Lメモ外伝「こたみか。」 投稿者:風見 ひなた

 こたみか【名】  コタツでミカンを食べる日本の冬の風物詩。

 こたつむり【名】 1.冬の間【こたみか】して過ごす日本の冬の風物詩。
          2.隆山市に伝わる風土病。


                       ――民明書房『民明国語大辞典』

 隆山の冬は寒い。夏の間避暑地になるだけあって滅法寒い。
 そんな隆山の冬を応援するものといえばこれ!!
 鶴来屋名物『隆山温泉』と『こたつ』!!
 だが注意した方がいい、この地には昔から伝えられてきた恐怖の病があるのだから……。


「お邪魔しま………」
 工作部に連れ立って入った風見とルーティは絶句した。
 そこに彼等の知っている人々はいなかった。代わりに大きな『こたつ』が部屋を覆い尽
くしていた。
 赤、青、黄色はもとより白黒紫に編み目模様のカラフルなこたつの国。
 ある種感動的なこたつの花園が広がっていた。誰が感動するのか知らないけど。
「な……何故こたつ……!?」
 風見は自分の知識では理解しきれない異様な事態が起こっているのを知り、戦慄する。
 部室一杯のこたつの上にはご丁寧にミカンまで置かれている物がある。
 閉ざされた部屋の中、消えた部員達の代わりに部屋を占拠する無数のこたつ……。
 事件の予感だった。
「ひなたさん……また何か思考が暴走しちゃってるんだね……?」
 ルーティはそんな風見を見てしょうがないなあ、という顔をした。
 寧ろツッコめ。
 そんなこたつの内、ミカンが乗せられたこたつからひょっこりと美加香が顔を出した。
「あ、二人ともいらっしゃ〜い」
 何となく声が間延びしている。
 のみならず、顔色が悪く何かに憑かれたような虚ろな笑みを浮かべている。
 誰が見ても明らかに常態ではなかった。
「み、美加香さん……どうしたの?」
 ルーティは若干怯えつつ声を掛けたが、美加香はクスクスと笑うだけだった。
「ひなたさん〜〜ひなたさんもこの中に入って、『こたみか』しませんか〜?」
 普通なら明らかにどこか病んでいそうな美加香など殴り飛ばして救急車に詰め込む所だ
が、風見はこくっと頷いてふらふらと美加香のこたつに近付いて行く。
「ひ、ひなたさんっ!?」
「こたみか〜〜」
 ルーティの驚きにも頓着せず、風見は虚ろな目で美加香のこたつに入っていった。
 なお『こたみか』とはこたつでミカンを喰うことであり、決してこたつの中で美加香と
添い寝することではないので念のため。
 その証拠に風見はこぽこぽと湯飲みにお茶を入れている。
「ふ〜、寒い日は昆布茶が美味しいなあ〜〜」
「ああっ!? どこから取り出したのそのその湯飲みとポット!?」
 ルーティは何だかもう今更な異常事態に驚愕した。
 美加香は自分の隣を指さして、ルーティに向かい笑いかけている。
「ほらほら〜、ルーティもこたつに入りましょう〜」 
「昆布茶が美味しいぞ〜、こたみか〜〜」
 怪しい。すごく怪しい。
 ルーティは思わずこたつの中に入ってテレビを見てしまいたくなりそうな欲望に堪え、
部室の窓へと飛びついた。
「二人とも、正気に戻ってよっ!!」
 叫びながら窓を開けると、外を荒れ狂っていた北風が部室の中へと雪崩れ込んでくる。
 風見と美加香は叫び声を挙げてこたつの中へ潜り込んだ。
「寒いよう〜寒いよう〜!」
「こたみか〜こたみか〜!!」
 実にしぶとい。ルーティは頭痛を堪えてこたつに手を掛けると、思い切り跳ね飛ばした。
「二人ともいい加減にしないとこたつむりになっちゃうぞっ!!」
