(この作品は「妖刀夜行」の外伝です。しかも本編を台無しにしてくれます・笑) 風見はケースに入った太刀にえらく興味を持ったらしく、しきりに眺めているようだ。 さっきまで興味なさそうな顔してたくせに大した変わりようだ。 さて、あいつが気を取られてる内にいろいろ触らせて貰うか。 こっちのケースは……西洋剣か。 鬼伝説の頃と時代が違うが……。 まあ資料室だからな、同じ所に置いてあることだってあるさ。 さて……何?魔剣? なんだかなぁ。妖刀ですらお目にかかったことないのに魔剣とはね。 まぁ木刀使いの俺には縁のない言葉だが。 何々?魔剣……「エックスカリバー」? おいおい、何なんだよその「エクスカリパー」を思わせるちゃちなネーミングは。 大体何が魔剣なんだ? 『魔剣エックスカリバー。聖剣エクスカリバーを見た伝説の大魔道士マーリンがその能力 に憧れて作り出したとされる。聖剣は鞘を持つだけで血液の流出を防ぐが、これは物質の 浸透を魔道的に応用したものでこれに着想を得たマーリンは生物は切れないがその代わり に物体のみを強力に切り裂き相手の防具を無効にする……』 あ、俺そーゆーの駄目。 パス。 変に難しいこと理解しようとすると脳味噌が破裂する。 美加香ちゃんや芹香さんなら大喜びしそうな説明かも知れないけどなー。 えーと、つまりどーゆーことだ? 俺は説明文の一番最後を見た。 『……以上の理論より一撃でこの魔剣は相手の防具をボロボロにする能力を有することに なった。しかし、男相手なら最強の剣だがこれでニンフやワルキューレを斬った場合その 防具はおろか衣類までを全てはぎ取ってしまう結果になり、軍紀を乱すとして円卓の騎士 全員に封印指定され、アーサー王伝説にすら登場しない幻の魔剣となったのである』 ……………………。 えーと、つまりどーゆーことだ。 男を斬っても鎧がボロボロになるだけ。服が破けても弱くなるだけ。 でも女の子を斬ったら服がボロボロになって裸になるわけで、だから軍紀が……。 ………裸ぁ!? (ぶっ!!!) ハァハァハァハァハァハァ。 つ、つまりこの剣って……女の子を脱がす魔剣……。 魔剣『X(指定)カリバー』ってわけですかぁぁぁぁぁ!? 解説しよう! この瞬間、YOSSYの体中の血液はまるで太陽核分裂のごとき連鎖沸騰を繰り返し、 燃えたぎる男の血はもはやMAX暴発寸前だ!うなれオイラのリミットブレイク俺は真っ 赤なヒーローだぁぁ!! (ぶっしゅううううううううううう!!←想像した) 俺は……俺はやってやるぜええええええええええええええ!!! このチャンスを逃しては二年男子YOSSYFLAME男が廃るってもんだ!! いや、俺が許しても全世界35億人の野郎共が許すまい! ああ!?木刀使いのプライド!? そんなもんポイじゃあああああ!! 解説しよう! 恋愛勇者YOSSYは燃えさかる愛と勇気と希望と煩悩の炎に身を焼かれんばかりにデ ッドヒート!!見える、見えるぞ俺には見える!君も見るんだアレが伝説の明日の星だ! 燃える熱血煩悩全開これが青春だぁぁぁぁ!! 図書委員に見えないように持って帰らないとな……。 俺はこっそりとケースを開けると、魔剣を素早く抜き取った。 風見は幸い太刀を見つめてトリップしていてこちらの方を全く見ていない。 チャーンス! 魔剣を首尾良くゲットした俺は、そいつを背中に隠した。 まんまと手に入れたぜっ! ……と思った矢先に。 がたんっ!! ああああっ、しまった俺の馬鹿あああああっ!! ケース閉めるとき音立ててどうするぅぅぅぅぅ!! 振り返ると、風見は仰天した表情でこちらを見ている。 俺は背中に隠した剣を気にしながら我ながら強ばった口調で口を開いた。 「な、何かな風見君?」 「こっちの台詞ですが……何やってるんですか、そんなところで?」 うおおおっ、まずいいいっ!! 「いや、その、ちょっと触ってたら荷が崩れちゃって……」 「そ、そうですか」 風見はほっとした様子で呟いた。ごまかせたのか? そんな風見の手に握られた太刀を見て、俺は首を傾げた。 「あれ?何でその刀を出してるんだ?」 「え、あ、いやっ!別にっ!ちょっと見たくなっただけでっ!」 