闇に浮かぶ血染めの十字架。 十字架に磔にされている、白い少女。 彼女は天使だ。 だが、翼はもがれている。 彼女は飛ぶことは出来ない。 翼をもがれ、十字架に磔にされ……総ての自由を奪われた天使。 凌辱される天使。 血が、溢れ出る。 翼をもがれた背中から。 杭を打たれた掌から。 足から。 そして……心臓から。 溢れ出た血は、白い肌に赤い筋を描きながらこぼれ落ち、地面に溜まった血 の海に波紋を作る。 時折。 血が激しく吹き出る。 闇を染め上げるかのように。 飛び散る血が、彼女を見上げる者たちに降り注ぐ。 びちゃ、びちゃ、と。 熱い、焼け爛れるように熱い、血の雨が。 「あ……ああ……ああああああ……」 呻き声。 彼女の呻き声。 呻きながら、彼女は閉ざした瞼を開く。 瞼の下から、紅い、彼女が流した血よりも紅い瞳を覗かせる。 紅い瞳に見つめられ、その場にいる者は……咎人たちは硬直する。 おそらくは、畏怖のために。 「ああああああ……ああああああああああ……ああああああああああああ!」 呻きは次第に大きくなる。 呻きはやがて叫びに。 叫びはやがて 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 絶叫に。 そして 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!」 ・ ・ ・ セリスも ・ ・ ・ ゆきも ・ ・ ・ 絶叫する。 そうしなければ逃れられないのだ。 畏怖から。 そして、 罪の重さから。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『望まれぬ生命』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――戦鬼―― 「な、何で……何でこんなっ!?」 血溜まりの中にセリスは崩れ落ちた。 気持ちが悪い。 頭痛がする。 それに吐き気も。 逃げ出したい。 でも動けない。 目をそらすことができない。 自分を見下す、血塗れの白から。 「遊輝が……ジンの……プラントに……何故だっ! 何故だよっ!?」 頭を抱えて、激しく首を振る。 双眸から流れ落ちる涙が、血に染まった彼の顔に、白い軌跡を作った。 「これが、お前たちの選んだ未来だ……」 ジン=柳川がセリスの肩に手を置いた。 「崩れゆく世界を支える新たなる創造。新たなる生命の支柱。……その正体が これだ!」 ジン=柳川もまた、遊輝を仰ぎ見る。 彼女を抱き留めるとするように両手を広げ、人間の温もりを捨てた声で、血 を吐くような声で叫ぶ。 それは復讐鬼の咆哮。 「『書を護る者達』のうち『望まれぬ生命』を司る遊輝! 総ての生命の母で ある白き蛇! 総ての愚者を愛する白天使! 彼女の流す血を以て、世界の穢 れを洗い流す……それがプラント! それが来栖川と鶴来屋が遂行する世界救 済計画!」 復讐鬼が宣告する。 人類の罪を。 柳川の声で。ジンの姿で。 世界の犠牲なった者たちが、世界を弾劾する。 「遊輝は! この世界に唯一残された、ジンの断片だ! 貴様ら如き蛆虫のた めに己を滅ぼしたジンの半身だ! 分かるか!? そんなジンを貴様らは犯し 続けているのだ!」 血涙。 またも血涙。 絶えることはない。 絶やすつもりもない。 世界に審判を下すまでは。 「贖罪の方法は一つしかない! 凌辱だ! 世界を凌辱するのだ! 世界がそ の未来のためにジンを凌辱するのなら、俺は世界から未来を奪う! それが最 後の審判! 永劫の凌辱! お前たちにもう未来は必要ない!」 叫びつつ、ジン=柳川は飛ぶ。 その先にはメイン・ユニット、磔の遊輝。 誰も彼の行動を止めることは出来なかった。 「さあ迎えに来たぞ! 今こそ束縛から解放され、自由となるが良い! 喰ら え! 犯せ! お前を止められる者は存在しない!」 ジン=柳川が紅い光を放つ。 光は遊輝を包み、そして彼女を戒める十字架を破壊した。 戒めを解かれ、遊輝の躰が重力に従い落下するその直前、ジン=柳川は彼女 を優しく抱き留める。 「これであと一人……」 白い少女を抱く、機械の男。 セリスの目の前で、五年前の光景が甦る。 えぐり出される心臓。 飛び散る血と肉と骨。 鋼鉄。 生まれ落ちる白い女。 生まれ落ちる白い女…… 「があああああああああああああああ!」 