試立Leaf学園の日常――熱きプールの戦い・学園で一番暑い日――四の巻 投稿者:佐藤 昌斗

 ――世紀末の世に、鬼が甦る。

「500年の時を経て、我らはここに甦った!」

「我らがレザムとリズエルの為にッ!!」

 ――500年の時を越え、現代に甦る鬼。

「俺しかいないのなら…俺がやる!」

 ――かつて、鬼を滅ぼしたと言う伝説の侍。

「俺は、鬼を狩る者。お前達が鬼と呼ぶ……エルクゥだ!」

 ――その侍と同じ力で鬼を狩る…鬼を倒せるのは同じ鬼だけだ。

「エルクゥ!?」

 ――伝説が今、甦る!


          ” 真・エルクゥ!! “


「ペンダントが、光ってる?」

 鬼の力を持ちエルクゥとして戦う青年、雨月次郎(柏木耕一)。

「これを……あなたに」

 神秘的な雰囲気を持つ少女、楓(柏木楓)。

「だからね、多分こうだったと思うの」

 鬼伝説を研究する女性、小出由美子(小出由美子)。

「いいか、雨月次郎! 鬼は現在、3丁目商店街にいる!!」

 次郎に助けられ、彼に協力する刑事、長瀬(長瀬源三郎)。

「お兄ちゃんは……お兄ちゃんだよね?」

 戦う兄を気遣い、陰ながら応援する次郎の妹、雨月初音(柏木初音)。

「………………」

 次郎の親代わりを勤める、喫茶店のマスター、フランク(フランク長瀬)。

「また、お前は我らの邪魔をするのか…邪魔をすると言うのか!」

 鬼を統べるレザムの女皇、リズエル(柏木千鶴)。

「500年前の貸しを、そっくり貴様に返すぞ! 次郎衛門ッ!!」

 誇り高き、レザムの戦鬼イルク(ジン・ジャザム)。

「次郎……俺は、お前が……」

 運命の悪戯か、次郎と敵対する事になった親友、隆山裕(柳川裕也)。

「久しいな……次郎衛門」

 そして、レザム最強の戦鬼、ダリエリ(ダリエリ<特別出演>)。


 ――運命が、宿命が500年の時を経て動き出す。


 脚本:澤倉美咲。

 監督:九品仏大志。

 主演:柏木耕一、柏木楓、小出由美子、長瀬源三郎、柏木初音、柳川裕也、

    フランク長瀬、柏木千鶴、ジン・ジャザム、ダリエリ(特別出演)、他。 

  

          ” 真・エルクゥ!! “


「……変身ッ!!」


 ――伝説が、今甦る。

・
・
・
・
・
・
・
「さ、澤倉先生……?」
「やっぱり、だめ……ですか?」
「何をためらう必要があるというのだね、マイハニー!」
「……大志が、監督だからだろうな〜……」
「大志が監督じゃあねぇ……」


 と、言うところで前回の荒筋。

 ついに、行動を開始した男子一同&それを追いかける男子一同。
 そして、出番を待つディルクセン他、風紀御一行さま。
 物語は、数々の事件を経て、ついには最後を迎える!
 ……と言う事はなく、この三つ巴の要諦を示し、そして今! トシ子は宇
宙へッ!!


 では、本編……スタァ〜ットッ!!