「そうか。いや、邪魔したな」 他人のこと心配してる場合じゃねえな。俺の方がばれねーかどうかし心配っ!! く、苦しい……。二人は同時にあははははと虚しい笑い声を上げた。 「さ、帰りましょうか!」 「ああ、とっとと帰ろう!」 バレないうちにっ!! さーて、図書館から出たらすっかり暗くなってる。 こいつの効力……明日になったら学校で試させてもらうぜ!! どーも騒がしいと思ったら、ジンが欠席したらしい。 まあいいや野郎なんかどーでもっ!! 解説しよう! YOSSYは昨日一晩高まる煩悩のあまりに全く眠れず今日はハイテンションで脳の容 量が少なくて既に野郎なんかアウトオブ眼中!!お前等俺の歌を聴けぇぇぇぇ、これがヒ ーローだぁぁぁぁ!! さあ、誰を斬ろうかっ!? こっちの姿を見られたら厄介なことになるからな……。 それに出来るだけ普段露出が低い子がいい。 「あっ、YOSSY君おはよう!」 「おっと、お早う理緒ちゃん」 理緒ちゃんは今日も朝から校内で牛乳配達のバイトをしていた。 一瞬頭の中に理緒ちゃんを脱がしてしまおうかという悪魔的な考えが閃く。 しかし……それだけは出来ない! 何故なら、何故なら僕も人間だから! 明日食べるにも困っている人間のなけなしの一張羅を破いちゃったら明日から何を来て 学校に来いっていうんだ!ゴミ袋かっ!むしろかっ! そんなの可哀想すぎてて言うかハマリ過ぎてて俺には出来ないよっ!! そんなの人間のすることじゃねえよそうでしょうおっかさん!! 俺が葛藤していると、理緒ちゃんは何故か半眼で呟いた。 「あの……ひょっとして何か凄く失礼なこと考えてない?」 「ええっ!?何故っ!!」 何故俺の考えたことが分かるんだ理緒ちゃん! 「もしや、もしやその触覚は本当に電波アンテナだったのか!?」 「触覚って言うなーーっ!」 「ああっ、しまったついっ!?」 俺は理緒ちゃん牛乳瓶ハンマーを喰らって地面に倒れ伏せた。 ううっ……口が滑るとは、男よっしー一生の不覚。 結局理緒ちゃんの触……電波アンテナの謎は深まるばかりだった。 「ちょっとそこのゴキブリ女!何もないところでこけるから牛乳被ったじゃない!」 「あああっ、ごめんなさい岡田さん」 「ゴキブリのくせに日の当たる場所に出没するなっ!一匹見かけたら30匹増殖するなっ! 夜中に残飯漁るなっ!夏になったら大発生するなーーっ!!」 「そ……そこまで言わなくたって……」 ………向こうで理緒ちゃんが岡田に絡まれている。 ターゲットロックオン。 俺は魔剣を抜き放つと岡田に向かい突進した。 「斬っ!」 「ひえっ!?」 岡田に斬撃を喰らわせるなり、岡田の制服に無数の切れ込みが走る。 数拍のち、岡田の服はばらばらに吹き飛んだ。 「きゃーーーーーーっ!?」 「よっしゃあ、成功っ!」 胸を押さえて泣きながら逃げだしていく岡田の後ろ姿を見ながら、俺はガッツポーズを 取った。 おそるべし、魔剣エックス(指定)カリバー! 理緒ちゃんもふるふると感動に身を震わせているっ! 「よっしーさん……」 「なんだい、理緒ちゃん!」 「よっしーさんの、エッチーーーっ!!」 がきごしゃあっ! 俺は理緒ちゃんエキサイティング牛乳瓶ブラスターを喰らって倒れた。 「うえーーーん!」 理緒ちゃんは泣きながら走り去っていく。 な……何故だ、助けたのに……。 何とか動けるまでに回復した俺は、次なる獲物を求めて校内をうろつくことにした。 何故か捜しているときに限って知っている女の子がいない。 と言って見ず知らずの女の子を脱がしても面白くない。 そこの貴方、貴方なら分かって下さるでしょうどうせ脱ぐなら知らない美女よりも隣の お姉さん!新入生との出会いよりも幼なじみとの純愛!それが男の生きる道っっ! ビバあかりっ!!(←詳細不明) ハラショーあかりママっ!(←情報未確認) 俺は、俺はやるぜええっ!! 「何をやるの?」 うっ!?こ、この声は……。 「四季……」 「はお♪」 四季は珍しく機嫌良さそうに手など振っている。 俺はごくりと唾を飲み込み、魔剣の柄を握りしめた。 (これで斬りつければ……日頃の恨み、晴らせる!) しかし、こいつだって戦闘兵器。 