Lメモ外伝「赤十字美加香の日常1:恋愛編」 投稿者:風見 ひなた
 求題:Leaf学園のラブラブ描写に良くある感じのものとは?

「う゛〜〜〜」
 隆雨ひづきは悩んでいた。
 耕一への愛を求め続ける彼女………。
 しかしそもそも愛とは何か?
 青年期に達した全てのものが堕ち悩む永遠の課題。
 少女はそれに取り組んでいた。
「愛…………かぁ」
 ひづきはがりがりとクラッカーなぞ口の中に放り込みつつ、椅子をぐるぐると回した。
「美加香ちゃん、初音ちゃん、愛って何?」
「愛……ですか?」
「愛………?」
 二人はほぼ同時にずずーーーと紅茶をすすり、やがて異口同音に口を開いた。
『そんなに知りたけりゃラブコメの主人公やってみればいいのに』
 みしっとひづきの持っていたティーカップにヒビが入る。
 震える手で何とかそれを皿の上に置き、ひづきは吐き捨てるように言った。
「やりたいと言ったのに誰も出演許可くれなかったのよ!」
 可哀想な佐藤君。
 みんな、彼に出演させて下さいと言いにいこうじゃないか!
「まぁあんな馬鹿兄貴のことはどうだっていいのよ」
 本当に可哀想な佐藤君。
 みんな、彼に励ましのメールを出そうじゃないか。
 え?もちろん僕は出さないぞ☆
 だってめんどうだもん。
「とゆーわけで……代わりにあたしが学園のラブラブ光景をウオッチングするのよ!」
 つつっと初音が汗を垂らしてひづきに突っ込む。
「それ……もしかして『でばがめ』って言わない?」
 ぴしっとひづきの身体が硬直する。
 だがそれも一瞬のことだった。
「シャラップ!我々民主主義国家に住む人民は法により『知る権利』を保証されているの
よ!」
「ひづきちゃん、知る権利はマスコミに関するものである上に『プライバシー保護法』を
無視しているような気がするんですけど」
 美加香の冷静なツッコミに、ひづきの動きが少しだけ止まる。
 だが、やがてふっと笑うとそーゆー些細なツッコミを無視して立ち上がった。
「学内は治外法権!殺人と婦女暴行以外はなんでもアリよっ!」
 その手にはしっかりカメラが握られている。
『んなわけねえってばよ』
 とか思いつつも結局押し切られる運命にあることをひしひしと自覚する二人だった。

 Case1  【護る愛護られる愛】

 セリスの霊波刀が宙を薙ぎ……妖魔をまっぷたつに切り裂いた。
 妖魔の身体から吹き出る黒い血がセリスへと吹きかかる。
 だがそれすらも神速の動きで避け、セリスの髪が激しい動きにはためく。
 まるで若侍の演ずる剣劇のように見事な舞を実戦に応用し、華麗に妖魔を退治するその
姿はまさに流水のごとし。
 隙のない見事な動きは彼が相当の手練れ……いや、天賦の才によって戦士として生まれ
た者の際限ない栄光の証である。
「相変わらず見事よねぇ」茂みに隠れたひづきがカメラ片手に言った。
「でもディアルトさんでしたっけ?その転入生にいきなり負けたって話もありますよ」
「美加香ちゃん、噂じゃそのときセリスさん調子が悪かったんだって」
 ひづきが初音の方を振り返った。
「え?なんで?」
「マルチちゃんの作った失敗料理を食べちゃったそうなんだけど………あ」
 見れば、セリスが後ろに庇っていたマルチと向き合ったところだった。
 脅えきったマルチがセリスの胸に飛び込んでいる。
「ふぇぇぇぇぇぇん、セリスさぁぁぁぁぁぁぁん!」
「おっとっと。マルチ、そんなに脅えなくたっていいんだよ?」
 だがマルチはふるふると首を振ってセリスの顔を見上げた。
「怖かったですぅ。怖かったですけど……それ以上にセリスさんが心配で……」
 そんなマルチにセリスはやさしく笑いかけた。
「マルチ。僕をもっと信じてごらん。君が心配するほど僕は弱くはないし……君が信じて
くれればくれるほど僕は力が出せるから」
「セリスさん……はいっ!」
 そう言ってマルチは指で涙をすくい、にっこりと笑った。

