L学園の転校生−ひづきがんばる!−ステップ1 投稿者:佐藤昌斗
 「皆さん、初めまして。隆雨(たかさめ)ひづきです!!」
 
 私は独特の、期待と不安の混じり合った”ドキドキ感”を感じながら、精一杯の笑顔で挨拶した。
第一印象は、転校生にとって、とても大切なものだからだ。
 第一印象が悪かった場合、下手をすればしばらくの間、敬遠されてしまうことになる・・・と、こ
れは前の高校で、転校経験者の友達が言っていたことだけど・・・。
 
 (・・・まあ、私の場合は普通にしていればいいかな?)

 と、そんなことを思いながら、私は皆の反応を確かめようと、教室中を見回してみた。教卓が置い
てある場所からは、なるほど、よく教室全体が見渡せる。

 (これじゃあ、私がこっそりと・・・まあ、見つかっていたからこっそりとじゃないけど、お昼が
待てなくてお弁当を食べてたのも、見つかるワケよね・・・。今度は気を付けないと・・・)

 等と、過去(前の高校)の微笑ましい、エピソードを思い出しながら何気なく視線を彷徨わせてい
ると、一人の女生徒と眼が合った。その娘(こ)は、私が見ているのに気付いたのだろうか、にっこ
りと微笑んでくれた。清潔感漂う、とってもステキな笑顔だと思った。

 (この娘とは、きっと友達になれる・・・)

 そんな予感めいた思いを私は感じていた。・・・そのステキな笑顔の娘は、松原葵ちゃんといった。



 
 <L学園の転校生−ひづきがんばる!−ステップ1>





 「ねえ、一緒にお昼ご飯食べよ?」
 
 あれからすでに数日がたち、私は自然にクラスにとけ込んでいた。そして、あの時感じた通り、葵
ちゃんとは、友達になれていた。私はいつもの様に、葵ちゃんに昼ご飯を一緒に食べるように誘った。
 
 「はい、そうしましょう」
 
 と、あの時と同じ様に、爽やかに微笑みながら葵ちゃんは答える。私は「うん」と返事を返すと、
葵ちゃんの近くの机から、椅子を持ってきて腰をおろす。葵ちゃんの席で昼ご飯を食べるのが、この
数日間で、すでに私たちの決まり事のようになっていた。
 
 「さ〜てと、今日のおかずは何かなあ☆」
 
 ウキウキとしながら私は、お弁当を巾着袋から取り出す。私は、はっきり言って食べることが大好
きなので、お弁当のフタを開けるこの瞬間が、と〜っても楽しみなのだ☆ 
 
 「じゃあ、私も・・・」
 
 そう言って、葵ちゃんも同じように、お弁当を鞄から出して机の上に置く。
 私たちのお弁当箱は、普通の娘たちとは違い、ちょっと大きめ。だから葵ちゃんは、ちょっと恥ず
かしくて、私が転校して来るまで、いつも一人で食べていたらしい。
 私は、この話を聞いて葵ちゃんに、「気にすることはないよ」と言った。でも、葵ちゃんはそう私
が言っても、すぐに気にしないで・・・とはいかなかった。
 だけど、私が見本として、葵ちゃんより”ちょっと”大きめのお弁当を、気にしないでパクパクと
食べる姿を見て、気にしないようになったみたい。
 
 「・・・やっぱり、良いですね」
 「ふぇ?なふぃが・・・」
 
 私は、口に運ぶお箸を止め、慌てて口の中のモノを飲み込み、改めて、
 
 「何が良いの?私のお弁当のおかず??」
 
 と聞き返した。葵ちゃんは苦笑いしていたが、すぐに微笑直すと、
 
 「いいえ。こうやって、人目を気にせずご飯を食べるのが、です。前よりも、美味しく感じます」
 「でしょ、やっぱりご飯は美味しく食べないと☆」
 
 私も微笑み返しながら、ウインクして言う。うん、やっぱり、ご飯は楽しんで食べないとね☆あっ、
またウインクしてる。
 
 (う〜ん・・・すでに癖になっるなあ。まあ、「様になってる」って、言われたこともあるし、気
にしなくて良いか)

