Lメモ私的奇譚「日常あるいは平怨な日々:その1」 投稿者:ギャラ
「浩之ちゃん、おいしい?」
 校舎の屋上。
 超能力少女が先輩を突き落とそうとしたり、瑠璃子が電波を受信したり、はるかが日光浴をしたり、
夕焼けを見る盲目の少女がいたり(違う)、ギース様が突き落とされたり(さらに違う)する場所
ではあるが、昼休みともなれば弁当を抱えた生徒たちで賑わう、絶好の昼食スポットである。
 あかりと浩之も、ご多分にもれずここで昼食をとっていた。
「ああ、うまいぜ」
 しかも今日は、あかりの手作り弁当である。
 妙に生臭い――肉食動物のような――肉を囓りながら、浩之はそう答えた。
 なんとなく、弁当に入っている「熊の掌」とこの肉との関係が気になったが、聞くと不幸になり
そうな予感がするので敢えて問わずにおく。
「……しっかし、何だなぁ……雅史も四季もギャラもセバスもいない昼食ってのは、本当に
 平和でいいもんだよなぁ……」
 雅史はサッカー部の練習。四季は科学部でメカニックの仕事。ギャラは「喰われちゃった四天王」
を名乗る見知らぬ人々(笑)に追われて逃げ、セバスは芹香に呼ばれて消えた。
 ついでに言えば、EDGEもM・Kも耕一を追い回していて、ここにはいない。
 かくして、浩之はつかの間の平和を享受しているわけである。
「ああ……やっぱり平和が一番だよなぁ……」
「浩之ちゃんったら……お年寄りみたい」
 呆けまくっている浩之の横で、あかりがくすくすと笑う。
 それは、とても穏やかな日常。
 ――だが、その平穏を脅かす影はすぐそばに迫っていた。


「ううっ……あかり様ぁ……」
「ダーリン……わたしがそんなに邪魔なの……?」
「浩之ぃ……僕たち、ホモ達じゃないかぁ……」
 別の校舎の屋上からその様子をうかがって、ワカメ涙をでろでろと流す3人組。
 周囲の一般生徒が気味悪そうに逃げていくのにも気づかずに、3人はだらだらと泣き
続けていた。
 ……ちなみに、あかり達のいる校舎からは数百メートル離れていたりするが……
 愛の力って偉大だ。


        Lメモ私的奇譚「日常あるいは平怨な日々:その1」


「――よう、綾香」
「おはよ、ゆーさく」
 翌朝。
 登校してきたばかりの悠朔は、下駄箱の所で綾香とばったり出会っていた。
(ハイドの姿は無し。……ああ、今日はいい日だ……)
 なんとなく朝からささやかな幸せに浸る悠朔。
 こんな日は、「朝イチで学校に来て、それ貼っといてね〜」などとぬかして壁新聞を押しつけて
いった志保でさえもいい奴に思えてくる。
「ゆーさく、昨日のTV見た?」
「ああ、『やをい純一スペシャル』か? あの目撃者が言ってたしゃべる馬って、こないだ
 入学してきたとかいう……」
 下駄箱を開けた悠朔の動きが止まる。
 その視線の先、下駄箱の中には、ピンクの包装紙に包まれた小さな箱が鎮座ましましていた。
「……こ、これは!?」
 悠朔の脳裏に、幾つかの可能性が浮かび上がる。
(ダーク13使徒のトラップ……いや、イマジネーターとかいう奴も爆発物を使うらしいが……
 あるいは科学部のサクリファイス調達用の罠か……待てよ、暗躍生徒会の可能性も)
 素直に「プレゼント」とか「ラブレター」とかいう発想は出てこないらしい。
 さすがにL学園の生徒だけのことはある。
「何固まってんのよ……って、あーっ!」
「ま、待て、綾香! 危険だ、触るな!」
「危険……? 何でよ?」
 そう言いながら、綾香は興味津々の体で下駄箱を覗きこんでいる。
「しっかし、ゆーさくにこんな物がくるとは……アンタも結構人気あったりするんだ?」
「人気……?」
「だって、コレどう見てもラブレターか何かじゃない」
(――そうだったのかぁぁぁ!)
 がびーん。
 綾香の言葉の内容より、その可能性が思いつかなかった事にショックを受ける悠朔。
 まあ、この学園で男性が女性から告白された例って数える程だし。しかも耕一や浩之みたいに
不幸になってる例も多いし。
「――ね、ね。中見せてもらっていい?」
 しかも、綾香はその事に嫉妬も何もしていないらしい。
(――がびびーん)
 再度ショック。
 まあ、それだけ信頼されているという事かもしれないが……なんとなくアウトオブ眼中と
言われているようで悲しい。
「……だから、何で固まってるの?」
「いや……ちょっと悲しくなってな」
 目尻に浮かんだ涙を、気づかれないようにそっと拭う悠朔。
「じゃあ……開けてみるか」
 ゆっくりと包装を開く。
 中から出てきたのは、チョコレートと、ピンクのハートマークを散りばめた便箋が1枚。
「これはもう、間違いないわね」
「どれどれ……」
 便箋を開く。すると、そこには……

     「         愛しのゆーさくへ。
      俺はお前と競いあううちに、いつしかお前を愛してしまったらしい。
           お前が望むなら、綾香の事も忘れよう。
         どうか、俺のこの熱い気持ちを受け取ってくれ。

                           ハイドラント    」
           (丸文字フォントでお読みください)

