Lメモ私的外伝1「愛を求めて」
この話は、(C)黒田洋介、および(C)秋田禎信です(笑)。
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ハイドラント「ふはは、『鬼畜ストライク』見せてもらったぞ! これで、SS
不敗流を我が物にという野望に一歩前進!!」
風見ひなた 「・・・・・・あれ、自己流だよ」
一歩後退。
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土曜日、昼時。
駅前の喫茶店に、彼女はいた。
時間が時間である、店の中は満席であったが、それでもその中から彼女を見
つけ出すのは容易いであろう。
来栖川綾香。
彼女はその文句の付けようもない美貌を不機嫌に歪めつつ、苛立たしげに指
でテーブルをつついていた。
「まったく・・・人を呼びつけておいて、何をやってるんだか・・・。」
彼女がそう呟いたときだった。
・・・しーん・・・
一瞬前まであれほど騒がしかった店内が、静寂に包まれる。
一人の男が、店の中に入ってきたのだ。
彼はまっすぐに、綾香の席へと向かう。
「あんた、何分遅刻してると・・・」
「しばし待ちたまえ。今は人が多すぎる。」
男は悠然と呟くと、懐から葉巻(型のチョコ)を出し、口にくわえた。
・・・数分後。
店の中に、客は二人だけとなっていた。
「ふっ・・・」
男が小さく笑う。
「寂しいものよ。凡人共は、私が近づくと畏怖のあまり逃げ出してしまうのだ。
あまり特徴のない格好をするよう心がけているのだが・・・やはりにじみ出
る気品というものは隠しようがないのだろうな・・・。」
綾香は半眼で呟いた。
「・・・私の推測だと、全身黒ずくめでマントを羽織って肩にカラスを止まら
せているあなたの姿に脅えて逃げたんじゃないかとも思うんだけど。確証がな
いから言うのは止めて置くわね。」
「うむ。そのような可能性は考慮に値しないな。
そう言えば、先ほどから店の主人が防犯ベルに手をかけているのも気になる
ところだが、まあいい。本題に入ろう。」
男は、表情を真剣なものに改めた。綾香もつられて姿勢を正す。
「そうしてくれると助かるわ。私も暇じゃないから。
・・・で、何の用なの? ハイドラント。」
「うむ・・・。」
ハイドラントと呼ばれた男は、一つ息を吸うと言った。
「御主人、ブルーマウンテンを一つ。」
「いきなり腰を折るなっ!」
「落ち着け綾香。そうだ、今度『切り裂きポチョムキン』が映画化されるのを
知っているか? 監督は大友克洋。楽しみじゃないか、ん?」
「用がないなら帰る!」
「待て、ジェニファー」
「誰よそれは!?」
「先生が言った事、覚えているか? ロスト・ユニバース4が四月に出るって」
「んなこと言ってないっ!」
「ジャOプの予告と同じで当てにはならん。気を付けろ。」
「帰る!!」
「まあ、待て」
「なによっ!?」
「綾香、今年は受験だな。頑張れよ。」
「私はまだ二年っ!」
「そう言えば、私の愛鳥の紹介をしていなかった。アーティーという名だ、よ
ろしくな。」
「会話しなさいっ!!」
「機嫌が悪いな。どうしたんだ?」
「誰のせいよ!!」
「そう責めるなよ、久々野の奴も反省してるさ。」
「あんたに言ってんだあああああっ!!!」
綾香の左ストレートがハイドラントの顔にめり込んだ。
「まったく・・・用がないなら呼ぶんじゃないわよ!」
足音も荒く綾香は店を出ていった。
「ふっ・・。相変わらず可愛い奴だ。」
「あ、あの・・・お待たせしました・・・・。」
顔面を陥没させたまま平然と呟くハイドラントの前に、店主がびくびくしな
がらカップを置いた。
彼はそれを手に取り、口を付ける。
「・・・・うむ。」
満足げに息をつく。
「やはり茶は、玉露に限るな・・・。」
「・・・コーヒーじゃないのか、それ。」
久々野が突っ込んだ。
「久しぶりだな、久々野。なぜ君がいきなりテーブルの下から出て来たのかな
どという凡俗な質問は私はしないよ、ふふふ。いきなりズバッと用件を聞こう
か。」
「うむ、大した事ではないのだがな・・・。」
久々野は、再び防犯ベルに手をかけている店主を横目に見つつ、告げた。
「『草』から報告を受けてな。お前が風見ひなたを狙っていると・・・。
旧知のよしみで、忠告してやろうと思ったまでだ。」
「忠告?」
「ああ。」
久々野は、紅茶を一口飲み(綾香の飲みのこし)、そして言った。
「今のひなたには近づくな。」
「・・・ほう。」
ハイドラントが、ぴくりと眉を寄せた。
「それは、なぜ?」
「お前では勝てん。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
沈黙が降りた。
やがて、ハイドラントが茶(コーヒー)を飲み干し、立ち上がる。
「・・・忠告、感謝する。
では、また会おう。」
店から出たハイドラントは、肩のカラスに命じた。
「アーティー、お前は西山を調べてこい。私は風見の元へ向かう。
SS不敗流の一端なりとも掴んでくるのだぞ。よいな?」
「ケーーーーーーッ!!」
ほんとにカラスかそれ的な鳴き声を上げ、黒い鳥が飛び去っていく。
「ふふふ・・・」
それを見つつ、ハイドラントが呟いた。
「久々野め、忠告とは言ってくれたものよ。
だが本音は見えている。風紀委員長が失踪したこの時期に、余計な騒ぎを起
こして欲しくないというのだろう。だが、学園が乱れている今こそ、私にとっ
ては好機!