金縛りから解けたように、セリスは動き出す。 爆っ! M.A.フィールドが爆裂するように、彼の周囲に展開される。 「セリスさん!?」 セリスに集中する力の大きさに気付き、智波が声を上げる。 セリスの中で膨れ上がっていく霊波の量。 それが意味することは一つだった。 「セリスさん! 無茶を……っ!」 セリスの躰が光り輝く。 全出力の『黎明』。 セリス最強の奥義。 後先を考えずにセリスは力を解放した。 光が前方に収束し、ジン=柳川と遊輝を飲み込む……! 「賢(さか)しい!」 柳川の声が響き渡った。 ただそれだけ。 それだけで、セリスの黎明が霧散する。 攻撃は二人に届かなかった。 「そんな……」 信じられないものを見たかのように、智波が呟く。 セリスの方は全力を使い果たし、その場に崩れ落ちた。 芹香は先程から微動だにしない。 ただ黙って、上空の二人を見つめている。 ジン=柳川はそんな三人を冷たい金の瞳で見下してた。 「メイン・ユニットは解放した。もう長居は無用……来栖川芹香! 貴様への 罰は、審判の日までの楽しみにしておくとしよう! ふはははは!」 「ま……待て……!」 智波がジン=柳川を止めようとする……止めたところで、どうすることも出 来ないのだが。 智波の静止の声も届かず、ジン=柳川と遊輝はの躰は光に包まれ、そして消 えた。 残されたのは三人と虚ろな闇、そして漂う血の芳香。 ただそれだけだった。 ・ ・ ・ 「つまりは、世界の代わりに崩壊を受け入れる、生贄の子羊というわけだ。で あろう、リズエルの守護者よ?」 動かない、動けないゆきと千鶴は置き去りに、ダリエリと哭嘴は対峙する。 頭上には、遊輝。 血の雨が二人に降り注ぐ。 「だから、救いに来た」 哭嘴の答えに、千鶴が震えた。 哭嘴の答えに、ダリエリが嗤った。 「お前の出る幕ではないぞ、リズエルの守護者。総ての天使は、母の元へ還る べきだ」 「遊輝は……俺が継ぐ」 哭嘴は退かない。 再生した腕を、ダリエリに向ける。 紅い光が放たれる。 「無駄ぁぁぁぁ!」 ダリエリもまたアームランチャーを撃つ。 二つの光がぶつかり、混じり合い、弾ける。 その光に照らされて 「疾っ!」 「鬼殺(キシャア)ァァァァ!」 二つの影が重なる。 哭嘴は、即座に生み出した鎌を ダリエリは、借り物の鋼鉄の爪を ――振り下ろす。 緊……! 甲高い音を立て、鎌と爪とが砕け散った。 破片が光を跳ね返しながら、地面へと落下する。 最初の破片が地に着く―― 「悪夢よ!」 「猪口才な!」 零距離の射程から、哭嘴とダリエリが、己の全火力をぶつけ合う。 光と爆音と爆風がプラントを埋め尽くす! 「きゃああああああ!」 「ぐあ……くぅぅぅ!」 吹き飛ばされつつも、それで金縛りが解けたのか、ゆきと千鶴は立ち上がり 爆発の中心を見つめた。 粉砕の嵐が止み、そこに立っていたのは…… 「所詮は借り物の躰。兵器の扱いには俺に一日の長があったな」 「ジン君!」 単なる鉄塊と化したダリエリを、見下ろす哭嘴。 白い装甲の所々が砕けているものの、躰の方には何の影響もないようだ。 哭嘴が千鶴たちの方に振り返った。 「遊輝は渡さない。柳川先生にも……そして千鶴さん、貴女にも」 ひび割れた仮面の紅い瞳が千鶴を射抜く。 「ジン君……私は……」 千鶴は震える声を絞り出そうとしていた。 だが、言葉は意味を為さない。 千鶴を無視し、哭嘴は空中の遊輝の元へと飛ぶ。 その機械の翼を広げて。 「待って、ジン君っ!」 千鶴が手を伸ばす。去りゆく者を止めようかとするように。 その想いは哭嘴に届かない。 眼前の遊輝。 それしか彼には、無い。 「……迎えに来たぞ」 そして、遊輝を戒めから解放する…… ――くすくす……させませんよ。 「!? ……遊……!」 声。 声がこぼれた。 遊輝の口から。 刹那。 ――血の紅が踊る。 「ぐがっ……!」 遊輝から流れる血が、研ぎ澄まされ、刃と化して、哭嘴を切り裂く。 血の痕を宙に残し、哭嘴の躰が落下する。 ――くすくす…… 哭嘴を嘲笑う声。 「貴……様……っ!」 衝撃。 地面に叩きつけられ、哭嘴の意識が一瞬、遠のく。 「ジン先輩!?」 ゆきの叫び声。 それと同時に 「ははははははははは……!」 哭嘴を嘲笑う声。 遊輝の隣りに、ダリエリの霊体が浮かんでいた。 「ふられたな、リズエルの守護者!」 