狙うなら、一撃必殺……。 「YOSSY、珍しいわね。何で剣なんて持ってるの?」 「え?あ、いや、最近西洋剣にも興味あってね」 「ふーん」 四季はちょっと訝しげに首を傾げて見せたが、じきに興味を失ったらしい。 「ねえ、私今からひなちゃんのお見舞いに行くんだけど……よっしーも来る?」 「いや、俺はいいよ。大切な二人っきりの時間邪魔しちゃ悪いしね」 「そう?じゃあ、私はこれで……」 そう言い残して、俺に背中を向ける。 チャンス到来だ。 俺はしっかりと獲物を握ると、四季の背後に忍び寄った。 「うりゃあっ!」 「くっ、何するのよっ!」 俺が繰り出した左突きを見越して、四季が回し蹴りを放つ。 手に握られていた木刀はくるくると回転して上空に飛んでいった。 四季はまだそれが俺のフェイントだったことに気付いていない。 「そういえばあんた右利き―――」 「もう遅いっ!」 俺の右手に握られた魔剣が呻りを上げて四季を斬りつけた。 さすがに身をかわしているようだったが、服を傷つけるにはそれで充分だった。 ばちっという音を残し、四季の服が四散する。 「きゃああああっ!?」 「うおおおっ!…………って、あれ?」 俺は外見から見る四季と今目の前にいる四季とのギャップに気付いて首を傾げた。 「……『寄せて上げる』ブラ?」 「………………………………」 17年生きてきたが、本気でブチッをいう音を立ててキレる女を見てきたのはこれが初 めてだった。 四季の目が据わり……目だけは殺意を湛えたまま、四季はにこりと微笑んだ。 「殺す」 それからの事は記憶にないが……。 気が付けば全身打撲を負ってゴミ箱に突っ込まれていた。 気絶している間に既に夕暮れが迫ろうとしていた。 「あああっ、もっと……もっとあんなコトやあんなコトをしたかったのにぃぃぃぃ!!」 俺は燃えたぎる青春の熱い雄叫びを上げて叫んだ。 「もう、もうマトモな反応をしてくれる女の子を一人でも脱がさないとおさまらねぇぇ!」 だけど、いねぇ! いねぇんだよ、この学校の著名人でまともな反応してくれる女の子なんざ! 電波三人娘は怒らすと後が怖いし、柏木四姉妹は滅多なガーディアンついてるし! あかりちゃんもレミィも琴音ちゃんも芹香さんもなんだか人間じゃないし! 綾香や志保や葵ちゃんなんて脱がしてもあんまり嬉しくないし!青いし! あと色々いたような気もするけど所詮その他だし! 俺はどーすればいいんだぁぁぁぁぁ!! 「さりげなく青いって言うなぁぁぁ!!」 「げぶはぁっ!」 通りすがりのティーの攻撃を喰らい、俺は再びばたりと倒れた。 くぅぅ、これだからこの学園はっ!どーしてこんなに色気がすくねぇんだぁぁ! 「YOSSY、ちょっといいかしら?」 「あ?」 俺が見上げると、風紀委員長が腕組みをして俺の前に立っていた。 「岡田さんがあなたに暴行されたって言ってるんだけど……」 「冗談じゃないですあんな性悪女頼まれたって願い下げです」 「そうよねぇ」 俺の答えに、広瀬委員長はこくこくと頷いて見せた。 「私でも嫌だわ」 本人いないと思って結構ひどいことを言っている。 「ま、一応念のために委員会室まで付いてきてくれる?」 「あ、はい」 俺は委員長の後ろに付きながら、そっと魔剣を握りしめていた。 ざきゅっ! 「きゃっ!?」 広瀬委員長は突然服が消え去ったことに気付き、身を縮こまらせてうずくまった。 「な、何よコレぇっ!ちょ、YOSSY!絶対にこっち見ちゃダメよっ!」 確かに一応マトモな反応だ。 だけど……だけど、嬉しくない。 「そうだよ……斬る前に分かってたことじゃないか……。全ての女優は落ち目になったと き自動的に脱ぐ運命……。この裸だっていつかは見れる宿命だったってことにさ……」 「………」 魔剣で斬りつけた体勢のまま固まる俺に、広瀬委員長は頭に血管マークを貼り付けて指 をばきばきと鳴らした。 「覚悟は良いわね?」 「……しくしくしく」 アトミック清純派女優パーーンチ!! あおーん……とどっかの狼犬が泣いている満月の夜。 月が紅く燃える夜。 そして俺の中のくすぶっていた血が猛り狂う夜。 「もう、せめて誰か一人でも可愛い女の子の裸を見ないうちは諦めきれんっ!」 