 こたつの中で震えていた二人に北風が吹きかかる。
 途端に風見と美加香は目を大きく見開いて立ち上がった。
「はっ!?」
「あ、あれっ? 私は何をしてたんでしたっけ?」
 何だか正気に戻ったらしい。
 いつも通りの二人を見てルーティはほっと息を吐いた。
「良かったぁ…二人ともこたつに入って出てこなくなっちゃったんだよ」
「こたつ!?」
 ルーティの言葉を聞いて美加香は驚いた表情になった。
「思い出しました……確かにこたつが!!」
「……こたつがどうした?」
 風見はちょっと醒めた顔で訊いた。自分以外が真面目な顔でこたつを言うのを見て、
ちょっと自分が恥ずかしくなったらしい。
 そこに鋭い声がかかった。
「それについては私が説明しよう!!」
「は、その声は……岩下さん!?」
 風見は部屋の入り口を振り返り、ジャッジの頼もしいリーダーの姿を捜した。
 しかしそこに居たのは『瑞穂命』と書かれた大きなこたつだった。
 さすがに風見の口が一瞬大きく開かれて硬直する。ちなみにさらにその後ろでは美加香
とルーティも固まっていた。
 そんな些事に構わず、岩下はこたつから顔を出すと厳かに告げた。
「大変なことになった!! 学内に隆山に伝わる『こたつむり病』が流行している!!」
「こ……こた?」
 岩下は一人熱血しながら頷く。
「こたつむり病……一度ウイルスに感染するとこたつに入ったまま衰弱死するまでミカン
を食べ続けてしまう恐ろしい病気だ!!」
「あの、何の冗談で……」
 そう言いかけた風見を遮って、美加香は真剣な眼差しで叫んだ。
「やっぱりこたつむりウイルスだったんですね!! 何て恐ろしい事に……!!」
「ああ、このままだと生徒達が衰弱死してしまう! 一刻も早く元凶を根絶せねば!!」
「こたつむり病……脳に侵入したこたつむりウイルスの命じるまま、ビタミンCを摂取
し続けるあの恐ろしい病が流行るなんて!! 既に死滅した筈なのに!?」
「どうやら柳川先生が作り出したウイルスが流出したらしい!! 早く彼を止めないと
事態は大変なことになる一方だ!!」
 岩下と美加香はまるで宝塚歌劇のように説明的な台詞を交わしまくっている。
 風見はツッコむ機会をなくして手持ちぶさたに話を聞いているしかなかった。その頭を
よしよしとルーティが撫でている。
 その内に息が切れたらしく、岩下と美加香はぜいぜいと息を荒げてしゃがみ込む。
 風見は憂鬱なため息を吐くと、半目で岩下に訊いた。
「それで僕は何をすれば良いんです? 柳川先生を捕まえればいいんですか?」
「簡潔に言えばそういうことなんだが、彼の強化したこたつむりウイルスが感染した生徒
は一つの群体として動き始める。出来るだけ見つけ次第救助せねばならないだろう」
「成る程」
 風見は頷きながら、こたつ姿の岩下を見た。
「………ところで岩下さん、そのこたつは………」
「よく訊いてくれた風見君!! 私はこたつむりウイルスに冒されながらも正義の心を失
わず、こうしてみんなを救うべく独り立ち上がっ……」
 風見は無言で岩下のこたつを蹴り上げた。
 誇らしげに語っていた岩下の背筋に冷たい北風が当たる。
「……風見君、冷たい……」
「要はこたつ病にかかった奴のこたつを蹴り上げればいいってことですね」
 哀しげに呟く岩下を敢えて無視して、風見は無慈悲に呟いた。
 それから部屋中に広がるこたつに目を向ける。相変わらず壮観な眺めだった。
「とりあえずこのこたつ全部めくらなくちゃいけないわけですね……」