「ダリエリ……!」 血を吐くような怨磋の声で、哭嘴が叫ぶ。 「貴様の力、正直恐れ入った。しかし、勝者は我だ!」 ダリエリの魂が炎となり、遊輝を包み込む。 戒めの十字架ごと、遊輝を焼き尽くす。 紅い、紅い、生命の炎。 「ダリエリィィィィィィィィィィィィィ!」 「審判の日に会おう、リズエルの守護者! そのときこそ汝の炎、我らが母に 捧げるが良い! くふふふふ……ははははは!」 哄笑を残し、炎が尽きる。 残されたのは三人と虚ろな闇、そして漂う血の芳香。 やはり、ただそれだけ。 ――こうして、全てのプラントが落ちた。 ・ ・ ・ しゃらん。 死の灰が降る荒野に、錫杖が鳴る。 僧形の男は、何も存在しない宙を睨み付けていた。 いや、何も存在しないわけではない。 ただ僧の瞳にしか映らぬだけだ。 時空の綻びが。 「見つけたぞ……Leaf学園への道!」 しゃらん……がっ! 僧は錫杖で激しく地面を突く。 「裂!」 同時にかけ声。 綻びに数多の亀裂が入り、より大きな時空の裂け目となる。 「善し。……待っていろ」 僧は呟くと、何の躊躇いもなく、その裂け目へと身を投じた。 僧の姿がかき消える。 残されたのは、死せる世界の光景。 ただそれだけ。 ・ ・ ・ 「……空気が変わった」 空を見上げ、男が呟く。 空には、黒い太陽。 渦巻く死の灰。 先程と何ら変わるところのない、世界の断末魔の光景。 だが、男は確かに感じ取った。 辛うじて世界を支えていたものの消失を。 そして再び、動き出した運命を。 「いつかこの日が来ることを、俺は知っていたのかもしれん。俺たちを取り巻 く運命は……決して俺たちを見逃してくれない」 「……行くのかい?」 男に話しかけるものがいる。 男は彼の方を振り返った。 「ああ」 「また無意味な戦いをするために?」 「無意味ではない」 「無意味だよ。力を持つ者。力を得ようとする者……みんな無意味だ。力を持 つから殺す。争う。その不幸にも気付かないんだよ、アンタらは」 彼の男を見る目は侮蔑。 いや、違う。 「護るための戦いもある。明日を掴むための戦いもある」 「詭弁さ。力を持ってしまったから、戦わざるを得ないだけだ。戦いには意味 があると嘯(うそぶ)いて、自分を慰めているだけだ」 彼が侮蔑しているのは、この世界の住人すべて。 彼は、この世界の住人ではないのだから。 「やはり人間は愚かで野蛮だ。光る石を意味無く集めるケダモノだ」 彼はフーナイム。 気高く清廉な魂を持つ馬(エクウス)。 だが男と共に、世界の断末魔を聞き続けてきた彼――JJは、酷く疲れ果て ていた。 毛並みは悪く、躰は痩せこけている。 「……どちらにしても俺は行く。今度こそ、大切な者を護るために」 男が歩き出す。 男の背中にJJは語りかける。 「護れるものか。世界の黄昏を目に焼き付けるなんて言い訳して、逃げ出した アンタに護れるものか……」 男は立ち止まらない。 JJに背中を向けたまま、答える。 「確かに俺は逃げていたのかもしれん。妹の死から、弟子の死から。そして己 の弱さから。しかし……」 男は立ち止まらない。 決して立ち止まらない。 もう二度と。 「今なら聞こえる。世界の声が……五年前に散っていった者たちの声が! E DGEの遺志が! 風見の遺志が! 俺に戦えと告げている! 今こそSS不 敗の名に賭けて! その拳を振るえと叫んでいる! だから、俺は戦う!」 JJは男の躰から立ちのぼる金色の闘気を見た。 大地と大気、世界と呼応し、燃え上がる闘気。 SS不敗流を極めし者の闘気。 その拳に並ぶ者なしと謳われた格闘家、西山英志の闘気。 「お前の言うとおりだ、JJ。俺は野蛮だよ……所詮、拳を通してでしか、俺 は何も表現できないからな」 西山が自嘲する。 その背中をJJは黙って見つめていた。 ……まだ戦えるのか、この人は。 あんな絶望を知って、こんな世界を見て。 それでもまだ、前に歩けるのか。 「………………こっちの世界に長く居すぎたかな?」 そう言って、笑う。 JJは西山を追い、その横に並んだ。 「JJ?」 「背中に乗りな。トロトロ歩いているのを見るとイラついてくる」 西山の瞳を覗き込み、JJが笑った。 JJの瞳に宿った光を見て、西山もまた笑った。 西山がJJの背中に跨る。 「……ったく。