−試立Leaf学園・・・そこは日本−いや、ひょっとしたら世界屈指の事件が、日常茶 飯事に発生する学園である。そして、いつも道理に今日も事件は起こるのだった・・・。 試立Leaf学園の日常−転送装置紛失事件−では、本編スタート!! 「転移装置が消えた?!・・・一体どういうことなんだ??」 ここ、試立Leaf学園の職員室で柏木耕一は、同僚のカレルレンから、驚くべきことを 聞いていた。その驚くべきこととは、この学園から唯一、外界への移動手段である、転 送装置が紛失したということである。 この学園は、来たるべき未来の土地問題の解決の一つの手段として試験的に、来栖川、 鶴来屋が共同開発した、異空間発生装置により、外界−すなわち、普段生活している世 界とは異なる世界に存在している。そして、この学園と外界を結ぶ唯一の方法が、転移 装置となるわけである。したがって、転移装置が無くなるということは、この学園から 出られないことを意味する。ちなみに、異空間発生装置を止めるための方法は、学長し か知らされておらず、間の悪いことに、学長は現在仕事で外出中とのことらしい。 「いや、ボクも詳しくは解らないんだけどね・・・。どうやら、本当のことらしいよ」 と、何処か他人事のようにお茶をすすりながら、カレルレンは耕一に話す。 「で、このことは生徒たちには知らせたのか?」 耕一は、苦笑いしつつも、カレルレンに尋ねた。カレルレンは湯飲みを机に置いて、 「いや、知らせてないんじゃないかな?知らせようものなら、パニックになるのは目 に見えてるしね・・・。だいたい、うちの学園は、ただでさえ騒動の種が尽きないんだ よ?騒ぎになると知ってて、知らせはしないんじゃないかな?あっ、でも、かえって生 徒たちの方も馴れちゃってて、騒がないかもしれないなあ。はっはっは」 と、カレルレンはさわやかに笑った。耕一は、溜息を吐きながらふと、思い出したよ うに尋ねた。 「そういえば・・・他の先生方もこのこと知っているのか?」 カレルレンは、頭を左右に一度振ってから、 「いや、知らないと思うよ。ボクと君を含めて・・・そうだなあ・・・知っているの は、4〜5人くらいじゃないかな?」 耕一はそうかと呟いた。そして、しばらく経ってから急におやっ?という顔になり、 カレルレンに、 「ちょっと待てくれ、このことは他の先生方は知らないんだろう?じゃあなんでカレ ルレンはこのことを知ってるんだ?」 と聞く。するとカレルレンは、この問いをさらっと、 「ああっ、それは、ボクがこの件を解決するように頼まれたからだよ」 と、耕一に返した。カレルレンがあっさりと答えたので、耕一は思わず、はいそうで すか、と頷いてしまった。しかし、数秒後にはっ、と気付くと、 「おい!それじゃあ、早く調査するなりしろよ。・・・だいたい、何で俺にこのこと を話したんだ?」 耕一は、エルクゥの鋭い直感で、嫌な予感を感じつつも、カレルレンに疑問を聞いて しまった。そして、カレルレンの返答は、耕一の予想道理のものだった。 「はっはっは。決まってるじゃないか、もちろん君に変わってもらうためさ。・・・ おっと、時間だ。じゃあ、ボクはこれから用があるんでこれで。後のことは任せたよ」 職員室の壁にかかっている時計で、時間を確認すると、さわやかな風を吹かせながら、 カレルレンは職員室を後にした。耕一は、廊下を歩いて行くカレルレンの背中に、こう 叫んでいた。 「カレルレン・・・カァムバァッーーーークッ!!」 と・・・。しかし、カレルレンは結局振り向かずに、行ってしまった。カレルレンの 用事とは何か?それは別のお話である。一人残された耕一は、もう見えないカレルレン に、 (くそう、さわやかに去って行くな!思わず映画のパクリをしてしまったじゃないか!) と、心の中で毒付いた。このまま放って置くわけにもいかないので、仕方なく耕一は、 調査を始めることにした。