「あーあー、やってらんないわね」
「なんだか凄くいらついてきたんですけど」
「次行こうよ、次」


 Case2  【四季を愛でし者】

「浩之さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん、愛してますううううううっ!」
「来るな寄るな触るな好くな懐くな離れろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
 どたどたと訳の分からない生き物と名も知れぬ一般生徒が廊下を駆け抜けて行く。
「前から気になってたんですけど、何でしょうね、あれ」
「さあ?ショ○カーに改造された人造人間って噂もあるわよ」
「え?私はガラガだって…………」
 そう話し合う一同の前を再び突風が走り抜けて行く。
 やがてドップラーの法則と共に騒音が遠ざかり…………。

 ぶぢゅっ。

 というこの世の終わりみたいな音がした。
「死んだわね」
「なんだかいい気味って感じです」
「すきっとしてるうちに次行こうよ」

  訂正。【四季に愛でられし者】


 Case3  【悲しみも歓びも】

 互いに顔を見合わせた三人はこくっと真剣な顔で頷くと扉から遠ざかり始めた。
(私達は何も見ていない………)
(この中で起こった事なんて全然知らないよぉ)
(だからお願いあたし達の前から非現実よ姿を消してっ!)
 だが非現実な生き物はドアをぶち破って内部より現れた。
「はろぉぉぉぉぉぉぉっ!そこの君たち見学なんてどうだぁぁぁぁい!?」
「いやぁぁぁぁぁぁ!?」
「変態っ!」
「こわいよぉぉぉぉ!!!」
 その生き物はにやりとニヒル(ホントに?)な笑みを浮かべると脅える三人の罵倒にぞ
くぞくっと身体を震わせた。
「もっといってもっとぉぉぉぉぉ!!!!」
 ぶるぶる震えながら女の子に迫るその様子ははっきり言って気味悪い。
 恐怖感情の極限状況に追い込まれた三人は逆ギレした。
「あたし達のっ!」
「前からっ!」
「消えてぇぇぇぇぇ!!!」
 必殺奥義+エルクゥの力発動+草武術マスター=超破壊。
「おぼぐぎけろぎぇええええええええええええええええええええええ!?」
 ぶじゅるっと嫌な音を立てて秋山は壁にぶつかり…………ずるずると落ちてくる。
 だがやがて手でずるずると少女達の足下に這い寄ると、よろよろと手を伸ばした。
「も……もっとぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
『い″や″ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
「さあ君たちもえすえむ同好会にぃぃぃぃっ!!!!!レッツ入会ぃぃぃっ!!!」
 不気味な筋肉の固まりがそう叫んだ瞬間。
 かちゃっと銃火器を構えたDセリオがセーフティロックを解除しながら側に立っていた。
「猥褻物陳列罪により、校内風紀の敵と見なし物理的に排除します」
 じゃきっ。
「スピットファイヤー!!!」
「最っ高ぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!」
 紅蓮の火炎と身の毛もよだつ歓喜の声を響きわたらせ地獄絵図が誕生した。

 全力で逃げた三人は涙を目に浮かべぜいぜいと息を切らしていた。
「な………なんだったの今の生き物(?)は」
「あれが噂の秋山登だと思うけど……」
「どっちにしろ二度と関わり合いになりたくないねっ」

 社会の陰部だろ?


