Lメモ外伝/テニス大会編「First play tennis by FENNEK」 投稿者:FENNEK
「あの〜、すみませ〜ん」
 試立Leaf学園。
 初めてここを訪れた大抵の者にそうであることの意味を問われてしまうほどにやたらと
だだっ広い校舎の一角にある、工作部部室。
 工具やら機材やらが立ち並ぶその部屋に、少女の声が響き渡る。
「・・・・はい?」
 FENNEKはその声に反応し、右手に持っていたペンチを作業机において入り口の方
を振り向いた。
 身長は平均的。やや細身の青年である。制服の上に、着古した革ジャンを着込み、そ
の風体にはあまり似合わないような眼鏡を着用している。
「何か?」
 FENNEKの視線の先には、彼と同じように眼鏡をかけた気弱そうな少女が佇んでい
た。
「あ、あのっ、生徒会の藍原ですけど、菅生先輩はいませんか?」
 眼鏡の少女〜藍原瑞穂〜はFENNEKに尋ねてくる。
「部長なら今テニスコートの方にいるけど?」
「ひょっとして、例のテニス大会ですか?」
「ええ。温泉旅行はいただくって張り切ってましたよ」
 もうすでに校内ではこの話題で持ちきりである。
 暗躍生徒会主催の校内男女混合テニス大会。
 男女ペアであれば参加資格制限はいっさい無し。
 そして、優勝賞品は『鶴来屋への温泉旅行』。
 学校内の有力者達は、こぞって参加を表明している。予想以上に大きな大会になりそう
である。
 工作部部長、菅生誠治も同級生の柏木梓と共に優勝を目指して練習の真っ最中だった。
「じゃ、じゃあ美加香さんは・・・?」
「『さあ、美加香! SS不敗流庭球格闘術を完成させるんですっ!!』とかいって風見
さんが連れてっちゃったよ。・・・・そういやちょっと目がヤバかったような気がするな
あ、あのときの風見さん」
(美加香さん、かわいそうに・・・・)
 その時の状況が手に取るようにわかってしまう瑞穂であった。思わず天に向かって祈り
を捧げてみる。
「ええっと・・・それじゃ保科さんでもいいんですけど・・・?」
 やがて、気を取り直してFENNEKに再度聞き直す。
「保科さんも八希さんと特訓するって出ていったきり。秘密兵器がどうのこうのとか言っ
てたっけなあ」
 ちなみに、新入部員の陸奥崇もテニス参加を表明し練習に出ていってしまっている。
 つまり結局のところ、今この場にはFENNEK以外誰もいないということである。
 瑞穂は溜息をついて呟く。
「・・・・困ったなあ」
「なんの用なの?」
 その様子に、FENNEKは怪訝そうに尋ねる。。
「実は今月の工作部収支報告にサインが欲しいんですけど・・・・」
「それ、今日中じゃないとまずいの?」
「ええ。できれば夕方までにはもらいたんですが・・・」
 瑞穂の話を聞いたFENNEKはしばらく考え事をしていたが、やがてひとつ頷くと瑞
穂に声をかける。
「ふむ・・・。それじゃちょっと行きますか」
 そういってFENNEKは立ち上がると、瑞穂の立つ入り口へと向かう。
「え、どこへ?」
 FENNEKの突然の行動に面食らっている瑞穂の横を通り過ぎながら、FENNEK
は片手上げて応えた。
「決まってるでしょう?・・・・部長のところにだよ」












