Lメモ 「知新見測」 投稿者:東西
(は、迅い!?)
 闇夜に二つの影が舞っている。

 片方は、SOS、全身を白で固めた少年、

 SOSの舞の相手をするは異形……妖魔と呼ばれる悪しき者。

 ここは、街にいくつもあるビルの工事現場の一つ、人気は幸いにもない。

 天井がないために、月の光のスポットライトに照らされながら二人は戦っていた。

 先程からSOSは、【戒めの洗礼】を、隙を見つけては、もしくは上手く死角をついて放っている。

 そう、数ある戦闘の経験から分かる隙をついている、しかし、相手はそれをあっさりとかわす。

 相手は、ニヤニヤと笑っているようでもある。

(くっ!遊んでいるのか!?)

 SOSの方も、致命傷は受けていない、しかし、細かな傷が白い服装に紅い華を咲かせている。

 妖魔が急に間合いを詰める。

(しまっ………!?)

 SOSが次に来るであろう衝撃に備えるが、

「ギィッ!」

 短い悲鳴と共に吹き飛んだのは妖魔であった。

「今のはやばっかたんじゃないですか?」

 割とラフな格好をした少年が話しかける。

 YOSSYFLAME、SOSとは初対面だが、偶々この場に現れたという風な感じの登場の仕方ではない。

「様子を見て、貴方強そうだったから遠慮しようとも思ったんですがね……押され出したので手を出した所存です。」

 最初から伺っていたようである。

「ど、どうも……だけど、まだ相手はやる気満々のようですよ……」

 SOSが、はじき飛ばされた妖魔を見る。

「タフだな……」

 YOSSYFLAMEが、手に持った木刀を構え直す。

「迅いです……気を付けて………」

 SOSも、構えと、いつでも能力を発動できる体勢に入る。

 一瞬の沈黙、

 妖魔が動く………が、

 いきなり足下から吹き上げた炎に妖魔が包まれる。

 SOSが【戒めの洗礼】を発動させる。

 よっしーが、その炎に切り込む。

 …………妖魔の断末魔が響く………… 


  Lメモ 「知新見測」


「はぁ、はぁ………」

 SOSが荒い息を吐く、が、YOSSYFLAMEは、まだ辺りをうかがっている。

 先の炎の正体を掴もうとしているようだ。

「大丈夫でしたか?」

 入り口の方に人影が見える。

「怪我してませんか?」

 ゆっくりと近付いてくる。

「誰だ?」

 緊張を解かずにYOSSYFLAMEが人影に問う。

「あ、そんなに殺気立たないで下さい、東西という者です」

 その人影は敵意が無いことを示すために両手を上げて、顔が確認できる範囲まで近付いてくる。

 相手に敵意がないようだと確認がとれてはじめてYOSSYFLAMEは緊張を解く。

「オカルト研究会の東西さん?」

 YOSSYFLAMEが問うが、

「! そちらの方、怪我してますね?」

 質問に応えずに東西が、SOSに近付く。

「全部軽い物で……」

 YOSSYFLAMEが、声をかけると共に東西は、治療をはじめる。

 みるみるうちにSOSの傷はふさがっていく。

「と、全部ふさげたと思いますが………他にありません?」

 東西が笑顔でSOSに尋ねる。

「いえ……何処も大丈夫のようです……」

 SOSが、身体のあちこちを動かし、確認をしながら答える……その表情は不思議そうだ。

 YOSSYFLAMEも、呆気にとられる。



「お二人とも有り難う御座います。私は、SOS、Leaf学園の一年生です」

 SOSが立ち上がって、二人に礼を述べ、自己紹介をする。

「お、後輩か!俺は、YOSSYFLAME、同じくLeaf学園の二年生だ」

「へぇ、ぼくもLeaf学園の一年生、東西です」

 …………よくよく考えるとこの街………警察いらないような気がする、いろんな意味で………

「あ、そうだ、皆さん家近いんですか?」

 東西のいきなりの質問に皆きょとんとしてしまう。

「あ、いえ、私は寮ですから」

「俺はどうでも良いし………」

 YOSSYFLAMEだけ答えが変………

 ………今何時?