 Case4  【柳川博士の科学的愛情】

「ひづきちゃん!」
 美加香の声にひづきは立ち止まった。
「どしたの美加香ちゃん?」
「かえろっ!もうこのくらいにしてっ!」
 美加香はがたがたと震えながら言った。
 本気で脅えている。
 ひづきと初音は顔を見合わせ、美加香の方によった。
「どうしたの?顔が真っ青よ?」
「体の調子が悪いの?」
 心配する二人だったが、美加香は泣きそうな眼でぶんぶんと頭を振った。
「実験室は駄目!あそこは………あそこだけはっ!」
「どうしたのよ美加香ちゃん。そんなに怖がることないよ?」
「そうだよ、ほらカーテン開けてみても中は普通………」
 言いかけた初音の言葉はぴたりと止まる。
 しばらく石化してのち、三人の悲鳴が迸った。
「てめえらびーびー泣くなぁぁぁ!!!」
 音楽祭の緒方理奈の衣装を付けられたジン・ジャザムが号泣しながら這い出てくる。
 得も言われぬ気持ち悪さであった。
「じ………じんおにいちゃん…………?」
 声を石化させつつ初音がジンを見つめていた。
 ジンの顔が硬直する。
「は………初音………い、いやこれはっ」
 初音は気味悪そうにとゆうか気の毒そうにとゆうかとりあえずジンを見つめ、言った。
「もうお兄ちゃんは私の知ってるお兄ちゃんじゃなくなっちゃったんだね」
 がびーん。
 ジンの背後にそんな書き文字が現れる。
「ジン先輩、一体何が…………」
 その後から走り出てきた少年の動きが止まる。
 某リボンの似合うサムライ少女の格好をしたその少年は………。
 恐ろしすぎてここではとても言えない。
 言えないがとりあえず姿だけ言っておくとさ○らでもナ○ルルでもない。
 とある国作りシミュレーションのサムライ少女だ。
 ピンクが主体の着物が素敵に似合う少年は初音を見て石化した。
「…………は…………はつ……………」
 初音はきらきらと涙を輝かせて夕日に向かって駆け出していった。
「ごめんなさい、私あなたは見たこともないから」
 そんな一言を残して。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああん、初音ちゃーーーーーーん!!!」
 少年はサムライ少女の姿をしたままむせび泣いていた。
 その手にぽんとジンの手が置かれる。
「運が………悪かったな」
「そんなんで諦めきれるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「今この時間に柳川先生に掴まったのが俺達の不幸だったんだよぉぉ!」
 負けず劣らず号泣するジンの元に、噂の男は現れた。
 そう………右手にステッキをぶら下げて。
「魔法少女エルクゥユウヤ20過ぎてもぶりばりでぇす☆」         
 何がぶりばりだというのか。
 まぁそんな些細なツッコミはともかくピンチである。
 ちなみに今回のエルクゥユウヤのお召し物は!?

 ぴっちぴちの裸体に薔薇の花束が舞ってるんだぞぉ☆

「女の子は王子様に憧れるあまり自分も王子様になろうと思ってしまったのです。
 でも、いいの?
 本当に、それで?」
「ああああああっ、ひづきちゃん錯乱のあまり某少女革命の人のアニメ版オープニングな
んて暗唱しないでぇぇぇ!」
 ふらりと倒れたひづきをよそに、限りなく素っ裸に近い(花びらのおかげで局部は見え
ないのよ。エルクゥユウヤ☆(ぶんぶん))エルクゥユウヤはびしっと仁王立ちして見せ
た。
「これは科学の名の下に行われるパワードスーツの実験よ!邪魔しないでっ!」
「嘘つけっ!どっからどうみてもエルクゥユウヤが煩悩のままに突っ走ってるようにしか
みえんわっ!」
「そんなことないわ、私は柳川祐也よエルクゥユウヤ☆(ぶんぶん)」
  ひきっと美加香のこめかみが痙攣する。
「口で思い切りエルクゥユウヤいっとるやないかーーーい!」
「はっ!?………知られたからには生かして帰すわけにはぁぁぁぁっ!!」
 柳川先生改めエルクゥユウヤは裸身も露にステッキを持って迫ってくる。
 だが美加香もこんな非常識きわまりない生き物相手に戦うほど愚かではなかった。
「マジカルティーナ、助けてーーーーーーっ!」
「はーーーい!」
 ばこっ!と校舎の壁をぶち破ってマジカルティーナが助けに来る。
「天呼ぶ地呼ぶヒトゲノム!変態倒せと我を呼ぶ!愉快痛快奇々怪々、天上天下唯我独尊!
魔法の懲罪人マジカルティーナ10代満たずに全開です!(あおーーーーんという犬の声
まで一緒に響いている)」
 何が全開だというのか。
 ひづきの素朴な疑問に答えずマジカルティーナはびしっと敵を指さした。
「そこの変態!コスプレごっこを他人に強制してはいけないわ!しかもそれでいたいけな
少年少女の恋を打ち砕くとは言語道断!この魔法の懲罪人マジカルティーナとマスコット
の佐藤ポチが一撃粉砕して上げる!」
 ポチも一緒にあおーーーんと鳴いて(泣いて?)いる。
 そうでもいいがポチという割には単なるキグルミを被った少年にしか見えない。
 美加香はソレを指さしてひづきの方を振り返った。
「あの………もしかして、あの生き物ってひづきちゃんの従兄のお兄さんじゃ………」
「ううんぜんぜんこれっぽっちも知らない他人の人よ」
 ひづきは妙に自信に満ちた口調で堂々と言った。
 他人という言葉に妙に力が入っている。
(そこまであれを身内と認めたくないのね)
 当たり前である。
「突然必殺ポチクラーーーッシュ!」
「あおーーーん!」
 マジカルティーナのぶん投げたポチのとーとい犠牲によっていきなりエルクゥユウヤは
倒れた。
 別の言い方をすると飛来したポチのヘッドバッドを受けてもろともにどこぞへ飛んでい
った。………今頃きっとラブラブだろう。
「変態は……滅びました!」マジカルティーナはぱちっとウインクするとすたたたっと走
り去っていった。
 美加香はくるっとひづきを振り返る。
「…………お兄さんどっかに飛んでいっちゃったわよ?」
「知らない人だから関係ないわ。絶対に」
「今頃エルクゥユウヤにラブラブされてるわよ?」
「知らない人がどうなろうと知ったこっちゃないわ」
 ………………………………。
「助けるなら今の内よ?」
「だからそんな人知らないってば!」
 そうか、そんなに認めたくないか。
 安心しろ、僕もイヤだ。