 試立Leaf学園の日常――熱きプールの戦い・学園で一番暑い日―― 



 さて、皆様は覚えておられるだろうか? 勇敢にも、難攻不落と言われた
女子更衣室への道のりを歩き始めた彼らの事を……熱き勇者達の伝説を……!
「……って、ナレーション入るのはイイけどよ……ここ、どこだ?」
 行く手に広がる、うっそうとした正に密林と言うに相応しく思えるほどの
林を見ながら、Tシャツに海パン姿と言う、この場におよそ似つかわしくな
い格好をした少年達の一人、藤田浩之が溜息混じりに誰とも無しに呟いた。
「少なくとも……試立Leaf学園の敷地内なのは確かでしょう。……たぶ
ん」
 やはり、行く手を見ながらげんなりしたように言うbeaker。
「しっかし……本当に学園内なのか? これ見てッと……」
「少なくとも、日本国内じゃない気がするよなぁ〜……」
 周りを見ながら言ったYOSSYFLAMEの言葉を続けるように、佐藤
昌斗が言う。
 ギャエギャエッ……。
「……謎の鳴き声もしてるな」
「ふん……そんなことよりも、とっととここを抜けるぞ。早く行かねば、全
て終わってしまうからな」
 謎の鳴き声に耳を傾ける悠朔(はるかはじめ)を無視するかのように、ハ
イドラントは、先を急ごうと足早に歩き出した。
 ……が。
「……方角はどっちなんだ?」
 考えたら、女子更衣室のある方向を知らない事に気がつき……その場で止
まったのだった。
「これだけ木が生い茂ってると、さすがに方角を確かめないと、見当もつか
ないな」
「しかし、ずいぶんと深そうですねぇ……ここ」
 辺りに広がる木しか見えない周りの風景を見、立ち止まったハイドラント
に同意するように言う昴河晶とT−star−reverse。
「はいはい。ちょっと待って下さいね。今コンパスを……えぇ〜っと……お
やぁ〜?」
 そんな3人の言葉を受け、方角を確かめようと腰につけたウエストポーチ
から、コンパスを取り出したbeakerだったのだが……。
「……なんでコンパスの針が、グルグル回ってやがンだ?」
 そう。
 beakerの様子に訝しく思った浩之が、コンパスを覗きこんで見ると、
コンパスの針はぐるぐると回転するだけで、一向に止まる気配すらなかった
のであった。
 それを見た一行は、
「……ダメじゃん」
 と、ガビーンとした気分で言ったのでありました。
 父さん、どうやら、前途多難なようで……。
 と言った感じに、某北海道が舞台のTVドラマのあのテーマとナレーショ
ンがこの場にいる全員に聞こえてくる、そんな麗らかな午前の日差しだった。
 蒸し風呂の如く、密林内は暑かったが。