 Lメモ外伝/テニス大会編
  「First play tennis by FENNEK」












 パコーンッ パカーンッ・・・・

 やたらと小気味よい音が辺りに響き渡る。
 飛び交うボール。空を切り裂くラケットの軌跡。右に左にボールを必死に追いかけるプ
レイヤー達・・・。
 飛び散る汗を太陽の眩しい光がきらりと光らせる。
 パートナーへのかけ声が、指示が、時には罵声があちこちから飛んでいた。
 学園内、テニス練習場。
 ときどき無意味に思えるほどにスケールのでかいこの学園の多分に漏れず、テニス場も
やたらと広くつくられている。ぱっと見ただけで十面以上は用意されているであろうこと
は十分理解できるほどに。
 しかし、Leaf学園にあるテニス部は、この学園の総生徒数に比べると意外なほどに
小規模なのである。そのため、せっかくのテニス場も普段はあまり人気のなく、まるで首
都にある某埋め立て地のごとく寂れた雰囲気を常に漂わせていた。
 だが、暗躍生徒会が例のイベントを告知してからというもの、練習場はかつて一度たり
とてあり得たことなどないほどの賑わいをみせていた。練習に精を出す参加者たちはもち
ろんのこと、普段から騒動やお祭りに飢えている一般生徒たちによる野次馬も多数集まっ
てきていた。
 FENNEKと瑞穂の二人は、練習場に到着するとすぐに相手を探して場内を歩き回る。
 目的の人物はすぐに見つかった。
「お、いたいた・・・・・おおい、誠治さーんっ!」
 ちょうど練習にも一段落ついたらしい。片手にスポーツタオル、片手にドリンクを持っ
た誠治が額の汗を拭きながらテニスコートから上がってくるところだった。
「おう、FENNEK。どうした?」
 誠治はFENNEK達の姿を認めると、さわやかに笑いながら用件を尋ねる。
「生徒会の藍原さんが部長のサインがほしいんだそうです」
「菅生先輩、練習中にすみません。これ、今日中に責任者のサインが必要なんです」
 瑞穂が収支報告とサインペンを取り出しながら誠治に用件を説明する。
「そうか。すまないな、藍原君」
 誠治はにこやかに笑いかけると、サインペンを受け取り手早く書類にサインを書き込む。
「ほい、できた。ご苦労さん」
 書き込んだ書類とサインペンを渡しながら、誠治は少し意地悪げに瑞穂に聞く。
「藍原君はテニス大会出ないの? 岩下君と?」
「え!? ええとその・・・・」
 その質問に瑞穂は頬を赤らめうつむいてしまう。
 誠治は瑞穂のその様子を面白そうに眺めていたが、やがて笑みを浮かべて瑞穂に告げる。
「ははは、冗談だよ。でも参加してみると面白いんじゃないかな?」
「そ、それじゃ練習頑張って下さい! 失礼します!!」
 あわてて挨拶して、瑞穂は少し小走りに練習場を出ていった。
 その後ろ姿を二人して見送る誠治とFENNEK。
「彼女と岩下君、出場するとなると結構手強いんだよなあ・・・」
「ならあんなこと言わなければいいじゃないですか・・・・。
 さて、それじゃ俺も部室に戻ります」
 そういってFENNEKも部室へと戻ろうとする。だが・・・
「おっと、FENNEK。ちょっと待て」
「なんです?」
 誠治に呼び止められ、FENNEKは数歩のところで立ち止まる。
「いやなに、せっかくここまで来たんだ。少しぐらいテニスやっていったらどうかなと思
ってな」
「テニス、ですか・・・・」
 その誘いにFENNEKは少し考え込む。
「そうだよFENNEK。部屋にばっかり閉じこもっていると体がなまるよ。
 って、あんたの場合は『錆びる』かな?」
 いつの間にか傍に来ていた誠治のパートナー、柏木梓も誠治と共にFENNEKを誘う。
「そうだ。梓の言うとおり、少しはスポーツもやってみろ。やり方なら俺が教えてやるか
ら」
「・・・・そうですね。やってみますか」
 二人の言葉を受け、FENNEKは誘いを受けることにした。
 ・・・・・実はFENNEKもテニスに興味を持っていたので、この申し出には少なか
らず嬉しかったりするのだが。
「それじゃちゃんと着替えてこい。着替え室は向こうにあるから」
「はい!」
 FENNEKは気合いの入った返事をすると、着替え室の方に向かって歩き出した。