「………もう、門限過ぎちゃってますよ?」

 東西が信じられないと言うような顔で聞く。

「いえ、転移が使えるんで特に関係ありませんから」

「寮に忍び込めば関係ないし、何処でも寝れる」

 二人とも大声で笑い出す。

『………お二人とも東西とよく似た思考の持ち主なんですね………』

 『命』が、懐から顔を出して言う。

 SOSの笑い声がぴたりとやむ、当然視線は『命』へと注がれている。

「妖精?」

「こんばんは、『命』ちゃん」

『名乗りが遅れました、「生命の精霊」で、『命』と申します、以後お見知り置きをSOSさん、

 こんばんは、YOSSYFLAMEさん』

「あ、僕一応「精霊使い」なんで」

 東西が笑いながら言う。

「精霊か………「使い人」の人達だけかと思ってたが………先の炎も貴方だったんですね?」

「ええ、偶々通りかかったら何か派手な音がしていた物で………」

 ………この場にいる全員、夜中に何をしてるんだか………

「じゃ、皆さん汗もかいたみたいだし、僕の家で、休んでいきません?」

「えっと………」

「良いんですか?」

「ええ、大丈夫です」



 がちゃ

「ただいまぁ」

 東西が玄関を開け、視線を家の中に向けると………

(え?)

 黒い、丸い、光沢のある物が一瞬見えて……

 スパァーーーン!!!!!

 えらく軽い音と共に東西が吹き飛ぶ。

「遅いわよ!コンビニに買い物に行って何時間かかってるの!?」

 フライパン片手にして、左手を腰に置いた(鬼の形相の)母親から怒声が飛ぶ。

『お母様』

「なぁに?『命』ちゃん?」

 急に優しい声(顔)に変わる。

「友達が来たんだけど………」

 東西が頭を軽く振る。

「友達?」

「こ、こんばんは………」

「です………」

 玄関の手前で待っていた二人が、冷や汗をかきながら挨拶する。



「いきなり恥ずかしいところ見られちゃったわねぇ」

 母親が照れ臭そうに御茶を運びながら言う。

「いえ、こちらこそ」

「いきなり押し掛けたのは俺達の方ですから………」

 来て早速お風呂に入らせて貰ったSOSと、YOSSYFLAMEが、行儀良く複数座りのソファーに腰掛けている。

「理由も聞かずにいきなりフライパンはないよな………」

 床に、座布団を引いて座っている東西がぶちぶち言っている。

『東西の日頃の行いが反映されたんでしょう』

 母の肩に乗っている『命』がくすくす笑う。

「まったく、あんたは信用がおけないのよ!」

「ひでぇーー!それが実の息子に言うことか!?」

「ふん、悔しかったら『命』ちゃんみたいに可愛くなってみなさい」

 舌を出して、あまつさえ、両手をひらひらさせている。

 YOSSYFLAMEが、それを見て笑う。

 SOSが、寂しげな微笑を浮かべていることには誰も気がつかない。



「お、いけるわねぇ」

「いえいえ、おばさんも、なかなか」

 いつの間にか、YOSSYFLAMEと、母親は酒盛りをはじめている。

 二人の前の机の上には既に二桁に達しようかという瓶が並べられている。

「………盛り上がってますね………私、お酒ダメなんでちょっときついですけど………」

「父さん………早く帰ってきて………」

 SOSが、匂いをかがないようにして、二人を見ながら呆れている。

 東西が、良識ある父の帰りを待ちわびている。

 『命』は既に酒気に当たって眠っている。

 この家で今、活動といえるだけ動いているのはたった二人………

「次はこれよぉ!」

「そ、それはナポレオン!?」

「ふっふっふ……これで決着をつけるわ!」

「負けませんよ!」

 二人とも、怪しい目つきになり、不敵な笑いを浮かべている。

「父さん………貴方の稼ぎは今、水のように二人の胃袋の中に………」

 その台詞を聞いて、SOSは未だ見ぬ東西の父を少し哀れに思った。

「「かんぱーーーーい!!」」

 どしゃ

 二人の杯は、美しい音色を響かせることなく………中身を床へとぶちまけた。

「「くかぁ………」」

「………おじさんの……お給料、床が味わってますね」

「だねぇ」

 父よ………挫けないように………



「たた…………頭痛い………」

「当然ですよ………アレだけ飲めば………」

『私も頭が痛いです………』

 YOSSYFLAME、東西、『命』は、今、学園へと向かって歩いている。

 ちなみに、SOSは、破れた服の代わりを取りに寮へと戻っている。

「お前のおばさん強いのなぁ………」

「………見たことありませんでしたが……父は知ってたようですね」

「絶対に俺、おじさんに悪い事したよなぁ………」

 YOSSYFLAMEが少し落ち込んでいる。

『気にしていないって本人言ってたんですから、信じましょう。YOSSYFLAMEさんは悪くないって』

「ん、ありがと、『命』ちゃん」

(……でもなんで、飲まれたナポレオンを見て、僕に向かって「残念だったな」なんだろう?)