 さて、所変われば人も変わると申しまして、おやおや、あらあら、それか
らどんどこしょ〜♪
 と言った具合に場面は変わり、こちらの男子たるもの覗きなどと言う破廉
恥極まりない行為大変羨ましく抜け駆けは許さんきに……もとい、見過ごせ
ぬぜ、俺達は真の漢(まことのおとこ)! 的御一行様はと言うと……。
「ふふっ。この密林を見ておると、あの時の事を思い出す。そう……あれは、
500数年あまり前――」
「お前はまだ、生まれとらんだろうがァ!」
 遠い眼差しで突然語り始めた海パンに胴着姿の西山英志に、よほどたまり
かねたのか、海パンにTシャツそして、スクールキャップを被ったXY−M
EN(きしめん)は、某頑固一徹親父宜しくメカドッ……もとい、ご丁寧に
和食が三人分用意されたちゃぶ台を、さながら忍法畳返し! の如くに、え
いやっとひっくり返して叫んだのであった。
「犬。食べ物を粗末にするな。……まぁ、畜生に人様の話をしても無駄な事
だろうがな」
 ひっくり返されたちゃぶ台の上に用意されていた料理が、地面に散乱する
様を見ながら、英志はXY−MENに軽いジャブの一言を放った。
(こ、このヤロウ……)
 XY−MENはどうにか気持ちを落ちつかせようと、なんとか努力しなが
ら改めて英志に、
「……で、どうすんだよ? 完全に迷っちまったじゃねーか」
「ふむ……」
 XY−MENの言葉を受け、考えるような仕草で辺りを見廻すと英志は、
「……犬。不本意だが貴様の鼻を役立ててやる。光栄に思うがいい」
 と、その逞しい胸をふんぞり返らせながらXY−MENに言うのだった。
 その様は、形容するに正に何処かの香港代表お下げ髪に髭面の拳法マスタ
ーさながらである。
「……犬って、呼ぶなっつただろう? 筋肉ダルマの老け顔お下げ」
 ぴきっ(XY−MENのこめかみに怒りマークが現われる音)。
「……それは、もしかして俺の事を言ったのか?」
 ぴくぴく(英志のこめかみに青筋が浮かび脈動する音)。
「へぇ〜自覚してたのか、こいつは驚いた」
「貴様……ッ」
「………………」
「………………」
「やるかッ!?」
「ふん! 特別に受けて立ってやる、こォォの馬鹿犬がァァッ!!」
 正に一触即発。
 これから、人狼と鬼との人を超えた戦いが繰り広げられる!! のか(こ
の2文字だけ超小文字で東スポ風)と言う、その時。
「西山先輩も、XY−MEN先輩も止めてくださいッ!! てーか、巻き込
まれるのは嫌ですぅッ!!!!」
 今まで固唾を飲んで成り行きを見守っていた、海パンにTシャツ姿の水野
ゆきが、自分にまで被害が及びそうだと感じ――この場にいる時点で既に被
害を受けてる気もするが――慌てて二人を止めに入ったのだった。
「……へんッ!」
「ふん……」
 既に泣きの入った表情のゆきが、身体を二人の間に入れてまで止めようと
した為か、しぶしぶながらと言った感じに、英志とXY−MENは戦いを中
止し、顔も見たくないとばかりにお互いにそっぽを向く。
「はぁ……助かった……」
 生きてるって素晴らしい、とゆきはその時そう思ったと、後日この時の事
を語ったらしい。
「……と、そう言えば。XY−MEN先輩」
「……なんだよ?」
「う゛っ。そんなに睨まないでくださいよっ。あぁ、いつの間にかあんだけ
いたはずなのに、僕を入れてたった三人になってるし……うっうっ、助けて、
初音ちゃんッ!」
 ふてくされた顔で振り返ったXY−MENの顔に怯みながらぶつぶつ言い
始めるゆきに、XY−MENは更に苛立ったのか、
「だから、なんなんだよッ!」
 と語気を強めて言う。
「はっ?! えっ、えぇ〜っと……さっきのちゃぶ台は何処から出したのか
な〜って……」
『……ちゃぶ台?』
「えぇ、ちゃぶ台です」
 同時に聴き返す二人を見て、実は仲良いんじゃないか? などと思いなが
らも、ゆきはもう一度二人に言う。
「あぁ。それなら、なんかそこら辺にあったからつい弾みで……」
「………………」
「………………」
「………………」
「…………くま?」
 そう。
 XY−MENが指差したちゃぶ台があったと言う方向には……何故か新聞
を閉じようとした体勢で固まったまま、座布団に腰掛けている”くまっぽい
物体“がいたりしたのだったダダ。
 てーか、むしろ、くまの縫いぐるみ? と言う姿だ。
「……殺す」
 キュピーン。
 3人はその時、くまの黒いつぶらな瞳が輝きを放ち、押し殺したかのよう
な声で、自分達を殺すと言ったのを、その光景を、確かに目撃したのだった。
 唐突なシリアスシーンへと突入しながら、そして場面は同じように唐突に
変わる。
 変わるったら変わるのである。