「さて、テニスの基本だが・・・ってなにをやってる?」
「なにって・・・テニスですが」
 説明を始めようとした誠治の目が半眼になる。その視線の先、つまりテニスウェアに着
替えたFENNEKはさも当たり前のように答えてくる。
 FENNEKは、誠治から見てちょうど真横に体を向けていた。両手で持ったラケット
を右に左に振りながら誠治の方をしっかりと見据えている。そして振り上げた勢いでその
ままラケットを直上方向に持ち上げ構える。
「さあ、いつでも来てください!」
「来てくださいって・・・・あのな、そりゃ野球の構えだ」
 呆れ声で突っ込む誠治の言うとおり、それは見事なまでの野球のバッティングスタイル
だった。
 その言葉を聞いてFENNEKは意外そうな顔を浮かべる。
「え、そうなんですか!? 前にテニスってのはこういうもんだって教えてもらったんで
すけど・・・・違うんですか!?」
「思いっきり嘘に決まってるだろうがっ!」
 誠治は思わず怒鳴り返す。
「ええっと・・・それじゃこうですか?」
 そう言ってFENNEKはラケットを下に向けてそのまま固定すると、視線もラケット
の先の辺りにむける。そして、ラケットをそのまま弧を描くように後ろに持ち上げると勢
い良くすくい上げるようにフルスイングをかます。
「そりゃテニスじゃなくてゴルフだあああああああああああああああああっ!!」
 誠治、もはや呆れを通り越して絶叫。
「誰だ、FENNEKにこんな嘘を教えた奴はっ!?」
 頭を抱えてうずくまる誠治。FENNEKはそんな誠治を見て、慌てていろいろと記憶
にあるかぎりを試してみる。だがどれもすさまじいまでに勘違いの応酬だった。バトミン
トンやらホッケーやらラクロスやら・・・・果てはビリヤードまで出てきた頃には、誠治
は突っ込む気力すら尽きてしまっていた。
「・・・・・どうしてそんだけ知ってて、テニスだけは出てこないんだよ・・・・」
 コートに寝っ転がり、疲れたようにのの字を書く誠治。傍で成り行きを見ていた梓が一
言呟く。
「こりゃ筋金入りだわ・・・」

 結局。
 FENNEKにテニスのなんたるかを教えるだけで一時間以上の時間を費やしたことを
ここに追記しておく。








「なんか俺・・・・始める前から満身創痍なんだが・・・・」
「まあまあ、とりあえずFENNEKも基本は憶えたんだからいいじゃないか。それより
あいつが忘れないうちにとっとと始めようよ」
 疲れた表情の誠治の肩を叩いてそう言うと、梓はさっきから憶えたてのテニスのフォー
ムを繰り返し練習するFENNEKに声をかけた。
「お〜い、FENNEK。実際にボール打ってみようか?」
「はい、お願いします!」
 FENNEKはそう答えてコートの、ネットを挟んでちょうど誠治と梓の立つ反対側に
入る。
「よし、それじゃ最初は軽くラリーでもやるか。こっちからボール打つからFENNEK
は飛んでいったボールを打ち返してくれ。こっちも返すから。まずは相手の前にちゃんと
返るように打つんだぞ」
 誠治の説明にFENNEKは了解のサインを送る。
 そして、ネットと平行に低く腰を落としてラケットを構える。
「さて、んじゃ行くぞ!」
 誠治はコートの対角線上に立ち、ボールを高く投げ上げる。そして、落ちてくるボール
にタイミングを合わせラケットを振り抜く。

 パコーンッ

 ラケットに打ち出されたボールは勢い良く飛び、FENNEKの手前でワンバウンドす
る。綺麗なオーバーハンドサービスだ。
「ようしっ!」
 FENNEKは気合いを入れるとボールにタイミングを合わせ、先ほど習ったフォーム
で打ち返す。腕を使わず、腰の回転でラケットを振る、基本的なグランドストローク(フ
ォアハンド)だった。だが・・・。

 バゴンッ!!

 ラケットに当たった瞬間すさまじい音がしたかと思うと、誠治達のの視界からボールが
消えた。
 誠治と梓がその事を認識するよりも早く・・・

 ドカッ!

「っぐぎゃああああっ!!」
誠治達の背後から悲鳴と、そして何かが倒れる音が上がる。
「な・・・・なんだ・・・・?」
 恐る恐る振り向くと、そこにあった別のテニスコートに倒れている男が見えた。そこで
練習していた参加者のひとりらしい。同じコートで練習していた他の生徒達もいったい何
が起きたか理解していないようでおろおろしているばかりだった
「誠治っ、あれ、あれっ!」
 何かに気づいた梓が指を指して誠治に囁く。見るとその指の先にはテニスボールがひと
つ落っこちていた。・・・・・血に塗れたボールが。
「ええっと・・・つまり・・・・・」
 誠治はそこから事態の真相を推理する。答えはすぐに出た。
「FENNEK、ちょっと来い!」
「なんですか?」
 FENNEKは打ち返したときのラケットから伝わる感触をしばし味わっていたようだ
が、誠治の呼びかけに反応しこっちにやってくる。
「あのな・・・おまえ、力入れすぎ」
「はい?」
 呆れ声でそう言う誠治に、FENNEKは訳が分からず頭の上にはてなマークを浮かべ
ていた。