 それから私たちは、自分たちのことや、他愛のないこと交えながら、楽しいお昼の一時を過ごした。
 そして、ご飯も食べ終わり、私はこれからどうしようかと思い、 
 
 「葵ちゃん、これからどうする?」 

 と、葵ちゃんの意見も聞こうかと思って尋ねると、葵ちゃんは壁の時計をちらりと見ると、何やら
慌てて、

 「ひづきさん、私今日はちょっと用事があるので、これで失礼します!」
 
 と言うと、急いでご飯の後片づけをすると、教室を後にした。私は、葵ちゃんが慌てているところ
を初めて見たこともあり、しばしの間、呆気にとられていたが、

  (・・・これは何かあるわね。もしも、何か変な事に巻き込まれているのなら大変だし。・・・よ
し!悪いけど葵ちゃんを追いかけてみよう!)

 と、我ながらお節介とは思いつつも、私は葵ちゃんを追いかけることにしたのだった。


 
 「え〜っと・・・何処に行ったんだろ葵ちゃん?」
 
 私はあれから、葵ちゃんを追いかけてみたモノの、見事に見失ってしまい、学園を探し回っていた。

 (下足入れを見たら、靴が入っていなかったから、外に出てるのは間違いないと思うんだけど・・・)

 と、私が思っていたその時、何処からか話し声が聞こえてきた。私は声が何処から聞こえてきたの
かと思い、声の出所を探して辺りを見回してみる。話声は・・・どうやら校舎裏の方から聞こえてく
るみたい。

 (こっちの方、から・・・かしら?)

  私は勘を頼りに声のする方に向かった。すると正解だったらしく、誰かがいるような気配と話声
がする。隠れるようにして校舎裏をそ〜っと覗いてみると、そこには・・・。

 「昌兄(まさにい)?!なんで葵ちゃんと一緒にいるの??」

 私は心の中で思ったことを、思わず声に出していた。ちょっと声が大きく出たような気がして、慌
てて出していた頭を引っ込める。

 (バレた・・・かな?でも何であの甲斐性無しが、葵ちゃんといるのかしら??)

 私はさっき、ちらりと見た光景を脳裏に浮かべた。確かに、葵ちゃんと私の従兄で一つ年上の、佐
藤昌斗に間違いなかった・・・と思う。私はもう一度確かめるべく、またもやそ〜っと、頭だけ出し
て校舎裏を覗いた。
 そこでは、葵ちゃんと甲斐性無し・・・じゃあなかった昌兄が、葵ちゃんと和やかに何やら話して
いる。二人を盗み見る限りは、私はお友達という感じだろうか?

 (ふ〜ん・・・。あの甲斐性無しが葵ちゃんとねえ・・・。まあ、何やら話してるみたいだし、邪魔
するのも悪いか・・・。まあ、昌兄に葵ちゃんをどうこうできるワケないしね。・・・もう行こうっと)

 私はそう思うと、その場を後にしたのだった。そして、う〜ん、と一つ身体を伸ばして、気持ちを
切り替えるように、

「しょうがない、今日は一人で校内探索といきますか!まだまだ、見てない所もあるしね☆」
 
 私は、真っ青な澄んだ空を見上げながら、誰に言うでもなく満面の笑みで呟いた。そう、私にはこ
の学園で知らない事がまだまだ一杯ある。ステキな出会いだって、あるだろう。そう思うと何だか、
心臓がドキドキ、胸がワクワクしてきた。
 私は、取り合えず校舎に向かったのだった・・・。

 


 隆雨ひづきは、今日も元気一杯!がんばります☆





               <L学園の転校生−ひづきがんばる!−ステップ2に、つ・づ・く☆>