 さて、むささび描写を誤写しておーのーと言った描写から一転して、一方
こちらの女子更衣室の女生徒の面々はと言うと……。
「ふっふっふっ。ついにこの時がきたわよぉ〜! この志保ちゃんが、名実
ともに、学園のアイドルとなるその時が〜っ! ……ところで、名実ともに
ってなんだったかしら? まぁ、どうでもいいわねぇ〜。ともかく、この志
保ちゃんバディに、男どもの視線は〜……す・べ・て・くぎつけよん♪」
 と、ご機嫌なノリで姿見の前で自分に似合う水着を物色しながらやたら、
すべての部分を強調し一人ご満悦なのは、歩く東スポこと長岡志保ちゃん☆
である。
「志保〜。もう少し、小さい声でもいいと思うよ」
 と、独り上手な志保に、控えめに言ったのは、中学からのコンビネーショ
ンアーツこと、志保とはマブダチ(死語)な神岸<勇者>あかりさまである。
 時々、某大学の衛星の人と間違える人がいるらしいが、そんなことは関係
ないので、説明は省きますので悪しからず。
 えっ? 説明してる??
 ……ギャッフン(やはり死語)。
「そぉ〜? あたしは気にしないから全然OKよぉ〜ん♪ そんなことより、
あかりもこの際だから、きわどいビキニなんて着ちゃって、ヒロの奴でも悩
殺しちゃえばぁ〜」 
「えっ?」
 いかにも意地が悪いと言った顔で言う志保に、驚いたのか恥ずかしがった
のか、あかりは俯いてしまう。
「まぁ、あかりには無理か。あはははは〜」
 そんなあかりの態度に、笑いながら言う志保。
 だが。
「……だから」
 どうやら、あかりは驚いたわけでも、照れたわけでもなく、単に何かを呟
いているだけだったようだ。
「へっ? あかり、今なんて……??」
 まさか何かを呟いているとは思ってもみなかったことだったので、あかり
の言葉を聞き逃した志保は、思わず間の抜けた感じにあかりに聴き返したの
だったが……。
「ううん。なんでもないよ、志保。そう、なんでも……ね」
 キュピーン。
「そ、そう……?」
 その時、志保は確かに見た。
 親友の瞳が光りを放ったのを。
 だからこそ志保は、あかりに聴くのを止めたのである。
 そう。
 その感覚は、例えるなら海の浅瀬を歩いていて、あっ、これ以上踏みこん
だら深くなってやばいな、と思う感覚や、画面は黒いのに、あっTV点いて
るな、と分かるような、そんなニュータイプ的君に届けてれぱすぅいーみた
いなー感じぃ〜? と、後に表現したとかしないとか。
 でも、それはまた別のお話。
 ……話を戻そう。
「よし! これに決めたわ。どう? あかり」
 そう言って志保があかりに見せた水着は、赤と白との2色で構成されたビ
キニタイプの水着であった。
 やや質素な感じはするものの、上下で赤と白の配色の場所が違うと言う、
少し凝った感じがする。
「うん。いいんじゃないかな? 志保の場合は、これくらいでも十分目を引
くと思うよ」
「よし! ほんじゃ、これで決りッと」
 志保はあかりの太鼓判を貰ったことでこの水着にするのを、決定したよう
だ。
 この二人は、一見正反対に見えるが服のセンスで意見が合うなど、やはり
友人として共通する部分があった。
 だからこそ、志保はあかりに意見を求めたと言うわけである。
「で、あかりはどれにすんのよ」
「えっ? 私? 私は……これにしよっかなって、思ってるんだけど」
 そう言ってあかりが志保に見せたのは、シンプルなワンピースタイプの水
着だった。
 何処か落ちついた感じのするデザインのその水着は、確かにあかりに似合
いそうではあった。
 似合いそうではあったのだが……。
「それじゃダメねぇ〜。その水着、確かにあかりにピッタシかもしれないけ
ど、ちょ〜っと地味よ、地味」
「えっ? そ、そうかな??」
 あっさりと志保に却下され、あかりはまじまじと手にしている水着を見た。
 確かに、言われて見れば少し地味かも知れない。
「えぇ〜っと、ほらっ。これなんかいいんじゃない?」
「えっ? どれ? 志保」
 志保があかりに差し出したのは、南国の花がプリントされたビキニタイプ
の水着であった。
「私には、ちょっと派手かも……」
「な〜にいってんのよぉ〜。あかりはいつも少し控えめなんだから、こうい
う時にこそ、アピールしなきゃ。だいじょうぶ。この志保ちゃんが似合うっ
て、全面保証よん」
「そ、そうかな?」
 志保の言葉に、乗り気とも取れる発言をするあかり。
 そんなあかりを見て、志保はもう一押しと踏んだのか、
「そうそう。たまにはいいんじゃないの」
 と言って、後押しするかのようにあかりの背中をポンと叩く。
「……うん。そうだね。私、これにするね。ちょっと……恥ずかしいけど」 
 そう言って、はにかむようにして笑うあかりに、志保も、
「うん。そうしなさいな」
 とニカッと微笑んだ。


 さて、そんな仲良しさんな二人からちょいと離れた場所で、同じく仲良し
さんなこの二人組も、同じように水着の最終選考へと移ろうと……していた
のか?
「……電芹? ちょっと聞きたいんだけど……それって、なんなのかな??」
 そう言って仲良しさんの片割れである、ボケッ子1号こと川越たけるは、
相棒でパートナーである所の、同じくボケッ子さんである2号、電柱@セリ
オこと、通称電芹の、いつもと”少しばかり違った格好“について質問して
いた。
「えっ? これですか?? これは、科学部で柳川先生のお手伝いをしてい
る時にですね――」 