 ともかくこたつの中で作業していた『こた誠治』やこたつの中で勉強してた『こた智子』、
たかだか車の分際でこたつの中にいた『こたFENNEK』を引っぱり出し、風見達は汗
を拭った。
 ただ一つ残った小さなこたつがある。人間が入れるとは思えないような大きさだ。
「……これは誰だ?」
 風見はごくっと唾を飲むと、そっと中を覗いてみた。
 サングラスを掛けたネコがするめをつまみに熱燗で一杯やっていた。
「てめえヒビネコっ!! 猫の分際で偉そうに燗酒かっくらってんじゃないぞっ!!」
「ふにーーーーーっ!!」
 風見がこたつを蹴飛ばすと同時にひびねこが飛びかかってくる。
「ふにゃーーふにゃーーーっ!!」
「おおっ、やる気か猫畜生ッ!!」
 そんな二人を見て、美加香がはーーっと大きな息を吐いた。
「猫と遊んでないで先に行きましょうよぉ……」


 廊下に出るとそこは既にこたつの楽園だった。
 足の踏み場もないくらいに転がるこたつが、柳川の通った道をはっきりと示している。
 それとは別に、各人様々な行動を取っているのが印象的だった。
 オーソドックスにみかんを貪る者、小型テレビを見る者、読書する者、ノートパソコン
でレポートを打つ者、昼寝に終始する者、ゲームしまくっている者など。
 風見達は次々にこたつを蹴っていったが、その中で一際目立っていたのはきたみち親娘
だった。
「靜……ほら、お蜜柑あーんして♪」
「あーん♪」
「美味しいかい?」
「うん! ね、今度は父上の番だよ」
「よしよし、あーん♪」
 二人で無心にミカンを食べさせあっている。
「………あれは助けなくて良さそうですね」
「………邪魔しちゃ悪いしね」
 そう言って風見と岩下は立ち去って行く。
(いいのかなぁ……)
 美加香とルーティはそう思いながら二人の後を追った。
 なんだか死にそうな色になっているんですけど。

 さらにもう少し進むと、再び親子用こたつに出会った。
「お兄ちゃん、あーん♪」
「もう、ボクのを食べてよぅ!」
「あははは、笛音ティーナ、心配しなくても二人とも食べてあげるさ」
 ………………………………………………………。
「オラァァァァァァ!!!!」
 風見は渾身の力を込めてこたつを蹴り上げた。
「ああっ!? 何をするんだお義父さんっ!?」
「やかましいっっ!! 勇希先生と喰ってろぉぉぉぉっ!!」
「横暴だっ!! 横暴だよお義父さんっ!!」
「黙れぇぇぇぇぇぇ!!」
 ルーティは突然喧嘩を始めた風見とOLHを見て、恐る恐る美加香に訊いた。
「ひなたさん、何で怒ってるのかな?」
「んー、きっと婿殿だけハーレム計画成功させようとしてるからじゃないかな……」
「……はーれむって、何?」
「野郎共の浅ましい願望のことですよ♪」
 ちょっと表現が凶悪。
 岩下はその間別の方向を見つめていた。
 そこでは漆黒の大きなこたつがクックックッと低い笑い声をあげながら蹲っていた。
 大きく『ダーク十三使徒こたつ会議室』と記してある。素性丸分かりだ。
「導師!!敵対組織が悉く病気で沈黙している今が侵攻のチャンスかと思います!!」
「今を置いて敵を大きく出し抜くチャンスはありませんっ!!」
「ご決断を、導師!!」
「うむ………よし、出撃だ!! 今こそ我等ダーク十三使徒にとって飛躍の時!!」
『オーーーーーーーーッ!!』
「よし、誰か先陣切って出撃しろ!!」
『……………………………………………………………………』
「おい、どうした?」
「いや……寒いし……」
「ええい、情けない!! 誰か一番手柄を挙げようと言う奴はいないのか!?」
『………………………………………………………………………………』
 岩下は硬直してテントを見ていた。
 その横の別の意味で真っ黒な巨大こたつからも声が漏れてくる。
「というわけでこの日にゲバルトを仕掛けようと思う!!」
「流石はディルクセン閣下!! その日なら間違いありません!!」
「今こそ我等の革命を起こすときですね!!」
「よし、早速前準備に出ろ!!」
『………………………………………………………………………え?』
 美加香は岩下の方を向くと、二つのこたつを指さして呟いた。
「どうしましょうか……これ……」
「……何か……この人達は永遠にこのままの方が世の中のためのような気も……」
 こうして『こたハイド』と『こたディル』は永遠に投棄されることとなったという。