耕一はとりあえず事件について考えてみた、 (しかし・・・どうしろっていうんだ?手がかりはない。目撃者はいるのか解らない。 ・・・仕方ない。とりあえず現場に行ってみるか・・・) 溜息を一つ吐くと、転移装置の設置場所に向かう。自分のお人好しを、恨めしく思う 耕一であった。 「−と、いうわけで現場に行ってみたんだけど・・・はっきり言って無駄足だったよ。 情けないけど、ほとんどお手上げって状態さ」 あれから、耕一は転移装置の設置場所に行ってみたが、手がかりはまったくなかった。 解ったことと言えば、本当に転移装置が無くなったということだけである。 どうしようかと中庭のベンチに座って考えていると、丁度ゆきが通りかかり話しかけ てきたので、つい、いつもの癖で耕一はゆきに相談してしまった。ゆきは話を聞くと何 やら考えていたが、しばらくして、 「う〜ん・・・僕で良ければ手伝いたいんですけど・・・。柳川先生に呼ばれている ので、もう行かないと・・・。それじゃ、これで・・・。あっ、そうそう、妹のM.Kが今 度ゆっくり話しましょうって言ってましたよ。さて、急がないと・・・」 と、それだけ言うとゆきは、すまなそうな顔をしながら足早に去って行った。耕一は その背中に向かって、 「ああっ、解った!ゆき、無事でいろよ〜!!」 と、ささやかなエールを送った。果たして、ゆきは五体満足でいられるのであろうか? それは又、別のお話である。ゆきが見えなくなると、耕一は、こうしてても仕方ない、 と思い調査に戻ることにした。しかし、手がかりは一つも無い。この状態で、本当に転 移装置が見つかるのだろうか?はっきり言って前途多難である・・・。 耕一が調査を再開した、その同時刻、この学園でも事件に巻き込まれる率は5本の指 に入る、ともっぱらの噂の結城光は、今は精神体の紫音に連れられて、転移装置が設置 されているはずの場所へと来ていた。 「あれ?本当だ、転移装置がない?!」 光の声に紫音は、だからそう言っただろうがと言う風に、ふっ、と笑う。 「どうしよう?これじゃあ帰れない・・・」 光が真剣に悩んでいると、紫音は冷静に、 <・・・だったら、探せばいいだろう・・・> と、事も無げに言う。光は、そうか、と思ったがすぐに、 「どうやって?誰も騒いでないし、まだ下校時間じゃないから、目撃者もいないと思 うよ?ひょっとしたら、知っているのは私たちぐらいかも・・・」 弱気な発言を紫音に返す。紫音は溜息を吐いてから、 <・・・少しは考えたらどうだ?光・・・俺にばかり頼っているようじゃ、この学園 でやって行けないぞ・・・> 紫音の言葉に光は、解っているよ、と呟く。心の中で光は、 (そんなことは解っているさ・・・。私は心も身体も強くならないといけないんだ。 そう、強くならないと・・・!) 決意を新たに固め、そう思う一つの理由である、紫音の方を見た。紫音は、そんな光 の考えを知ってか知らずか、 <・・・ここでこうしてても仕方ないだろう。行くぞ、光・・・> と、さっさとこの場を離れようとする。光は慌てて、紫音を追いかけたのだった。だ が、光と紫音はこの後、流石と言おうか別のやっかい事に巻き込まれるのだった・・・。 さて、ここにも例の事件を嗅ぎ付けた−もとい、気付いた生徒が一人・・・。その生 徒の名は、きたみちもどる。この学園で校内巡回班(現在一名)を組織する男である。 きたみちは、現在、校舎裏に向かう途中である。 (ふっ、悪党と言えば、たいがいこういう場所を好むものだからな・・・。さて、悪 党はっ、と・・・) きたみちが、校舎の角から、そうっと覗いてみると、そこには独り言をぶつぶつ言う 佐藤昌斗の姿があった。佐藤は自分の刀に向かい、何やら話しかけていた。はっきり言 って、怪しさ大爆発・・・である。 (あれは確か・・・花見の席で刃を交えた、佐藤?・・・何をているんだ?) そう思い、きたみちは気付かれないように、そっと佐藤に近づいた。