久々野、悪いが君の策にはまってやるわけにはいかんよ・・・。」
その頃、店内では。
久々野が誰にともなく呟いていた。
「これでよし。ああ言えばあいつの事だ、きっと何も考えずに風見を襲って返
り討ちにあうだろう。そうすれば、しばらくは平和だ。
その間に、風紀委員長を選抜しないと・・・。」
策にすっぽりはまっているようだぞ、ハイドラント。
だが久々野も、綾香とハイドラントがここの勘定を払っていない事には気付
いていなかった。
「来たか・・・」
風見ひなたは、小さく呟いた。
傍らには、赤十字美加香の姿もある。
ここは荒野の真ん中。
いかにも決闘場御用達って感じの場所である。
地平線も見えた。
ちなみにここは学園の敷地内である。WHY!?
「ああ、来たとも。」
全身黒ずくめの男が現れる。
ハイドラントだ。
「西山師匠から警告は受けていた。SS不敗流を狙う者がいると・・・。
お前がそうだな。」
「いかにも。
最初は物陰からこっそり様子を伺って技を盗むつもりだったが、前回それで
騙されてしまったからな。
かくなる上は、貴様を殺し、脳から直接SS不敗流の知識を調べてくれる!」
ブキミなことを言い、ファイティングポーズをとるハイドラント。
「わが最強の技、を受けるがよい、風見!
『いきなり必殺技を使うと負けるぞ』とか思ってる読者をさらっと無視し、ポ
チョムキン・モード!!!」
叫ぶ。
それとともに、彼の周りに凄まじい闘気が!!
「・・・・あれ?」
集まらなかった。
「な、なぜだ? 力が・・・!?」
「ふっ・・・」
ひなたが嘲りを込めて笑う。
「まだ気付かんのか? この空間が普通ではない事に・・・。」
「なにっ!?」
ハイドラントは慌てて辺りを見回す。
一見、ただの荒野だ。だが、良く見ると何かが違う。
「・・はっ! そういえば、私の体の様子もおかしい!?
なんか姿がいつもの草河遊也的なデザインではなく、佐竹美保的な妙にリア
ルなデザインになってるような気がする!?」
「その通りだ。」
こちらもリアルな顔をしたひなたが冷たく言った。
「今、俺の周りの空間は『シリアス状態』にある。
先日の俺の書き込みを読まなかったのか? 今俺はシリアスなLメモを構想中
なのだ。」
「何の話だ!?」
「とにかく、今ここでギャグ的な技は一切使えん。はぐれ旅本編に無謀編のポ
チョムキンが出てくるはずがないのと同じだ。
おとなしく負けを認めるがいい。」
「・・・何の!」
ハイドラントは、それでもなお戦意を失いはしなかった。
「ギャグ技が使えないのは不便だが、それは貴様も同じ!
ならば肉弾戦で決着をつけてくれるわ! いくぞ、風見!!」
ハイドラントの叫び。
戦いの幕が切って落とされた!!
「みかかミサイルゥゥゥゥゥ!!」
「ちょっと待て! それはギャグ技じゃないんかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
戦いの幕が閉じた。
かくて、学園にしばしの平和が訪れたのであった。
END
追記
「アーティー、西山の元から戻ったか。して首尾は?」
「ケーッ! ケケーッ! クケーッ!」
「なに、不敗流の真髄を掴んだ!? でかしたぞアーティー!!
で、内容は?」
「ケケーッ、クケケーッ! ケーッ、ケッケーッ!!」
「なになに、楓らぶらぶ、楓可愛い、楓美しい、楓最高、天上天下唯楓独尊?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんじゃ、そりゃぁぁぁぁぁ!!」
彼がSS不敗流の奥義を手にする日は近い。
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はっはっは、遂にやってしまいました、Lメモ。本当はもう少し様子を見て
からにするつもりだったんですけど。
第六話を書いてる間にネタを思い付いてしまいまして。ついつい書いてしま
いました。久々野さん、ひなたさん、西山さんすいません。
では、私はこれから第六話に再び取り掛かります。明日また会いましょう。