 ポワンポワンポワン……ポンヨヨヨ〜ン(回想シーン移行時のBGM)♪


 ――数日前の試立Leaf学園科学部部室。

「これ、ここでいいんでしょうか?」
「うむ。問題ない。降ろしてくれ」
「はい。うんしょっと」
「ふむ……電芹、確か水中行動用の装備は持っていなかったな?」
「はい。そうですが……それがどうかされましたか?」
「いや、今この電柱を見ていたら急にアイデアがな。この電柱借りるぞ」
「えっ? あの、柳川先生?」
「ふっふっふっふっ。……造ってやる。造ってやるぞ! さぁ、嘆き叫ぶが
いい!!」
「あ、あの、柳川先生……?」
 トンテンカンテン。
 チュイ−ン。
 ガガガガガッ。
 んばば、んばんば、めらっさめらっさ。
 ……チ−ン(全て発明最中の擬音)。


「――と、言うわけなんです」
 回想シーンも終わり、回想シーン終了時お約束の台詞、「と言うわけなん
ですよ」を見事に決めた電芹は、また1歩人間臭く(やな意味で)なり、上
機嫌ご機嫌ルンルンな百点満点クラスの笑顔さんで、たけるに言うのだった。
 結局、たけるの質問には答えていないが。
 たけるは、数秒間ほど電芹の言った事を頭の中で反芻し、
「電芹、良く解らないんだけど……。特に、最後の辺りのめらっさめらっさ
が」 
 聞いた他の人間が思わず、「聞くのはそこかいッ!」とツッコミそうな質
問を電芹にしたのだった。
 まさにボケッ子さんの面目躍如、メンマは桃屋と言ったところである。
「たけるさん! 私は! 悲しい! ですッ!!」
 たけるの台詞に、電芹は、まっ、たく、簡単、だ! ニカッ(キラーン)
思わず白い歯も光るぜッ、てな感じに、ウエスタンラリアートで寝かせてか
らのサソリ固め、そして投げっぱなしジャーマンから、起き上がらせてロー
プに振ってからのドロップキックのスーパーコンボを、たけるに見舞った。
 正に息をも吐かせぬ華麗なる連携攻撃。
「ぷにゃぁッ!」
 とたけるは、う゛〜ん……らう゛りぃ〜な、謎の悲鳴を上げて崩れ落ち、
そしてまた電芹は、防衛記録を樹立したのであった。
 ちなみに、たけるの顔は眼がばってんになってたりする。
 可愛いぞ。
 本筋には全然関係ないが。
「電芹……今のは痛すぎるよう……」
 ダメージが抜けず、床に倒れたまま、たけるは半泣き状態で電芹に弱々し
い抗議の声を上げた。
「たけるさんは、高知は室戸市名物シットロト踊りをご存知ないと言われる
のですか!?」
「あのね。そうはっきり元ネタ解るように書く(言う)のは少し不味いと思
うし、何よりも、そんな踊りがあったの初耳なんだけど……」
「たけるさん! 私は! 悲し(以下略)」
 暗転。