「よし、ついに追いつめたぞ!!」
 風見達は科学部室の前までやってきた。
「まさか一番最初に戻っているとは……お陰で校内を一周させられたな」
「その苦労もこれで終わりです。さあ、行きましょう岩下さん!!」
「待てェッ!」
 歩きかけた風見達は、背後からの鋭い声によって呼び止められた。
 振り向けば最強の漢、ジンが不敵な笑みを浮かべている。ただしやっぱりこたつから顔
を出していたりする。
「そこから先には行かせねえ……この俺の生命に代えてもなぁ!!」
「ジンさん……何故!?」
 風見の驚きの声を背に、岩下がジンに向かって一歩踏み出した。
「ジンさん………まさかウイルスに占拠されたか!?」
「フン…何とでも言え」
「どういうことです岩下さん!!」
 風見の台詞に、岩下は険しい表情を浮かべた。
「ウイルスの汚染領域が脳の一定量を超えたんだ。その結果ジンさんはウイルスに………
くそ、ジンさんが最初に汚染されていたんだ……私が気付かなかったばかりにっ!!」
「それってつまり………!!」
 鬼畜翻訳機作動。
「脳髄までウイルスに汚染されるほどジンさんが単純だったってことですね!?」
「黙れ外道神戸人めえええええっ!!!」
 ジンは歯茎から血が迸りそうな形相で風見を睨み付けた。
 しかも全然違う結論になってるし。
「まあともかく、ジンさんのこたつを剥げば元に戻るんでしょう?」
「ふふ……出来ればの話だがな。俺を倒さぬ限りその先には進ませねぇぞ!!」
 ジンが叫んだ瞬間に、岩下の姿が掻き消えた。
「何っ!?」
「はアッ!!」
 叫びと共に岩下の手はこたつの裾を捲りあげている。
「は、早いっ!?」
 あまりの出来事に一瞬風見とジンは目を見張った。
 岩下はジンの裾を握ったまま僅かに微笑んで見せる。
「やろうと思えばこんなことも出来るのですよ」
「……! 岩下、あんたはっ!?」
「凄い……凄いです岩下さん!!」
 風見は感涙しながら叫んだ。
「流石は……かつてスカートめくりの王者、スカート大魔神と呼ばれた漢ッッッ!!」
「な、何ィィィ!? 岩下、あんたにそんな過去があったなんてぇぇっ!?」
 ジンは驚愕を隠せず全身に冷や汗を掻いた。
「嘘だーーーーっ!! そんな不名誉な称号は貰ってないぃぃぃぃ!!」
 本人は全力で否定する。
「岩下さん、叫べば叫ぶほど怪しいですっ!!」
 美加香までがなんか鬼畜な意地悪するし。
「やーいスカート大魔神ーーっ!!」
「違うッ!! 違うんだぁぁぁ!!」
「岩下さんがそんな人だったなんて……」
「うーん、次のオフ会で本人にブチ殺されそうな予感☆」
 もう何が何だか。
「あの……それよりこたつはどうなったのかな……」
「はっ!!」
 ルーティの控えめなツッコミで我に返った岩下は慌ててジンのこたつを引っ張った。
 北風がたちまちこたつの中へと侵入を開始する。
「や、やった!?」
「ふふん!! 甘いんだよっ!!」
 だが叫びと共にジンは素早く立ち上がる。
 その有り得ない動きに岩下と風見の動きが硬直した。
「ば……馬鹿な!?」
 ジンは哄笑を放ちながら二人の前に仁王立ちになった。
 肩の上に雄々しく聳えるこたつ脚。胸に輝く赤外線暖房機。マントのようにはためく
掛け布団。それはまさにこたつを下から見た姿だった!!
 こたつ人間と化したジンが二人を見下すように高笑いを挙げている!!
「こ……こたつと融合したというのか!? まさにサイボーグならではっ!?」
「何て事だ……これではこたつと分離させられないっ!?」
「ははははははは!! これぞユウヤ様に戴いた俺の新型冬装備だ!! 絶望するが良い、
そして苦悶の内に散れィッ!!」
「あ……あああああああ!?」
 恐怖の表情を浮かべる風見に、岩下は叫ぶように叱咤の声を挙げた。
「諦めるな風見君!! 所詮コタツ……私達二人の力を合わせればどうということも!!」
「それはこれを喰らってから言うんだな!! 必殺……ブレスト赤外線ファイヤー!!」
 ジンの叫びを受け、胸の赤外線暖房機が熱く輝く。
 そして次の瞬間に、真っ赤なレーザー光線が岩下に照射された。
「あ……熱ちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちいいいっ!?」
 岩下は瞬間的に炎に包まれる。
「ああっ!?」風見は青い顔で叫んだ。
「何故赤外線が肉眼で見えるんだっ!?」
 ……………………………………………………………………。
「いや……驚くトコはそこじゃなくてだな」
 ジンは律儀にツッコんだ。
 そうだったそうだったと呟きながら、風見は頭を掻いてやり直す。
「何て恐ろしい武器だ、これじゃあ僕らに勝ち目はない!?」
 その頭の上ではどこからともなくやってきた水野君がのんびりと唄っている。
「A−CHI−CHI−A−CHI♪(だんだん)」
 でもついでにDDRするのは止めて欲しい。痛いから。
  いや、それはどうでもいいんだが。
「さあ降参してこたつ病になれば命だけは助けてやる!! それともここで焼け死ぬか!?」
「く……」
 風見が怯んだと同時に、強い声が響いた。
「諦める必要はないよ、風見君!!」
 岩下が一直線にジンに向かって突進して行く。
「な……何故効かない!?」
「炎使いに熱で対抗ってのも馬鹿な話じゃないかな、ジンさん!?」
「く………」ジンはぎりっと歯を噛むと、鋭い眼光で岩下を捉えた。
「良いだろう、一撃入れてみな!! だがこのボディ易々とは砕けねえ…次の瞬間に俺の
総攻撃がてめぇを襲う、一撃に全てを込めやがれっっ!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!」
 岩下は魂を震わせる雄叫びを挙げながら……軽くジンの腹に蹴りを入れた。
 ぐらりとジンの身体が傾く。
「へ?」
 そんな呆気にとられた声を挙げながら……ジンは仰向けに倒れた。
 岩下はぱんぱんと服の汚れを落としながら呟く。
「ジンさん……そんなバランスの悪いボディ、蹴り一発で倒れますってば」
「や、やるじゃねえか岩下!! だがすぐに立ち上がって……あ、あれっ?」
 ジンはしばらくじたばたと暴れていたが、やがて動きを止めて呟いた。
「………一人じゃ………起きあがれねえ………」
 気分はひっくり返された亀である。
 もしくはゴン太君のキグルミを着たまま転んでしまった役者さんだったり。
「さ、行きましょうか風見君」
「はい、急ぎますか岩下さん」
「ふ、ふふふ!! 俺はアヌビス神のようにみっともなく泣き叫んだりはしねえっ!!
だがお前達がどうしても好敵手である俺に友情と和解の手を差し伸べたいというのなら
俺としても考えないところがないでもなかったり……コラ、待て!! 人の話を……」
           リタイア 
 ジン・ジャザム………再起不能。