幸い佐藤は、夢 中になっているようで、気付かない。きたみちはしめしめと思いつつ、聞き耳を立てた のだった。 で、佐藤は何をしていたかと言えば、話は少し遡る。先日佐藤は、刀をいつものよう に手入れしていた。その時、偶然に刀のとある部分に、スイッチらしきものを発見し、 早速押してみたところ、いきなり頭の中に声が響いた。初めは幻聴かと思ったが、どう やら違うらしく、 <失礼ね。私(わたくし)の、この、美しい美声が聞こえないとでもおっしゃるのか しら?そんなはずは、ま・さ・か・ありませんよね?何と言っても、私の声ですものね。 私の精神感応は、完璧ですもの> と、丁寧なんだか、慇懃無礼なんだか解らない口調で、刀に言われてしまった。どう やら、刀は女性人格を持っているらしい。そして、刀(運命(さだめ)と自分で名付け たらしい)の声は、所有者である、佐藤にしか聞こえないとのことだった。そして今日、 運命が言うには、佐藤は刀(自分)の力をほんの少ししか使いこなせていないらしい。 そのことを、人前で聞くわけにもいかず、こうして、校舎裏にわざわざ来て会話してい る、というわけだった。 「で、どうしたら力を引き出せるんですか?」 と、きたみちが後ろで聞き耳を立てているとも知らず、佐藤は運命に聞いた。運命は、 <どうしましょう?教えましょうか?それとも・・・このまま黙っておきましょうか? その方が、面白くていいかも知れませんわね> と、からかうような返事を佐藤に返す。佐藤は焦れたように、 「教えてくれるんですか?それとも教えてくれないんですか?どっちなんです?ああっ、 千鶴先生の授業が始まってしまう・・・どっちなんですか、答えて下さい!?」 だったら、放課後なりなんなりにすればいいだろうに、と運命は思ったが、佐藤の切 迫した姿を見て、それならもう少しからかってやろう、と思い直した。どうやら・・・ 性格は結構悪いらしい。 <え〜っと・・・それはですね〜、教えても宜しいのですが〜、なにぶん、私も考え ることがございますし〜。あっ、でも教えないというわけではございませんよ。ただ・ ・・主(あるじ)である貴方にとって、果たして良いことなのか迷っているんですの・ ・・。でも、やっぱり・・・私としては・・・> と、どっちつかずの答えを、た〜っぷりと時間をかけて佐藤に返した。一応、紳士ぶ っている佐藤は、刀とはいえ、女性が話しているのを邪魔することは出来なかった。単 に、優柔不断であるだけかもしれないが・・・。さて、今まで話を聞いていたきたみち は、 (何を一人で騒いでいるんだ佐藤は?−はっ、さては、自らの起こしたことに耐えき れずに、おかしくなったのか?・・・ならば、一度は刃を交えた者として、この僕がせ めてもの情けだ、殺してやろう!) と、かなり物騒なことを考えながら、愛刀の不斬刀を鞘から抜くと、ゆっくりと佐藤 の方に向かって行った。 佐藤と、きたみちがこの後戦闘になったのは言うまでもなく、佐藤が授業を結局さぼ ることとなったことだけお伝えしよう。・・・合掌。 さてさて、耕一はというと、今や散歩してるんだか、調査しているんだか解らない状 態である。一方、そんな耕一を尾行している影が二つ・・・。言わずと知れた、ジン・ ジャザムと、その心の友である超合金マジンガー○である。ちなみに、声はもちろん、 石○博也氏だ。 「おい、ジン。見失うなよ」 と、マジンガーは、ひそひそと相棒兼心の友であるジンに注意を促す。ジンも小声で、 「ああっ、この俺がそう簡単に見失うかよ・・・って、見失ったーっ!!」 ジンは慌てて辺りを耕一の姿を探して見回した。が、しかし、耕一の姿は発見できな い。 「ジン・・・俺も仕事だから仕方がない・・・。報告はさせてもらった」 と、同情するようにマジンガー。すでに報告した、というところがミソである。 「うわぁぁぁーーーっ!!