 ――暫らくお待ち下さい。

「で……何でしたっけ?」
「もういい。もういいよ電芹……」
 たけるは、ワカメ涙を流しながら思った。
 電芹が人間らしくなったのはとっても嬉しいけれど、これじゃあ身体が持
たないよ、と。
 ついでに、某真紅の秘伝説の第3部主人公の如く、や〜れやれだぜ、と少
しニヒルに言ってみた後に、きゃん☆ とぶりっ子(これも恐らく死語)し
てみちゃったりもこっそりとした。
「もういいって言っちゃったら、話が続かなさそうだから言うけど、この電
柱がどうとかって話じゃなかったかな?」 
 そう言いながらたけるは、傍らにでんと存在する電柱に振れた。
 見事に話は逸れているのだが、誰も気が付いてはいなかった。
 そう、書いてる本人でさえも。
「そうそう。そうでした。あっ、たけるさん。ちなみにそこは――」「へっ?」
 それは、電芹がそう言ったのとほぼ同時だった。
 たけるが触った個所が発光したかと思うと、電柱は辺り一体に眼も眩むほ
どの光りを放ち、そして、光りが収まったかと思った次の瞬間。
「……えぇ〜っと。電芹、これはなんなの?」
 たけるは、電柱の中に収納され、電柱から顔の部分と手足だけを出した格
好と言う、非常にまぬ……もとい、可愛らしい姿になっていたのだった。
「はい! 柳川先生に造っていただいた、水中行動用の外部パーツです! 
電柱の底の部分にスクリューが搭載されており、水中での行動力が各段に向
上する筈なんです! ちなみに、たけるさんが触れた部分がこの装備の合体
ボタンなのです! なんか……格好良いですよね。パーツ合体はロボットの
憧れですし」
 誇らしげに、そしてやや興奮気味にたけるに電柱水中行動用外部パーツバ
ージョンを説明する電芹。
 心なしか、電芹の表情はうっとりさんだった。
 だが、そんな電芹とは異なり、たけるは不安な気持ちで一杯だった。
 特に”筈“と言うのが。
 今のところ密かにだが、たけるは柳川裕也に少なからずの好意を抱いてい
る。
 有体に言えば”乙女の恋心“と言うやつだ。
 だが、駄菓子菓子……だがしかし。
「電芹。一つ聞くけど、これって水の中ではどんな感じで動くのかな??」
 たけるは、自分の思い浮かべたイメージが間違っていて欲しいなと、淡い
期待を抱きながら、電芹に尋ねた。
「えぇ〜っと、こうですね。こう言う感じだと思います」
 電芹はジェスチャーでたけるに説明した。
 その結果は……。
「………………」
「たけるさん、どうかされましたか??」
「…………魚雷?」
 ……たけるの予想した通りだったりした。
 運命は残酷なものらしい、とこの時たけるは、はっきりとそう思った。
 こうして、一人の少女は1歩1歩、ゆっくりとだが確実に、大人への階段
を踏みしめて行くのでありました。
「うっうっ……。こんな事で、大人になんかなりたくないよう」
 ワカメ涙を流しながら、たけるはしみじみとそう言うのであった。
 そりゃーそうだろうねぇ。
「たけるさん? どうして泣いておられるのですか??」
「何でもないよ、電芹。てーか、聞かないでお願い」
「?? はぁ……」
 さて、感の良い読者の方なら、たけるの杞憂が何なのか? と言うのはお
分かりであろう。
 だが、一応ここに説明しておくと、たけるが予想したのはつまりこう言う
事であった。


 ――たけるが考えていた事。

「わー水泳なんて始めてです。私」(棒読み)
「そうなんだ。良かったね電芹」(同じく棒読み)
「では、早速水中用電柱を装着しましょう。それー」(更に(以下略))

 がちゃこん(装着する音)。
 ざぶ〜ん(飛び込む音)。
 うぃ〜ん(何かが回転する音)。
 ざばざばしゃばだばだ〜(何かが水中を移動する音)。

「わぁー電芹泳ぐの早いねー」(続(以下略))
「きゃあー止まりません。助けてー」(続々(以下略))
「あれー電芹ー」(又々(以下略))
「たけるさーん」(ニュー(以下略))
「電芹ー」(新(以下略))