「……ジンさん置いてきて良かったのかなあ?」
「VSジンに応募されなかっただけいいと思うけどなあ。後で助ければいいし」
 風見は平然と言うと、岩下と共に科学部室を睨んだ。
「岩下さん……確かにジンさんは『ユウヤ』と言いましたね?」
「ああ……ここから先は危険だ」
 ごくりと唾を飲んで、風見は後ろの美加香とルーティに言った。
「二人とも……ここから先はお前達は来ちゃダメだ」
「ええっ!?」
 それに岩下も同意する。
「特にルーティちゃんは駄目です。恐ろしい障害が残るかも知れない」
「だ、大丈夫だよ!! あたしも一緒に……」
 言いかけたルーティの手をそっと握り、美加香は微笑みを浮かべた。
「ルーティは私が見ています。二人とも……ご武運を」
「……すまない。行きましょう、岩下さん」
「……ああ」
 二人はゆっくりと進んで行く。
 背後からルーティの風見の名を呼ぶ声が静かに木霊していた。

「……辛い別れになったね」
「僕は帰りますとも。絶対にね……」
 二人はお互いの顔を見て頷くと、そっと扉に手を掛けた。
 ジンを見たときから嫌な予感はしていた。
 あの風体……胸に発熱機、肩にコタツ脚、そしてマント代わりの掛け布団。
 今回のユウヤのお召し物はまず間違いなく確実に……。

 扉が……ゆっくりと……開く……。

「魔法少女エルクゥユウヤ、コタツにくるまれ参上でーーすっ!!」

 コタツを背負ったまま素っ裸で仁王立ちになるエルクゥユウヤ。
 その素敵な裸体を見ながら鼻血を流す風見と岩下は、全く同じ台詞を考えていた。
 はい、皆さんご一緒に―――。


