試立Leaf学園の私闘−佐藤昌斗編−中編 投稿者:佐藤 昌斗
 「はあっ、はあっ・・・う〜ん・・・ちょっと遅れたかな?待たせて無ければいいけ
ど」
 あれから佐藤昌斗は、何とかパンを奪取し、いつものごとく松原葵に稽古を付けても
らうため、待ち合わせの場所に向かい走っていた。
 腕時計で時間を確認すると、いつもより10分くらい遅れている。
 (あの角を曲がれば・・・到着だ!!)
 佐藤は速度を上げ残りの距離を一気に駆け抜けた。角を曲げると、そこには・・・。
 「あっ、佐藤先輩!こんにちは!」
 と、”やけに野太い声”で、一見して”松原葵に見えるかもしれない物体”が、いつ
もの稽古場で、にこやかに手を振っていた。
 「・・・・・・」
 佐藤は、手に持った荷物を思わず手落として、唖然とその物体を凝視した。服装は制
服を袖まくりして、赤いナックルガードをしているところまで同じだ。髪型も色も同じ
・・・だが、他は似てもにつかない。
 まず第一に、身長が違う。はっきり言って、目の前の物体はゆうに180センチはあ
るであろう。
 第二に、体格。まさに全身筋肉の固まりと言っても過言ではないほどに発達している。
 そして第三に・・・あんなにすね毛が濃いいワケはない!!
 佐藤はた〜あっぷりと眼前の物体を認識するまでに時間をかけると、やっと、
 「・・・何のつもりだ?」
 とだけ口にした−いや、話せた。すると、謎の物体は、こともあろうに、さも心外で
あるかの表情で、
 「どうかしたんですか?佐藤先輩」
 と、何事も無いかのように言い放ちやがった。しかも、佐藤の方に近づいて来る。
 佐藤は慌てて地面に落とした運命(さだめ)を拾うと、鞘から抜き放ち、眼前の物体
に向けて構える。
 「佐藤先輩、危ないから刃物はしまって下さい!」
 と、もはや数歩の所まで接近してきた謎の物体は佐藤に、もうっ、しょうがないなあ
・・・と言う風な表情を、ごつく、むさい顔に浮かべながら言う。
 はっきり言おう!かなり怖いぞ!これを読んでる良い子の皆!想像してみよう☆ちな
みに、セバスではありません。
 <主(あるじ)・・・この気持ちの悪い物体を早くどうにかしてくれません?>
 流石に刀の人格とはいえ、女性である運命にはかなりきついモノがあるようである。
むろん、言われるまでもなく佐藤も何とかしたかった。しかし、このふざけた格好の相
手は、なかなか隙を見せようとはしないのである。
 (こいつ・・・何が目的なんだ?・・・でも、その前に・・・!)
 佐藤は聞かなければならない事を、取り合えず後回しにして、かろうじて冷静な声で
目の前の物体に言った。
 「・・・いいかげに、その格好は止めろ・・・」
 が、しかし、何を勘違いしたのか目の前の物体は、頬を赤らめてもじもじと身体を揺
すりながら、
 「そんな・・・脱げだなんて、はっ、恥ずかしい・・・」
 と、おっしゃった(ここだけ棒読み)。
 「誰がそんなことを言ったーーーーっ!!いいかげんに、葵ちゃんのマネをするのを
止めろと言ってるんだ!!」
 佐藤の我慢はもう限界だった。完全に人を馬鹿にした、この目の前の人物(?)の態
度についにキレて、佐藤は運命を相手に向かって振り下ろす!・・・しかし!
 「先輩、全然なっていませんよ。隙がありすぎです!」
 と、口調はあくまで、葵をマネながら目の前の人物(?)は、上半身の僅かな動きだ
けで斬撃をかわすと、かわされて完全に無防備となった佐藤に凄い速さの回し蹴りを放
った!
 「なっ?!ぐはっ!!」
 もろに蹴りを喰らった佐藤は、十数メートルも吹き飛ばされたが、何とか倒れてしま
うのだけはさけた。
 どう見てもニヤリとしか見えない表情で、人物(いい加減に統一したいので、以後男
と明記)は、佐藤に戦いの開始を告げた。
 「今日は練習として、私と組み手をしましょう。佐藤先輩、本気できて下さいね!」
 言われるまでもなく、佐藤は運命の戦闘力強化能力を発動させる。そして、運命を構
え、表情も真剣なものとなり、男を見据える。
 男は口元にニヤリとした笑みを浮かべ、どういう仕組みか知らないが、ナックルガー
ドから刃を出し、同じく構えた。
 こうして、佐藤昌斗と男の、私闘が始まったのである・・・。

 
 「くそっ!なんて馬鹿力だ!!」
 じりじりと押されながら、佐藤は目の前で余裕たっぷりな男に毒づく。しかし、男は
相変わらず、口元にニヤリとした笑みを浮かべ、
 「先輩、もう降参ですか?」
 と、佐藤の神経を逆なでする。
 (あれから何回も攻撃を仕掛けたが、余裕でかわされるし、挙げ句の果てに、気が付
いたら学園の裏山にまで来てる−いや、追い込まれたのか?・・・どっちにしろ、劣勢
なことには−)
 「−変わりない!このっ!!」
 最後の部分を口に出しながら、佐藤は男の刃を反らすと、男と距離を置くために、数
メートル後方に、飛び退く。男もすぐさま体制を立て直すと、佐藤の方に向き直った。
 「佐藤先輩。息が上がってますよ?」
 と、いかにも余裕というう風に、男は佐藤に言った。実際、未だに葵のモノマネをし
ていることからも解るというものだ。
 (・・・どうする?このままじゃ、確実に・・・負ける。もしも本当に組み手だった
ら、一言、参った、と言えば済むんだろうけど)
 佐藤は、ちらりと自分の背後を確認し、一気に駆け出した。男に背を向けて。
 もう自分ができる手は、これしか残されていない。佐藤はそう考えて、最後の賭に出
ることにした。
 (とにかく・・・今は、これしかない。この手が通用しなければ−)
 「−俺の負けだ!!」
 最後の部分を口に出し、佐藤は自分自身に言い聞かせると、わき目もふらず駆け出し
た。自分の罠を仕掛ける事ができる場所を目指して・・・。



                              「「後編に続く」」