 昨日の父のことを多少気にしながら、皆、学園への歩を進める。



 放課後

「でだ、超能力について研究してみたいとおもわんか?」

 ここは科学部室、いきなり窓際の柳川がジンと東西に語っている。

「いきなりだな、先生」

「何でいきなり超能力なんですか?」

「知りたくなった………それ以外の理由が必要か?」

 ま、人間そんなモノだと思いますが………

「そう言えば……昨日知り合ったSOSさん、って人が転移を使えるって言ってました」

 何げに東西が呟く、

「ほう」

 柳川の目が怪しく煌めく………



「暇だなぁ……」

 中庭の木……SOSのお気に入りの場所、いつも通りの場所にSOSはいた。

「SOSさ〜ん」

「? あ、東西さん、どうしました?」

 下を向くと、いつの間にか東西がたっていた。

「今から屋上で御茶会やるんですけど、SOSさんもいかがですか?」

「あ、行きます」

 そう言うと、SOSは、ふわりと地面に降り立つ。

「へぇ、浮くことも出来るんですか」

「ええ……ちょっと今日は辛いですけど…… ? 東西さん、眼鏡どうしました?」

 そう、東西は今眼鏡をつけてはいない。

「家に忘れて来ちゃいまして」

 頭をかきながら照れたような笑みを浮かべる。

「はは、うっかり者なんですね」

「ええ、面目ない」

 二人は、屋上に向かった。



「ははは、このお酒どうしたんですか?」

「おう、柳川先生がくれた」

 二人とも出来上がっている。

「YOSSYFLAMEさん?それにジン先輩?」

 SOSは、信じられない物を見たような顔をしている。

 それもしょうがない、今、二人は白昼堂々、屋上とはいえ、学校内で酒盛りをしているのだから……

「しょうがないなぁ………ま、あっちはあっちで盛り上がってますから、僕たちは静かに御茶でも飲んでましょう」

「はぁ………」

 SOSは、東西が差し出した紙コップを受け取る。

 口を付け、飲み………飲まない。

「東西さん、これお酒入ってません?」

 その言葉に、ジンと、東西の目が変化する。

「え?」

 ジンがいきなりSOSの脇から手を通し、動けなくする。

「は?」

 急なことにSOSは対処できない。

「………気が付かなければ穏便に事が運んだのに………」

 そう言って、東西はジンが座っていたところから酒瓶を持ってくる。

「えっと………冗談ですよね?」

 SOSが、変な汗をかきながら聞く……一抹の希望の存在を確認するために………

「ええ、この後起こることは冗談みたいな出来事です」

 東西がにっこりと告げる。

「東西、さっさとしろ……哀れだ……多少な」

 ジンが、多少の哀れみを込めて言う………でも、顔は笑っている。

「分かりました」

 東西がSOSに接近する。

(ほ、本気か?だぁ!こんな時に限って酒の匂いが!集中できない!)

「何なんだあんたらぁーーーー!???うごぉ!」

 強引に、酒瓶の口を押しつけられる。

 SOSの喉に熱い液体が流れ込む。

(あ、ダメだ………)