              ――――お粗末――――




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 シモネタの上にダジャレオチです、ごめんなさいごめんなさいっ(汗)         
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おまけ1「その後のエルクゥユウヤ」

ユウヤ「キーーーッ!! ユウヤ粗末じゃないもん粗末じゃないもんっ!!」
岩下「ええい大きな声で粗末粗末言うんじゃないぃぃぃっ!!」
玲子「フッまだまだね、エルクゥユウヤ!!  そんなコスプレはまだ甘いわ!!」
岩下「あんたは黙ってこたつで同人でも描いてろぉぉぉぉーーーっ!!」

風見(ああ、岩下さんがサウスパーク調にキレたっ!?)

ユウヤ「こうなったらクリスマス用にモールを付けるしかないわねエルクゥユウヤ☆」
岩下「どこに付ける気だっ、猥褻物陳列野郎がぁぁぁぁーーーっ!!」
ティーナ「天呼ぶ地呼ぶヒトゲノム!! 変態倒せと我を呼ぶ!! 千客万来千変万化、
     魔法少女マジカルティーナこたつに入って参上です!!」
玲子「新たなるコスプレイヤー!? くっ、私だってぇぇぇぇぇ!!」
岩下「いい加減にしろよあんたらはぁぁぁぁぁーーーっ!!」

風見(ああ、でも何だかいつも通りだ……!?)

                いつもこんなんだから(笑)
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おまけ2「その後のジンさん」

ジン「おーい、誰かーーーーっ」
koseki「ジンさん、何してるんですか?」
ジン「おお、コタツに入ったkoseki!! 悪いが俺を起こしてくれないか?」
Koseki「任せて下さい。でも、寒いからコタツの中から失礼しますね」

 (にゅいーーーーーーん)

ジン「ちょっと待て!? お前そのバズーカで何をする気だ!?」
koseki「大丈夫です、ジンさんなら死にはしませんっ!!」
ジン「いくら何でも直撃されたらヤバいって!! おいコラ!! ちょっ……」
koseki「ファイアーーーーーーーーー!!」
ジン「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!(声にならない叫び)」


         ジン・ジャザム……全身火傷、全治一ヶ月
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おまけ3「今日の弥生さん(雪女)」

むらさき「むらさき今日は寒いからここから出ないーっ!!」
葛田「寒いと募金が流行ります……そのココロは寒波(カンパ)……ぷぷっ」
高橋「ウヒャホォゥ!! 寒くて凍る……凍りづけの死体、美しィーーッ!!」
ベネディクト「……………………(圧死)」
たける「今日はこたつの中でゲームして一日過ごすもーん♪」
ハイド「ええい、どいつもこいつも……進んで外に出るくらいの根性を見せろ!!」
弥生「口だけでなく率先して自分がまず行動されては如何です?」

神海(さすが『氷の女』弥生さん、この寒い中寒い言葉がますます好調だ!!)

ハイド「よ、よし! こうなったら温度を高くして無理矢理追い出してやる!!」

むらさき「うえーん、暑いよ暑いよーーっ!!」
葛田「暑いと湖から怪獣が出てきます……そのココロは熱死(ネッシー)……くくっ」
高橋「イヤァッホォォウ!! 日焼けして輝くみんなの肌……美しィーーーッ!!」
ベネディクト「……………………………(焼死)」
たける「あーん、暑くてゲーム機がハングしちゃったよぉぉ!!」
ハイド「あちちちちちちちちっ、こりゃたまらんっ!!」
弥生「落ち着きだけでなく根性も足りないのですか、導師?」

神海(さすが『雪女』弥生さん、暑い中でもクールな顔と言葉は絶好調だ!!)

弥生(ドロドロドロドロ………)

神海「うわぁぁぁ溶けたァァァァッ!?」


(その頃こたつから10M離れた場所から)

弥生「あ、遠隔操作ロボが融解した………(汗)」


        ダーク十三使徒……全身火傷、全治1ヶ月半
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 あー、しばらく書かない間に腕が落ちたかなー(苦笑)
 どうにもノリが悪いです。
 でも相変わらず被害者は多いです。
 被害にあった人、いつものことと思って諦めて下さい(笑)
 それではまたー!(笑)