「……」
「……」
「……」
「……」
「……ゆーさく。お幸せにね……」
 1分ほども石化していただろうか、ようやく綾香が呟く。
 その言葉で、脳死していた悠朔の精神が活動を再会した。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、綾香! 俺は別に……!」
「いいのよ、何も言わなくて……アンタが薔薇になっても、あたしたち、友達よね……?」
「あああああ、違うんだぁぁぁ! 誤解だ、綾香! これはきっと新手の嫌がらせ……!」
 血を吐かんばかりに力説する悠朔の言葉を聞いて、綾香は涙をこぼしながら、うんうんと
頷いた。
「いいのよ、自分の気持ちを誤魔化さなくても……そう、考えてみれば、喧嘩するほど仲が
 いいって言うものね。アンタたちの間に愛があっても、不思議じゃないのよ……」
「だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「大丈夫よ、ゆーさく。アンタたちの仲をとやかく言う奴は、あたしが許さないわ。そう、
 あたしは友達として、アンタたちを応援したげるわ……!」
「あああああ……」
 ゲシュタルト崩壊寸前に陥る悠朔。
「じゃあ、ゆーさく。さよなら……ハイドとお幸せにね……」
「あ、綾香ぁぁぁぁぁ!!」
 悠朔の絶叫にも振り向くことなく、綾香は走り去っていく。その後を追うように走る、
きらきらと光るものは、涙の帯か。
「あ、ああああああああああああ……」
 がっくりと膝をつき、ぼたぼたと涙をこぼす悠朔。
「ど、どうしてなんだあああああ……どうして、こんな事に……」
「――あれ、どーしたの、はるかちゃん?」
「おはよう、悠くん」
「……あ?」
 顔をあげる悠朔の目に、四季と雅史の姿が映った。浩之なしでこの2人というのは珍しい
取り合わせではあったが、今の悠朔にそんな疑問を感じる余裕はなかった。
「なんで泣いてるの?」
「ひょっとして……昨日浩之が言ってたプレゼントと、何か関係があるのかな?」
「……プレゼント?」
 雅史の発したその単語に、悠朔の耳がぴくりと動く。
「うん。何か、悠くんにプレゼントするとかって、昨日下駄箱に何か入れてたけど……」
「――そうかっ!」
 がばあっ!
 悠朔が飛び上がりそうな勢いで身体を起こした。
 雅史の手をとって、ぶんぶんと上下に振る。
「ありがとう、感謝する! では、俺は用が出来たからこれで!」
 それだけを言い残して、悠朔は凄まじい勢いで駆けていった。狩猟者モードの柳川にも匹敵
するほどの殺気をたたえた瞳が、獲物の姿を求めて鋭く光る。
 ふじたぁぁぁぁぁ、という叫びを遠く聞きながら、四季と雅史はにこやかに手を振っていた。
「――たまには、いい薬よね☆」
「僕たちをないがしろにした罰だよ」
 悠朔の消えていった方に手を振り続けながら、2人の頭の中は既に、半殺しにされるであろう
浩之の見舞いに何を持っていくかという事でいっぱいになっていた。


 そこから少し離れた、校舎の陰では。
「――お疲れさまでした、知音さま」
「んーん。まっ、ギブアンドテイクだからぁ☆」
「そうですね」
 綾香の姿から本来の姿へ戻る知音を前に、ギャラは1枚の写真に目を落としていた。
「――で、この方を薔薇に引き込めばいいわけですね?」
「そ☆ その人の彼女が可愛いんだけど、けっこう一途で……でも、そこがいいんだけど☆」
「任せるですよ……私ども薔薇部の力を持ってすれば一般生徒の1人や2人……」
 顔をあわせて、にやりと笑いあう2人。
「そちも悪よのぅ……」
「いえいえ、お代官さまこそ……」
 ふっふっふっふっふ。
 2人の怪しい笑い声が、すがすがしい朝の空気を汚すようにこだました。


 追記。

 本日、藤田浩之(2年)が情報特捜部部長の悠朔(同)によって5分の4殺しにされるという
事件が発生した。被害者の友人である神岸あかり(同)は、友人の四季(同)に呼ばれて席を
はずしていた為に被害を免れた模様。
 被害者は通りすがりの校内巡回班によって救助されたが、原因については「心当たりは
ない」と主張している。風紀委員会捜査班は、「まあ、藤田だし……」として捜査を
打ち切る方向で検討を続けている。
(同日の情報特捜部の原稿より抜粋)

===

 とゆーわけで、自分サルベージ計画発動!(核爆)

 ……いや、アレな動機ですけど……だってもう、世間のイメージがセバスゥナガセとか
セバスゥナガセとかセバスゥナガセで固まってる気がするんですもの!
 このままじゃ「喰われちゃった五方陣」がシャレじゃなくなりそーですし。
 魔法老女に喰われたなんてことになったら、末代までの恥じゃないですかぁぁぁぁぁ!(血涙)

 とりあえず、セバスゥナガセとギャラの出現比率を現在の9:1から、せめて6:4
くらいにするべく頑張ってみよーと思い立ったわけですよ、しゃちょー。
 そのために、ギャラ自身の出るLメモを、薔薇部なんかを中心に書いてみよーと思います。
薔薇部な関係上、犠牲者が数限りなく出るかと思いますが、心を広く持ってお付き合い下さい
ませ(爆)

 今回もいきなり、悠朔さまとハイドさまにしばかれそーな話書いてますし。
 割とリベンジにビビる今日この頃です(汗)
 まあ、開き直ってたりもしますけど(笑)

>風見さま

 いっしょに死にましょー(汗笑)
 地獄の底までお供しますよ(汗)


それでは。