お仕置きは嫌だーーーっ!!」 と、この後あるであろう、千鶴のお仕置き☆を考えて、血の涙を流すジンであった・ ・・。マジンガーは心の中で、 (すまん、ジン。俺も千鶴さんには逆らえないんだ・・・) 謝っていたが、無論、今のジンは気付かなかった。しかし今回は、お仕置き☆を受け る仲間がいたことを、ジンは後に知るのであった。誰かはお解りであろうから、人数だ けお伝えしよう。・・・2人である。又もや・・・合掌。 耕一は泣き叫ぶジンの姿を、物陰からのぞきながら、 (なんだ、つけていたのはジンか。こりゃあ、事件とは関係ないな。ひょっとしたら、 犯人が何か仕掛けて来たかと思ったんだけど・・・。まっ、何で俺をつけてたのか知ら ないが、ジンのことだ。千鶴さんにでも、俺を見張っているように、とか頼まれたんだ ろう) と考えると、最後に、ちらっとジンの方を見て、お大事に、と呟くと、耕一はその場 を後にした。普段は抜けてるようだが、やはり耕一はただ者ではなかった・・・が、 「うふふふふ・・・。こ・う・い・ち・さ・ん☆見〜付けた」 このお方の接近は察知できなかったようだ。 「こっ、この声は・・・」 耕一は違ってたらいいな〜、と儚い願いを込めつつ、恐る恐る振り返る。しかし、そ の願いは聞き取られなかった。振り返った先には、お美しい、ちょっ〜と古めかしい、 セーラー服をお纏になられた女性がいらしゃった・・・と、貴女様の説明はこのくらい で宜しいでしょうか、千鶴様。 「結構ですよ。では、これが約束のお礼です」 あっ、ありがとうございます。では、私はこれで失礼しますんで、どうぞこいつはお 好きなようにして下さい。 「おいっ、・・・まさか今回の話は仕組まれたものか?」 しっかりと千鶴様に抱きかかえられながら耕一が何か言ってるようだが・・・聞こえ ないな〜??それじゃ、話はもうちょっと続くのでこれで・・・。 「さあ、行きましょうか耕一さん☆」 そう嬉しそうに言うと、千鶴様はずるずると耕一を引きずって、ジンたちとは違う方 向の廊下を曲がって行った。廊下の先から耕一の、何かわめく声が聞こえて来るが、ま あ、無視していいだろう。さて、話の続きに戻るとしますか・・・。 「おや?彼はまだ戻ってないようですね?」 と、きょろきょろと職員室を見渡しながら、カレルレンは誰に言うでもなく呟いた。 取り合えず自分の席に着くかと思い、カレルレンが歩き出したその時、 「カレルレン先生」 と、廊下の方から誰かが声をかけてきた。カレルレンが振り向くと、そこには同僚で あり、先輩の教師である、長瀬源一郎の姿があった。 「はい、何でしょう?」 と、さわやかにカレルレンが答えると、突然長瀬は、ばつが悪そうな顔をしながら、 「いや〜、例の件ですが・・・すいません。こっちの勘違いでしたよ」 と、猫背気味の姿勢から、ぺこりと頭を下げた。カレルレンはちょっと考えてから、 「ああっ、あの件ですか。で、勘違いとはどういうことですか?」 カレルレンの問いに長瀬は、恥ずかしさをごまかすように、咳払いを吐くと、 「いや〜、私もどうかしてましたよ。よくよく考えたら、今日学長が出かけたのは、 転移装置のメンテナンスの立ち会いに主席するためなんですよね。転移装置がないのも 当たり前でしたよ。いや〜、面目ない」 頭をかきつつ長瀬はそう答えると、それじゃあこれで、とカレルレンに言い、自分の 席に座った。・・・事件はどうやら意外な結末を迎えたらしい。 (これは、彼にはすまないことをしたな〜。まあ、でも事件も解決したし、めでたし めでたしだろう) と、自分の席で書類を整理しながら、カレルレンはそう思うのだった。こうして、こ の話は終わりを告げる。・・・少数の不幸者を出しながら・・・。 「作者〜!!いつか殺す〜!!」 と、全治2週間の入院が決定し、病室のベットの上で作者に対し殺意を燃やす耕一で あった・・・。 「「完」」