Lメモ私的外伝「我が娘に捧げる子守歌」壱の章 投稿者:きたみちもどる
  第二購買部。そこは、この学園の生徒beakerが店長を務める、
校内(いや、世界かもしれない(笑))随一の販売量と多種多様の物品を
扱うことで有名である。
今日も今日とて繁盛している。そして、今、その扉を開く客が一人・・・。
「いらっしゃい、あっ、これはこれは芹香さん。今日は何用で?」
いつもの口調とスマイルでbeakerは言う。
「・・・・・」
「ああ、この間頼まれていたヤツですね。ええ、大体はそろったのですが・・・。
ただ一つだけそろってないんですよ」
珍しく、歯切れの悪い言い方をするbeaker。
それは、注文の品が完全にそろわなかったことに起因する。
「でも、今、沙留斗君が、とりにいってますから『アレ』」
芹香を安心させる為にそう言うbeaker。事実、沙留斗に頼んでいるのだが。
そこへ、
「beakerおにいちゃん、お掃除おわったよ」
といって、奥の間から出てくる女の子が一人。妙に和服とおかっぱ(?)が
似合う五歳ぐらいの女の子だ。
「ああ、ご苦労様。靜ちゃん」
にっこりと女の子=靜に微笑みながらねぎらうbeaker。
「うん!」
こっちもまた、負けじと、にぱっと微笑む靜。
そして、『お客』に気づいたらしく、
「いらっしゃいませ〜。芹香おねえちゃん」
またもや、にぱっと微笑みながら、お辞儀をする靜。
「・・・・・」
お辞儀をしながら、何事かを靜にいう芹香。
「えっ、えっ、靜、そんなに丁寧じゃないよぅ・・・」
芹香に誉められ、テレまくる靜。
端から見ていると妙に微笑ましい光景。そうbeakerは思った。
そして、何気無しに芹香の方を見やる。相変わらず無表情だが、なんとなく
楽しげな表情をみせている。
(へぇ・・・、あの先輩がねぇ・・・。やっぱ先輩でも子供には弱いのかな?)
そう、思ってみたりするbeaker。だが、妙に気になることもある。
それは、芹香の目だ。芹香の靜に対して向けている目は、憐憫の表を呈している。
(何故?何故あんな目をするのだろうか?)
疑問に思うbeaker。そして、彼の頭にもたげるもう一つの疑問。
(最近、妙に『アレ』を求めるのは何故だろうか?)
一見、何の関係を持ちそうにも無い二つの疑問。だが、本当は、何か、関係が
あるのではないだろうか?商売人の直感がそう告げている。
そこで、彼はある決心をする。
(お客様のプライベートに突っ込むのは信条に反するけど、どうも気になるんだよなぁ・・・。
少し、調べてみようか・・・)
だが、後にこの事をしきりに後悔するのだが、それは、物語が進むずっと先のことである。


  不意に扉が開く。
「あっ、いらっしゃ・・・ああ、沙留斗君ですか、お帰り」
「沙留斗おにいちゃん、おかえり〜」
「ただいま、マスター。それに靜ちゃん」
この場に姿を現わしたのは、”トレジャーハンター”こと、沙留斗だった。
「どうも、遅くなってすいません、マスター」
軽く謝る沙留斗。
「ああ、遅くなるのは構わないけど、ちゃんと『アレ』はとってきたんだろうね?」
「そりゃ、もう、当然ですよ」
といって、リュックから古びた一つのツボをとりだす。
「これが、『人魚の血』がつまったツボです」
いささか、おごそかな口調で沙留斗は言う。
「本当に、ご苦労だったね。さて、今から小分けしますから少し待っていただけますか?芹香さん?」
と、beaker。
「・・・・・」
「えっ、このツボごとお買いになられる・・・ですか。別にかまいませんけど」
そして、いつものごとく気前よく(?)お金を払い品物を持ってかえる芹香。
「「まいどあり〜」」
beakerと沙留斗の声が唱和する。
「またね〜、芹香おねえちゃん」
靜が手を振り、別れの言葉を口にする。
それに答えるがごとく、芹香はこちらを振り向き、ぺこりと頭を下げる。
そして、何事も無かったかのように又、歩きはじめる。
「それにしても、マスター。『人魚の血』だなんて一体何に使うつもりなんでしょうかね?芹香さん」
疑問を口にする沙留斗。
「さぁ・・・な・・・」
やる気が無い様な口調でbeaker。
「確か、『人魚の血』は不老不死の良薬なんですけど、体に合わなければ、
自らをも滅ぼす毒にもなりかねないんですよね」
沙留斗は、『人魚の血』の知識を思い出しながら言った。
「その通り。だけど、どんな風に使うかは、私たちには関係ないからね・・・」
やはり、やる気の無いような口調で、beaker。
そんな会話を、きょとんとした顔で靜は聞いているのだった。


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みなさま、こんにちは!きたみちもどるです。
ようやく、本編突入です。
これから、運命の輪は動き出します。
どう転ぶかは、作者にも分かりません(爆)。

『人魚の血』。これは、高橋留美子の漫画「人魚シリーズ」からパクったものです(笑)。

あと、最後になりましたけど、無断で出演させてしまった、
beakerさんと、沙留斗さん。
ごめんなさい。
この二人のイメージがくずれたら、それは、僕の責任だ(笑)。

では、次は、弐ノ章でお会いしましょう