 つまり、こういうことである。
 人の姿はしているが、FENNEKは人間ではない。彼本性は古い車。命を持った車だ。
 彼にはいくつかの特殊能力があるが、そのなかに『怪力』というのがある。彼の心臓部
であるエンジンユニットは最大出力150馬力。つまり、それだけのパワーをFENNE
Kは出せるとうことになる。
 その彼が本気で打ち返したボールは一直線上に目にもとまらぬ速さで飛んでいき、誠治
達の間をすり抜け反対側のコートにいた男に命中、撃墜した・・・・というわけだ。



 後始末と、謝罪をすませた誠治達は元のコートに戻ってきていた。
「それじゃ今度はちゃんと打ち返せよ」
「は〜い」
(大丈夫かよ・・・?)
 その軽い返事に誠治は少なからず不安を覚えたが、とりあえずもう一度サーブを入れる。

 パコーンッ

 先ほどと寸分違わぬフォームで、まったく同じコースでボールはFENNEKの前に落
ちる。
「かる〜く・・・ねっ!」
 FENNEKはそう言ってボールを打ち返す。

 パカーンッ

 今度は一応普通に誠治の手前に返ってくる。しかし・・・。
「く、速いっ!?」
 軽く打ったとはいえ、馬鹿力の発揮されたボールはやはり速いものだった。誠治は慌て
て打ち返そうとする。

 バキッ

 だが、ボールを打ち返そうとした瞬間ラケットがはじき飛ばされてしまった。
「な・・・なんて重さだ・・・・」
 弾かれた腕を押さえて誠治が呻く。その後ろを飛ばされたラケットがカランと音をたて
て落ちていった。
「誠治、どいて。これは今のあんたにはつらい球だ」
「梓・・・・」
 その様子を見かねた梓がテニスコートに入ってくる。入れ替わりにコートの外に出る誠
治。梓は片手に持ったボールを地面にバウンドさせてもう一度つかむとFENNEKに宣
言する。
「それじゃ次はあたしが相手だよ」
「はい! お願いしますっ!」
 元気良く返事を返すFENNEK。だんだんテニスが楽しくなってきたらしい。
「それっ!」

 バコーンッ!

 気合いのこもったかけ声と共にオーバーハンドで打ち出されたサーブが、FENNEK
に向かって勢い良く飛んでいく。先ほどの誠治のサーブとは明らかに違う、エルクゥの力
全開のパワーサーブだ。
「よいしょっ!」

 バカーンッ

 FENNEKは常人なら打ち返せそうもない剛速球になんとかついていき、そのままの
勢いで打ち返す。
「やるねっ!」
 梓は不敵に笑うと、こちらも負けじと返ってくる剛速球を狙いをつけて打ち返す。
「テニスって、すごくたのしいんですねっ!」
 FENNEKは本当に楽しそうに生き生きとボールを返す。

 バコーンッ バカーンッ ドカーンッ・・・・

 なんかこう、もはやテニスの常識をどこかに置いてきてしまったようなすさまじい音と
共に右に左に続くラリーの応酬。
 梓とFENNEKは、この力と力のぶつかり合いを本当に楽しんでいるようだった。



「パワープレイヤー同士・・・・こんなにも派手になるもんなんだな・・・」
 コートの真横で二人の打ち合いを見ていた誠治は、驚きというより呆れに近い表情を浮
かべていた。
「これがテニス初心者のプレイかねえ・・・・」
 そう呟いてFENNEKを見やる。
 と、そこでひとつの案が頭に浮かんできた。
「そうだな・・・・これだけのパワー、惜しいよな・・・・」
 誠治はそう呟くと、梓とFENNEKのラリーを真剣に観察し始めた。



 やがて、この永劫に続くかと思われたラリーに決着が着く時がやってきた。
 FENNEKがだんだんラリーに慣れてきたことを悟ると、梓は少しずつ左右に揺さぶ
りをかけるようになってきた。
 最初はついていけたFENNEKもそのうち余裕が無くなっていき、最後は梓の放った
ロビングにバランスを崩してぶっ倒れてしまった。
 その場で座り込むFENNEKに、梓はラケットを肩に担いでにやりと笑いながら話し
かける。
「まだまだだね。精進しな」
「あいたたた・・・。でも楽しかったです。またやりましょう」
 そういってFENNEKは腕を差し出す。梓は少し照れたようだがFENNEKの手を
握り固く握手をする。