アンタに付き合いすぎたせいで、オレまで毒されたみたいだ」 「だが……不快ではないだろう?」 「まったくだ。野蛮なのも心地よい…………フゥゥゥゥゥゥ!」 JJが嘶(いなな)く。 先程までの疲れ果てた姿は何処へ行ったのだろう? 鬣が立ち、四肢の筋肉が躍動する。 蹄が地面を蹴る。 西山を乗せたJJの躰が躍った。 景色が、みるみるうちに移り変わる。 「急ぐぞ! 決戦に遅れたらお笑いモンだっ!」 こうして再び、二人は運命の場へと向かう。 先に待つのは絶望か、苦痛か。 どちらにせよ、二人を止めるほどの力は無い。 ・ ・ ・ 「近付くな!」 駆け寄ろうとする千鶴とゆきを、哭嘴は拒んだ。 遊輝の血に切り刻まれた装甲は、落下の衝撃もあって、完全に砕けてしまっ ていた。 装甲の下にあったのは、やはり鋼鉄の躰。 血に濡れ、紅く染まった鋼鉄の躰。 「ジン君……」 「ジン先輩! 何故です! 何をそんなに拒んでいるんです!? 何を独りで 戦っているんです!?」 ゆきが、溜まっていた感情の全てをぶつけるかのように、哭嘴に詰め寄る。 しかし、哭嘴のゆきを見る瞳は冷たい。 「千鶴さん、それにゆき。何度も言っている。俺はジン・ジャザムではない。 俺は哭嘴だ。それ以外の何者でもない」 「んなことばっかり! 僕が聞きたいのは、そんな戯れ言なんかじゃない! 生きていたんなら……何で帰ってきてくれなかったのか! そのことが聞きた いんだっっ!」 沸き上がる怒りは、彼の瞳に涙すらも溢れさせる。 そんなゆきを見ても、哭嘴の瞳は冷たいままだった。 「戯れ言じゃない。これはとても大切なことなんだ、ゆき。その意味を正しく 理解しろ。ジン・ジャザムは……死んだのだ」 「! ……このっ!」 ゆきは激情に流されるまま、哭嘴の顔を殴りつけようとした。 哭嘴は依然として、冷たい瞳でゆきを見つめている。 しかし、振り上げた拳が、哭嘴の顔面に叩き込まれるその前に、千鶴の手が ゆきの拳を遮った。 「! 千鶴さん!?」 千鶴は黙って、ゆきを後ろに退ける。 千鶴と哭嘴が、正面から向かい合った。 見つめ合う、二人。 「……ジン君」 「だから、違……」 哭嘴はなおも拒もうとする。 だが 「また泣いているの?」 「!?」 その言葉に、初めて、哭嘴の瞳に動揺が走った。 哭嘴の胸に千鶴の手が触れる。 「昔みたいに、また独りで……」 ――どうしたの、君? 哭嘴の躰は震えていた。 まるで彼女に怯えるかのように。 その温もりに怯えるかのように。 「どうして? ……私のせい?」 ――どうして、泣いているの? 「やめろ……」 畏れが呟きとなって洩れる。 畏れ。 何故だ? 畏れるものなど、もう何もないのに。 畏れることなど、もう出来ないのに。 それなのに、何故…… 「私が悪いのなら……償うから。私の総てを賭して償うから。だから……」 ――ジン君…… 「だから帰……」 ――これからもよろし…… 「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 哭嘴の腕が、千鶴を弾き飛ばす。 「……っく!」 千鶴の躰は地面を転がりながら、遠くまで吹き飛ばされた。 ――五年前の記憶よりも軽い躰だった。 「ち、千鶴さん!? ジン先輩! あんたはぁぁぁ!」 「五月蠅い! 黙れ! 俺は……俺はっ!」 激しく頭(かぶり)を振りながら、哭嘴は絶叫する。 そのとき、哭嘴の仮面がピシリ……と音を立てる。 亀裂が広がり、仮面が二つに割れて…… 「――――――――――――ッ!!!?」 声にならない叫び。 哭嘴は慌てて仮面を押さえ、俯き、顔を逸らす。 哭嘴の、あまりにも激しい取り乱しように、ゆきは呆然となった。 「ジン先輩? ど、どうしたん……」 「――――――――――――ッッ!」 顔は隠したままに、機械の翼を広げる。 「ジン君!?」 もはや一刻の猶予もないと言わんばかりに、哭嘴は羽ばたいた。 闇雲に振り回した爪が空間に紅い痕を残し、その紅の中に哭嘴は飛び込む。 「待って! ジン君!」 ――待てない。 そんな声が聞こえたか、どうか。 空間に出来た痕は、哭嘴を飲み込むと同時に消滅する。 ゆきは呆然と、その光景を見つめていた。 千鶴も呆然と、その光景を見つめていた。 「何で……? この苦しみから、逃れることは出来ないの?」 千鶴の疲れ果てたような呟き。 それもプラントの闇へと飲み込まれていった。 ・ ・ ・