聖なる日の祝い 投稿者:昂河

「ジングルベ〜ル、ジングルベ〜ル、すずが〜鳴る〜、Hey!」
「ますたぁ、動かないでくださいよ。飾り付けができないじゃないですか」
「HaHaHa、細かいことは言わないでくださいヨ」

 いつものようににこやかに笑うTaSに、デコイは溜息をついた。

「それにしても、クリスマスなんだなあ」
「クリスマスなんだよなあ……」

 Yinの呟きに再び溜息をつくデコイ。

「デコイさんは何か予定は?」
「あるわけあるか」
「だよなあ」

 飾りの星を持ってYinも溜息をつく。

「瑠璃子さんは?」
「クリスマス?」

 同じように飾り付けをしていた瑠璃子がうっすらと笑みを浮かべた。

「私は、ないよ」
「そっかあ」
「仲間だなあ」

 なんとなく安心感を覚える2人だった。

「ワタシもありませんよ」
「そりゃそうでしょうねえ」
「ますたぁにあったら、俺達にあってもおかしくないですって」
「HaHaHa、何気にひどいデスねぇ」

 TaSは飾りの紐を持って、ひょいひょいと回した。

「クリスマス……聖人の生まれためでたい日デス。神の恵みは、果たしてある
のでしょうかね」
「髪の恵みはもういいっす……」
「これ被ってると一生髪には困らないだろうけどな」

 2人の言葉に、瑠璃子がくすくすと笑った。

「いいよなあ、とーるさんは。バレー部でクリスマスパーティだってさ」
「ワタシ達もこれからパーティデスよ」
「それにしたって、もうちょっとこう……なあ」
「うん……ああ、瑠璃子さんと理奈先生がいる分ちょっといいかも」

 言いながら、のんびりと飾り付けしていく。
 もうすぐクリスマス。
 救世主の誕生日。

「あれだよなあ、ついでに忘年会って感じだよなあ」
「忘年会は忘年会で別にしたいよなあ」
「それはかまいませんヨ。ワタシはずっと学校にいますし、部活はいつでもで
きますヨ」
「部活かなあ、忘年会……」
「いいよ、忘年会」

 ぺた、と星を貼って、瑠璃子が言った。

「私達だけじゃなくって、みんなを誘えばいいよ」
「みんなって?」
「うん、みんな」
「……とりあえずあれだ、せっかく騒ぐならみんなでってことだよな」
「クリスマスはこれだけだけどな」
「だってみんな予定あるし、悪いもんなあ」
「2人とも優しいね」

 微笑んだ瑠璃子に、Yinとデコイはぽりぽりと頭をかいた。

「さてと、できましたよますたぁ。どうです?」
「Oh! ふぁんたすてぃっく」

 TaSが満足げにうなずく。
 その時、ドアががらっと開いた。

「はい、みんなおまたせ。チキンとか持ってきたわよ」
「おかえりなさい、理奈先生」
「待ってました!」
「おかえり、理奈ちゃん」

 袋とチキンの箱を持って入ってきた理奈は、部屋の中を見て目を丸くした。

「……何、あれ」
「何って、ツリー」
「……の代わり」
「ワタシの発案です、素敵でショウ」

 唖然とした顔の理奈に、頭のアフロと制服にツリーの飾りをつけたTaSが、
にかっと笑った。頭のてっぺんには王冠よろしく星が光っている。

「ぶっ……あはははは!」
「理奈先生……」
「あはは、TaS君似合う似合う。ついでにこれもつけちゃって」

 理奈は笑いながら、銀のモールをTaSの腰にゆわえつけた。

「はい、TaSツリーのできあがり」
「HaHaHa、理奈先生もだいぶワタシ達に慣れましたネ」
「そりゃもう、この学園にいればたいがいのことはね」

 そう言うと、理奈は机の上に置いた袋を開けた。

「さ、一足早いけどクリスマスにしましょ。シャンパン買ってきたからね」
「本物?」
「残念、アルコールは禁止」
「ちぇっ」

 瑠璃子が並べたコップに、理奈はシャンパンを注いだ。

「さ、それじゃ乾杯しましょ」
「よし、乾杯……はいいけど、何に乾杯するんだ?」
「野暮ですねェ」

 TaSがちっちっち、と指を立てた。

「こういう時は、全ての人の幸せに乾杯するものデスよ」
「ますたぁ……キザ」
「まあ、ますたぁだし」
「いいじゃない、クリスマスなんだから」
「クリスマスって便利だなあ」

 全員がグラスを持ったところで、TaSがコップを高くかかげた。

「それでは、乾杯デス!」
「「かんぱーい」」

 カシャン、とコップが触れ合う。
 アフロ同盟のクリスマスパーティは、こうして始まったのだった。