 ちゅど〜ん(何かが何かにぶつかって激しく爆発する音)。


「……電芹。せっかくだけど、これで泳ぐのは止めておいた方がいいと思う
よ」
 好きだからこそ、何となく裕也の行動が読めてしまう、たけるだった。
 全然ありがたくない、変す……恋する乙女の能力であったが。
「そうですか? たけるさんがそう言うのなら……」
 良く解らないと言った表情で、電芹はたけるにそう応える。
 その後、たけるは電芹に助けてもらい、何とか電柱水中行動用パーツ外部
装着バージョンを脱ぎ終えると、
「あっ、そう言えば。電芹、いつもと違う耳当てだけど、どうかしたの??」
 と、電芹に尋ねた。
 こうして、漸く一連の会話は元の話題(電芹のいつもとは違う部分)に戻
ったのであったが、既にその事は誰も覚えてはいなかった。
 そう、読者でさえも。
「お魚にぃ〜なった〜私ぃ〜♪ ……えっ? これですか??」
 まだ名残惜しそうに電柱(以下略)を見ていた電芹は、たけるの声にやや
遅れて反応すると、自分の耳当て兼インターフェイス兼チャームポイントに
触れた。
 ちなみに、電柱はライフワークでポリシーだ。
 試験に出るので覚えておこう。
 思いっきり嘘だが。
「これはですね、水中行動用の防水・耐圧処置を施したモノなんです。普段
のは雨程度の水気には耐えられますが、本格的な水中運動――つまり、水泳
などには対応されていないものですから、つまり――」
 電芹が続きを言おうとしたその時。
 不意に誰かが、
「大きな耳栓なんですねー。大きすぎですー。カッコ悪いですー。つまりは、
負け犬さんですー。うきゅ☆」
 なぁ〜んて事を、無邪気この上ない、更に言えば少ぉお〜しばかり癇に障
る言い方で、仰ったのでございました。
「………………」
「………………」
「………………」
「…………きゃるん♪」
「…………電芹」
「…………たけるさん」
 たけると電芹の二人は、お互いの顔を見合った。
 何も語らなくても、二人はそれだけで通じ合えた。
 ビバ、友情パワー。
 力こそ、パワーだ。
「電芹……!」
「たけるさん……!」
 ――乙女の怒り発動!
 何処からか、チャララララァ〜ン♪ と言う、某新日本代表の格闘家の専
用BGMが聞こえて来りもして、二人のボルテージはMAXフルで満点だ。
 たけるの台詞の後に、電芹が続く。
「乙女の心が真っ赤に燃えるぅッ!」
「幸せ壊すなと!」
「轟き叫ぶッ!!」
「愛と!」
「怒りと!」
 ……そして。
 二人は、まさに一体となる。
『悲しみのォオオ!! ……友情のミラクル電柱飛んでけ1号ホームランッッ!!!!』
 そして、二人の愛と怒りと悲しみと友情の……物凄く大袈裟に聞こえるが、
まぁそこは乙女のハートはきゅんと鳴るのぉ〜☆ てなところであろう。
 ちなみに、深く考えては君の負けだぞ。 
 ともかく、何だか良くは解らんが、とにかく凄い必殺技ぜよ、と言うよう
な技が、誰かに炸裂したのだった。
「飛びます、飛びます〜うきゅううぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 そして、謎の誰かさんは、不用意な一言により、お空の彼方で明けの明星
が輝く時、一つの星が空に向かって飛んで行く、それが僕なんだよ、てな感
じで、空の光の一欠けらとなった。
 キラーン☆
「電芹……」
「たけるさん……」
『二人で一人だ!』
 たけると電芹はバロームクロスをがっしりと交わし、こうしてまた友情を
確かめ合うのだった。
 しかし、その直ぐ近くで、先程吹っ飛んで行った筈の謎の誰かさんが、二
人を真似して二足歩行の三毛猫と、同じくバロームクロスしていたが、やが
ては某龍球のフュージョンに移行していたりしていたが。
「さっ、水着選びに行こッ♪」 
「はい、たけるさん!」
 どうやら、二人はそれには気が付かず、仲良しさんで手を繋ぎスキップ、
スキップ、ランランラ〜ン♪ をしながら、奥に置いてある水着の方へと向
かったのだった。
 もし二人が気が付いてたいら……以下エンドレスワルツで俺は後何回子犬
を、子供を殺せばいい? そんなのは知らんってなもんや三度笠。




 さて、女子更衣室でそんなやり取りが行われていた、丁度その頃。
 使命感に燃え、女子更衣室防衛の任を進んで買って出た……と言うか、勝
手に使命を作った一団が、獲物(覗きに来た生徒)を今か今かと待ち受けて
いたりした。
「ふっふっふっ……ついに、我らの出番だ。風紀委員諸君! 気を引き締め
ろよ!!」
 風紀委員会内部で、恐らくナンバー2の実権を持つであろう、最近ちょっ
ぴり抜け毛が心配〜だとか、胃腸薬は僕の友達さとか、色々と心配事の多い
こう見えても、ちゃんと青春してるのさ(ニカッ)! 爽やか〜(擬音)な、
ディルクセンの号令に、
『おぉーーーーーーーーーーーーッ!!!!』
 と、辺りに轟く程の大声で応えたのは、風紀委員の中でもディルクセンに
傾倒する、なんかやばい宗教? と生徒達には引かれている風紀委員一同だ。
 ちなみに、この場にいるのは男子の風紀委員だけで、その事が更に怪しい
団体な臭いをぷんぷんとさせており、臭う、臭うぜーってな感じだった。
 しかも、全員がお揃いのTシャツに海パンと言うペアルック(はぁ〜と)
であるし。
 はっきり言って、近づきたくない、目を合わせたくない、係わり合いにな
りたくないの、嫌な3連コンボだった。
「しかし、長かった……長かったな。僅かな時間であった筈だが、もう半年
以上も、ここでこうしていた感じがする」
 と、しみじみと語るディルクセン。
 済みません。
「さぁ、諸君! 気を取り直して警備に当たるぞ!!」
『はいっ!』
 ディルクセンの言葉に、風紀委員全員が一糸乱れぬ整列をし、直立不動の
姿勢で、先程と同じように辺りに轟く程の声を出す。
「良い声だ。では……」
 ディルクセンは、その態度に満足そうに頷きながら列の前を行き来し、丁
度列の真中に立ち止まると、続いて口を開く。
「諸君! 我々の望みは何だッ!?」
『秩序!! 秩序!! 秩序ッ!!!!』
「今回の目的は何だッ!?」
『捕獲!! 捕獲!! 捕獲ッ!!!!』
「俺達は学園を愛しているかッ!? 風紀委員会を愛しているかッ!? 諸
君ッ!!」
『ガンホー!! ガンホー!! ガンホーッ!!!!』
「良し! 行こうッ!!」
 こうして、風紀委員一同は散開し、警備に当たって行ったのだった。