 SOSは、気を失った………



「捕まえてきたのは良いが………気絶してたら使い物にならんだろうが!!」

 SOSは、科学部室にかつぎ込まれていた。

 即実験をするはずだったのだが、肝心のSOSは、未だ気を失ったままである。

「たったアレだけの量で気絶するなんて思わなかったんですよ………ねぇ」

 ジンに同意を求める。

「おう、弱い人間が多少酔うかなって言うような量しか飲んでないぜ」

 実際、東西は少しの量を飲み込んだのを確認してSOSを解放した。

「………だとすると、ここまで酒に弱い人間というのも珍しいな………」

 柳川が眼鏡のズレを直しながら呟く。

「まぁいい………実験の準備を」

 どんどん

 いきなりドアがノックされる。

「「「!」」」

 柳川とジンがSOSを自らの陰に隠すように動く、東西は、SOSを担ぎ上げて術の準備をしている。

 皆の勘通り、ノックの主は……いや、主達は返事も待たずに入り込んできた。

「『ジャッジ』だ!通報があった、誰かを拉致したそうだな!?」

「セリスか………」

 扉を開け放って入ってきたのはセリス……ジンの宿敵にして、『ジャッジ』のメンバー……

 続いて、冬月……そして、いつも冬月についている、綾波、3人が教室に入り込んできた。

「不躾だな?誰が誰を拉致したと?」

 柳川が飄々と応える。

「柳川先生、無礼は教室を調べさせて貰ってからお詫びしますよ」

「ふん、勝手にしろ………」

 柳川がにやりと笑って促す。

 ジンも、東西も誰も慌てない………その様子にセリスはいぶかしんだが、3人は教室の捜索を開始する。

「どこにも居ませんね」

「……………」

「これ以上の捜索は無駄では?」

「誰か居たか?科学部員以外に」

 柳川が、口の端を上げながら聞く……

「………申し訳ありませんでした………」

 セリスが代表して謝罪する。

「誰にでも間違いはある、かまわんよ」

「では………」

 3人が教室を後にする。



「ふう……少しやばかったな?」

「そうだな………東西、あいつはどうした?」

「すいません、慌てていたので何処に送ったかまでは………」

 東西が残念そうに下を向く。

 …………

「まぁいい、あのままではどうせ使い物にはならんからな」

「今日は、やることなくなったから帰るか」

「僕も失礼します」

「ん?ああ、気を付けて帰れよ」

「誰に言ってるんだ?先生」

 ジンが、笑って尋ねる。

「お前に関してはいらん心配か」

 皆が教室を後にする。



『東西、SOSさんを何処に送ったか本当に分からないんですか?』

 帰り道、眼鏡を掛け直した東西に『命』が尋ねる。

 あの時、東西はとっさに「フェアリーゲート」で、SOSを何処か違う場所に移動させたのであるが………

「う〜ん………あいつのやることだから僕にはわかんないけど………」

『けど?』

「取り敢えず家に帰ってみよう」

『?』



「………なんだ?この騒ぎは?」

『YOSSYFLAMEさんの声ですよね?』

 家の前に来ると、何故か明るい笑い声が響いてきた。

「ただいまぁ」

 東西がおそるおそると言った感じで玄関のドアを開ける。

 間違いなく騒ぎは応接間、昨日YOSSYFLAMEと母がどんちゃん騒ぎを催したところから聞こえてくる。

 もっとも、今聞こえてくる声は昨日と同じ物だったが………

 東西が応接間をのぞき込む………

「あ、やっぱり………」

 東西がのぞき込んだ先、部屋の中には、昨日と同じようにどんちゃん騒ぎに興じている二人と、

 複数掛けのソファーに寝込んでいるSOSが居た。

『いきなりだったのでとっさに自分の家をイメージしてしまったようですね』

 何処か訳の分からないところに行くよりははるかにマシではあるが………

「何でYOSSYFLAMEさんは居るんだろう?」

 あれから放って置かれたYOSSYFLAMEは、昨日の決着を付けに来たようである………

『「今晩も大変だ…………」』

 自業自得である………



 翌日

「失礼します」

「例の件、受けてくれる気になったかな?」

 三年教室棟『アズエル』そこに、SOSが岩下 信を訪ねていった。

「ええ、『ジャッジ』に加入させていただきます、以後、よろしくお願いします」

 SOSがお辞儀をする。

「いや、こちらこそ」

 岩下のにこやかな笑顔が心情を表している。

「一つお願いがあるんですが………」

「お願い?」

「ええ、東西という人を調べていただけませんか?」

「とうざい?」


 こうして、SOSは、『ジャッジ』に加入した。

 以来、東西は「条件付き(眼鏡未着時)」で、ブラックリストにその名を連ねた。

 科学部?部員の暴走さえ押さえれば何の問題もない………よって今まで通り変わりなし。


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東西 :やばいって!絶対喧嘩売ってるように見えるって!『ジャッジ』に!(汗)
『命』:自分で書いて置いて何を今更………
東西 :と言うわけで、この話はSOSさんのLメモ「審判の門くぐる刻」のラスト、
    『ジャッジ』に誘われた空白の二日間を描いた物です。
『命』:…………で?
東西 :はっきり言って、表だって、いや、裏でも「ジャッジ」と喧嘩をする気はありません!(汗)
『命』:眼鏡外したら狂暴でしょ?遅かれ早かれ目を付けられるって………
東西 :しくしく
『命』:と言うわけで、またー♪
東西 :穏便に行きましょう……『ジャッジ』の皆さん……

 閉幕

今回のごめんなさい
 SOSさんと、YOSSYFLAMEさんですね………ごめんなさい。