 とびきり可哀想な佐藤君、君の死は無駄にはしないよ。


 Case5  【あの青かった春の日の思い出】

 ………………………………………………………………………………………。
「あ、今タイトル書いた途端に凄く嫌な予感が」
「飛ばそう、ここは」
 三人は無言で頷くと、足早に格闘部の前を通り過ぎていった。

 がらっ。

「誰だぁ、今『青い』って言った奴はぁぁぁぁっ!!!!!!」

 間一髪だったね☆


 Case6  【愛はどこへ行った】

 三人は中庭の噴水の前に来るとベンチに座り込んだ。
 かなり歩き回ったにも関わらず、結局まともな恋愛は見つからなかった。
「何で!?この学校には純愛って言葉はないの!?」
 一人熱血してぐぐっと拳を握りしめるひづき。
 初音と美加香はぐてーーーっとだれてへたりこんでいた。
「ひづきちゃん、観察対象が悪いんじゃないかなぁ?」と初音がつっこむ。
 ひづきは初音の方を振り向いて首を傾げた。
「観察対象が悪い?」
「そう。やっぱりああいう特殊な人は……」
 特殊な人。
 なぜだか納得してしまう表現だった。
「じゃあ、どうすればいいの?」
「うーん、普通の恋愛はそこらのカップルの人たちが一番……」
 言いかけた初音の声がぴたっと止まる。
 きょときょとと辺りを見渡した三人は、がばっと身体ごと振り向くとベンチ越しに草む
らを凝視した。
 がさがさと揺れる草むらの向こうから艶っぽい声が聞こえてくる。
 艶っぽいその声に、初音達の顔は真っ赤に染まった。
(こ、これって……)
(うわーー、白昼堂々ですね)
(す、すごい……あんなことまで……)
 小さく囁き合いながら、ごくっと唾を飲んで草むらの向こうを凝視する。
 照れながらもじーーっと熱心に観察している三人だった。
「おーい、何やってるのかな?」
 びくうっ!!
 三人は心臓が本当に飛び出しそうな驚きと共に振り返った。
 にこにこと一見人の良さそうな笑みを浮かべるYOSSYFLAMEが立っている。
「よ、よ、よ……よっしーさん………!?」
「人の恋路の邪魔をしちゃいけないよ。そんなの見るより……僕と実践の恋愛をしてみな
いかな?」
 たとえこれがよっしーにしたら悪意ないナンパ台詞だとしても……。
 普通の人は絶対にそうとはとらない。
 多くの場合、こういうときにこういう台詞を吐けばその意味は「黙ってて欲しけりゃち
ょっと付き合えよ、へっへっへっへっへ」となる。
 三人は眼を交わし合うと、泣きそうな顔でこくっと頷いた。
(よっしゃあああっ、ナンパ成功っっっ!!!!)
 よっしーは感涙の涙さえ浮かべながらガッツポーズを取った。
 このまま行けばよっしーには最良の一日となっていたに違いない!
 そう、このまま上手く行けば。
「さあ、それじゃ早速カラオケにでも……」
 言った瞬間、よっしーの後頭部に大質量のものが飛来し、めり込んだ。
「うぎょっ!?」
 意味不明系な呻きを上げ、ばたっと倒れるよっしー。
 ひづきは目を丸くしながらもそろそろとその側に近寄った。
 彼の頭には砲丸投げの鉄球と何故か掃除用モップが深々と突き刺さっている。
「初音ちゃん、こんなところにいたんだ!」
「あ、ゆきちゃん!」
 初音はててっと向こうから駆けてきた少年を見て声を上げた。
「どうしたの、ゆきちゃん?」
「うん……一緒に帰ろうかな、なんてさ」
 照れ笑いを浮かべるゆきに初音はにこっと笑いかけた。
「いいよ!さ、行こう!」
 ゆきは嬉しそうに笑うと、げしっとよっしーの頭を蹴りつけた。
 それと同時に向こうの茂みから目つきの悪い少年が現れる。
「おい美加香!こんな所で何してるんだ!」
「あ、ひなたさん」
 つかつかと歩いてきた風見はぽかっと美加香を殴ると、首筋を掴んで持ち上げた。
「全く、今日は早く帰って御馳走を作るって約束したでしょう!」
「え?そんな約束しましたっけ?」
「し・た・ん・だ・よ!僕が信用できないって言うのか!?」
 風見が迫ると、美加香はこくこくとあわただしく頷いた。
「あっ、しましたしました!さ、早く帰りましょう!」
 その反応に風見は満足そうに頷くと、よっしーをわざわざぶみっと踏みつけて歩き出す。
「じゃーねー、ひづきちゃん!」
「ひづきちゃん、また明日ね!」
 そう声をかけて美加香と初音は連れられていった。

