すぎだボケ首吊って死ねヘタレが今更何ぬかしてやがるカス」 「ううっ……涙が」 そんな男たちを見て、日陰はきょとんと呟いた。 「何自虐ごっこしてるの?」 その話はもう終わったんだから蒸し返さんでもいいってばよ。 そして夜が更け朝が来て、事件解決万事オッケー。 「ふう……相変わらず力業な推理だったな。何も推理してなかったよーな気もしないでも ないが。……で、報酬はいくらになったんだ?」 しかし日陰はきょとんとして、ハイドの言葉に聞き返す。 「え? 報酬って何の?」 「何のっ……って、改ジン二十面相捕らえて秘宝『大天使のブラ』を取り戻したんだろ? 鶴来屋からの謝礼が入ったんじゃないのか?」 「入るワケないよ。だって依頼なんて受けてないもん」 「へ?」 ハイドは口開け肩を立て、震える唇で日陰に聞いた。 「あの…じゃ、昨日のあれは何だったんだ? 改ジン二十面相は?」 「依頼じゃないから逃がしたよ。それより見て見て、どうかなコレ♪」 日陰が示してみせたのは、いつもそこそこの胸の、いつになくふっくりふわふわ膨ら んだ、とても良さげな艶姿。 「お、お前それ、もしかして大天使の……?」 「えへへ、これからずっとこんな13歳の美乳が見られるなんてマスターってば幸せ者☆」 「そ、そいつぁ窃盗だぁーーーっ!!」 ところが日陰は頭を振って、やれやれとばかりに大きな一息。自信溢れて満杯に、偉そう に言うはこのセリフ。 「違うよ、探偵はドロボーさんを負かしたらお宝を戴いていいんだよ!! それが探偵の 基本・その三なんだもんっ!!」 それにしたって横取りだ。一体全体今回も、収入ナシで如何にしてこの事務所を支えた ものか? ――そう絶望しつつも日陰の豊かな胸を見て、とまれかくまれ13歳の胸さえ あれば、そんなのちっとも問題じゃないなと思うハイドなのでありました。 「わーい、ぽよんぽよん♪」 「あっ、次はむらさきにも貸してねお姉ちゃん♪」 かくして無敵のSS探偵風上日陰の活躍で、街には再び平穏が戻るのでありました。 今日は東か明日は西か、日陰とハイドのごり押し推理は街に平和を運びます。彼らの 勇姿をもっともっとお見せしたいのですが、生憎時間と相成りました。それでは皆様、 またいずこかでこの探偵にお会いいたしましょう。 ではその時までご機嫌よう――。 完 (注)この作品は探偵物の振りをしていましたが全くマトモではありませんでした。 滅茶苦茶してしまったジンさんとハイドさん、さらにL学における推理の先駆者 であるbeakerさんを初めとする全ての探偵小説を愛する皆様へ。 ……ごめん、やっちゃった☆ ========================================= とゆーわけで、Lで推理モノ書こうとしたらこんなのになっちゃいました(笑) 推理というか探偵活劇ですね、なんか助手が全然活躍してないし。 こんな目茶苦茶な作品なのに、タイトル通りなんとあと3回続いてしまうのです。 ていうか既に原稿は作ってあってあとはタイプするだけだったりするのです(笑) 今回は少年探偵のノリなのでこんな地の文でしたが、次は本格推理ノリになりますので 読みにくくて二度と読みたくねえとおっしゃる方は見捨てないでお付き合い下さいませ。 あと先に言っときますが、萩島さんとbeakerさん、御免なさいヤっちゃいました(汗) それでは恒例のおまけで幕です、明日の第二回を期待せずに待ってて下さいな(笑) しかし投稿しようとしたら水野君が先にシュレディンガーの猫出してたのにはびびったな。 ========================================= おまけ「舞台終了後の千鶴ちゃん」 (SE)ズシン……ズシン……。 冬弥「はい、どーもお疲れ様でしたー!! どぞ、コーヒーです」 日陰「わーい、ADさん有り難う♪ ふー、美味しー♪」 (SE)ズシン……ズシン……。 冬弥「喜んでもらえて良かったっスよ」 日陰「そういえば、このブラはどうするの?」 冬弥「次回撮影に使うんで後でそこに置いといて下さい」 日陰「うん、オッケー♪」 (SE)ズシン……ズシン……。 日陰「ねえ、ところでさっきからこの地響き何?(汗)」 千鶴「(SE:ガラガラドシャァァァーーン!!) 日陰さんはここ!?」 日陰「わぁっ!? ど、どーしたの千鶴先生ドア粉砕して入ってきてっ!?」 千鶴「何にも聞かずに私に『大天使のブラ』を渡しなさいっ!!」 日陰「むっ……いくら理事長とはいえ、魔王たるあたしにその口の」 千鶴「二度とは言わないわ……渡しなさいっ!!(ギラァン!!)」 日陰「(びくうっ!!) は、はいいっ!?」 千鶴「フ…フフフ……これで、これで私の野望が……」 冬弥「ちょっと理事長!! それは撮影の(ザシュッ!!) うぐえっ!?」 千鶴「何人なりとも邪魔はさせないわ…私の長年の野望、『ムチムチ千鶴ちゃんトキメキ 23歳年齢相応の色気で耕ちゃん悩殺ダイナマイト☆大作戦』をっ!!」 日陰「わーーっ、ADさんがーーっ!?(汗)」 千鶴「そうそう、勿論あなたも他言無用よ。もし人に話したら…貴方を、殺します」 日陰「ひ、ひえええええぇぇぇっ!?」 美加香「ちょっと待って下さいっ!!」 千鶴「ぬうっ!? 貧乳娘!?」 美加香「そのブツは先生には渡せませんっ!! 私が戴きます!! そして雅史先輩と……」 千鶴「目的は同じという訳ね……小癪な小娘めっ!!」 ??「ちょっと待ったぁっ!!」 千鶴「くっ……新手のスタンド使いが!?」 初音「おらぁぁぁぁぁぁぁっ!! 姉貴にはそいつを渡すかよぉぉぉぉぉっ!!」 マナ「それは腕尽くでもあたしが貰うわよっ!!」 瑞穂「あの、それは私が……」 マルチ「はぅぅぅぅぅぅ!? 黄色い私がいるですぅ!?(ぺたぺた)」 千沙「ふぇぇぇぇぇぇ!?緑色の千沙がいるですぅ!?(ぺたぺた)」 葵「あぁぁっ!? 緑色の私はいるのに黄色い私はいないっ!?」 美加香「もー、割り込まないで下さいよぅ!!」 千鶴「フ…いいわ、かかってらっしゃい!! あんた達のエグレ胸を更に抉ってあげるわ!!」 貧乳ズ『キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!』 日陰「こ…怖い…貧乳って怖い…この魔王が気圧されている…!?」 でもって、数日後肝心のブツはどこに行ったかというと。 水野「えへへー、ひなたさんどうですかー?(ぷるぷる)」 風見「具体的に僕にどんなコメントを期待しているのかな、君は?(ひきひきっ)」 陸奥「(ぶふうぅぅっ!!)」 何故か水野君が装備していてしかも結構似合っていたそうな。 めでたしめでたし♪