メイドロボの実践における実用性に関する考察・その後 投稿者:悠 朔

  その日の授業を数時間前に終え、いつものように適当に校内をぶらつくのに
もそろそろ飽きてきた。いい加減に帰宅しようかと廊下を歩いていた佐藤昌斗
は、正面からDマルチ、Dガーネットのペアが歩いて来るのに気付いた。
  保安警備の為、この二人が見回りをしているのは別段珍しくないが、Dガー
ネットとの先の対戦から、まだ数日しか経っていない。
  多少含むところが無いでもない。
  そのまま通り過ぎようとしたところを、
「――佐藤サン」
  呼び止められた。
「……何?」
  やや険を含んだ問い。
  それにDガーネットは変わらぬ無表情のまま、
「――今度ハ手加減ヌキノ、アナタニ勝ッテミセマス」
  そう宣言した。
  昌斗は目を見開き、言葉を失う。
  ――感づかれてるとは思わなかったな。
  失礼シマス、と別れを告げるDガーネットを、昌斗は慌てて呼び止めた。
「次に剣道部に顔を出すのって、いつ?」
「――コチラノ予定デハ、二日後ニナッテイマス」
「O.K.じゃあその時に、今度は刀だけで勝ってみせるよ」
「――…………」
「…………」
「――負ケマセン」
「こっちもな」
  昌斗はニヤリと笑みを浮かべ、Dガーネットは無表情のまま、二人同時に逆
方向へ歩き出す。
  歩きながら窓の外へと視線を移す。
  蒼穹の映える、良い天気だ。
「っしゃあっ!!」
  布袋に収まったままの『運命』を振り上げ、昌斗は気合を入れた。


  川越たけるは困っていた。
  悠朔に呪いという名の鉄槌を加える。その決意のせいで上がったテンション
の為に忘れていた――或いはそれに意識を集中する事で忘れたふりをしていた
のかもしれない――が、今日はこの授業後に図書館カフェテリアでバイトがあ
る。
  当然、いつものように電芹も一緒にだ。
  だから困っていた。
  彼女は呪いなんてものに手を出していながら、超心理学的なもの。つまりは
幽霊、妖怪なんてものが大の苦手なのだ。  
  もしかしたら、電芹は妖怪の類なのかもしれない。授業中に朔が語ったその
言葉が、彼女を動揺させた。
  勿論、信じたわけではない。
  彼女が恐れたのは、電芹に自分の不安や恐怖を見せてしまうかもしれない。
その事だった。
  たけるにとって、彼女は無二の親友である。
  それは誰がなんと言おうが揺るがない事実だ。あんな詭弁の羅列に躍らされ
るほど、安っぽい関係であるつもりはない。
  しかしたけるが幽霊妖怪を恐れるのも、また事実。
  もしかしたら。
  そんな些細な疑問が電芹を傷付ける事。たけるはそれを恐れた。

  結局、時間いっぱいまで踏ん切りがつかず、いつものようにパニックを起こ
しながら飛び込んだカフェテリア控え室で、
「どうしました、たけるさん。まだ遅刻ではないですが?」
  その困ったように笑みを浮かべる電芹の顔を見て。その時得た安堵感によっ
て、たけるはそれが杞憂に過ぎなかった事を知った。
  とりあえず朔への呪い、八つ当たり気味に祟りにランクアップ。


  授業中、前言通りに逃亡した悠朔。
  川越たけるの呪いに対し、朔は自室を浄化した後に結界を展開。さらに多量
の依代(よりしろ)――呪いを受ける代替物となる呪具――を用いる事で直接
的な被害を回避する事に成功した。
  らしい。
  術が効果を果たしている以上、彼女の呪いは失敗したはずなのだが、その後
数日の間、彼はありとあらゆる不幸な事故に連続して巻き込まれるはめになっ
た。
  街角から飛び出してきた人影を避けた拍子にバナナの皮を踏んで転びかけ、
自動車に轢かれそうになったのを慌てて避けたら側溝の蓋を踏み抜いてドブに
嵌り、目の前を黒猫が横切りニヤリと笑いながらニャーと鳴く。
  一事が万事、そんな感じ。
  なにしろ祟られてるんだからしょうがない。
  事情を知る周囲の人間がたけるに謝る事を勧めたのに対し、彼は「単に偶然
が重なっただけだ」と主張し、呪いの発動は無かったと言い張っている。
  幸、不幸は気の持ちよう。
  そんなものかもしれないし、彼の意地であったのかもしれない。



  追記。

  Dガーネットと佐藤昌斗の戦闘観戦中、心停止で急逝したかに見えた九条数
馬が、後に担ぎ込まれた第一保健室――担当:相田響子――にて、奇跡の復活
を遂げたことだけ申し添えておく。
「いやぁ、死ぬかと思いました」とは、目を覚ました際の彼の言である。


===================================

  長くなったものである。
  感想はその一言に尽きます。
  そもそも何故ここまで長くなったのか、自分でもよくわからない。考察をひ
たすら続けて、ちょっと剣戟シーンを入れて、とやっていたら、いつのまにか
こんなに長くなっていた。というのが正直なところです。
 
  一応誤解の無いように言っておくと、私はGPMは好きです。人型兵器が活
躍する話、ゲームが嫌いな訳でもありません。
  リアルで実用性があるか?  という問いには、疑問を抱くだけの話で。
  ついでに言うと、GPMのように『前線という概念が希薄で、敵主力の主砲
に、装甲は基本的に役に立たない』なら、人型で避けまくるというのもありな
のかもな〜とか思わんでもないです。

  今回の話を書くにあたりいろいろと考えてみましたが、科学考証に矛盾点と
かが無いかどうか、正直自信がありません。戦術に関しても同様です。所詮、
素人考えですから。
  柳川先生ではないですが、もし意見などありましたら、聞かせていただけれ
ば幸いです。

  では、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


                                                            by  悠朔