「HAHAHAHAHA、びゅーてぃふるデスねぇ!」 TaSの笑い声をBGMに、葵ちゃん連合軍(作者命名)はひな段がよく見える位置に 陣取っていた。 「……やっぱり綺麗ですね、おひなさまって……」 葵がうっとりと呟く。 こうしている姿を見ていると、彼女が一流の格闘家であることなど、想像もできないような 気分になってくる。 「やっぱり、葵ちゃんもこういうの好きなんだ?」 佐藤昌斗の言葉に、葵はひな段を見つめたまま頷いた。 「はい……って言っても、家ではほとんど飾ったことはないんですけど」 「やっぱり子供のうちだけ?」 「ワタシも、最近は五月五日にアフロのぼりを上げなくなりマシタからネェ」 「アフロのぼりって……いや、やっぱりいいです」 ディアルトが口ごもる。 世の中には、知らない方がいいことが色々あることに、危ういところで気がついたらしい。 「そうですね。小学校の頃なんかは、小さいやつですけど飾ってたんですけど……だんだん いい加減になっちゃって、仕舞うのを忘れて出しっぱなしにしちゃったり」 「ああ、それは何かよくないのではありませんでしたか?」 「ティーさん!?」 ひょこっと現れたT-star-reverseの姿に、ディアルトが驚きの声をあげた。 「たしか、オカルト研の所にいたんじゃ……?」 「別に、一ヶ所にとどまっていなければならないわけでもないでしょう?」 「まあ、そうだけど……」 なんとなく釈然としないように呟く昌斗を無視して、ティーは続けた。 「ひな人形の出しっぱなしって、何か縁起が悪いはずなんですが……」 「そうなんですか?」 葵も首をかしげる。 「ああ、それなら知ってるよ」 「え、YOSSY先輩、ご存知なんですか?」 葵の問いに、YOSSYはあっさりと答えた。 「ああ。たしか、早く仕舞わないと結婚が遅れるとか言われてるんだ。でも、大丈夫だよ、葵ちゃん。 葵ちゃんは俺がちゃんと幸せに……」 ごすっ。 さりげなく肩に手を回そうとしたYOSSYは、四人がかりの蹴りを喰らって轟沈した。 「あれ、ルミラさまじゃないですか」 「あら、あんた達……あ、そうか。あんた達も来てたわけね」 庭の一角では、アレイたち雀鬼の面々と、土木作業員のような格好をしたルミラが出会っていた。 「ルミラさまこそ、どうしたんですか? その格好は……」 イビルが指さすと、ルミラが自分の服をつまんでみせた。 「ああ、これ? 今日はそこの巨大なひな段の設営のバイトやってたのよ」 「はあ、大変だったんですね」 「誰かさんたちのおかげでね」 さらっと言ったルミラの台詞に、雀鬼たちが一瞬言葉に詰まる。 その様子を見て、ルミラは笑いを浮かべた。 「冗談だってば。そんな深刻な顔しないの……あら、そっちの人たちは?」 ルミラの視線を受けて、数人の男女が軽く会釈を返した。 エビルが立って、順に紹介していく。 「ああ、学園の知り合いです。……生物部で知り合った、Yinとレッドテイル。 それから、さっき会った広瀬と結城、春夏秋雪。みんな、こちらはルミラさま。私たちの ……保護者だ」 「ふーん……こんばんは。ルミラです、よろしくね」 会釈したルミラの眉が、軽く寄せられた。 エビルに向かってそっと囁く。 「しかし、変わった知り合いばっかりね、あんたも」 「……否定はしません」 ルミラの見ている先を見て、エビルも冷たく呟いた。 「そうなんだよ、よく考えたら、俺がアフロになる理由なんてないんだよ……」 「久しぶりの一人での出番……喜んでいいのか、悲しんでいいのか……」 男二人――しかも片方はアフロ――がぼやいている姿は、なかなか壮絶なものがあった。 「あっちもなんだけどね」 「え?」 ルミラが見ているのが、そちらだけではないことに気がついてエビルが疑問を顔に浮かべた。 広瀬たちは、学園内ではまともな部類の人間だと思っていたが……? 「ちょっといいかしら?」 「はい?」 振り向いた広瀬の耳に顔を寄せ、ルミラはそっと囁いた。 「あなたたち、何か秘密があるんでしょ?」 「……!」 横にいた春夏と結城の身体が、一瞬こわばる。だが、広瀬には目立った変化はなかった。 「……何のことですか? それはまあ、私は女優ですから、秘密くらいはありますけど」 平然と言ってのける広瀬に、ルミラは心中密かに感嘆の息を漏らした。 なかなか、大した精神力と演技力を持っている。 「あ、そうだった? それはごめんなさいね」 これ以上追求しない、という意志を示すために顔を引く。 広瀬は、まだ緊張した表情の春夏と結城に手を振ってみせた。 「大丈夫よ、こちらも勘違いだと納得してくれたみたいだから」 「ええ。勘違いしてごめんなさいね」 くす、と笑みを唇の端に乗せる。 それを見て、ようやく春夏も身体の力を抜いた。 「……なるほど。