「……あいつら、軍隊かなんかか?」
 迷いに迷い、なんとか広い所に出れたと思った矢先の風紀委員達の一幕を
見て、ぽつりと声を漏らしたのは、浩之であった。
「ところで……ガンホーって、何?」
 と、一人違う事を考えているは、このメンバーのボケ担当決定のうっかり
八兵衛役の昌斗である。
 言うまでも無さそうだが。
「ガンホーと言うのはですね、韓国語でして、漢字では”工和“と書きます。
意味は、強力して励め……つまり、彼等はお互いに言い聞かせていた、と言
う分けですね」
 と、親切に説明するbeaker。
 単に、説明が好きなだけかも知れないが。
 と言うか、某男の為の塾の某中国人?
 ちなみに、こう言う時のお約束として、
「知っているのか、beaker?!」
 と、きちんとYOSSYが言っていたりする。
「へぇ〜……でも、何故に韓国語??」
 と、感心しながら言ったのは晶である。
 どうやら、晶も少し天然が入っているらしい。
「それは、朝鮮戦争の時に制定されたものだからだろう。確か、その時米軍
海軍部隊がモットーにしていたそうだが」
「なるほど。しかし、ディルクセンさんが何故使用してるかは、どっちにし
ろ不明ですね」
 晶の疑問に答えた朔の説明に、頷きながらもティーが言う。
 流石は、最近忘れられがちの元傭兵とお爺ちゃんの知恵袋である。
 どっちもあまり誉めてないが、別に誉めようとしているわけではないので、
おーるらいつっ。 
「ふん……。中々統率が取れているようだな。まぁ、俺にはさしたる驚異で
もないが。そんな事より、そろそろ時間が残り少ないぞ。一気に突破しなけ
れば、間に合わなくなるかも知れん」
 一人ニヒルに決めたのは、ハイドラントである。
 だが、所々に葉っぱがくっついていたりしているので、いまいち決ってい
なかったりしたが。
「そうだな……。はえーとこ、この包囲網を突破しねーとな」
「よし! 包囲網離脱作戦、と行こうぜ」 
『おうッ!』
 そして、再度の作戦会議は始まり、



    第4話 包囲網離脱作戦。



 今回のタイトルが出たところで次回に続く。
 こんなんばっかりだ。



 ――次回予告。

「……自分らの出番はどうした、おいッ」
「まぁまぁ、次回はあるみたいだし」

 出番がある筈だったのに、出て来れなかった事を怒る謎の二人組。
 そして。

「……行きます」
「ちょっ、ちょっと、姉さんッ?!」

 妹の制止を振り切り、戦場へと赴く姉。

「そう言えば、水着選びに行ったまんまね。勝負は??」
「そうですね。……出番は、もう終わったんでしょうか??」
 
 忘れてないぞ。しかもそれを言ったら皆そうだ、な二人。

「貴様ら、そこまでだッ!!」
『お前達は……?!』

 懐かしい狩人の登場は、この物語をヒートアップさせる……のか?

 相変わらず全然当てにならない予告編だ、な次回、試立Leaf学園の日
常――熱きプールの戦い・学園で一番暑い日――五の巻。

『薔薇狩人……参上ッ!!』

 次回も、また見てくださいね〜。じゃんけん、ぽん! うふふ。