風紀委員会取調室から根性と妄執で脱走した俺は魔剣を握りしめて叫んだ。 こうなったら気弱な女の子を狙っていく! しかしみずぴーは岩下、マルチはセリス、琴音ちゃんにはOLHが付いている! だが初音ちゃんならガーディアンはゆき!バッチグーだ! 俺は気合いを充填させると柏木家へと向かった。 目指すは初音ちゃんただ一人ィィィィィ!! (註:現在のよっしーは暴走しすぎて柏木家には凶暴な姉三匹と最強の鬼一匹がいること をきれいさっぱりと失念している) 俺はぼろぼろに擦り切れた肉体に最後の力を込めて柏木家の塀を乗り越えた。 ふっふっふ、今いくぜ初音ちゃぁぁぁぁん! きょろきょろと庭で辺りを見渡す俺の目に、障子ごしにぬぎぬぎとなにやら着替えてい る人物のシルエットが浮かび上がった。 小柄な身長、まだ幼さを残した体つき……おかっぱ頭ではないようだ。 見っけえええええっ!! 俺は魔剣を握りしめると、障子戸を蹴破って叫んだ。 「今来たよマイハニー!!」 「……なんじゃ、お主は……」 そこでは真っ白な肌をした少女がどう見ても同じ服を着替えているところだった。 真紅の目に疑惑の色を浮かべてこちらを胡散臭そうに眺めている。 「な……何故遊輝がここに」 呟いた俺の背後で、ずしゃっと重い物が畳を踏みつける音がした。 俺はごくりと唾を飲み込むと恐る恐る振り返る……。 そこではジンがくっくっくと喉の奥で笑いながら全身の火器ロックを外して立ちつくし ていた。何故か左腕がなく、代わりにピコピコハンマーがついている。 「そうかぁ……お前が昨日の通り魔かぁぁぁぁ」 「へ?」 ジンはとっても嬉しそうに笑うと、俺に向かって呟いた。 「ぶっ殺ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉす」 「へ?へ?」 ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! 「これで……終わったな、全て……」 ジンはよっしーの身体を踏みにじりながら月に向かって呟いた。 「そういうことに……なるのかのぉ………」 遊輝はその横に立ち半眼で呟いている。 赤い月は何も言わず地上を照らしていた。 魔剣行路 完 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ひ:はい、そんなわけでおひさしぶり風見ひなたです! み:なんだか全然出番がないけどお元気ですか赤十字美加香です! ひ:そんなわけでいつかはやるはずだった「伝奇L」をお送りしました! み:ちょっと待って下さい(汗) ひ:何だ? み:あのー……「妖刀」はさっぱり意味が分からないし、「魔剣」はそもそも意味がない んですが? これじゃあ何がなんだかさっぱり……。 ひ:だってこれ全部室町編の伏線だもん。 み:でも、室町編はなんだかハイドさんが書きそうな雰囲気ですよ。 ひ:………ふむ。早い者勝ちってことで(笑) み:おい(汗) ひ:被らなきゃ大丈夫!平気平気!(笑) み:はぁ、それで室町編は本気で書くんですか? ひ:当然(笑) えーと、あと本編中に出てきた伝奇ネタについてコメント。 み:はぁ、どうぞ。 ひ:本編中で陰陽についての記述が出てきますが、素人な風見には呪言を書けませんでし た。本当は流派によって色々あるから適当に書けば良かったんですが、下手なことや ると悠さんあたりからツッコミ入りそうなので止めときました。ですから、ここは一 つ『本当は呪言言ってるんだけど、意味を現代語に訳すとこうなる』ってことでお見 逃し下さい。 み:いい加減な(汗) ひ:あと、図書館に湧いてるクトゥルフ邪神の出現経路は不明です。館長しか知らないと 思いますので詳細はまさたさんまで。 み:勝手に人に責任押しつけないで下さい(汗) ひ:あとよっしーさんごめん(笑) み:こんなのよっしーさんじゃなーい!(汗) ひ:それでは今回はこの辺で! み:終わりかい! ひ:ではでは「美加香を踏みつけながら」風見ひなたと! み:「ひなたさんにぐりぐりされながら」赤十字美加香がお送りしましたみきゃああっ!?