お互いに、勘違いはしない方がいいですからね」 「え? よく分からないけど……まあ、そういうんなら……」 結城も、状況は理解しきれていない様子ながら緊張を解く。 「ま、そういうことよ」 ルミラは、くすくすと笑い続けていた。 「……空白を全部埋めてしまおう♪」 ルミラたちが話し終わるのとほぼ同時に、先程から歌い続けていたメイフィアの歌も終わった。 じゃん、と手にしたキーボードを最後に鳴らして、軽く礼をする。 「……さすがですぅ、メイフィアさん」 アレイががちゃがちゃと音を立てて、籠手を付けたまま拍手した。 「あ、ルミラさま、いらしてたんですか」 「今さっき来たところよ」 顔を上げたメイフィアが、少し脇にずれて席を作る。 ルミラは、広瀬たちから離れて、そこに腰をおろした。 「しっかしまあ、あんたたちもちゃんと友達出来てるみたいで、よかったよかった」 「……どういう意味ですか?」 「聞きたい?」 フランソワーズの問いに、ルミラはしれっとした顔で答えた。 「……って、何でこっち見るんですか」 「身に覚えがあるだろう、イビル?」 「お前がゆーなっ!」 「……どっちもどっちだと思うけどね」 睨みあいを始めたイビルとエビルに、メイフィアが溜息をつく。 と、ルミラは、一人面子が足りないことに気がついた。 「あれ? たまがいないじゃない」 「たまなら、あそこですよぉ」 アレイが少し離れた所を指さす。 そこでは―― 「……あの、本当にいいんですか?」 「ああ、もちろん! 楓さんに乗ってもらえるんなら、フーイナム冥利につきるってものです!」 「しかしまあ、楓一人で馬に乗るのも危ないだろうから、俺がいっしょに……」 「待ていっ、西山! そういう事なら、オレがいっしょに乗ってやろう!」 「馬って言うなぁぁぁっ!」 「ふにゃ〜」 三人――あるいは二人と一匹に囲まれた楓の腕の中で、ぬくぬくと欠伸をしている猫の姿が あった。 「何やってんだか……」 呆れた様子のルミラの横で、イビルが感心したように腕を組んでいた。 「しっかし、何だな。ペットに飼い主が似る、ってのは本当だったんだな」 「逆じゃなかったっけ?……まあ、あの子が猫みたいなのは否定しないけど」 メイフィアが呟く。 その視線の先で、拳で決着をつけることにしたらしい西山とXY−MENが、互いの クロスカウンターを顔面に喰らって、仲良く地面に倒れていた。 皇日輪、そーしゅ、イマジネーター、猫町櫂、九条和馬、河島はるか……彼ら六人は、 円を描くように座っていた。 もしも、他の学園関係者が彼らを見たならば、こう言っただろう。 「何も知らない新入生を毒牙にかけようってわけか?」 ……と。 その非難を浴びるべき人物は、彼らの中央で、持参したポットからお茶を注いでいた。 「ひな祭りだからといって、甘酒ばかりというのも何でしょう? はい、どうぞ」 にこやかに微笑んで、まさたがお茶を差し出す。 白磁のティーカップに入れられた紅茶の香りが、一同の鼻をくすぐった。 「えーと……帰っていいですか?」 いくらか学園生活の長い猫町が、不安を感じたのか、そんなことを言う。 そーしゅが、不思議そうに首をかしげた。 「どうしてです? 一緒にごちそうになりませんか?」 「あ、いや、何となく……」 「ん。おいしいよ」 はるかが顔を向ける。 じーっと見つめられる無言の圧力に耐えかねたか、猫町はがくりと首を落とした。 「……はい」 (あああっ、他人の誘いを断れない自分の性格がうらめしいっ!) 膨れあがる不安に耐えかねて心中で絶叫したが、そんな事でどうにかなるはずもなく、 やがて人数分のお茶が用意された。 「では……」 「「「いただきまーす」」」 ぐびり。 ばたり。 「あ……あ、あ……」 イマジネーターが倒れたままぴくぴくと痙攣する。 「い、いったい何、が……?」 「り、理解、不能、です……」 その横でそーしゅが耳から煙を吹き出していた。 「く、駆動回路が、うご、か、な、い……」 「ちょっとやりすぎ、まさたくん」 何故か平然としているはるかが、血を吐いて横たわっている和馬を見ながら、非難するように 呟いた。 「変ですね……今回は、生命には別状はない毒のはずなんですが」 (生命には……ってのは何だぁぁぁっ!?) 倒れている五人は心の中で叫んだ。 「ひょっとして、もともと身体が弱いとかじゃないんですか?」 「……ん。そう言えば」 はるかが、ふなりと頷く。 「ああ、やっぱり。なら、問題は解決ですね」 「ん」 血を吐いたまま危険な感じに痙攣している和馬を無視して、二人はにこやかに頷きあった。 (……警戒すべきは、鬼だけではないのかもしれない……) 薄れゆく意識の中、日輪はそんな事を考えていた。 「……こんな所で何をしてるんだ、主催者さまが?」 唐突に声をかけられて、千鶴の細い肩が、びくりと震えた。 