 ひゅうううううううううううううううううううううううううううううううううううう。

 後にただ一人残されたひづきは、一足早く秋の風を経験しながら佇んでいた。
「え?何?もしかして、独り身はあたしだけ?……そんなぁ……」
 ブルー入りつつ、ひづきは呆然と呟いた。
 こ、耕一さんぁぁぁぁん!
 お願い振り向いてぷりーーーーず!
 そのときずりずりと足下に這いよってくるものがいた。
 犬のキグルミを着た怪しい少年……別名佐藤昌斗。
「ひ……ひづき……た、頼む保健室にっ………」
 そこら中衣装が破られてぼろぼろである。
 破れているのではない。破られているのである。
 ひづきは冷たい目で従兄を見ていたが、やがてはあっと息を吐くと昌斗を拾い上げた。
「仕方ないわねー。お礼はチョコパフェ10杯でいいわよ」
 そんなことを言いながら昌斗を背負い、歩き出して行く。
「け……結局金とるんかい………」
「当たり前でしょ。この世にただほど怖いものはないのよっ」
 そう言いつつも、ちらっと昌斗に向けられた眼は意外なほど優しかった。
 もっとも、昌斗はそれを見ることがないのだが……。


 誰もいなくなった噴水の前に、鉄球とモップがめり込んだ上に足形がたっぷり付けられ
た怪しい生き物の残骸がひくひくと蠢いていた。
「だ……誰か……救急車呼んでっ………」
 そんな彼を、茂みの向こうから出てきたタケダテルオとゴキメタオが冷たく見下ろして
いた。
「おい、こいつオレ達を覗いていやがったぜ」
「やっちまえやっちまえ!」
「う、うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
 ナンパ師YOSSYFLAME。
 彼の時代は、まだ遠い。

                おしまい

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 しつこくネタパク企画「今日の英志さん」

「師匠!教えて下さい、風見さんがついに体得を放棄したSS不敗流の極意とは!?」
「教えてやろう光よっ!それは……『楓への愛』だっっ!!!」
 ぐるぐると回転し、びしいっ!と決める西山。
 光はきらきらと輝く目で師匠を見つめた。
「わかりました!では、僕も楓様を愛すればよいのですね!」
「ならぬわぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 ばきっ!!!
「ぐはっ!?な、何をなさるのです師匠!」
「馬鹿者ぉっ!俺以外が楓を愛そうなどとは片腹痛いわっ!成敗してくれるぅぅッ!」
 じゃきいいいいいん!!!
「じ、自分が言ったくせにぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

 少し離れたところから見ていた風見とセリスははあっとため息を付いた。
「だからSS不敗流は師匠にしか極められないって言ったのに……」
「男の嫉妬は見苦しいねぇ」

                どうしろとゆーのだ