 ぱちぱちぱち・・・

 そこに軽めの拍手が響く。
「いや、初めての割には良くできた方だよ。これならもうすこし練習すれば結構うまくな
るだろうさ」
「誠治さん・・・」
 拍手を止めた誠治はやはり笑いながらFENNEKの肩を叩く。
「ところでな・・・・、今度のテニス大会、おまえも出てみないか?」
「大会に・・・ですか?」
 FENNEKはいきなりの言葉に驚く。立ち上がって誠治を正面から見つめる。
「そうだね、出てみなよ。これだけのパワー、ちゃんと練習すれば結構いいところまでい
けるんじゃない?」
 梓もそう言って誠治の意見に賛同する。
「俺達が大会に参加するのは、賞品の温泉旅行を三年の記念旅行にするためなんだ。その
ためにはできるだけ多くの三年生に参加して欲しいと思っていたんだが、おまえなら十分
優勝を狙える可能性を持っている。どうだ、やってみないか?」
「それはありがたいんですが・・・」
 FENNEKは歯切れの悪い答えを誠治に返す。
「どうした? なんか問題でもあるのか?」
 怪訝そうに聞いてくる誠治に、FENNEKはひとつ頷いて答える。
「この大会、男女混合ペアが条件じゃないですか。俺、パートナーいませんよ?」








「そうか・・・・パートナーか・・・・」
 誠治の溜息が部室中に響く。
 三人は練習を終えてここ、工作部部室にやってきていた。。
 そこでFENNEKのパートナーについて話し合うことになったのだが、良い相手がい
ないことに気がついたのである。
 三年の記念旅行として優勝を狙う以上、三年の中から見つけなくてはならない。だが梓
はすでに誠治と組むことが決まっているし、来栖川芹香は同じ三年の橋本と、そしてオカ
ルト研のトリプルGとも組むことが決定している。これ以上の負担を彼女に強いることは
できない。観月マナは三年ではあるが、実は三人ともあまり面識がない。いきなりテニス
大会のパートナーになってくれと頼んでも、素直に承諾してくれるような性格ではないこ
とは良く知っていたが。
 そうなると後は一般生徒ということになるが、学園内の有力者たち(平たく言うとSS
使いやLeafキャラたち)が多数参加する大会であるため、彼女らではまず太刀打ちで
きないという結論に達していた。
「いないねえ・・・・・」
 梓が呻く。
「いませんよねえ・・・・」
 FENNEKも相づちをうつ。大会には参加してみたいが、参加資格の最低限がクリア
されてないいまの状態ではそれも無理だろう。
「「「う〜ん・・・・・」」」
 頭をひねって良策を練る三人。
「お茶が入りましたあ〜」
 そこへ、ちびまるが湯飲みを三つ用意してきた。
 ちびまるはテーブルの上に湯飲みを置きながら、三人に聞いてきた。
「テニスですかあ、楽しそうですね」
「ああ、楽しいよ。打ち合いになると気持ちいいんだ」
「いいなあ・・・」
 その言葉にFENNEKが答える。ちびまるは少し羨ましそうだ。
 その様子を見ていた誠治はぽんっとひとつ手を叩くと、ちびまるに尋ねてみた。
「ちびまる、テニスやってみるかい?」
「え、できるんですか?」
 ちびまるは誠治の言葉を聞いて目を輝かせる。
「誠治さん、ひょっとして・・・・?」
 FENNEKは誠治の意図をすぐに察して、視線でその先を促す。誠治はにやっと笑っ
てその疑念を肯定する。
「ああ。ちびまるにFENNEKのパートナーをやってもらおうと思ってな」
「ちびまるで大丈夫なのか、誠治?」
 その成り行きを見守っていた梓が、ちびまるに聞こえないよう小声で誠治に問いかける。
「なに、その辺りは我が工作部の技術力でもってなんとかカバーするさ。
 どうだいちびまる、やってみるかい?」
「はいっ! がんばりますっ!」
 ちびまるは誠治に元気良く答えを返した。
「よし、そうと決まったからには頑張ろうな。ちびまる」
「はいっ!」
 FENNEKとちびまるは固く握手を結んだ。








 こうして、FENNEK&ちびまるペアがテニス大会にエントリーしたのであった。



               ーとりあえず続くー