座りこんで膝の間に埋めていた顔を、ゆっくりと持ち上げる。 「……柳川さん、ですか。びっくりさせないでくださいよ……」 「ふん。知ったことか」 弱々しく苦笑を浮かべる千鶴に言い捨てて、柳川はその場にあった庭石の上に腰を下ろした。 「第一、こんな所で座りこんでいる方が悪い」 柳川の言葉どおり、そこはあまり人のいる場所ではなかった。 設置された、巨大ひな段の裏。 ちょうど影になった薄暗い部分で、柳川でなくとも、こんな所に人がいるとは思うまい。 「ちょっと……人のいない場所に居たくなったんです」 千鶴の言葉に、柳川は馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「ひな祭りなんぞ、祝いたくもない……か?」 「そんな……!」 きっと睨みつける千鶴を無視して、柳川は言葉を続けた。 「それとも、祝ってもらっている妹たちを見たくない、か?」 「……!」 千鶴の目が鋭くなる。 そのまま、何か言い返そうと口を開け――何も言えないまま、数度だけ開閉させた。 俯く千鶴を見て、柳川はもう一度鼻を鳴らした。 「ふん……まったく、馬鹿だよ。お前は……」 千鶴は、何も言い返さない。 それとも、言い返せないのか。 「今日くらいは、苦労することなんざ忘れて、素直に祝ってもらえばいいだろうに」 「……それが出来れば……」 「出来るさ」 あっさりと柳川が言う。 それに言い返そうとして――千鶴は、誰かが近づいてくる足音に気がついた。 「出来るさ――祝ってやろうって馬鹿がいる限り、な」 そう言い残して、柳川はまた何処かへと歩み去った。 「あ、千鶴さん! こんな所にいたんだ?」 「早く来てくださいよ。千鶴さんがいなきゃ始まんないんですから。どうも酒を持ち込んだ やつがいるみたいで、すごい騒ぎですよ」 「ジン……お前も、嬉しそうに言うなよ……」 「まあまあ、耕一さん。固いこと言いっこなしってことで」 口々に騒ぎたてる二人を見て、千鶴は微かに微笑んだ。 ――たまには、いいよね。 心の中で、誰かに向かってそっと問いかける。 ――他人を支えなくたって。他人に支えてもらったって。 ――支えてくれる人がいるんだから―― 「よぉし! 行くわよ、耕一さん、ジンくん! 千鶴ちゃん特製のひし餅をご馳走してあげるから!」 「あ、いや……」 「それはちょっと……」 「な・に・か、言ったかなぁ〜?」 「「いいえ、何も!」」 笑い声が夜空に弾ける。 いつかは、こんな日々にも終わりが来るのかもしれない―― けれど、今はまだ終わっていないのだから。 精一杯、楽しむとしよう。 夢がいつか終わる、その日まで―― ===== ギャラ「……死んだっ!」 あかり「お疲れさま……って、いきなり死んだら駄目だよ」 ギャラ「いや……ですが、何と言うか、本気で疲れたです。どもども、ギャラでございます。 ひな祭りと言いつつ、何処がひな祭りなのか私にも分からなくなったですが」 あかり「えっとね。ギャラちゃん。ひな祭りとお花見、いっしょにしてない?」 ギャラ「似たよーなもんです」 あかり「う〜ん……そうかな?」 ギャラ「とりあえず、私には初めての「共通時空に近い時空でのLメモ」です。ですから、 オリキャラはほとんど出ていません。その分、SS使いとリーフキャラはほとんど 出せた……はずですが。漏れている方、いましたら御免なさい」 あかり「ほとんど?」 ギャラ「右子左子とか、何人か出せてないです……能力限界を超えたです……既にオーバー フロー気味ですが。あああっ、タイトルに「全員集合」とかつけた昨日の自分に 蹴りをいれたい……」 あかり「でも、よくこんな事やったね」 ギャラ「今、どれくらいSS使いの方とかいるのか、自分で把握しておきたかったのが一つ。 共通時空で、自分にどの程度のSSが書けるのかの実験が一つ。……理由はそんな ところです」 あかり「えっと、そういうわけだから、キャラの性格が変だとかあったら、ギャラちゃんの せいですから容赦なくリベンジしてあげてください」 ギャラ「あかり様ぁぁぁっ!?」 あかり「わたしの出番少なかったから……お仕置きだよ」 ギャラ「あああっ、何か煮えたぎった湯がっ!? まさか盟神探湯でもさせる気ですか!?」 あかり「ううん、それはしゃぶしゃぶ用のお鍋よ。……店員さーん、お願いしまーす!」 ユウヤ「はーい☆ お・ま・か・せ☆」 ギャラ「ひいいいいっ!? エルクゥユウヤさま!?」 ユウヤ「今日のわたしは、しゃぶしゃぶ屋さんのウェイトレスさんよぉ☆」 あかり「ちなみに、一時話題になったノーパンしゃぶしゃぶだから。……じゃあ、ごゆっくり」 ユウヤ「あーら、こちらお盛んねぇ☆」 ギャラ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! へるぷみーーー!!!」